元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ

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現代の常識学

邪悪な力と白き少女

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※今回は内容にカニバリズム的な表現が含まれております。

苦手な方は今回は読まずに次話までお待ちくださいませ。






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「赤だけではなく、青までも裏切るとは…」

女が「ガリッ」と音を立てて爪を噛む。

女の近くには1人の少女が無表情で立っていた。

「こいつはまだ未調整だが…」

少女を見る。

なにか御用ですかアウレアカムンバ?」

謎の言語を発した少女は無表情で首を傾げていた。

全裸の姿の少女の長く白い髪が揺れる。

光の無い赤い目が女を見ていた。

女が装置を少女につける。

なにルェ!?」

少女は驚いた様子で体をビクッと震わせる。

渾沌より居出し悪逆なる者よ。我の声に応えたまえヴィ・ガヴレッジ・エンド・ルーガディ・ス・オーロヴ・ヴァレッジより深く闇を纏いし鼓動をその身に宿せグェルディーア・ミェスティ・レーヴル・カラテュス!」

混沌の言語で呪文を詠唱する。

この言語を使うことで私は2体の根源の色を召喚したのだ。

そして、忘れてはならないのが、偽装契約だ。

こうすることで、一方的に支配する事ができる。

混沌の闇の力だ。

「顕現せよ!根源の紫ヴィオレ!」

少女の体が光り輝き、闇を思わせる霧が少女を包み込む。

そして、少女の姿が変化する。

爆発とともに闇の霧が吹き飛び、紫の髪の紫の瞳の少女が女に膝蹴りをして吹き飛ばし、背後の機械にぶつける。

「グッ…ガハッ!はぁ…はぁ…召喚が…失敗したと言うの?」

女が睨んでいると紫の少女が言う。

「召喚?貴様が我を呼んだ…と?」

明らかに様子がおかしい少女を始末しようと女は立ち上がりと同時に手に持った特殊な魔法のかかった短剣を突き立てようとする。

「笑止。」

しかし、紫に腕を掴まれて阻止される。

「アガッ…グゥ…」

そのままとてつもない力で女の腕を握り潰そうとする。

しかし、女が短剣を落とすと紫のは女から手を離し、その短剣を拾い上げる。

「我は我以外には従わぬ!」

紫はその短剣で女の左目を斬る。

「ぎゃあああああああ!」

女が叫ぶ。

紫は短剣を投げ捨てるとその辺に転がっていた背中の開いた黒いワンピースを着る。

「やはり、不便な体だ。」

そう言うと紫が少女の背中から生えるように出てくる。

「あう…私は…あれ?違う…言葉…喋れる…」

赤い目にほんの僅かに光が宿った少女が言う。

「ふん。貴様は我の駒だ。我の命令を理解できるようにしてやった。せいぜい、我の為に尽くせよ?雑種。」

少女は赤い目を紫に向ける。

「それは…名前?」

「何を言っている。我がである貴様ごときに名を与えると思ったか?」

「うん。貴方は私の新しいご主人様だから…」

「ふははは!雑種風情が言うでないか!」

紫は楽しそうに笑うと少女に言う。

「偽りの存在でありながら、我の施しを求めんとする貴様のその欲深さ気に入った!望み通り名をくれてやろう。貴様はこれからを名乗るが良い。我と同じ紫を示す言葉だ。光栄に思えよ?」

