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ヨウコの娘
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「水遁!水柱の術!」
白銀に輝く一本の尻尾、白く透き通る様な長い髪、宝石の様に赤く輝く瞳の頭から特徴的な大きな耳生えている少女が手で印を結んで、大きな象のようなC級モンスターのパオームの体を地面から噴射した水流で貫く。
パオームは抵抗する間もなく、体の真ん中にぽっかりと穴を開けたまま倒れる。
「ちょっとやり過ぎちゃいましたね。」
私はパオームの死体を時間停止と無限拡張の能力を持ったカバンに入れる。
「うんうん。後はギルドにこれを持っていけば試験は完了ですね!もっと強くなって、学園祭のパーティー戦で大活躍するのです!」
※冒険者学校の年に2度行われる学園祭では、学年ごととクラスごとでパーティーを組んでトーナメント方式で実力を競い合う催しが行われる。
毎年、白熱した試合が繰り広げられており、今は3年生のトップ5で構成されたパーティーが最も強いと言われている。
彼らであれば、SS級モンスターも討伐が出来るのでは無いかと噂されており、冒険者全体で見ても指折りの強さを誇るのは間違いないそうだ。
リーダーのシルヴィットを筆頭に巧みな連携で相手を次々に倒すのはもちろんだが、個々の能力もとても強く、低く見積もってもA級クラスの実力者なのだ。※
私は「ふっふ~ん」と鼻歌を歌いながら、学校の中にある見習い用のギルドへ向かう。
その途中で上級生と思われる男子が2人で話しているのを目撃する。
「おい聞いたかよ。」
「ああ、あのバケモンみたいな強さの飛び級してきた1年だろ?」
「そうそう!あいつがまたS級モンスターの討伐に成功したらしいぜ!しかも、相手は小型の龍だって話だろ?マジで規格外過ぎるよな。」
「確かになぁ…S級なんて、俺ら3年のトップ5でも念入りに準備してようやく討伐出来るか出来ないかくらいのレベルらしいからなぁ…」
「しかも、その1年、1人で討伐しただけじゃなくて、素手でぶん殴って討伐したらしいぜ。」
「やば!ゴリゴリラかよ!」
彼らが笑いながら話していたのは、とあるSS級冒険者の推薦で特例入学を許され、今年の春に首席で入学したある12歳の少女の事だ。
その名は…
「あら?私の話でございますか?」
「うおっ?!」
「アリス・アルフェノーツだ!」
アリス・アルフェノーツと呼ばれた猫族の少女は真っ白な手入れの行き届いた長い髪を揺らしながら、2人の傍の茂みから顔を出す。
青い制服の腰には刀と呼ばれる長めの剣を帯刀しており、持ち手が太陽の光を反射して煌めいている。
「あらあら…3年生の先輩方に名前を覚えていただけているとは…私もまた随分と有名になったものですわね…」
アリスは優雅に微笑んで茂みの中から出てきて、身体についた葉っぱとかを払い落としていた。
「先輩方が私の噂話をするのは結構ですけど、女の子に対してゴリゴリラ扱いなんて酷いんじゃありませんこと?」
アリスは微笑みの表情は変わらないままだったが、その深紅の眼はどことなく恐怖を感じさせる。
「ヒッ…す、すんませんでした~!」
1人は立ったまま気絶しており、もう1人は恐怖のあまりに失禁しながら、逃げ出して行く。
「あらあら…私よりいくつも上の男性ですのに情けないですわね。」
アリスはそのまま眠そうにこちらを見る。
「その制服は…2年の先輩ですね。はじめましてですわ!」
アリスが私に気がついて優しげに深紅の瞳の目を細めて、スカートの裾を持ち上げる仕草をする。
ただし、彼女の場合は男子生徒と同じ様なズボンタイプだった為、あくまでもフリではあるが…
「ど、どうも…私は2年の本間茉莉です。」
茉莉はぎこちなく返す。
「マツリさんですね。私は1年のアリス・アルフェノーツでございます。以後、お見知りおきを…」
アリスはそう言うと不思議な技能を使う。
「では…ごきげんよう!」
アリスはそう言うと瞬時に姿が消える。
「今のが…アリス・アルフェノーツ…既にS級以上の強さだと言われてる白き覇王の猫族…」
私は2年なので、彼女の事は噂程度にしか知らなかったが、直接会ってわかった。
彼女の強さはまさに規格外だ。
戦わなくてもわかるほどの圧倒的な力の差を感じさせられた。
「特にあの包帯を巻いた右腕からはとてつもない力を感じましたし、アリスさんとは敵として戦いたくないですね…」
アリスがその気になれば、間違いなく瞬殺される。
※茉莉自身も現在はA級クラスの強さを持っており、2年の中でもトップ5、学園全体でもトップクラスに入る実力を持っているが、アリスの能力は低く見積もってもS級クラスの実力だと感じている。※
まさか、そんな相手と戦わないといけない時が来るとはこの時の私はまだ知る由もなかった。
~数日後、放課後のグラウンド~
「茉莉!」
そう言って、茉莉を呼ぶのはエメラルドグリーンに輝く短い髪、コバルトブルーに輝く右眼と左眼に個性的な眼帯をつけた犬族の少女だ。
「クロネか~…もしかしなくても学園祭の事でしょ?」
「さっすが、茉莉だよ!学園祭のパーティー戦、ボクと組んで欲しくてさ!他にもレティナとか誘ってるんだけど…どう?」
「あら、レティンシアさんと言えば、道化の死神と呼ばれる暗殺の天才…ですね!」
※レティンシアは2年のトップ5の1人であり、相手の注意を引きつつも巧みな妨害工作で相手の感覚を奪って気がつかれないうちに倒すといった戦い方を得意としており、その実力は茉莉と同じA級クラスの中でもずば抜けていると言わざるを得ないほどだ。
レティンシアはナイフの扱いに長けており、投げナイフによる遠距離攻撃はもちろんだが、接近戦に関しても巧みなナイフ捌きで急所を的確に斬って、相手を弱らせたところにトドメを刺す戦い方を好んでする。
また、ナイフ以外にもさまざまな道具を駆使して徐々に相手を追い詰める為、一部の脳筋からは嫌われている。
実はクロネも2年の中ではトップクラスに戦闘能力が高く、たまにレティンシアと組んでA級モンスターを数体討伐して来たりしている。
クロネの攻撃能力はどれも一撃必殺級の攻撃能力だが、充填が必要なものが多く、連射力が無く、手数より一撃に重きを置いてる為、タイミングを狙わないと簡単に回避されてしまうが掠りでもすれば致命傷は免れない威力だ。※
私がそんな事を考えているとクロネは言う。
「そうそう!今年は優勝狙ってるからね!いつもより気合いの入ったパーティーを組んじゃうよ!特別ゲストの破壊王にも1年の白き覇王にも負けないもんね!」
クロネはとても楽しそうに言う。
「後は…黒鉄の魔神:スピカと荒ぶる獅子王:ガオウかな?最低でもスピカはこちらにほしいよね。よーし!」
クロネはそう言うとスピカを探して教室を飛び出す。
※黒鉄の魔神スピカは茉莉と同じ2年のトップ5の一人であり、漆黒のマントを羽織っている水天使の魔剣士で常に黒い仮面をつけており、通り名の影響もあって一部から絶大な人気を誇っている。
その実力は単独でA級モンスターを軽々と討伐出来ると言われているほどであり、レティナと茉莉が束になってようやく互角の戦いが出来ると思われるほどだが、実際にはトップ3の中では1番能力は低いらしい。
だが、スピカにはずば抜けた観察眼と高い演算能力があり、それによって相手の動きを読んで的確な攻撃を行う事を得意としている。
猛り狂う獅子王のガロウは凄まじい剛腕で相手を叩き潰す様な戦闘スタイルが得意な狼族の男性であり、トップ5入りはしてないものの、気を抜けば一瞬でトップを取られそうなほどの実力を持っている為、油断は出来ない相手である。
ただ彼の場合はとても気性が荒く、何も考えずに突っ込むので連携なんて夢のまた夢だが…※
「正直、ガロウとだけは組みたくないなぁ…」
しばらくするとクロネがスピカとガロウでは無い、別の人間の女性を連れて来ていた。
「茉莉、こっちは君も知っての通りのスピカでこっちの子はフィリアなんだ!」
「君が茉莉君だね?オレはスピカだ。よろしくな。」
