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メガネスーツ女子と無慈悲なる神と終わらない残業
頁08:躾とは 2
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ズビィィィィィッ!!
…大の男がいつまで泣いてるんだろう。そしてどこから出したんだろうこの箱ティッシュ…。(しっとり触感)
「…ごめんなさい」
やっとまともに話せる様になったのだろうか。
ちなみに粗相をして汚した服は交換したみたいだが、どう見ても同じ服にしか見えない。同じ物を何枚も所持しているという事か…?
「え? 何がですか?」
「だから、ごめんなさいって…」
「ごめんでは済まないのでもう何回か折りましょうか♪」
指の根元の関節をボキボキと鳴らす。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいい!!!」
高速で土下座をする彼の姿に情けなさで殺る気も失せ、代わりに大きなため息を吐き出した。
「過ぎた事はとりあえずはもういいです。でも知ってる情報は包み隠さずに全部話して下さい。元の世界に戻る事が出来ない以上、私も色々と知らなければならないので」
「う、うん…」
土下座姿勢からもそもそと胡坐に移行する。
「情報って言ってもさっき話した内容は概ね本当なんだよねぇ…」
さっきって言われても、今からそのさっきまでの間に私はカウント不可能な程殺害されてるんですが。
いやそれでもちゃんと覚えてますけどね。仕事柄。
「地球モドキのクラフト、そして生命の誕生から人類の定着。あとは諸々の初期設定。これがミッション1。でもこれは一人でやる単独ミッションだった」
「で、その先の指令に進む為に本当はもう一人の協力者が必要だったんですね?」
じっと見つめると、彼は慌てて視線を外して顎を掻く。
「歴史ルートの決定辺りまでは一人でも出来るけれど、その先に用意されてた設定は…キミが考えてる通り、二人作業じゃないと駄目だった」
そう言って彼は両手を掲げる。思わず警戒して身構えてしまった。
ポン!と音がして彼の両手にそれぞれ1冊ずつ現れたのは、あの時彼が手にしていた分厚い本だった。
その内の片方を私に手渡してきた。
「これは?」
「トリセツみたいなヤツ。ほぼ白紙だけど」
「トリセツ? 何のですか?」
「この地球モドキのだよ」
「この星の!?」
(次頁/09-1へ続く)
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