「バイオレット…私の新しい名前…」

少女は静かに目を閉じて、再び目を開く。

左目は赤みが増しており、右目は紫のオッドアイになっていた。

「うん。バイオレットは様に従う…だから…教えて?次は何を壊せばいい?」

「ほう?さらに欲深く、我に名付けをするとな?面白い!ならば、西の国クライベルを地獄へと変えよ。せいぜい、我の力を使いこなすがよい。」

「大丈夫…全部…理解した…」

紫が少女の中に戻ると少女…バイオレットが紫の翼を生やし、一度の羽ばたきで飛んで行き、天井を破壊しながら王都へと向かう。

「グッ…このままでは…」

女は地を這いながら機械に手を触れる。

機械が起動し、全ての少女が巨大な少女の口へと運ばれ、そのまま少女の胃の中に流し込まれる。

そして、最後に女が緑の液体の入った機械の中の巨大な少女の口の中に入れられる。

「ゴゴゴ…」と地響きが起きるとともに少女が覚醒する。

少女の中身がいっぱいに入って、大きくなっていたお腹は一瞬で小さくなり、莫大な魔力放出とともに機械を吹き飛ばす。

「余の身体を乗っ取ろうなど愚かなものよ…所詮は出来損ないの下級使い魔ロー・サーヴだな。」

は666年振りの目覚めを感じる。

「余が眠っておる間に随分と腑抜けた世界になったものだな。」

金は目の前の壊れた装置にかかっていた衣類を着る。

「ふむ。余の体にピッタリのサイズだ。」

巨大な少女が着ているのは至るところに宝石が散りばめられた赤色のドレスだ。

背丈は4mほどあり、その身体の大きさも相まって、胸部はとてつもない大きさだった。

髪は膝の下くらいまでの長さの黄金色の髪色、瞳は輝くような限りなく黄金に近い黄色だ。

金は身体を軽く動かす。

「ふむ。永き眠り故に衰えたのでは無いかと思っておったが、思ってたほどではなかったようだな。」

金が指を鳴らすと緑の髪の短い少女と黄色い髪の短い少年が現れる。

根源の緑ヴェルド根源の黄ジュピター、お前たちには余の驚異となり得る者の始末を頼みたい。」

緑の髪の少女がエメラルドのような瞳を金に向ける。

「なんだ?お前が呼ぶから来てやったのに、そんなちっちぇ仕事をしなきゃなんねぇのか?」

声からも完全に苛立ちが現れていた。

「そうだよ。俺たちはお前の部下じゃないんだぞ?そのくらい自分でやれよ。」

黄色い髪の少年も不満げに言う。

「貴様らがそういうことくらい承知の上だ。それに貴様らは余よりも序列が低い。ならば、余が脅威だと思える存在がいたとしたら、貴様らの求める強き者との戦いになるだろう。どうだ?面白い話だろう?」

金が言うと緑が言う。

「めんどくせぇけど、そんな強ぇやつが確実に居るんなら、オレも愉しめるんだがねぇ…」

「案ずるな。余もただ寝ていたわけではない。検討はついておる。」

「なら、さっさと言え、オレがぶっ殺してやる。」

緑が言うと金は静かに言う。

「確か名は…」

金が考えるように頭を捻ると黄が言う。

「そいつなら、シェラって名前だろ?俺が人間に化けて居た時にアーミアって場所で聞いたことがあるぜ?」

「おお、そうだ。シェラだ。」

「そいつがオレを愉しませてくれる強ぇやつなのか?」

緑が嬉しそうに言う。

「うむ。あのノワールが従っておるような相手だ。相当な手練であることは間違いないだろう。」

金が淡々と言うと緑が食ってかかるように言う。

「はぁ?!あのノワールが?有り得ねえって!だって、あのノワールだろ?」

「余も初めはそうだと思っていた。だが、赤と青をも退けたとなれば、信用度は高いだろう?」

「それは…そうだけどよ…」

緑は納得いかないと言いたげだった。

「でも、俺はアーミアにはもう2人くらい面白そうなやつを見つけてんだよね。」

黄が楽しげに言う。

「続けよ。」

「へいへい。まあ、そいつらは獣人なんだけど、ただの獣人にしてはやけに強い力を感じるんだ。1人は猫族でクエントスって魔王も軽々と倒しちゃうくらい強いみたいだよ。もう1人は妖狐だけど、他の妖狐たちとは何かが違う感じだね。ありゃ、神でも宿してんじゃないのかな?」