そう言って、深海を思わせる深い青色の翼を持つスピカが握手を求めて右手を出す。
スピカはフードの着いた黒いローブに漆黒の仮面をつけていることも相まって、見た目には男性的だが、声は女性らしい可愛らしい声だった。
「こちらこそよろしくお願いします!黒鉄の魔神と呼ばれているスピカさんとお会い出来て光栄です!」
私も右手を出してスピカの握手に応じる。
「アタシはフィリアよ。」
フィリアはキツイツリ目で睨むように私を見ながら手を出す。
「あの…」
「何よ。」
「その…怒ってます?」
茉莉が恐る恐る聞くとフィリアに露骨に「何言ってんの?」みたいな顔をされる。
「はぁ?アタシが怒ってるように見えるってわけ?」
フィリアがグイッと茉莉に顔を近づけて言う。
「すみません…その通りなんです…」
茉莉が困った様に言うと「はぁ…」と呆れた様子でフィリアはため息をつく。
「アンタねぇ…怒ってたら、握手なんてしようとしないでしょ?わかったら、さっさと手を出しなさい!」
私はフィリアに言われるがままに握手に応じる。
「で、では…よろしくお願いしますね。」
「ふん。わかればいいのよ。わかれば。」
フィリアはそう言うとさっさと手を離してしまう。
「フィリア君、君はもう少し優しく接するべきだ。これから仲間として行動をするのだから、そんなに刺々しい態度は取るべきではない。」
スピカがフィリアに注意する。
「はぁ?元はと言えば、クロネに誘われたから仕方なく来てあげただけなのよ?クロネがどうしてもアタシじゃなきゃダメって言うから仕方なーくなんだからね!だから、アンタに指図される言われは無いわよ!」
フィリアは怒った様子で言う。
「君のその態度は今後の連携に悪影響を及ぼす。実際、クロネ君が誘わなければ、君はパーティーを組めなかったんじゃないのかね?」
「ぐっ…それは…そうだけど…」
スピカに痛いところをつかれたのか、フィリアは後半はかなり弱々しい声で落ち込んだ様子をみせて目を逸らしていた。
「わかっているなら、なおさら直すべきだ。冒険者として生きる自覚を持った方がいい。いつどこで危険な目に合うともわからないのだから、立ち振る舞いには気をつけるべきだ。」
フィリアは少し泣きそうな表情になっていた。
「スピカさん…もうそれ以上はやめてください。せっかく、パーティーを組むのですから…ね?フィリアさんも徐々に直していきましょ!」
「…茉莉君がそう言うなら、オレはもう言わない事にするよ。フィリア君、キツい言い方をしてすまないね。でも、今後もパーティーを組む以上は余計なトラブルを起こしたくないし、起こしてほしくないから言ったことは忘れないでほしい。」
スピカがそういうとフィリアは少しだけ元気を取り戻した様子で言う。
「わかったわよ…」
フィリアが茉莉の方を向く。
「キツい言い方して悪かったわね…」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
茉莉はフィリアの両手を包み込むように握る。
「改めて、今後もよろしくお願いしますね!」
フィリアは少し頬を赤くしながら顔を背ける。
「そこまで言うなら、よろしくお願いされてあげるわよ。」
スピカは「やれやれ」と言いたげに頭を押さえていた。
クロネは少し嬉しそうにしながら言う。
「よし、無事にメンバーが決まって良かった!良かった!後はルティナが来るのを待つだけなんだけど…どうしよっか?」
「まずはオレたちの力関係の確認を行う為に試合をするのはどうだろう?お互いにどの程度の力があるのかを把握する事で連携のとり方も変わるだろうし、悪くない案だと思うのだが…」
スピカが手を挙げて言うとクロネは「うんうん」と頷く。
「そうだね。確かにスピカの言う通り、互いの力量を知るのは重要な部分だね!他の意見はある?」
「ねぇ、どうせなら、冒険者らしく得意分野を職業に当てはめて、おおまかに役割を決めても良いんじゃない?」
フィリアが欠伸をしながら言うとスピカが感心した様子で頷く。
「なるほどねぇ…確かに冒険者は職業によって大きく能力が変わる場合もあるし、フィリア君の言う通りで冒険者の職業に当てはめるのは良い判断だね!茉莉君はどうかな?」
「そうですね…私が思いついたものは全てお二方がおっしゃられてますので、特には無いですね。」
茉莉がそう言うとスピカが思いついた様子で言う。
「そうだ!茉莉君、せっかくだから、敬語は無しにしてみないかい?なんとなく敬語だと距離感を感じてしまうだろう?茉莉君さえ、良ければと思ったのだが…どうだろう?」
「そうですね…じゃなくて、ソ、ソウダネ!確かに親しい仲で敬語はちょっと変でs…へ、変ダモンネ!」
「…プッ!ダッハハハハ!なんでそんなにぎこちないのさ!」
茉莉のぎこちないタメ口にクロネが大笑いしたのにつられて、フィリアも大笑いする。
仮面で見えないがスピカも笑いを堪えるように顔を押さえていた。
「アッハハ!アンタ、なんでそんな面白い事になるわけ?」
腹を抱えて指さしながらフィリアが言う。
「フフッ…すまない…オレもあまりのぎこちなさに笑ってしまった…」
スピカはそう言いながらもまだ小刻みに身体が震えていた。
「し、仕方ないじゃないですかっ!だって、普段はタメ口なんて使わないですしっ!そりゃ、ぎこちなくもなるでしょ!」
茉莉が勢い良く言うとスピカは「すまない」と言いながら笑う。
「はぁ…久々に笑ったわ…」
フィリアは笑い過ぎて目に涙を浮かべて言う。
「はぁ…茉莉に殺されるところだった…」
クロネは大袈裟に肩で息をしながら言う。
「すまない茉莉君…無理をしない程度で良いから、少しづつ慣れていこう!」
スピカは軽く頭を下げながら言う。
「ハハッ…その優しさが逆に辛いですね…」
茉莉は遠い目をしながら乾いた笑いを出す。
「クロー、おっまたー!」
そう言いながら、茶色の短い髪の少女がクロネに飛びつく。
「うおっ!?…とと、急に飛びついてくると危ないだろう?」
「まあまあ、そう堅い事言うなよ~!クローなら、大丈夫だってわかってるしさ!」
少女はクロネから離れて厳かな雰囲気を出して言う。
「フッフッフッ…下々の民よ、吾輩は魔王レティンシアであるぞっ!控えよ!」
一瞬、場が静まり返り、レティンシアが楽しげに笑って言う。
「な~んてねっ♪こういうのって、一度は言ってみたくなっちゃうよね!あ、もちろんだけど、魔王って言うのは嘘だよ~」
スピカが仮面の下で笑ったような気がした。
「君があの道化の死神か…噂以上に元気だな。」
スピカはそう言うとレティンシアに左手を出して握手を求めながら自己紹介する。
「オレはスピカだ。よろしくな。」
レティンシアは少しだけ驚いた様な表情をして、握手に応じる。
「レティー、スーちゃんの事は勝手に男の子だと思ってたけど、美しい顔立ちをしているね!仮面取ったら、学園内でも指折りの美形だよ!いやぁ…強くて美しいって素晴らしいですなぁ!」
そう言いながら、レティンシアはスピカの仮面を取る。
「ちょっと!勝手に取らないでくれるかい!?」
スピカは慌てた様子で顔を手で隠すが、慌てすぎて口元しか隠せておらず、綺麗な秘色色の右眼と光輝く茜色の左眼が困った様にレティンシアを見ていた。
「スーちゃんさぁ…この美しさは隠してちゃダメだよ。もっと堂々としてようよ!」
レティンシアが楽しげに言う。
「お願いだ…返してくれ…」
スピカは少しだけ泣きそうな目をしながらもレティンシアから仮面を取り返そうとする。
「おっと…そうはいか…」
レティンシアはスピカの手を避けるがバランスを崩してそのまま仮面を持った手で尻もちを着いてしまい、仮面が上下に真っ二つに割れてしまい、さらには上の部分は粉々になっていた。
「あぁ…私の仮面が…」
スピカが今にも涙がこぼれそうな表情で言う。
「ごめん…レティーが悪かったから、泣かないで!えっと…ほ、ほら!これ返すからさっ!」
レティンシアは慌てて下側だけ残った仮面をスピカに返したが、スピカの悲しげな表情は変わらなかった。
「スピカさん、これでも良かったらつけてください。」
茉莉は自分のカバンから白い狐のお面を取り出す。
「すまない…」
スピカはそう言って茉莉からお面を受け取るとそのお面をつける。
