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現代の常識学
少女と第二冠の出会い
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「残りは私の武器だけですね。」
私は2日後の入学式に向けた準備をする。
べリュティエールの言った通りにあの場でカードを貰った全員が合格となっていた。
「なんだか外が騒がしいですけど、なにかあったのでしょうか…」
私は耳を済ませながら、玄関から外に出る。
直後、私を見つけたオリオンが手を振る。
私も手を振り返すとオリオンが太陽のような眩しい笑顔のまま、こちらに駆け寄る。
「ディアさん!ディアさん!聞いてください!」
「は、はい!」
あまりの勢いに少し驚いているとオリオンが話し始める。
「なんとですね…今日、グライベルの侵略活動があったんですけど、冒険者さんたちがあっという間に解決しちゃったんですって!エールさんがAランクの龍種、華紅龍ゴウエンガを倒したとか、シェラ様がAランクモンスターの群れを全滅させたとか、カリヤさんなんて、あの神速の雷神と名高い魔王クエントスも倒しちゃったって話も出てるんですよ!」
オリオンは楽しそうに話すが、私はまだギルドカードを持っていないので何も知らなかった。
「そうなんですか?私は何も知らなかったので、そんなことになってるなんて思いませんでした…」
「私もたまたま近くに居た冒険者さんの噂話で聞いただけですけど、これってカリヤさんもものすごく強いってことになりますよね!可愛くて強いなんてまさに最強ですよね!」
オリオンは嬉しそうに話す。
オリオンは今はシェラの屋敷のメイドとして街中で顔が知られており、またオリオンのコミュニケーション能力の高さや見た目の美しさから彼女を悪く言う者はおらず、ファンクラブや親衛隊まで結成されるほどの人気を誇っていた。
後にシェラから、「ギルドが国王に報告する前に全て解決しちゃったみたいよ」と聞いた時には噂話は凄いなと思った。
~翌日~
「凄い速さで広がってる…」
シェラが頭を抱えながら呟く。
本人の希望でシェラとカリヤの活躍は伏せられていたのだが、噂話と言うのは凄いものであっという間に国中に広まっていた。
「何か対策をしなければ…それこそ王族なんかに見つかったら面倒なことに…」
そんなことをシェラが言っていると「コンコン」と玄関扉がノックされる。
「すみません。シェラ様はいらっしゃられますか?」
聞いた事のない少女の声が聞こえる。
「嫌な予感がする…」
シェラはそんなことを言いながらも玄関扉を開ける。
「なんの御用でしょう?」
シェラの目線の先には金髪碧眼の髪の長い少女がいた。
胸は平らで黒いワンピースが少女の白い肌を包んでいた。
少女からは私に匹敵するくらいの魔力を感じた。
少女の後ろにはタレ目の犬耳の獣人がおり、如何にも護衛で高級な鎧着てますよ~と言う感覚を感じる。
獣人の方はそこそこの膨らみがあり、茶系の毛色をしており、しっぽの毛も含めて全体的に毛が長めであり、輝くような毛並みから綺麗に整えられてるのが分かる。
種族は中犬の黄金種かな?
巨犬にしては全体的に小さ過ぎるからね。
サイズ感は巨犬族の中でも小さい方のメイリーンの半分ほどしかないし…
いや、胸だけじゃなくて、体格とか背丈も含めた全体の話だよ?