黄はニヤリと笑う。

「ほう?神成かみなりか…確かに獣人にしては異常だな。」

金が顎に手を置いて言う。

「でしょ?他の国だと極東の国ジャーニー南の国ノーティスにも数人いたぜ?残念だけど、西の国クライベルは国王以外はカスしかいねぇ。」

黄が呆れた様子で言う。

「ならば、根源の紫ヴィオレが好きに暴れても構わんな。まあ、あの不完全なヴィオレにすら勝てぬようでは、ヴェルドは愚か、ジュピターに勝つことさえままならぬが。」

「おいおい。嫌な言い方をしてくれるじゃん?俺が根源の中では1番弱いのは認めるけどさ。」

黄が不満そうに言う。

「そうだな。だが、貴様の強みはその圧倒的な情報網にあるだろう?」

金がニヤリと笑う。

「へっ!当然だっつうの!弱いやつは弱いなりに頭を使わなきゃいけねぇからな!ヴェルドみてぇに脳筋で解決するだけが戦いじゃねぇからな。」

黄はそう言って緑を見る。

「あん?死にてぇなら、殺してやるぞ?」

緑は苛立ちを隠すことなく睨みながら言う。

「そういうところだよ。それに俺は普通には殺せねぇってお前も知ってるだろ?」

黄が呆れたように言うと緑は不満そうに顔を背ける。

「チッ…つまらんやつだ。」

「ま、俺と殺り合わなくてもすぐに殺り合うことになるさ。」

黄がニヤリと笑うと銀色の長い髪の少女が現れる。

「その姿…見覚えがあるな…確か…」

金が応えるよりも先に少女は言う。

「お初にお目にかかります。私は根源の白ブランにして、シェラ様の契約魔族のティアラにてございます。」

少女がそう言ってお辞儀をすると、緑が今にも飛びかかりそうな勢いで言う。

「おい!お前!今、シェラの契約魔族だって言ったか!?」

ティアラは緑の勢いに動じることなく言う。

「はい。そう申し上げましたよ。」

淡々と言うティアラに黄もほんの少しだけ驚いた表情をする。

「おもしれぇ!なら、オメェを殺せば、シェラが出てくるんだな?」

緑がそう言って木の剣を取り出す。

「その問いに対してはNOであると回答いたしましょう。」

黄はティアラの無反応さに不気味な感触を感じる。

「ほう?それはどうしてだ?」

金が問うとティアラはニコッと微笑んで言う。

「お前たちでは束になっても私には勝てないからですよ。」

ティアラはそう言うと身動き一つすることなく、一瞬で緑の木の剣を粉砕する。

「んな?!」

緑が驚いている隙にティアラの鉄の剣が緑の喉元に突き立てられる。

「貴方の力はこんな程度ではないのでしょう?本気で来ないと死にますよ?」

ティアラから放たれたとてつもない重圧で黄は身動きが取れなくなる。

「良い度胸だな。お望み通り本気でぶち殺してやるよ。」

「よせ!それ以上は…!」

黄が言葉を失う。

黄の首が床に転がる。

「邪魔しないでくださいます?」

ティアラはそう言うと緑に向き直る。

「分身体とは言え、あの黄が一撃でやられたか…」

金が驚いた様子でティアラを見る。

ティアラは特に気にした様子もなく言う。

「貴方は来ないんですか?」

「ふん。戯言を…余が根源の白ブランごときで動くとでも?」

「そう…その判断、間違ってないといいですね。」

黄の首が再生して、元の姿に戻る。

同時に緑の魔力が極限まで高まり、脚が鹿のものに変化し、両腕には鋭いヒレのようなものが生え、頭からドス黒い緑色をした日本の角がまるで木のように枝分かれしていた。

角から溢れ出る魔力が禍々しさを際立たせる。

「これがオレの本気だ。おめぇも本気出せや。」