「茉莉君、この借りはいつか必ず返させてもらうよ。君のおかげでオレは助かったからね。」
「い、いえ、そんなに気になさらないでください!困った時は助け合うのが仲間でしょう?」
茉莉がニコッと微笑んで言う。
「仲間…か…そうだな。オレたちはもう仲間だったな。」
どことなく安心したような声でスピカはそう呟く。
「スーちゃん、ほんとにごめんね。」
「レティンシア君、オレはもう大丈夫だから、気にしないでくれ。」
スピカはレティンシアに明るい声で言うと茉莉に自分が着けていた割れた仮面を渡す。
「これは君が持っていてくれ。要らなければ捨ててくれても構わない。」
「スピカさん…」
「安心してくれ、オレが君に持っててほしいと思ったから、君に渡すんだ。オレなんかを仲間と呼んでくれた…そんな茉莉だからこそ、持っててほしいの。」
スピカが心の底からの笑顔で言ってる様な気がした。
まあ、お面をつけてるので表情はわからないのだけれど…
「わかりました。それならば、受け取らせていただきます。」
茉莉はスピカの仮面をカバンにしまう。
「ありがとう…」
茉莉はスピカの信頼を得たような感覚がした。
「一番はマーちゃんに取られちゃったけど、レティーも皆のこと仲間だと思ってるし、なんなら親友になれるとまで思ってるんだからねっ!」
レティンシアがドヤ顔でそんな事を言う。
「はぁ?私は別にあんたと親友になんかなりたくないけど?」
フィリアはツーンとした態度で言う。
「フィリア、レティナは言い出したらテコでも動かない意志の強さだから、フィリアに拒否権は無いぞ!」
クロネがニヤッと笑って言う。
「はぁ…しょうがないわね…」
フィリアは呆れた様子でため息をつく。
「あ、そうだ!」
茉莉が思いついたように手を叩いて言うと4人とも茉莉を見る。
「せっかくなので、冒険者パーティーみたいにチーム名を考えてみませんか?」
スピカが嬉しそうな声で言う。
「ふふっ…それはいい提案だね!茉莉君が言わなかったら、オレから言おうと思っていたんだ!」
クロネも「うんうん」と嬉しそうな表情で頷きながら言う。
「ボクも良い考えだと思うな!レティナとフィリアはどうだい?」
レティンシアはとても嬉しそうに飛び跳ねながら言う。
「賛成!賛成!だいさんせーい!そうと決まれば、さっそく名前の候補を考えなくちゃね♪」
フィリアは呆れたような表情をしながらもどことなく嬉しそうな声で言う。
「仕方ないから、私もつきあってあげるわよ。」
茉莉達はさまざまな案を出し合った。
…
そして、ついにその名前が決まって…
「それじゃあ、発表しますね。」
茉莉が言うと全員が茉莉を見る。
「私たちのパーティーは狐犬人の歩です!」
「おーし、頑張るぞー!」とクロネが気合いを入れる。
「うん!良い名だ!」とスピカが嬉しそうに言う。
「へへっ!全員の種族を合わせてこいじだなんていい名前だよね!」とレティンシアが笑う。
「少しはまともな感じになったんじゃない?」とフィリアが楽しそうに目を細める。
こうして、見習い冒険者パーティーの狐犬人の歩が結成されるのであった。
~数ヶ月後~
「行くよ!火遁!煙火の獄!」
そう言って、茉莉が印を結ぶと煙のような炎がカバのような大きな口を持つA級モンスターのビッグファングを囲うようにして閉じ込める。
「フィフィー!」
「言われなくても!」
レティンシアに「フィフィー」と呼ばれたフィリアが魔力を高めながら、大きく息を吸い込む。
「ノイズバースト!」
フィリアが勢い良く叫ぶと同時にその口から広がる魔力を纏った声の波動がレーザーとなってビッグファングを焼く。
「的確に…狙い撃つっ!ショット!」
レティンシアが魔力で作ったナイフを投げて的確にビッグファングの眉間に突き刺す。
ビッグファングはその時点で絶命した様子で倒れる。
「ふぅ…なんとかなりましたね。」
茉莉はビッグファングの死体をバッグに入れる。
「はぁ…はぁ…やっぱ、喉に来るわね…」
フィリアが喉を癒す為に専用の回復薬を飲む。
「フィフィーの攻撃が一番火力が出るけど、フィフィーの負担が大きいよね…レティーももっと頑張らないとフィフィー頼りになるとフィフィーへの負担が大きくなり過ぎちゃう。」
レティンシアはおどけた様子ではあったが、真剣な眼差しはビッグファングの死体があった黒焦げの地面を見ていた。
「そうですね…私ももっと効率よく戦える様にしなければ…ですね。スピカさんの様な動きが私にも出来れば良いのですが…」
茉莉が少し落ち込んだ様子で言う。
「はぁ…あんな化け物の動きなんてどんくさいアンタなんかに出来るわけないじゃない。アンタはアンタのやり方を考えなさい。アタシもアタシのやり方でなんとかするし、成る様にしか成らないわよ。」
フィリアはそっぽ向きながらも少し掠れかけた声は「あんまり思い詰めるな」と言っている様な気がした。
「アハハ!フィフィーは相変わらず素直じゃないなぁ~♪ま、そこがフィフィーの魅力なんだけどさっ!」
「はぁ?バッカじゃないの!?なんでそんなところが魅力になるのよっ!」
フィリアが勢い良く足を地面に叩きつけながら言う。
「うふふ…周りは危険なモンスターだらけだって言うのに和んでしまいますね。」
茉莉がそう言うとレティンシアが「フィフィーのおかげだね!」とか言っておどけてみせる。
「はぁ…やってらんね。」
フィリアは呆れた様子で森の奥へと進み始める。
…
「対象確認…ロックオン…」
クロネがトカゲと翼のない竜の中間のようなA級モンスターのドラドララに狙いを定める。
「充填率250%…展開!」
クロネの持つライフルが静かに変形し、発射口が増える。
「ツインプリズムレーザー…発射!」
クロネが引き金を引くと同時に高出力の光のレーザーがドラドララに発射され、その体を貫く。
「グオオオオオオー!」と苦悶の表情を浮かべながら、心臓を貫かれたドラドララは絶命する。
「クロネ君、やるじゃないか!オレもしっかり鍛錬しないと抜かれてしまうかもしれないな。」
スピカが楽しそうに言う。
「いやぁ…さすがに今の間にA級8体、B級16体も倒した相手を抜かすのは無理があるって…まあ、茉莉ならスピカも良い勝負が出来るとは思うけどさ。」
どことなく拗ね気味にクロネが言うが、スピカは自信満々に熱く語る。
「いや、君のその力はSS級も一撃で屠れるとオレは思っているよ。確かに充填が必要な分、連射力には欠けるが、殺し合いの中で必中の一撃必殺技があるのはかなりのアドバンテージを得てると思うし、それをくらえば死ぬと分かれば、相手はそれを阻止する動きをするだろう。
そこでオレやレティンシア君のように機動力で責める仲間が居れば相手にとってはかなり厄介である事は間違いないはずだ。
そして、茉莉君やフィリア君の様にある程度の火力と速度…そして、防御力を上げる手段のある仲間が居れば、連携次第で無敵の要塞が完成って訳だ。
これだけ手札が揃えば、あの白き覇王も倒せるはずだし、破壊王にも通用すると思う。それだけ、今のオレたちには可能性が秘められてると確信しているよ。」
スピカの熱弁を聞いてクロネは「やれやれ」と言いたげに手を挙げて首を振って言う。
「それぞれの戦い方と性格も考慮すると弱点も多いから、破壊王はともかく、白き覇王すら倒せるか怪しいと言える。」
クロネはそう言ってニカッと笑う。
「だが、ボクもボクたちに可能性が秘められていると言う点では同意だ。欠点が多いからこそ、そこを克服した時にはさらなる伸び代に繋がるだろう。もちろん、このまま長所を尖らせるのも有りだが、弱点は少ない方がいいはずだし、弱点をカバー出来れば、今よりもっと強くなれる。」
スピカがニヤリと笑った気がした。
「そうだな。オレたちには克服するべき弱点も特出した特技もある。まだまだ頑張らねばならないな。それに…」
スピカはほんの少し間を置いて言う。
「オレは今、最っ高に楽しい!」
仮面の下の声は今まで聞いた中で一番嬉しそうだった。
~いつもの~
「…と言うわけで、いつもの茶番コーナーのお時間です。お相手は私、エレナと謎の作者の観測者さんです。」
エレナちゃん、逆ですよ!