「貴方がシェラ様ですか?」
少女が少し首を傾げながら言う。
シェラは表情を変えることなく言う。
「私がシェラだけど…貴方は?」
シェラがそう返すと少女がワンピースの裾を持ち上げて言う。
「私は中央の国:アーミア王家、第二冠の姫、エリス・アーミアです。」
エリスの第二冠と言うのは、王族の後継者である第一冠の王族の後に産まれた王族のことであり、簡単に言えば産まれた順番のようなものだ。
第二冠の王族は後継となる第一冠の王族と違い、権力はあまり無いが、かわりに王族としてはかなり自由な生活を送れるのだそう。
しかし、何らかの要因で第一冠の王族が後を継ぐことが出来ない状態になると第二冠が後継となる。
この場合は第二冠が第一冠の役目を担うようになり、王族としての振る舞いを要求され、後継の王族として育てられる為、権力はあるが、自由は無くなるらしい。
ちなみにアーミアでは、既に王子として民に知られているガーヴァレスが第一冠の王子なのだそう。
「シェラ…すごく嫌そうな顔してる…」
シェラの顔を見ながら、小さな声でカリヤが言う。
『あまりそういうことを言うなよ。聞こえてたら、面倒な事になること間違いなしじゃ。特にあれは王族じゃからな。元が異世界者の血族なこともあって、チート能力持ちが多いし、目をつけられると厄介この上ないぞ。』
この世界では、異世界者は神によって異世界から呼び寄せられたものであり、異世界転生や異世界転移を纏めて異世界者と呼んでいる。
そして、この世界では異世界者に二つの人種が確認されている。
一つはエリスの家系のアーミアにアメリカ人、もう一つは妖狐や鬼人族や極東の国の王家に含まれるニホン人だ。
異世界者は必ずと言っていいほど、異常な何かを持っている。
チート能力、チート技術、チートステータス…そういった、無敵で規格外の能力があるため、異世界者が現れると国中で争奪戦が始まるのだ。
持ってるものや見た目で転移者はすぐに見つかるが、転生者はほとんど見つからないと言われている。
「…気をつける。」
私には表情の違いがわからなかったが、カリヤにはシェラが嫌がっているのがよくわかるようだ。
「王族」の単語に反応してか、カリヤの表情がわずかに引き締められる。
「そうですか…そのエリスさんが私になんの御用で?」
シェラの声は少女に向けられるものとしてはとても冷たく聞こえる。
獣人が一瞬剣を抜こうとしたが、エリスはそれを軽く手を出して止める。
エリスはシェラの冷たい声を気にすることなく言う。
「そんなに警戒されなくても大丈夫ですよ。ただ私が個人的に貴方とお近づきになりたかったのです。噂のお方がどの様な方なのか知りたかったですし、出来ればお友達になれたら嬉しいな…と…」
エリスは後半は少しだけ恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う。
「…なるほどね。」
シェラの声がほんの少しだけ柔らかくなったような気がした。
「なので、まずはシェラさんの冒険譚を聞かせてください!冒険者ってことは冒険は欠かせませんよね!」
「いや、まだ冒険者になりたてで冒険してないし、明日から学生だよ。」
「そうだったのですか!?私、てっきり冒険者っていつもいろんなところに行ってるものだと思ってました!」
エリスは少しだけ考えて言う。
「ルイン、私、シェラ様のことが知りたいです!」
「…との事ですので、シェラ殿のことを教えてください。」
ルインと呼ばれた獣人が眠そうに言う。
「私は将来的には冒険者として世界を旅する予定ですので、アーミア国立冒険者学園に入学しますよ。世界を旅するなら、一般常識は知っておく必要がありますし、研究者として研究をするには、適した場所に行けるようにならないといけませんからね。」
シェラは研究者を志す者として、とても楽しそうに話す。
シェラは冒険者と言う肩書を研究者として活用しようと考えているようだ。
「そうなんですね!私もシェラ様のお友達として、一緒に冒険したいです!ルイン、学園に願書を出す手伝いをしてください!一刻も早くシェラ様と同じクラスに通えるようにするのです!」
「あの…さすがにそれは…国王様にご相談をしないと…」
ルインは助けを求めるようにシェラをチラッと見る。
しかし、助けを求める相手が悪かった。