緑は恐怖を感じさせるような声で言う。

「貴方たちを殺すのにこれ以上の力は要りませんよ。まあ、私が真の力を解放出来れば、貴方たちくらいなら鼻息で軽く吹き飛ばせそうですが。」

ティアラは淡々と抑揚の無い声で言う。

「おもしれぇ!なら、殺し合いとしゃれこもうじゃないか!」

緑はそういった瞬間にとてつもない速さで左腕のヒレでティアラに斬りかかる。

「遅いですね。」

ティアラは紙一重で避ける。

「ほう?やるじゃねえか。まぐれとは言え、このオレの攻撃を避けるなんてなぁ!」

続けて緑が右腕のヒレで斬りかかるが、またしても紙一重でティアラが避ける。

「ちょこまかと!」

緑がだんだんイラついて周囲に真空刃を発生させ始めた頃だった。

「んな!?」

緑の左腕のヒレをティアラが片手で完全に受け止める。

驚いた表情の緑が一瞬隙を見せる。

「隙だらけですよ。メガフレア!ナックル!」

ティアラは空いている右手に炎を纏って緑の顔面に叩き込む。

「ぐああああああああ!」

そのまま凄まじい勢いで緑は燃えながら壁まで吹き飛ばされる。

「調子に乗りやがって!」

「よせ!」

金の制止も聞かずに黄が雷鳴を轟かせてティアラに拳を突き出す。

「邪魔をするなと言ったでしょう?」

「んがっ?!」

黄の背後に回り込んで、そのまま頭を掴んで地面に叩きつける。

「お前を殺すことは私だけでは出来ませんが、あの人の魔法をお借りすれば…」

ティアラが魔法陣を展開する。

「その魔法は…!」

黄が恐ろしいものを見るかのように言う。

「貴方には2つの選択肢を与えましょう。1、このまま死ぬ。2、私の主であるシェラ様に従う。お好きな選択をどうぞ。」

黄はニヤリと笑う。

そして、ティアラの背後から現れた黄がティアラに拳を振り下ろしながら言う。

「3、お前を殺す!」

「バチーン!」ととてつもない雷が発生すると共に凄まじい爆発が起きる。

「今の一撃は良かったと思いますよ。」

舞い上がった土煙が吹き飛ばされると同時にどこか楽しげに笑っていたティアラが片手で受け止めていた黄を魔法陣の中に投げ飛ばす。

「しまっ…」

黄が反応するより早く魔法陣が起動する。

「輪廻を外れし者よ…我が声にて在るべき場所へと還りなさい!」

無数の光が黄を包み込む。

「メヴィス・スフィア!」

黄は断末魔をあげることすら許されないまま完全に消滅する。

「黄が完全に殺された…だと?!」

金が焦った様子で言う。

緑は叩きつけられた壁際から動こうとしない。

いや、正しくは意識が無いので動けない状態だった。

「さて…」

ティアラが金を見る。

「貴方に問います。私、根源の白ブランの主、シェラ様に従いますか?」

「従わぬ…と言えば?」

金が言うとティアラは淡々と言う。

「残念ですが、貴方は死んでしまうことになりますね。」

「そうか…」

金はそう言うと異空間から巨大な黄金の剣を取り出す。

ティアラからのアクションが何も無いことを確認して金が言う。

「貴様は用意をしなくても良いのか?」

「言ったはずです。殺すのにこれ以上の力は要らない…と。」

「ならば…」

金の黄金の剣が輝く。

「死ぬが良い!ゴールデンスラッシュ!」

凄まじい勢いで振り抜かれた金の剣を避け、足元に移動したティアラが魔力を高める。

「破壊の炎よ、我が敵を焼き尽くせ!メガフレア!」

金の上半身を灼熱の爆風が包み込む。

「温い!」

すぐに金がティアラの魔法を無力化する。

「本命はこっちですよ。」