「失礼しました。観測者さんの作者の謎です。」
違うそうじゃない。
「でさ、作者はなんでそんなに謎の観測者設定にこだわるわけ?別に本編にアンタがいてもいなくても物語には影響ないわよね?」
アハハ…まあ、そうですね…
でも、ちゃんと理由があって登場させてるつもりですよ。
「なーんか引っかかる言い方をするわね。まあ、いいか。次元が違う相手でも出てくるわけじゃないだろうし。」
…そうですね。
「いや、今の間は何?もしかして、ほんとに出すんじゃないでしょうね!?そんなことしたら、作者つえーで終わってしまうわよ!」
ああ、それだけは絶対に有り得ないようにしてますよ。
私はどちらかと言えば無能な方ですからね。
「…アンタ、自分で言ってて悲しくなんないの?」
さあ?どうでしょうね。
「まあ、アンタがいいならいいんだけどさ。」
私は言われてもいい事しか言わないですからね。
「アンタがロリコン豚野郎である事とか?」
いや、豚野郎は言ってないですけど…
あ、体型ドスファンゴなら言ったことがありましたね。
「じゃあ、猪野郎かしら?」
それ伊之助君じゃ…
いや、なんでもありません。
「あれの素顔が美形設定をスピカにも適応したんでしょ?」
あー…うん。
別にスピカに対しては伊之助君を参考にした訳では無いんですけどね。
「嘘でしょ?!猪突猛進設定とかつけてるクセにそれは無いでしょ!」
私、鬼滅の刃はあんまり詳しくないんですよね…
と言うか、私は流行りものは逆に距離を取ってしまう傾向があるので、周りの熱が冷めて、流行ってたものにならないと確実に見ないですね。
「…そんなんだから、友達居ないのよ。」
グサアアアアアアアアアアァ!
「口で言うとなんか気持ち悪いわね。」
いや、容赦なく叩きに来るのやめてもらえませんかね…
死体蹴りはFPSでは嫌われる行為ですよ?
「いつからここがFPSの世界だと錯覚していた?」
キャー!藍染様~!
「鏡花水月じゃねぇんだよっ!破面とか言っとる場合かっ!」
あ、十刃みたいな番号で序列が決まってる敵キャラを出しても良いかもですね!
後、鏡花水月みたいな能力を持ったキャラも良いですね~
くぅ~!ウルキオラがイケメン過ぎるぅ!
「私は石田雨竜とか好きなタイプだな。浦原喜助みたいな今で言う強いけど、最強じゃない五条悟みたいなやつも好き。」
あ~!良いよね!浦原さん!
後、山本元柳斎重國もイケおじな感じで好きでしたね。
「まあ、作者はルキアが処刑されるあたりと破面編のちょびっとまでしか知らないもんね。ユーハバッハとかもこっちのアリスちゃんみたいな能力で面白かったけど。」
またいつか、時間があれば一話から観たいですね。
「時間があればと言う名の気が向けば…だね。行けたら行くくらいの信用度だね。」
いや、ほんとに見る時はあるんですよ?!
確かにほとんど気が向かないか忘れてる事の方が多いですけど!
「まあ、ネタ被りしない為にも見といた方がいいんじゃない?」
あ~…うん。そうですね…
「あ、これは見ないやつだな。」
まあ、最低限、設定を調べるくらいはしますよ。
やはり、元ネタには敬意を払わないといけませんからね。
「まあ、なろう系主人公なんかは転スラが起源であるって説とかあるもんね。」
あ、実はそこはですね。
クレアちゃんの能力に参考にしたものがあるんですよ。
「胃空間収納か…確かにリムルの捕食みたいな能力してるもんね。」
そうなんです!
ちなみにクレアちゃんの見た目にも同作品で別キャラの設定があるんですけど、わかります?
「赤い龍…火を使う…変身能力…あ、ヴェルドラ?」
大正解です!
実はクレアちゃんの初期の龍の姿はヴェルドラ様を参考にしてるんですよ~
まあ、噛ませ犬みたいな扱いをしましたけど。
「ツンデレ要素はフィリアが持って行ったけどね。」
そこに関しては当初は茉莉ちゃんみたいなキャラにするか迷ってたんですけど、個性を出さないと物語が薄くなるよなぁ…って感じでコテコテのツンデレみたいなキャラになったんですよね。
「まあ、アンタのツンデレに対する知識不足とアンタの性格に合わないから中途半端なキャラになったけどね。」
そうなんですよねぇ…
私は良くも悪くも自分に素直なので、ツンデレみたいに素直になるのが恥ずかしいみたいな感覚が無いんですよね。
だから、私とツンデレキャラの相性は良くは無いと思ってはいますね。
もっとこう…ダイワスカーレットみたいな感じでやりたいんですけどね。
「急にウマ娘に飛んで行くじゃん。まあ、アンタが知ってそうなのだとその辺なんかはかなり王道のツンデレだよね。」
個人的にはデレマスの早坂美玲ちゃんとかもツンデレ感があって好きですね。
ちなみに最推しはこずえちゃんです。
「さすがロリコン豚野郎、小学生に大興奮だね。」
いや、別にロリコンだからって、ロリに対して性的感情がある訳では無いんですよ。
どちらかと言えば、母性みたいな感じでしょうかね?