「私の研究を手伝ってくれるのであれば大歓迎です!さっそくべリュティエールさんにかけあってみましょう!」
「ほんとですか?!やったー!冒険者学園なんて初めてですし、とても楽しみです~」
シェラとエリスが楽しそうに盛り上がっている傍らでルインは膝から崩れ落ちて顔を手で抑えていた。
尻尾が垂れ下がっているのを見るに、自分の選択を後悔しているのがわかる。
「ルイン…どんまい…」
カリヤが小さな声で言いながら、ルインの頭を撫でていた。
「よーし…善は急げです!エリスさん、着いてきてください!」
「はい!よろしくお願いします!」
シェラが言うとエリスはとても嬉しそうに一緒に飛び出して行き、あっという間に人混みの中に紛れて見失ってしまった。
「エリス様!?待ってくださいよ~!」
ルインが困った顔をしながらも何故かクラウチングスタートで追いかける。
「行っちゃった…渡したいものがあったんだけど…」
残されたカリヤが小さな声で言う。
『それなら、私が届けてきましょうか?』
そんな声が聞こえたと同時にカリヤの中から緋色の長い髪の赤い瞳の女性が現れる。
「ん~…まあ、後でも大丈夫だし、いいよ。」
カリヤがそう返すと「そうですか…」と言って女性の姿が消える。
女性の背は高く、胸も大きい姿は大人の女性の魅力を感じさせると認識出来た。
もっとも、この認識はネイアード様のプログラムした価値観の記憶の中での話だけど…
今のディアとしての価値観ではシェラとその仲間たち以外は等しく無価値に近いのだ。
世界を知らないと言うのも、その価値観に拍車をかける要因となっているのだろう。
この後、シャタルアからあの女性はカリヤの武器のレーヴァテインの化身のようなものだと教えてもらった。
…
あれから1時間くらいたった頃、シェラとエリスとルインが戻ってくる。
「こちらにルインの剣が落ちてませんでしたか?」
エリスが聞くと同時にシェラが剣を渡す。
「これかな?拾ったついでに研磨しといたわよ。斬ったらびっくりしちゃうかもね。」
シェラの言葉に目を丸くしたルインが刀身を抜いてマジマジと見る。
「これは…!斬らなくてもわかります!こんなに凄い研磨は見たことがありません!斬ると言うことに関しては伝承級に匹敵しますよ!私が見ていた限りでも研磨している様子はありませんでした。シェラさん、貴方は本当は名のある加工師だったりしませんか?」
この世界では鍛治や調合を含む物作りに関わる職業は加工師と言う職業で纏められており、武具に関わるものは鉄工師、薬剤に関わるものは薬学師、家具や建築に関わるものは設計師、料理に関するものは食材師と分けられる場合もあるが、基本的に全て加工師として扱われている。
「残念だけど、無名の一般人よ。私は研究が好きなだけであって、その産物としてたまたま多才になっただけ。その道を極めた者には遠く及ばないわ。」
シェラの言葉に偽りはない。
前世の誰もが認める究極の万能に至った大賢者のシェテラエンデに出来ないことは無い。
しかし、本人にとっては道を極めるたものには遠く及ばないと言う認識であり、実際にシェテラエンデを超える技術を持つものは居たのだ。
その考えはシェラと言う少女の身になっても変わっておらず、研究者としてありとあらゆる研究をし、知ることだけが最優先の目的だ。
そのことを彼女はよく知っている。
『やれやれ…この研究バカは…見栄張ってカッコつけるんじゃないですよ。』
『良いじゃん!今日はまだティアラちゃんに呆れられるようなことしてないもん!』
『何かやらかす前提なのは、どうなんですかねぇ…』
言ったそばからティアラに呆れられていた。
エリスはシェラを見て言う。
「シェラ様、もし良ければなんですけど、私の専属の研究者になりませんか?私のような王族に雇われれば、王族しか行くことの許されてない所にも行くことが出来ますし、シェラ様にとっても悪い話では無いと思うんですけど…」
エリスの潤んだ瞳がシェラの答えを遮る。
シェラとしては王族には良い思い出が無いので断りたかったのだ。
しかし、今はただの少女の身だ。
シェテラエンデの時代と異なり、制約も多く、ただの冒険者では行けないところも多いのだ。
シェラはいつもより真剣な表情で言う。
「わかりました。申し出を受け入れましょう。」
シェラがそう言うとエリスの表情が一気に明るくなる。