ティアラの左手が太陽のように輝く。

「世界を照らす天の球、世界に明暗を現すもの、混沌の黒き世界、秩序の光、注ぎ、渇き、潤し、善を讃え、悪への鉄槌を下さん…」

ティアラの左手が振り払われる。

「審判の時だ!サンライズジャッジメント!」

白い光が金を包み込む。

「ぬがあぁああああ!」

金はとてつもない光に焼かれる。

「この程度で…負けるかああああああああぁぁぁ!」

黄金の輝きが光を弾き返し、無力化する。

同時に凄まじい勢いで黄金が溢れ出す。

ティアラは白い翼を出して、空中に逃げる。

「シールド!」

ティアラは黄金に埋め尽くされそうになった緑を魔法で守る。

「ゴールデンニードル!」

下から勢いよく突き出す黄金の針を回避しながらティアラは考える。

そして、思いついた様子で急停止する。

「捉えたぞ!」

黄金の針が止まったティアラを貫こうと伸ばされる。

「詠唱省略。スパークサークル!」

ティアラを中心とした雷の円がティアラを守り、伸びてきた黄金の針に触れる。

「アガガガガガガ!」

金が感電して体が痙攣する。

それは黄金が高熱で溶けてティアラの雷から離れるまで続いた。

ティアラは白い翼を消滅させて、固まった黄金の上に降り立つ。

「やけに呆気ないですね。」

ティアラはそう言って緑の元へと歩く。

いつの間にか緑は意識を取り戻していたようだ。

「…」

緑がほんの少しだけ顔を赤くして睨む。

「あ、あのよ…その…」

緑はティアラの目を見て言う。

「ありがとな…オレを守ってくれて…」

「別に…生きててもらわないと困るから助けただけですし…」

そんなことを言いながらもティアラが手を差し出す。

緑はその手を掴んで黄金の上に引き上げてもらう。

「お前は優しいんだな。敵同士だと言うのに…」

緑は優しい目をティアラに向ける。

「無闇な殺生はkグハッ!?」

突然ティアラの胸を黄金が貫く。

ティアラは驚いたように目を見開いていた。

「え…」

緑が驚いた表情でティアラを見る。

さらにティアラは一瞬にして四肢の全ても貫かれていた。

「ガハッ!」

ティアラが吐血する。

「あんまりだろ…」

緑が悲しげに言う。

ティアラの目からは光が失われていた。

金がニヤリと笑う。

「正面からやるだけが正しいのではない…それはジュピターも言っておったことだ。」

金が黄金を元に戻すと重力によってティアラは力無く黄金に叩きつけられる。

「ブラン…すまん…オレが…弱いせいで…」

緑が小さな声で呟く。

「ヴェルドもご苦労である。貴様のおかげでそやつの油断も誘えた。褒美をくれてやろう。」

金はそう言って「クハハハ!」と勝ち誇ったように笑う。

「み…どり…のひと…」

ティアラが掠れた声で言う。

「逃…げて…私…は…だい…じょ…うぶ…だから…」

ティアラが糸の切れた操り人形のように動かなくなる。

「ブラン!」

緑の魔力が高まる。

「許さねぇ…」

緑の体が木に覆われ、龍人のような形を創り出す。

「オレはお前を許さねぇぞ!ドレアァァァァァァァァァ!」

緑は木で出来た龍の爪を振りかざして金を斬り裂こうとする。

しかし、それは黄金が両肩を貫くことで阻止される。

「許さない?敵を倒しただけの余を…か?」

金が威圧感のある声で言う。

「あいつは…ブランは…オレが気絶して動けねぇのを知ってお前の攻撃からオレを守りながら戦ってやがったんだぞ!それをあんな卑怯な不意打ちで!こんなの許せと言う方がおかしいだろうがよ!」