そんな感じで守ってあげたいと言うか…なんと言うか…
「まあ、アンタは性に関しては無頓着って言うか、知らな過ぎるもんね。」
ほんとにその通りで、ぶっ刺す側の性としては有るまじき事態なんですよね。
「…てなわけで、作者のどうでもいい情報を抜き出したところで、次回もまたお楽しみにっ!じゃね!」
あっ…また私のセリフ取られました…
今度こそ取られまいと身構えていたのに…
「へへん!油断大敵だぜ☆」
あれ?今、霧雨さん通りませんでした?w
「それはさすがに気のせいなんだぜ☆」
いや、絶対霧雨さん居ますやん!
「あ、収集つかなくなるので辞めますね。」
自由人怖いめう。
白銀に輝く一本の尻尾、白く透き通る様な長い髪、宝石の様に赤く輝く瞳の頭から特徴的な大きな耳生えている少女が手で印を結んで、大きな象のようなC級モンスターのパオームの体を地面から噴射した水流で貫く。
パオームは抵抗する間もなく、体の真ん中にぽっかりと穴を開けたまま倒れる。
「ちょっとやり過ぎちゃいましたね。」
私はパオームの死体を時間停止と無限拡張の能力を持ったカバンに入れる。
「うんうん。後はギルドにこれを持っていけば試験は完了ですね!もっと強くなって、学園祭のパーティー戦で大活躍するのです!」
※冒険者学校の年に2度行われる学園祭では、学年ごととクラスごとでパーティーを組んでトーナメント方式で実力を競い合う催しが行われる。
毎年、白熱した試合が繰り広げられており、今は3年生のトップ5で構成されたパーティーが最も強いと言われている。
彼らであれば、SS級モンスターも討伐が出来るのでは無いかと噂されており、冒険者全体で見ても指折りの強さを誇るのは間違いないそうだ。
リーダーのシルヴィットを筆頭に巧みな連携で相手を次々に倒すのはもちろんだが、個々の能力もとても強く、低く見積もってもA級クラスの実力者なのだ。※
私は「ふっふ~ん」と鼻歌を歌いながら、学校の中にある見習い用のギルドへ向かう。
その途中で上級生と思われる男子が2人で話しているのを目撃する。
「おい聞いたかよ。」
「ああ、あのバケモンみたいな強さの飛び級してきた1年だろ?」
「そうそう!あいつがまたS級モンスターの討伐に成功したらしいぜ!しかも、相手は小型の龍だって話だろ?マジで規格外過ぎるよな。」
「確かになぁ…S級なんて、俺ら3年のトップ5でも念入りに準備してようやく討伐出来るか出来ないかくらいのレベルらしいからなぁ…」
「しかも、その1年、1人で討伐しただけじゃなくて、素手でぶん殴って討伐したらしいぜ。」
「やば!ゴリゴリラかよ!」
彼らが笑いながら話していたのは、とあるSS級冒険者の推薦で特例入学を許され、今年の春に首席で入学したある12歳の少女の事だ。
その名は…
「あら?私の話でございますか?」
「うおっ?!」
「アリス・アルフェノーツだ!」
アリス・アルフェノーツと呼ばれた猫族の少女は真っ白な手入れの行き届いた長い髪を揺らしながら、2人の傍の茂みから顔を出す。
青い制服の腰には刀と呼ばれる長めの剣を帯刀しており、持ち手が太陽の光を反射して煌めいている。
「あらあら…3年生の先輩方に名前を覚えていただけているとは…私もまた随分と有名になったものですわね…」
アリスは優雅に微笑んで茂みの中から出てきて、身体についた葉っぱとかを払い落としていた。
「先輩方が私の噂話をするのは結構ですけど、女の子に対してゴリゴリラ扱いなんて酷いんじゃありませんこと?」
アリスは微笑みの表情は変わらないままだったが、その深紅の眼はどことなく恐怖を感じさせる。
「ヒッ…す、すんませんでした~!」
1人は立ったまま気絶しており、もう1人は恐怖のあまりに失禁しながら、逃げ出して行く。
「あらあら…私よりいくつも上の男性ですのに情けないですわね。」
アリスはそのまま眠そうにこちらを見る。
「その制服は…2年の先輩ですね。はじめましてですわ!」
アリスが私に気がついて優しげに深紅の瞳の目を細めて、スカートの裾を持ち上げる仕草をする。
ただし、彼女の場合は男子生徒と同じ様なズボンタイプだった為、あくまでもフリではあるが…
「ど、どうも…私は2年の本間茉莉です。」
茉莉はぎこちなく返す。
「マツリさんですね。私は1年のアリス・アルフェノーツでございます。以後、お見知りおきを…」
アリスはそう言うと不思議な技能を使う。
「では…ごきげんよう!」
アリスはそう言うと瞬時に姿が消える。
「今のが…アリス・アルフェノーツ…既にS級以上の強さだと言われてる白き覇王の猫族…」
私は2年なので、彼女の事は噂程度にしか知らなかったが、直接会ってわかった。
彼女の強さはまさに規格外だ。
戦わなくてもわかるほどの圧倒的な力の差を感じさせられた。
「特にあの包帯を巻いた右腕からはとてつもない力を感じましたし、アリスさんとは敵として戦いたくないですね…」
アリスがその気になれば、間違いなく瞬殺される。
※茉莉自身も現在はA級クラスの強さを持っており、2年の中でもトップ5、学園全体でもトップクラスに入る実力を持っているが、アリスの能力は低く見積もってもS級クラスの実力だと感じている。※
まさか、そんな相手と戦わないといけない時が来るとはこの時の私はまだ知る由もなかった。
~数日後、放課後のグラウンド~
「茉莉!」
そう言って、茉莉を呼ぶのはエメラルドグリーンに輝く短い髪、コバルトブルーに輝く右眼と左眼に個性的な眼帯をつけた犬族の少女だ。
「クロネか~…もしかしなくても学園祭の事でしょ?」
「さっすが、茉莉だよ!学園祭のパーティー戦、ボクと組んで欲しくてさ!他にもレティナとか誘ってるんだけど…どう?」
「あら、レティンシアさんと言えば、道化の死神と呼ばれる暗殺の天才…ですね!」
※レティンシアは2年のトップ5の1人であり、相手の注意を引きつつも巧みな妨害工作で相手の感覚を奪って気がつかれないうちに倒すといった戦い方を得意としており、その実力は茉莉と同じA級クラスの中でもずば抜けていると言わざるを得ないほどだ。
レティンシアはナイフの扱いに長けており、投げナイフによる遠距離攻撃はもちろんだが、接近戦に関しても巧みなナイフ捌きで急所を的確に斬って、相手を弱らせたところにトドメを刺す戦い方を好んでする。
また、ナイフ以外にもさまざまな道具を駆使して徐々に相手を追い詰める為、一部の脳筋からは嫌われている。
実はクロネも2年の中ではトップクラスに戦闘能力が高く、たまにレティンシアと組んでA級モンスターを数体討伐して来たりしている。
クロネの攻撃能力はどれも一撃必殺級の攻撃能力だが、充填が必要なものが多く、連射力が無く、手数より一撃に重きを置いてる為、タイミングを狙わないと簡単に回避されてしまうが掠りでもすれば致命傷は免れない威力だ。※
私がそんな事を考えているとクロネは言う。
「そうそう!今年は優勝狙ってるからね!いつもより気合いの入ったパーティーを組んじゃうよ!特別ゲストの破壊王にも1年の白き覇王にも負けないもんね!」
クロネはとても楽しそうに言う。
「後は…黒鉄の魔神:スピカと荒ぶる獅子王:ガオウかな?最低でもスピカはこちらにほしいよね。よーし!」
クロネはそう言うとスピカを探して教室を飛び出す。
※黒鉄の魔神スピカは茉莉と同じ2年のトップ5の一人であり、漆黒のマントを羽織っている水天使の魔剣士で常に黒い仮面をつけており、通り名の影響もあって一部から絶大な人気を誇っている。
その実力は単独でA級モンスターを軽々と討伐出来ると言われているほどであり、レティナと茉莉が束になってようやく互角の戦いが出来ると思われるほどだが、実際にはトップ3の中では1番能力は低いらしい。
だが、スピカにはずば抜けた観察眼と高い演算能力があり、それによって相手の動きを読んで的確な攻撃を行う事を得意としている。
猛り狂う獅子王のガロウは凄まじい剛腕で相手を叩き潰す様な戦闘スタイルが得意な狼族の男性であり、トップ5入りはしてないものの、気を抜けば一瞬でトップを取られそうなほどの実力を持っている為、油断は出来ない相手である。