「ただし、条件があります。それはこの屋敷に住んでいる私の仲間も一緒であることです。それが出来ないのであれば、受け入れることは出来ません。」
シェラの言葉にエリスは当然だと言いたげに微笑む。
「もちろんですっ!シェラ様の次に皆さんにも私の護衛として雇うお話をしようと思っていたんです。シェラ様のお仲間の方の噂も聞いておりますし、シェラ様が仲間思いであることも存じてますからね。」
「アハハ!エリスさんに一本取られましたね!」
シェラの笑い声につられる様にエリスも笑う。
こうして、シェラは研究者として雇われた。
私はカリヤ、オリオンと一緒に護衛として雇われた。
「ただいま帰りました~!」
「ただいま戻りましたわ!」
玄関から二人の妖狐が元気よく入ってくる。
「あ、ユキちゃんとハラミちゃん!おかえり!」
二人はシェラの提案で服を買いに行っていたのだ。
ユキはほとんど裸みたいな服装だったし、ハラミもユキよりは露出度が低いが、真夏の男子の服装みたいな服装だった。
ハラミが嬉しそうに尻尾を振りながら、服を二着見せる。
「見てください!このシャツ、私の服と似てて素敵ですよね!」
ハラミの見せた服はハラミが今着ている服と同じような服だったので、シェラの笑顔が硬直した。
「ユキチャンハドンナフクヲカッタノカナ?」
ものすごくぎこちない話し方にカリヤが笑いを堪えていた。
「ゆ、ユキはこの服とこの服です…」
そう言ってユキが取り出したのはピンクのフリルがついた白いワンピースと黒いスーツのような服だった。
「ホッ…ユキちゃんはちゃんとした服で良かった…」
ボソッとシェラがつぶやく。
「こっちは普段着用として、こちらは学校用です。それと…」
ユキが二着の服を取り出す。
シェラはその服を見て目を丸くしていた。
「これはユキとシェラさんの服です。シェラさんの服もヨレているものがありましたし、ユキもシェラさんと同じデザインの服が欲しいと思ったので…」
ユキはそう言って黒いフリルが付いた白いワンピースをシェラに渡す。
ユキの方は白いフリルの黒いワンピースだ。
「ユキちゃんありがとう!私、すっごく嬉しいよ!」
シェラが笑顔で飛び跳ねながら喜んでいた。
それを見たユキも嬉しそうに微笑んでいたが、そんなシェラの様子を見たハラミは嫉妬した様子で難しい顔をしていた。
「クッ…ユキに先を越されてしまいました…呑気に買い食いしてる場合じゃありませんでしたね…」
「何やってるんだこの駄女狐は…」
突然シェラの中から出てきたティアラが呆れた様子で言う。
「…ティアラちゃん、日に日に毒が増えてません?」
遠くを見るような目でシェラが呟いていた。
「半分はどっかの大賢者さんのせいですけどね。それとこの魔法があれば服を買う必要は無いですよ。」
そう言うとティアラはハラミの服装をその辺の町娘のような服装に変化させる。
「ティアラちゃん、いつの間にそんな素晴らしい技術を身につけたの?!」
若干興奮気味に言うシェラにティアラは言う。
「シェラ様の知識を借りて作ったにすぎませんよ。ほら、人形の魔法あるでしょう?」
「なるほどね!あれの応用的なやつね!」
「さすが、シェラ様です。こういう時の理解は早くて助かります。」
「む、なんだか含みのある言い方をしてるな?まあ良いけどさ。」
吹き荒れる嵐のような勢いに置いていかれていたエリスがルインから書類を受け取りながら言う。
「あ、あの…先程の件の書類なんですけど…」
シェラはそれを受け取るとサインの記入欄にサラサラっと名前を書く。
「あいよ。」
「えっと…一応、読んでいただかないといけない重要書類なんですけど…」
「ん?エリスさんに従えば大丈夫じゃないんですか?」
「それはそうなんですけど…ほんとにこんな簡単にサインしてしまってもよろしいのですか?」
「良いんじゃない?だって、私に出来ないことはほとんど無いもの!」
エリスが助けを求めるかのように私を見る。
「シェラ様ですからね。」
私ではダメだと思ったのか、カリヤに続けてティアラも見るが、皆同じような反応だったので、諦めたようだった。
「わかりました。では、サインを受け取ります。」
エリスはシェラのサインが書かれた書類を受け取る。
そして、私たちもエリスの護衛として雇用される契約書にサインを記入する。
内容は私が全て記録したので問題は無いはずだ。
ついでにシェラの分も記録しておいた。