「ふん。使えない駒など余には不要である。そもそもブランごときに遅れを取るような雑魚など仲間ではないわ!」

「テメェ!どこまで腐れば気が済むんだ!」

「何とでも言うが良い。殺し合いに卑怯も何も無いのだ。最後まで生き残ってた者だけが勝者!勝者以外はただの屍である!」

金が黄金の剣を緑に振り下ろす。

「クソがあぁああああああ!」

緑がそのまま斬られる瞬間だった。

「やれやれ…これだからギラギラしたやつは嫌いなんですよ…」

ティアラが黄金の剣を弾き飛ばし、緑の両肩に刺さった黄金を破壊して、緑を助け出す。

「お前…!」

ティアラのボロボロだった体は綺麗に傷が消えていた。

「全く…貴方って人は…逃げろと言ったのに…怒りに任せて突っ込んで行くなんて馬鹿なんですか?」

ティアラはそう言うと緑の両肩に刺さった黄金を引き抜くと同時に緑の両肩を回復魔法で治癒する。

「ブラン…いや…、ありがとな。二度も命を助けてくれてよ。」

緑が笑顔で言うとティアラは金の方を見ながら言う。

「はいはい。敵じゃないから守っただけですよっと…」

「ブラン風情が!余をコケにしよって!貴様の行いは万死に値する!絶対に許さぬぞ!」

金が魔力を解き放って真の姿を現す。

背中には黄金の翼、全身を黄金の龍の鱗で覆い尽くした姿に頭から巨大な黄金の角が3本、真っ直ぐに伸びていた。

「万死に値する?許さない?」

ティアラは「ふん」と鼻で笑う。

「それは私のセリフですよ。命を嗤い、心を弄び、仲間であったはずの者を自ら殺そうとするような愚か者なんか許せるものですか!」

ティアラは再び白い翼を発現させて大きく広げる。

「黙れぇ!裏切り者に鉄槌を下すことの何が悪いと言うのだ!余が全て!余だけがこの世の絶対の王だ!王である余以外は全て等しく無価値!王の役に立たない者など不要だ!」

金が激昂する。

「…哀しいな。」

冷静になった緑が淡々と言う。

「なんだと?」

金が重圧を感じるほどの低い声で言う。

「黄金と言う気高く美しいモノを象徴するお前がこんなにも惨めで汚れた存在であると言う事実だよ。」

緑が言うと金が怒りのあまりに血が出るほど拳を握りしめるのがわかる。

「貴様ァ…!」

「お前も薄々気がついていたはずだ。今のお前の在り方は間違っている。世界を照らす黄金の光にならなければならないはずのお前がこんな醜い邪悪では意味が無い。そんなことわかっていたじゃないか…」