ただ彼の場合はとても気性が荒く、何も考えずに突っ込むので連携なんて夢のまた夢だが…※
「正直、ガロウとだけは組みたくないなぁ…」
しばらくするとクロネがスピカとガロウでは無い、別の人間の女性を連れて来ていた。
「茉莉、こっちは君も知っての通りのスピカでこっちの子はフィリアなんだ!」
「君が茉莉君だね?オレはスピカだ。よろしくな。」
そう言って、深海を思わせる深い青色の翼を持つスピカが握手を求めて右手を出す。
スピカはフードの着いた黒いローブに漆黒の仮面をつけていることも相まって、見た目には男性的だが、声は女性らしい可愛らしい声だった。
「こちらこそよろしくお願いします!黒鉄の魔神と呼ばれているスピカさんとお会い出来て光栄です!」
私も右手を出してスピカの握手に応じる。
「アタシはフィリアよ。」
フィリアはキツイツリ目で睨むように私を見ながら手を出す。
「あの…」
「何よ。」
「その…怒ってます?」
茉莉が恐る恐る聞くとフィリアに露骨に「何言ってんの?」みたいな顔をされる。
「はぁ?アタシが怒ってるように見えるってわけ?」
フィリアがグイッと茉莉に顔を近づけて言う。
「すみません…その通りなんです…」
茉莉が困った様に言うと「はぁ…」と呆れた様子でフィリアはため息をつく。
「アンタねぇ…怒ってたら、握手なんてしようとしないでしょ?わかったら、さっさと手を出しなさい!」
私はフィリアに言われるがままに握手に応じる。
「で、では…よろしくお願いしますね。」
「ふん。わかればいいのよ。わかれば。」
フィリアはそう言うとさっさと手を離してしまう。
「フィリア君、君はもう少し優しく接するべきだ。これから仲間として行動をするのだから、そんなに刺々しい態度は取るべきではない。」
スピカがフィリアに注意する。
「はぁ?元はと言えば、クロネに誘われたから仕方なく来てあげただけなのよ?クロネがどうしてもアタシじゃなきゃダメって言うから仕方なーくなんだからね!だから、アンタに指図される言われは無いわよ!」
フィリアは怒った様子で言う。
「君のその態度は今後の連携に悪影響を及ぼす。実際、クロネ君が誘わなければ、君はパーティーを組めなかったんじゃないのかね?」
「ぐっ…それは…そうだけど…」
スピカに痛いところをつかれたのか、フィリアは後半はかなり弱々しい声で落ち込んだ様子をみせて目を逸らしていた。
「わかっているなら、なおさら直すべきだ。冒険者として生きる自覚を持った方がいい。いつどこで危険な目に合うともわからないのだから、立ち振る舞いには気をつけるべきだ。」
フィリアは少し泣きそうな表情になっていた。
「スピカさん…もうそれ以上はやめてください。せっかく、パーティーを組むのですから…ね?フィリアさんも徐々に直していきましょ!」
「…茉莉君がそう言うなら、オレはもう言わない事にするよ。フィリア君、キツい言い方をしてすまないね。でも、今後もパーティーを組む以上は余計なトラブルを起こしたくないし、起こしてほしくないから言ったことは忘れないでほしい。」
スピカがそういうとフィリアは少しだけ元気を取り戻した様子で言う。
「わかったわよ…」
フィリアが茉莉の方を向く。
「キツい言い方して悪かったわね…」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
茉莉はフィリアの両手を包み込むように握る。
「改めて、今後もよろしくお願いしますね!」
フィリアは少し頬を赤くしながら顔を背ける。
「そこまで言うなら、よろしくお願いされてあげるわよ。」
スピカは「やれやれ」と言いたげに頭を押さえていた。
クロネは少し嬉しそうにしながら言う。
「よし、無事にメンバーが決まって良かった!良かった!後はルティナが来るのを待つだけなんだけど…どうしよっか?」
「まずはオレたちの力関係の確認を行う為に試合をするのはどうだろう?お互いにどの程度の力があるのかを把握する事で連携のとり方も変わるだろうし、悪くない案だと思うのだが…」
スピカが手を挙げて言うとクロネは「うんうん」と頷く。
「そうだね。確かにスピカの言う通り、互いの力量を知るのは重要な部分だね!他の意見はある?」
「ねぇ、どうせなら、冒険者らしく得意分野を職業に当てはめて、おおまかに役割を決めても良いんじゃない?」
フィリアが欠伸をしながら言うとスピカが感心した様子で頷く。
「なるほどねぇ…確かに冒険者は職業によって大きく能力が変わる場合もあるし、フィリア君の言う通りで冒険者の職業に当てはめるのは良い判断だね!茉莉君はどうかな?」
「そうですね…私が思いついたものは全てお二方がおっしゃられてますので、特には無いですね。」
茉莉がそう言うとスピカが思いついた様子で言う。
「そうだ!茉莉君、せっかくだから、敬語は無しにしてみないかい?なんとなく敬語だと距離感を感じてしまうだろう?茉莉君さえ、良ければと思ったのだが…どうだろう?」
「そうですね…じゃなくて、ソ、ソウダネ!確かに親しい仲で敬語はちょっと変でs…へ、変ダモンネ!」
「…プッ!ダッハハハハ!なんでそんなにぎこちないのさ!」
茉莉のぎこちないタメ口にクロネが大笑いしたのにつられて、フィリアも大笑いする。
仮面で見えないがスピカも笑いを堪えるように顔を押さえていた。
「アッハハ!アンタ、なんでそんな面白い事になるわけ?」
腹を抱えて指さしながらフィリアが言う。
「フフッ…すまない…オレもあまりのぎこちなさに笑ってしまった…」
スピカはそう言いながらもまだ小刻みに身体が震えていた。
「し、仕方ないじゃないですかっ!だって、普段はタメ口なんて使わないですしっ!そりゃ、ぎこちなくもなるでしょ!」
茉莉が勢い良く言うとスピカは「すまない」と言いながら笑う。
「はぁ…久々に笑ったわ…」
フィリアは笑い過ぎて目に涙を浮かべて言う。
「はぁ…茉莉に殺されるところだった…」
クロネは大袈裟に肩で息をしながら言う。
「すまない茉莉君…無理をしない程度で良いから、少しづつ慣れていこう!」
スピカは軽く頭を下げながら言う。
「ハハッ…その優しさが逆に辛いですね…」
茉莉は遠い目をしながら乾いた笑いを出す。
「クロー、おっまたー!」
そう言いながら、茶色の短い髪の少女がクロネに飛びつく。
「うおっ!?…とと、急に飛びついてくると危ないだろう?」
「まあまあ、そう堅い事言うなよ~!クローなら、大丈夫だってわかってるしさ!」
少女はクロネから離れて厳かな雰囲気を出して言う。
「フッフッフッ…下々の民よ、吾輩は魔王レティンシアであるぞっ!控えよ!」
一瞬、場が静まり返り、レティンシアが楽しげに笑って言う。
「な~んてねっ♪こういうのって、一度は言ってみたくなっちゃうよね!あ、もちろんだけど、魔王って言うのは嘘だよ~」
スピカが仮面の下で笑ったような気がした。
「君があの道化の死神か…噂以上に元気だな。」
スピカはそう言うとレティンシアに左手を出して握手を求めながら自己紹介する。
「オレはスピカだ。よろしくな。」
レティンシアは少しだけ驚いた様な表情をして、握手に応じる。
「レティー、スーちゃんの事は勝手に男の子だと思ってたけど、美しい顔立ちをしているね!仮面取ったら、学園内でも指折りの美形だよ!いやぁ…強くて美しいって素晴らしいですなぁ!」
そう言いながら、レティンシアはスピカの仮面を取る。
「ちょっと!勝手に取らないでくれるかい!?」
スピカは慌てた様子で顔を手で隠すが、慌てすぎて口元しか隠せておらず、綺麗な秘色色の右眼と光輝く茜色の左眼が困った様にレティンシアを見ていた。
「スーちゃんさぁ…この美しさは隠してちゃダメだよ。もっと堂々としてようよ!」
レティンシアが楽しげに言う。
「お願いだ…返してくれ…」
スピカは少しだけ泣きそうな目をしながらもレティンシアから仮面を取り返そうとする。
「おっと…そうはいか…」
レティンシアはスピカの手を避けるがバランスを崩してそのまま仮面を持った手で尻もちを着いてしまい、仮面が上下に真っ二つに割れてしまい、さらには上の部分は粉々になっていた。
「あぁ…私の仮面が…」