そこそこ重要なことが書かれていたが、今までのシェラを見た限りだと立ち入り禁止地区に関わりさえしなければ、問題は無いだろうと感じたのだが…
まさか、この2日後に誰かさんがやらかすとは、この時は誰も予想が出来なかっただろう。
その後、オリオン、ディア、カリヤ、ユキ、ハラミの5人のサイン済みの護衛としての契約書をそれぞれからエリスが受け取る。
日が暮れて空が茜色に染まった頃には、エリスは城に帰って行った。
「あ、やべ…明日の用意なんもしてない…」
シェラの呟きにティアラが呆れた様子でため息をついていた。
ユキとハラミも明日から同じクラスの入学者となる。
二人は直前ではあったが、逆にそのおかげでスムーズに手続きが進んで、あっという間に合格を勝ち取ってきたのだ。
「シェラ様が何の準備もしてないと思って、こっそりと買いこんでて正解でしたね。」
ティアラがそう言ってシェラ用の鉄の剣を二刀、ハラミとユキの鉄の剣をそれぞれ一刀ずつ自身のバックから取り出す。
「さっすが、ティアラちゃん!私の分だけじゃなくて、ユキちゃんたちの分も用意してくれるなんて賢いわ~!」
「この程度のことは出来て当然ですよ。ほんと、シェラ様は調子良いんですから…」
そう言って抱きついて頭を撫でるシェラの行動にティアラは少し恥ずかしそうにしていた。
私は2日後の入学式に向けた準備をする。
べリュティエールの言った通りにあの場でカードを貰った全員が合格となっていた。
「なんだか外が騒がしいですけど、なにかあったのでしょうか…」
私は耳を済ませながら、玄関から外に出る。
直後、私を見つけたオリオンが手を振る。
私も手を振り返すとオリオンが太陽のような眩しい笑顔のまま、こちらに駆け寄る。
「ディアさん!ディアさん!聞いてください!」
「は、はい!」
あまりの勢いに少し驚いているとオリオンが話し始める。
「なんとですね…今日、グライベルの侵略活動があったんですけど、冒険者さんたちがあっという間に解決しちゃったんですって!エールさんがAランクの龍種、華紅龍ゴウエンガを倒したとか、シェラ様がAランクモンスターの群れを全滅させたとか、カリヤさんなんて、あの神速の雷神と名高い魔王クエントスも倒しちゃったって話も出てるんですよ!」
オリオンは楽しそうに話すが、私はまだギルドカードを持っていないので何も知らなかった。
「そうなんですか?私は何も知らなかったので、そんなことになってるなんて思いませんでした…」
「私もたまたま近くに居た冒険者さんの噂話で聞いただけですけど、これってカリヤさんもものすごく強いってことになりますよね!可愛くて強いなんてまさに最強ですよね!」
オリオンは嬉しそうに話す。
オリオンは今はシェラの屋敷のメイドとして街中で顔が知られており、またオリオンのコミュニケーション能力の高さや見た目の美しさから彼女を悪く言う者はおらず、ファンクラブや親衛隊まで結成されるほどの人気を誇っていた。
後にシェラから、「ギルドが国王に報告する前に全て解決しちゃったみたいよ」と聞いた時には噂話は凄いなと思った。
~翌日~
「凄い速さで広がってる…」
シェラが頭を抱えながら呟く。
本人の希望でシェラとカリヤの活躍は伏せられていたのだが、噂話と言うのは凄いものであっという間に国中に広まっていた。
「何か対策をしなければ…それこそ王族なんかに見つかったら面倒なことに…」
そんなことをシェラが言っていると「コンコン」と玄関扉がノックされる。
「すみません。シェラ様はいらっしゃられますか?」
聞いた事のない少女の声が聞こえる。
「嫌な予感がする…」
シェラはそんなことを言いながらも玄関扉を開ける。
「なんの御用でしょう?」
シェラの目線の先には金髪碧眼の髪の長い少女がいた。
胸は平らで黒いワンピースが少女の白い肌を包んでいた。
少女からは私に匹敵するくらいの魔力を感じた。
少女の後ろにはタレ目の犬耳の獣人がおり、如何にも護衛で高級な鎧着てますよ~と言う感覚を感じる。
獣人の方はそこそこの膨らみがあり、茶系の毛色をしており、しっぽの毛も含めて全体的に毛が長めであり、輝くような毛並みから綺麗に整えられてるのが分かる。
種族は中犬の黄金種かな?
巨犬にしては全体的に小さ過ぎるからね。
サイズ感は巨犬族の中でも小さい方のメイリーンの半分ほどしかないし…
いや、胸だけじゃなくて、体格とか背丈も含めた全体の話だよ?