「黙れ!余が間違っている?そんなことなど有り得ぬ!余が間違うはずがないのだ!絶対の輝きを持つ余が間違いナド起コスワケガ無イ!」

足元の黄金が緑を貫こうと針状になって伸びていく。

しかし、それは緑の木の剣によって叩き壊される。

「ウガアアアアアアア!」

金が黄金のブレスを放つ。

「鉄壁の壁よ!シールド!」

ティアラの魔法がブレスを完全に無力化する。

「死ネェ!」

黄金の爪がティアラに振り下ろされる。

「させるかよ!」

緑の木の剣が黄金の爪を叩き割る。

「オノレェ!」

金の力で砕けた黄金の破片が飛び回り、足元の黄金が針状に伸び、口から黄金のブレスを放ちながら、再生された黄金の爪を振り回すことで真空刃が無数に放たれる。

これは暴走して本能のままに暴れているような状態である。

ティアラと緑はそれをなんとか回避しつつ、反撃の隙を伺う。

しかし、なかなか手が出せない状況であった。

ティアラは自分の回避と緑が避けきれなかった緑への攻撃の防御にもリソースを割いていた。

このままではジリ貧になり、いずれ攻撃を受けてしまうとティアラは考えた。

「緑の人!」

「ヴェルドだ!」

「ヴェルドさん!憑依は使えますか?」

「オレは出来ねぇが、外殻を貸すことは出来るぜ。」

ヴェルドの言う外殻とは、能力で創り出した木の武装のことだ。

「なら、それをお借りさせてもらえますか?」

ティアラが言う。

「お前の事だから、打開策があるんだよな?」

「はい!確実に滅する方法があります!」

ティアラの言葉を聞いた緑は自身の能力で翼と剣以外の武装をティアラに転送する。

「雄大なる大自然よ!我が光を受けて、さらなる力を権限したまえ!」

木の武装が白く輝き、巨大な剣の形を形成する。

「行けー!」

ティアラが突撃すると同時に緑が叫ぶ。

「王ニ敵ウハズガナカロウ!権能!黄金の支配ゴールデンドミネイション!」

「そんなもの効かないですよ。」

凄まじい魔力がティアラを包み込む。

「全てを白く塗り潰せ!白乃世界ブランディアード!」

圧倒的な白が自身以外の全ての力を無力化する。

金は驚いたように目を見開く。

「バカナ!余ノ権能ガコンナ小娘ゴトキニイイイイイイイ!」

ティアラは瞬時に木の外装を使って白く輝く剣を生成する。

「大自然の権威を持って、くうに還す力が裁きを下す!ナチュルブランスレイヤー!」

金の身体が横に真っ二つに斬り裂かれる。

「グアアアアアああああぁぁぁ!」

金の身体から光が溢れ出し、消滅を始める。

「貴方の敗因、それは全てを支配しようとしたその欲望です。如何なる権威も私の手にかかれば無力なものですよ。」

ティアラが淡々と言うと金は言う。

「貴様は…どこまでわかっていた?」

「全部…ですかね?私の主であるシェラ様は神話に語られる大賢者であるシェテラエンデ様の生まれ変わりなのです。こんなのどう転んでも負けようが無いでしょう?」

「ハハッ…そりゃ、負けるわけも無いな…それに貴様…ティアラも能力の使い方が洗練されておった…余が負けるのも納得じゃな…」

周囲の黄金が消滅し、金の身体が光に包まれて消滅する。

そして、金が居た場所に二人の少女が眠っていた。

1人は金髪の長い髪の平らな少女、もう1人は銀髪の長い髪の大きなスイカを持った少女だ。

二人とも白いワンピースを着ているが、下着は何もつけていないようだった。

ティアラはヴェルドに木の武装を返す。

「終わったか…」

「ええ、貴方のおかげです。感謝します。」

ティアラが笑顔で言う。

「あれはオレも危なかったからな。オレの方こそ、助かったぜ。」

ヴェルドはそう言って少年のような眩しい笑顔を見せる。

「う~ん…」

銀髪の少女が目を開ける。

「んう?」

金髪の少女も目を開けて身体を起こす。

「気がついたみてぇだな。」

ヴェルドはそう言って立ち去ろうとする。

「何処へ行こうとしてるんですか?」

ティアラが圧を感じる声で言う。

「…」

ヴェルドはめんどくさいと考えてるのが表情からもダダ漏れな状態で少女たちの目の前まで移動するティアラの後ろまで戻ってくる。

「お名前は言えますか?」

ティアラが言うと座っていた二人の少女は顔を見合せて首を傾げる。

金髪の少女は左目は赤く、右目は青い目だ。

銀髪の少女は逆に左目が青く、右目は赤い目だ。

金髪の少女が首を傾げたまま言う。

「覚えてないからわかんない…貴方は?」

ティアラは笑顔で答える。

「私はティアラです。」

「ふ~ん?」

金髪の少女は無表情でよくわかってなさそうな声を出す。

「後ろのお兄ちゃんは?」

銀髪の少女がヴェルドに言う。

「…オレはヴェルドだ。」

「ヴェルド…」

銀髪の少女はどことなく嬉しそうな表情をして言う。

「…めんどくせぇことになりそうだ。」

ヴェルドがそんなことを小さく呟いた瞬間だった。

「お兄ちゃんについて行って良い?」

銀髪の少女の少しだけ潤んだ瞳がヴェルドを映す。

「…オレに言ってんのか?」

銀髪の少女が頷く。

ヴェルドは顔を抑えて大きなため息をつく。

金髪の少女はティアラを見ていた。

「貴方はどうするんですか?」