スピカが今にも涙がこぼれそうな表情で言う。
「ごめん…レティーが悪かったから、泣かないで!えっと…ほ、ほら!これ返すからさっ!」
レティンシアは慌てて下側だけ残った仮面をスピカに返したが、スピカの悲しげな表情は変わらなかった。
「スピカさん、これでも良かったらつけてください。」
茉莉は自分のカバンから白い狐のお面を取り出す。
「すまない…」
スピカはそう言って茉莉からお面を受け取るとそのお面をつける。
「茉莉君、この借りはいつか必ず返させてもらうよ。君のおかげでオレは助かったからね。」
「い、いえ、そんなに気になさらないでください!困った時は助け合うのが仲間でしょう?」
茉莉がニコッと微笑んで言う。
「仲間…か…そうだな。オレたちはもう仲間だったな。」
どことなく安心したような声でスピカはそう呟く。
「スーちゃん、ほんとにごめんね。」
「レティンシア君、オレはもう大丈夫だから、気にしないでくれ。」
スピカはレティンシアに明るい声で言うと茉莉に自分が着けていた割れた仮面を渡す。
「これは君が持っていてくれ。要らなければ捨ててくれても構わない。」
「スピカさん…」
「安心してくれ、オレが君に持っててほしいと思ったから、君に渡すんだ。オレなんかを仲間と呼んでくれた…そんな茉莉だからこそ、持っててほしいの。」
スピカが心の底からの笑顔で言ってる様な気がした。
まあ、お面をつけてるので表情はわからないのだけれど…
「わかりました。それならば、受け取らせていただきます。」
茉莉はスピカの仮面をカバンにしまう。
「ありがとう…」
茉莉はスピカの信頼を得たような感覚がした。
「一番はマーちゃんに取られちゃったけど、レティーも皆のこと仲間だと思ってるし、なんなら親友になれるとまで思ってるんだからねっ!」
レティンシアがドヤ顔でそんな事を言う。
「はぁ?私は別にあんたと親友になんかなりたくないけど?」
フィリアはツーンとした態度で言う。
「フィリア、レティナは言い出したらテコでも動かない意志の強さだから、フィリアに拒否権は無いぞ!」
クロネがニヤッと笑って言う。
「はぁ…しょうがないわね…」
フィリアは呆れた様子でため息をつく。
「あ、そうだ!」
茉莉が思いついたように手を叩いて言うと4人とも茉莉を見る。
「せっかくなので、冒険者パーティーみたいにチーム名を考えてみませんか?」
スピカが嬉しそうな声で言う。
「ふふっ…それはいい提案だね!茉莉君が言わなかったら、オレから言おうと思っていたんだ!」
クロネも「うんうん」と嬉しそうな表情で頷きながら言う。
「ボクも良い考えだと思うな!レティナとフィリアはどうだい?」
レティンシアはとても嬉しそうに飛び跳ねながら言う。
「賛成!賛成!だいさんせーい!そうと決まれば、さっそく名前の候補を考えなくちゃね♪」
フィリアは呆れたような表情をしながらもどことなく嬉しそうな声で言う。
「仕方ないから、私もつきあってあげるわよ。」
茉莉達はさまざまな案を出し合った。
…
そして、ついにその名前が決まって…
「それじゃあ、発表しますね。」
茉莉が言うと全員が茉莉を見る。
「私たちのパーティーは狐犬人の歩です!」
「おーし、頑張るぞー!」とクロネが気合いを入れる。
「うん!良い名だ!」とスピカが嬉しそうに言う。
「へへっ!全員の種族を合わせてこいじだなんていい名前だよね!」とレティンシアが笑う。
「少しはまともな感じになったんじゃない?」とフィリアが楽しそうに目を細める。
こうして、見習い冒険者パーティーの狐犬人の歩が結成されるのであった。
~数ヶ月後~
「行くよ!火遁!煙火の獄!」
そう言って、茉莉が印を結ぶと煙のような炎がカバのような大きな口を持つA級モンスターのビッグファングを囲うようにして閉じ込める。
「フィフィー!」
「言われなくても!」
レティンシアに「フィフィー」と呼ばれたフィリアが魔力を高めながら、大きく息を吸い込む。
「ノイズバースト!」
フィリアが勢い良く叫ぶと同時にその口から広がる魔力を纏った声の波動がレーザーとなってビッグファングを焼く。
「的確に…狙い撃つっ!ショット!」
レティンシアが魔力で作ったナイフを投げて的確にビッグファングの眉間に突き刺す。
ビッグファングはその時点で絶命した様子で倒れる。
「ふぅ…なんとかなりましたね。」
茉莉はビッグファングの死体をバッグに入れる。
「はぁ…はぁ…やっぱ、喉に来るわね…」
フィリアが喉を癒す為に専用の回復薬を飲む。
「フィフィーの攻撃が一番火力が出るけど、フィフィーの負担が大きいよね…レティーももっと頑張らないとフィフィー頼りになるとフィフィーへの負担が大きくなり過ぎちゃう。」
レティンシアはおどけた様子ではあったが、真剣な眼差しはビッグファングの死体があった黒焦げの地面を見ていた。
「そうですね…私ももっと効率よく戦える様にしなければ…ですね。スピカさんの様な動きが私にも出来れば良いのですが…」
茉莉が少し落ち込んだ様子で言う。
「はぁ…あんな化け物の動きなんてどんくさいアンタなんかに出来るわけないじゃない。アンタはアンタのやり方を考えなさい。アタシもアタシのやり方でなんとかするし、成る様にしか成らないわよ。」
フィリアはそっぽ向きながらも少し掠れかけた声は「あんまり思い詰めるな」と言っている様な気がした。
「アハハ!フィフィーは相変わらず素直じゃないなぁ~♪ま、そこがフィフィーの魅力なんだけどさっ!」
「はぁ?バッカじゃないの!?なんでそんなところが魅力になるのよっ!」
フィリアが勢い良く足を地面に叩きつけながら言う。
「うふふ…周りは危険なモンスターだらけだって言うのに和んでしまいますね。」
茉莉がそう言うとレティンシアが「フィフィーのおかげだね!」とか言っておどけてみせる。
「はぁ…やってらんね。」
フィリアは呆れた様子で森の奥へと進み始める。
…
「対象確認…ロックオン…」
クロネがトカゲと翼のない竜の中間のようなA級モンスターのドラドララに狙いを定める。
「充填率250%…展開!」
クロネの持つライフルが静かに変形し、発射口が増える。
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スピカが楽しそうに言う。
「いやぁ…さすがに今の間にA級8体、B級16体も倒した相手を抜かすのは無理があるって…まあ、茉莉ならスピカも良い勝負が出来るとは思うけどさ。」
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そこでオレやレティンシア君のように機動力で責める仲間が居れば相手にとってはかなり厄介である事は間違いないはずだ。
そして、茉莉君やフィリア君の様にある程度の火力と速度…そして、防御力を上げる手段のある仲間が居れば、連携次第で無敵の要塞が完成って訳だ。
これだけ手札が揃えば、あの白き覇王も倒せるはずだし、破壊王にも通用すると思う。それだけ、今のオレたちには可能性が秘められてると確信しているよ。」
スピカの熱弁を聞いてクロネは「やれやれ」と言いたげに手を挙げて首を振って言う。
「それぞれの戦い方と性格も考慮すると弱点も多いから、破壊王はともかく、白き覇王すら倒せるか怪しいと言える。」
クロネはそう言ってニカッと笑う。
「だが、ボクもボクたちに可能性が秘められていると言う点では同意だ。欠点が多いからこそ、そこを克服した時にはさらなる伸び代に繋がるだろう。もちろん、このまま長所を尖らせるのも有りだが、弱点は少ない方がいいはずだし、弱点をカバー出来れば、今よりもっと強くなれる。」
スピカがニヤリと笑った気がした。
「そうだな。オレたちには克服するべき弱点も特出した特技もある。まだまだ頑張らねばならないな。それに…」
スピカはほんの少し間を置いて言う。
「オレは今、最っ高に楽しい!」
仮面の下の声は今まで聞いた中で一番嬉しそうだった。
~いつもの~
「…と言うわけで、いつもの茶番コーナーのお時間です。お相手は私、エレナと謎の作者の観測者さんです。」
エレナちゃん、逆ですよ!