「貴方がシェラ様ですか?」
少女が少し首を傾げながら言う。
シェラは表情を変えることなく言う。
「私がシェラだけど…貴方は?」
シェラがそう返すと少女がワンピースの裾を持ち上げて言う。
「私は中央の国:アーミア王家、第二冠の姫、エリス・アーミアです。」
エリスの第二冠と言うのは、王族の後継者である第一冠の王族の後に産まれた王族のことであり、簡単に言えば産まれた順番のようなものだ。
第二冠の王族は後継となる第一冠の王族と違い、権力はあまり無いが、かわりに王族としてはかなり自由な生活を送れるのだそう。
しかし、何らかの要因で第一冠の王族が後を継ぐことが出来ない状態になると第二冠が後継となる。
この場合は第二冠が第一冠の役目を担うようになり、王族としての振る舞いを要求され、後継の王族として育てられる為、権力はあるが、自由は無くなるらしい。
ちなみにアーミアでは、既に王子として民に知られているガーヴァレスが第一冠の王子なのだそう。
「シェラ…すごく嫌そうな顔してる…」
シェラの顔を見ながら、小さな声でカリヤが言う。
『あまりそういうことを言うなよ。聞こえてたら、面倒な事になること間違いなしじゃ。特にあれは王族じゃからな。元が異世界者の血族なこともあって、チート能力持ちが多いし、目をつけられると厄介この上ないぞ。』
この世界では、異世界者は神によって異世界から呼び寄せられたものであり、異世界転生や異世界転移を纏めて異世界者と呼んでいる。
そして、この世界では異世界者に二つの人種が確認されている。
一つはエリスの家系のアーミアにアメリカ人、もう一つは妖狐や鬼人族や極東の国の王家に含まれるニホン人だ。
異世界者は必ずと言っていいほど、異常な何かを持っている。
チート能力、チート技術、チートステータス…そういった、無敵で規格外の能力があるため、異世界者が現れると国中で争奪戦が始まるのだ。
持ってるものや見た目で転移者はすぐに見つかるが、転生者はほとんど見つからないと言われている。
「…気をつける。」
私には表情の違いがわからなかったが、カリヤにはシェラが嫌がっているのがよくわかるようだ。
「王族」の単語に反応してか、カリヤの表情がわずかに引き締められる。
「そうですか…そのエリスさんが私になんの御用で?」
シェラの声は少女に向けられるものとしてはとても冷たく聞こえる。
獣人が一瞬剣を抜こうとしたが、エリスはそれを軽く手を出して止める。
エリスはシェラの冷たい声を気にすることなく言う。
「そんなに警戒されなくても大丈夫ですよ。ただ私が個人的に貴方とお近づきになりたかったのです。噂のお方がどの様な方なのか知りたかったですし、出来ればお友達になれたら嬉しいな…と…」
エリスは後半は少しだけ恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う。
「…なるほどね。」
シェラの声がほんの少しだけ柔らかくなったような気がした。
「なので、まずはシェラさんの冒険譚を聞かせてください!冒険者ってことは冒険は欠かせませんよね!」
「いや、まだ冒険者になりたてで冒険してないし、明日から学生だよ。」
「そうだったのですか!?私、てっきり冒険者っていつもいろんなところに行ってるものだと思ってました!」
エリスは少しだけ考えて言う。
「ルイン、私、シェラ様のことが知りたいです!」
「…との事ですので、シェラ殿のことを教えてください。」
ルインと呼ばれた獣人が眠そうに言う。
「私は将来的には冒険者として世界を旅する予定ですので、アーミア国立冒険者学園に入学しますよ。世界を旅するなら、一般常識は知っておく必要がありますし、研究者として研究をするには、適した場所に行けるようにならないといけませんからね。」
シェラは研究者を志す者として、とても楽しそうに話す。
シェラは冒険者と言う肩書を研究者として活用しようと考えているようだ。
「そうなんですね!私もシェラ様のお友達として、一緒に冒険したいです!ルイン、学園に願書を出す手伝いをしてください!一刻も早くシェラ様と同じクラスに通えるようにするのです!」
「あの…さすがにそれは…国王様にご相談をしないと…」
ルインは助けを求めるようにシェラをチラッと見る。
しかし、助けを求める相手が悪かった。
「私の研究を手伝ってくれるのであれば大歓迎です!さっそくべリュティエールさんにかけあってみましょう!」
「ほんとですか?!やったー!冒険者学園なんて初めてですし、とても楽しみです~」
シェラとエリスが楽しそうに盛り上がっている傍らでルインは膝から崩れ落ちて顔を手で抑えていた。
尻尾が垂れ下がっているのを見るに、自分の選択を後悔しているのがわかる。
「ルイン…どんまい…」
カリヤが小さな声で言いながら、ルインの頭を撫でていた。
