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メガネスーツ女子と未知との遭遇

頁14:本の機能とは 2

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「…?」

 どういうつもりだろうか。すると、私の本がまた勝手にページ移動する。そして白紙かと思われたページになんか見覚えのある吹き出しが…。

《ちょっとイロイロと実験してるからゴメン! 適当に話聞いておいて❤》

 何これ…チャット機能とかあるんですか…スマホか。便利だけど。
 返信の文章はどうやって入力するんだろうか。…と、また次のメッセージが。

《ちなみに文字の入力は、トークのページに触った状態で脳内で喋ると出来るよ☆》

 ☆とかどうやって脳内で喋るんだろうか。
 彼の方をチラッと見る。
 こなれた感じでウィンクされた。
 ページに触れる。

《うざ》 …い。いっそいっぺん死んでくれても良いです。
《ひどくね!?》

 なるほど、思ったそばから送信されるんじゃなくて送信前に文章確認や修正が出来るのか。まんまスマホのアレじゃないか。
 この本の制作者は余程我々の地球が好きだったのか?

《何をしているのか後でちゃんと説明して下さい。それから『モザイク』の設定変更もお願いします。心臓に悪い。》

 返事は良く分からないデフォルメキャラに[OK!]と文字が足されたイラストだった。そんな機能まであるのか。もうギリギリじゃないかそれ。

《うざ。》
《;ω;》

 本を閉じて虚空に収納すると、ひろしさんに話しかける。…横を向いたままで。(直視はやっぱり無理です…)

「あの、先程の生物は一体…?」
「あん? 飛ぶ眼フライングアイか? まさか見た事無いのか?」

 ひろしさんが驚いてこちらを見た。…そちらを見てないのでそんな気がしただけですが。

「驚いたな…『  』の方は『  』が出現しないのか?」

 無音が続く。二つ目の無音はまた違う単語っぽいか?

「その、私、実は自分で言うのもアレですが、温室育ちの箱入りでして…」
「おおっと、…まさかおしのびかい? ツレのにーちゃんは護衛か何かか」
「ええまあ…そんな所ですの…オホホ…」

 …なに『ですの』って。秘書の時だってそんな語尾使った事無いですの。『ですわ』なら死に際に使ったけど。

「なんにせよこんな辺鄙へんぴな場所まで来るなんざ物好きだねえ。でもま、運がよかったな! 俺がいたお陰で無事だったワケだし!」

 放送出来ない大将がガハハと笑い飛ばす。

「さア、話してる内に着いたぜ! ようこそ客人、『  』へ!」

 ひろしさんがうやうやしく来客への礼を尽くす。モザイクダルマにしか見えないけれど。

「わあ…!」
「おお…!」

 初めての世界で、初めて立ち寄った集落は───

「…何時代だ、コレ」

 某巨大テーマパークの各エリアから建物を寄せ集めて適当に並べた様な、統一感が裸足はだしで逃げだしそうな異様な光景だった。










   (次頁/15-1へ続く)












      
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