「失礼しました。観測者さんの作者の謎です。」
違うそうじゃない。
「でさ、作者はなんでそんなに謎の観測者設定にこだわるわけ?別に本編にアンタがいてもいなくても物語には影響ないわよね?」
アハハ…まあ、そうですね…
でも、ちゃんと理由があって登場させてるつもりですよ。
「なーんか引っかかる言い方をするわね。まあ、いいか。次元が違う相手でも出てくるわけじゃないだろうし。」
…そうですね。
「いや、今の間は何?もしかして、ほんとに出すんじゃないでしょうね!?そんなことしたら、作者つえーで終わってしまうわよ!」
ああ、それだけは絶対に有り得ないようにしてますよ。
私はどちらかと言えば無能な方ですからね。
「…アンタ、自分で言ってて悲しくなんないの?」
さあ?どうでしょうね。
「まあ、アンタがいいならいいんだけどさ。」
私は言われてもいい事しか言わないですからね。
「アンタがロリコン豚野郎である事とか?」
いや、豚野郎は言ってないですけど…
あ、体型ドスファンゴなら言ったことがありましたね。
「じゃあ、猪野郎かしら?」
それ伊之助君じゃ…
いや、なんでもありません。
「あれの素顔が美形設定をスピカにも適応したんでしょ?」
あー…うん。
別にスピカに対しては伊之助君を参考にした訳では無いんですけどね。
「嘘でしょ?!猪突猛進設定とかつけてるクセにそれは無いでしょ!」
私、鬼滅の刃はあんまり詳しくないんですよね…
と言うか、私は流行りものは逆に距離を取ってしまう傾向があるので、周りの熱が冷めて、流行ってたものにならないと確実に見ないですね。
「…そんなんだから、友達居ないのよ。」
グサアアアアアアアアアアァ!
「口で言うとなんか気持ち悪いわね。」
いや、容赦なく叩きに来るのやめてもらえませんかね…
死体蹴りはFPSでは嫌われる行為ですよ?
「いつからここがFPSの世界だと錯覚していた?」
キャー!藍染様~!
「鏡花水月じゃねぇんだよっ!破面とか言っとる場合かっ!」
あ、十刃みたいな番号で序列が決まってる敵キャラを出しても良いかもですね!
後、鏡花水月みたいな能力を持ったキャラも良いですね~
くぅ~!ウルキオラがイケメン過ぎるぅ!
「私は石田雨竜とか好きなタイプだな。浦原喜助みたいな今で言う強いけど、最強じゃない五条悟みたいなやつも好き。」
あ~!良いよね!浦原さん!
後、山本元柳斎重國もイケおじな感じで好きでしたね。
「まあ、作者はルキアが処刑されるあたりと破面編のちょびっとまでしか知らないもんね。ユーハバッハとかもこっちのアリスちゃんみたいな能力で面白かったけど。」
またいつか、時間があれば一話から観たいですね。
「時間があればと言う名の気が向けば…だね。行けたら行くくらいの信用度だね。」
いや、ほんとに見る時はあるんですよ?!
確かにほとんど気が向かないか忘れてる事の方が多いですけど!
「まあ、ネタ被りしない為にも見といた方がいいんじゃない?」
あ~…うん。そうですね…
「あ、これは見ないやつだな。」
まあ、最低限、設定を調べるくらいはしますよ。
やはり、元ネタには敬意を払わないといけませんからね。
「まあ、なろう系主人公なんかは転スラが起源であるって説とかあるもんね。」
あ、実はそこはですね。
クレアちゃんの能力に参考にしたものがあるんですよ。
「胃空間収納か…確かにリムルの捕食みたいな能力してるもんね。」
そうなんです!
ちなみにクレアちゃんの見た目にも同作品で別キャラの設定があるんですけど、わかります?
「赤い龍…火を使う…変身能力…あ、ヴェルドラ?」
大正解です!
実はクレアちゃんの初期の龍の姿はヴェルドラ様を参考にしてるんですよ~
まあ、噛ませ犬みたいな扱いをしましたけど。
「ツンデレ要素はフィリアが持って行ったけどね。」
そこに関しては当初は茉莉ちゃんみたいなキャラにするか迷ってたんですけど、個性を出さないと物語が薄くなるよなぁ…って感じでコテコテのツンデレみたいなキャラになったんですよね。
「まあ、アンタのツンデレに対する知識不足とアンタの性格に合わないから中途半端なキャラになったけどね。」
そうなんですよねぇ…
私は良くも悪くも自分に素直なので、ツンデレみたいに素直になるのが恥ずかしいみたいな感覚が無いんですよね。
だから、私とツンデレキャラの相性は良くは無いと思ってはいますね。
もっとこう…ダイワスカーレットみたいな感じでやりたいんですけどね。
「急にウマ娘に飛んで行くじゃん。まあ、アンタが知ってそうなのだとその辺なんかはかなり王道のツンデレだよね。」
個人的にはデレマスの早坂美玲ちゃんとかもツンデレ感があって好きですね。
ちなみに最推しはこずえちゃんです。
「さすがロリコン豚野郎、小学生に大興奮だね。」
いや、別にロリコンだからって、ロリに対して性的感情がある訳では無いんですよ。
どちらかと言えば、母性みたいな感じでしょうかね?
そんな感じで守ってあげたいと言うか…なんと言うか…
「まあ、アンタは性に関しては無頓着って言うか、知らな過ぎるもんね。」
ほんとにその通りで、ぶっ刺す側の性としては有るまじき事態なんですよね。
「…てなわけで、作者のどうでもいい情報を抜き出したところで、次回もまたお楽しみにっ!じゃね!」
あっ…また私のセリフ取られました…
今度こそ取られまいと身構えていたのに…
「へへん!油断大敵だぜ☆」
あれ?今、霧雨さん通りませんでした?w
「それはさすがに気のせいなんだぜ☆」
いや、絶対霧雨さん居ますやん!
「あ、収集つかなくなるので辞めますね。」
自由人怖いめう。
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