ティアラが優しく金髪の少女に聞く。

「ティアラたちと一緒に行く…多分…それが良い…」

銀髪の少女とは違い、金髪の少女はかなり落ち着いたような声で言ってティアラとヴェルドを指さす。

「残念だけど、私とヴェルドさんは別々の場所に行くことになると思いますよ。一応、たまたま居合わせただけですからね。」

ティアラのたまたま居合わせたと言う言い方にヴェルドは何か言いたげであった。

金髪の少女の青い目がほんの少しだけ輝く。

「一緒になるよ…すぐじゃなくてもずっと先に…」

金髪の少女は確信を持った表情で言う。

「ずっと先ねぇ…」

ヴェルドが遠くを見ているような声で言う。

「思ってるよりもその日は近いのかもしれませんね。」

ティアラが西の国グライベルの王都の方を見て言う。

銀髪の少女がヴェルドの手を握る。

「決まりだね!私はお兄ちゃんと行くよ!」

「オレの意思は無視かよ。」

「ふっふーん!お兄ちゃんが私を連れて行かないわけが無いもんね!だって、私、お胸が大きくて可愛いし!」

銀髪の少女は自信満々に胸を張って言う。

「…そうかよ。」

若干不満げにヴェルドは言う。

「夜のお供も出来るしね!」

「ブッ!」

自信満々に言った銀髪の少女の言葉にティアラが吹き出す。

「…オレは女だ。」

イライラを隠すことなくヴェルドが言う。

「ええー!?そうだったの!?ぺったんこだし、オレって言ってたから、お兄ちゃんだと思ってた!」

銀髪の少女が驚いたように目を見開いていた。

「胸が無くて悪かったな!」

怒ったように…と言うか、怒ったヴェルドが銀髪の少女の頬を引っ張って言う。

ごめんなさいごみぇんにゃはいだってひゃっへお姉ちゃんがあまりにもカッコ良かったからおにぇーひゃんがあひゃりにもひゃっひょよひゃったひゃら!」

「何言ってんのかわかんねぇよ!」

ヴェルドのツッコミに銀髪の少女は頬を抑えながらもとても楽しそうに笑っていた。

「仲良し…」

金髪の少女がそう呟くとヴェルドが勢いよく言う。

「んなわけねぇだろ!」

「うっくく…!ヤバい…めっちゃ面白いです…笑いが…」

ティアラは笑いを堪えきれない様子で体を震わせていた。

「だあー!もう!知らね!こんなところ、さっさと出て行ってやる!」

ヴェルドはそう言うとドスドスと歩きながら扉があった場所へ向かう。

「待って~!お姉ちゃん!」

銀髪の少女が焦ったように追いかける。

「ヴェルドさん!」

ティアラの声にヴェルドが足を止める。

「また会いましょうね!今度は友達として!」

ティアラの笑顔を見て、すぐに顔を背けて歩きながら言う。

「気が向いたらな。」

そう言ってヴェルドが扉があったところから部屋を出る。

「ティアラお姉さん!金髪の人!またねー!」

銀髪の少女は元気よく手を振りながらヴェルドを追いかける。

「行ってしまいましたね」

ティアラがポツリと言う。

「ティアラ…私たちも行こ?」

金髪の少女がコテンと首を傾げて言う。

「そうですね。それと貴方の名前も考えないとですね。」

「じゃあ…ティアラが考えて…私、わからないから…」

「そうですね…ヴィヴィアンなんてどうでしょう?伝承で貴方のように綺麗で美しい髪を持った泉の妖精と同じ名前ですけど…」

「じゃあ…ヴィヴィアンで決まり…名前、大事にするね…」

「でも、本当の名前を思い出したりしたら、遠慮なく言ってくださいね。その時はその名前で呼ぶようにしますから。」

ヴィヴィアンはティアラをギュッと抱きしめて言う。

「私にはヴィヴィアンだけ…だから、本当の名前があってもヴィヴィアンはヴィヴィアンだよ。」

ティアラは真っ直ぐに見つめるヴィヴィアンの頭を優しく撫でて言う。

「そうでしたね。嫌なことを言ってしまってすみません…」

「大丈夫…」

そう言ってヴィヴィアンはティアラの手を引っ張る。

「早く行こ?ティアラのご主人様…待ってる…」

「シェラ様を暇にさせると何をしでかすかわからないですし、早く向かいましょう!」

「うん」

ヴィヴィアンはほんの少しだけ嬉しそうに目を細めて、歩き出したティアラについて行くのであった。








9がこの世界に揃ったか…」

「ですが、そのうち__は完全に死んでしまったようです。」

「構わん。5つあれば十分だ。」

「今の状態ですとあの女からも奪わねばなりませんね。」

「そうだな…駒を失ったおかげで後4つの席が埋まるのも何億年かかることやら…」

「どの道、13番目が現れれば、この世界は崩壊するのです。ゆっくりと待つのも良いのでは?」

「我はもう十分待った!我が身とも呼べる領土を何百億年も好き勝手に支配されてきたのだぞ!」

「そうはおっしゃいますが、あの女には勝てないでしょう?」

「ならば、戦わねばよい。策はある。アレを使うのだ。」

「なるほど…なら、戦うことは避けられそうですな。」

「うむ。あの女さえ居なければ、我らが悲願の達成も近い。せいぜい首を洗って待っているがよいぞ…」

「_______!」
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