「よーし…善は急げです!エリスさん、着いてきてください!」
「はい!よろしくお願いします!」
シェラが言うとエリスはとても嬉しそうに一緒に飛び出して行き、あっという間に人混みの中に紛れて見失ってしまった。
「エリス様!?待ってくださいよ~!」
ルインが困った顔をしながらも何故かクラウチングスタートで追いかける。
「行っちゃった…渡したいものがあったんだけど…」
残されたカリヤが小さな声で言う。
『それなら、私が届けてきましょうか?』
そんな声が聞こえたと同時にカリヤの中から緋色の長い髪の赤い瞳の女性が現れる。
「ん~…まあ、後でも大丈夫だし、いいよ。」
カリヤがそう返すと「そうですか…」と言って女性の姿が消える。
女性の背は高く、胸も大きい姿は大人の女性の魅力を感じさせると認識出来た。
もっとも、この認識はネイアード様のプログラムした価値観の記憶の中での話だけど…
今のディアとしての価値観ではシェラとその仲間たち以外は等しく無価値に近いのだ。
世界を知らないと言うのも、その価値観に拍車をかける要因となっているのだろう。
この後、シャタルアからあの女性はカリヤの武器のレーヴァテインの化身のようなものだと教えてもらった。
…
あれから1時間くらいたった頃、シェラとエリスとルインが戻ってくる。
「こちらにルインの剣が落ちてませんでしたか?」
エリスが聞くと同時にシェラが剣を渡す。
「これかな?拾ったついでに研磨しといたわよ。斬ったらびっくりしちゃうかもね。」
シェラの言葉に目を丸くしたルインが刀身を抜いてマジマジと見る。
「これは…!斬らなくてもわかります!こんなに凄い研磨は見たことがありません!斬ると言うことに関しては伝承級に匹敵しますよ!私が見ていた限りでも研磨している様子はありませんでした。シェラさん、貴方は本当は名のある加工師だったりしませんか?」
この世界では鍛治や調合を含む物作りに関わる職業は加工師と言う職業で纏められており、武具に関わるものは鉄工師、薬剤に関わるものは薬学師、家具や建築に関わるものは設計師、料理に関するものは食材師と分けられる場合もあるが、基本的に全て加工師として扱われている。
「残念だけど、無名の一般人よ。私は研究が好きなだけであって、その産物としてたまたま多才になっただけ。その道を極めた者には遠く及ばないわ。」
シェラの言葉に偽りはない。
前世の誰もが認める究極の万能に至った大賢者のシェテラエンデに出来ないことは無い。
しかし、本人にとっては道を極めるたものには遠く及ばないと言う認識であり、実際にシェテラエンデを超える技術を持つものは居たのだ。
その考えはシェラと言う少女の身になっても変わっておらず、研究者としてありとあらゆる研究をし、知ることだけが最優先の目的だ。
そのことを彼女はよく知っている。
『やれやれ…この研究バカは…見栄張ってカッコつけるんじゃないですよ。』
『良いじゃん!今日はまだティアラちゃんに呆れられるようなことしてないもん!』
『何かやらかす前提なのは、どうなんですかねぇ…』
言ったそばからティアラに呆れられていた。
エリスはシェラを見て言う。
「シェラ様、もし良ければなんですけど、私の専属の研究者になりませんか?私のような王族に雇われれば、王族しか行くことの許されてない所にも行くことが出来ますし、シェラ様にとっても悪い話では無いと思うんですけど…」
エリスの潤んだ瞳がシェラの答えを遮る。
シェラとしては王族には良い思い出が無いので断りたかったのだ。
しかし、今はただの少女の身だ。
シェテラエンデの時代と異なり、制約も多く、ただの冒険者では行けないところも多いのだ。
シェラはいつもより真剣な表情で言う。
「わかりました。申し出を受け入れましょう。」
シェラがそう言うとエリスの表情が一気に明るくなる。
「ただし、条件があります。それはこの屋敷に住んでいる私の仲間も一緒であることです。それが出来ないのであれば、受け入れることは出来ません。」
シェラの言葉にエリスは当然だと言いたげに微笑む。
「もちろんですっ!シェラ様の次に皆さんにも私の護衛として雇うお話をしようと思っていたんです。シェラ様のお仲間の方の噂も聞いておりますし、シェラ様が仲間思いであることも存じてますからね。」
「アハハ!エリスさんに一本取られましたね!」
シェラの笑い声につられる様にエリスも笑う。
こうして、シェラは研究者として雇われた。
私はカリヤ、オリオンと一緒に護衛として雇われた。
「ただいま帰りました~!」
「ただいま戻りましたわ!」
玄関から二人の妖狐が元気よく入ってくる。
「あ、ユキちゃんとハラミちゃん!おかえり!」
二人はシェラの提案で服を買いに行っていたのだ。
ユキはほとんど裸みたいな服装だったし、ハラミもユキよりは露出度が低いが、真夏の男子の服装みたいな服装だった。
ハラミが嬉しそうに尻尾を振りながら、服を二着見せる。
「見てください!このシャツ、私の服と似てて素敵ですよね!」
ハラミの見せた服はハラミが今着ている服と同じような服だったので、シェラの笑顔が硬直した。
「ユキチャンハドンナフクヲカッタノカナ?」
ものすごくぎこちない話し方にカリヤが笑いを堪えていた。
「ゆ、ユキはこの服とこの服です…」
そう言ってユキが取り出したのはピンクのフリルがついた白いワンピースと黒いスーツのような服だった。
「ホッ…ユキちゃんはちゃんとした服で良かった…」
ボソッとシェラがつぶやく。
「こっちは普段着用として、こちらは学校用です。それと…」
ユキが二着の服を取り出す。
シェラはその服を見て目を丸くしていた。
「これはユキとシェラさんの服です。シェラさんの服もヨレているものがありましたし、ユキもシェラさんと同じデザインの服が欲しいと思ったので…」
ユキはそう言って黒いフリルが付いた白いワンピースをシェラに渡す。
ユキの方は白いフリルの黒いワンピースだ。
「ユキちゃんありがとう!私、すっごく嬉しいよ!」
シェラが笑顔で飛び跳ねながら喜んでいた。
それを見たユキも嬉しそうに微笑んでいたが、そんなシェラの様子を見たハラミは嫉妬した様子で難しい顔をしていた。
「クッ…ユキに先を越されてしまいました…呑気に買い食いしてる場合じゃありませんでしたね…」
「何やってるんだこの駄女狐は…」
突然シェラの中から出てきたティアラが呆れた様子で言う。
「…ティアラちゃん、日に日に毒が増えてません?」
遠くを見るような目でシェラが呟いていた。
「半分はどっかの大賢者さんのせいですけどね。それとこの魔法があれば服を買う必要は無いですよ。」
そう言うとティアラはハラミの服装をその辺の町娘のような服装に変化させる。
「ティアラちゃん、いつの間にそんな素晴らしい技術を身につけたの?!」
若干興奮気味に言うシェラにティアラは言う。
「シェラ様の知識を借りて作ったにすぎませんよ。ほら、人形の魔法あるでしょう?」
「なるほどね!あれの応用的なやつね!」
「さすが、シェラ様です。こういう時の理解は早くて助かります。」
「む、なんだか含みのある言い方をしてるな?まあ良いけどさ。」
吹き荒れる嵐のような勢いに置いていかれていたエリスがルインから書類を受け取りながら言う。
「あ、あの…先程の件の書類なんですけど…」
シェラはそれを受け取るとサインの記入欄にサラサラっと名前を書く。
「あいよ。」
「えっと…一応、読んでいただかないといけない重要書類なんですけど…」
「ん?エリスさんに従えば大丈夫じゃないんですか?」
「それはそうなんですけど…ほんとにこんな簡単にサインしてしまってもよろしいのですか?」
「良いんじゃない?だって、私に出来ないことはほとんど無いもの!」
エリスが助けを求めるかのように私を見る。
「シェラ様ですからね。」
私ではダメだと思ったのか、カリヤに続けてティアラも見るが、皆同じような反応だったので、諦めたようだった。
「わかりました。では、サインを受け取ります。」
エリスはシェラのサインが書かれた書類を受け取る。
そして、私たちもエリスの護衛として雇用される契約書にサインを記入する。
内容は私が全て記録したので問題は無いはずだ。
ついでにシェラの分も記録しておいた。
そこそこ重要なことが書かれていたが、今までのシェラを見た限りだと立ち入り禁止地区に関わりさえしなければ、問題は無いだろうと感じたのだが…
まさか、この2日後に誰かさんがやらかすとは、この時は誰も予想が出来なかっただろう。
その後、オリオン、ディア、カリヤ、ユキ、ハラミの5人のサイン済みの護衛としての契約書をそれぞれからエリスが受け取る。
日が暮れて空が茜色に染まった頃には、エリスは城に帰って行った。
「あ、やべ…明日の用意なんもしてない…」
シェラの呟きにティアラが呆れた様子でため息をついていた。
ユキとハラミも明日から同じクラスの入学者となる。
二人は直前ではあったが、逆にそのおかげでスムーズに手続きが進んで、あっという間に合格を勝ち取ってきたのだ。
「シェラ様が何の準備もしてないと思って、こっそりと買いこんでて正解でしたね。」
ティアラがそう言ってシェラ用の鉄の剣を二刀、ハラミとユキの鉄の剣をそれぞれ一刀ずつ自身のバックから取り出す。
「さっすが、ティアラちゃん!私の分だけじゃなくて、ユキちゃんたちの分も用意してくれるなんて賢いわ~!」
「この程度のことは出来て当然ですよ。ほんと、シェラ様は調子良いんですから…」
そう言って抱きついて頭を撫でるシェラの行動にティアラは少し恥ずかしそうにしていた。
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