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現代の常識学

邪悪な気配

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※今回は内容にカニバリズム的な表現が含まれております。
なるべく直接的な表現は控えておりますが、苦手な方は今回は読まずに次話までお待ちくださいませ。






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「ご報告申し上げます!」

私は頭を下げた兵士から報告を受ける。

「裏切ったか…」

私の声は私が思っていた以上に冷たく響いていた。

「申し訳ございません…」

「…下がってなさい。」

「はっ!」

私の命令で兵士は出て行く。

「エル、居るかい?」

「今度は何よ…」

私は声の主を見ることも無く言う。

「七がやられた。」

私はその言葉に振り返る。

声の主は燃えるような赤く長い髪から深紅の瞳を覗かせながら、私を見る。

「もう一度聞いてもいいかしら?」

私の声が低く響く。

「七がられた。それも獣人の子供に…だ。」

深紅の瞳が揺れる。

「あの七が…それも獣人ごときに…」

「あぁ…殺ったのはあの白い毛の獣人だそうだ。」

私の脳裏にとある貴族へ売り渡した奴隷の姿がチラつく。

異常な筋力値を記録していたが、それの性格は非常に臆病であり、自ら手を出すことはおろか、自身に危害が加わっても反撃すらせずにただ震えるだけの存在。

あの貴族が逮捕されてから、あの貴族に売り渡した奴隷どもは全て回収したつもりであったが…

「まさか生き残っていたとはな…しかし、あの首輪から逃れる方法があるなど信じ難いが…」

「俺もそう思っている。だが、あいつが気に入っている人間には変な噂があってな…」

私はその後の深紅の瞳の言うことに驚いた。

「人間は10程度の年齢でありながら、Aランクのモンスターを何体も討伐しているらしいんだ。中にはあの大地を喰らうモノだいちをくらうものをソロ討伐したなんて噂もあるくらいだから、信憑性は低いとは言え、本当だとするなら危険過ぎるな。」

「はぁ?!んな、バケモノどうしろってんのよ!Aランクを討伐なんてそうそう出来ることでは無いし、なによりも大地を食らうモノなんて、Aランクでもトップクラスのモンスターを討伐だけでも、うちの隊でもキツいのに、ソロ討伐をするなんてありえないわよ!?」

「だから言っただろう?信憑性は低い話だ。第一、そんな化物がいるなら、あのアーミアの王と言えど、傍に置かないわけがない。ギルドも報告をしないはずもないだろう?」

「そ、そうよね。急に怒鳴ってごめんなさい。」

私が謝ると深紅の瞳が言う。

「だが、火のないところに煙は立たないと言うし、用心することに変わりはない。噂に尾ひれがついてるだろうとは言えど、強敵である事には変わりないだろう。」

「そうね…」

私は深紅の瞳を見る。

根源の赤ルージュ、貴方に命じるわ。どんな手を使ってでも、その人間を捉えて、私の元に連れて来なさい。もちろん、報酬は弾むわよ。」

深紅の瞳はニヤリと笑う。

「任せな。俺の手にかかれば、ガキをさらって来るなんざ、朝飯前だからな。」

私は深紅の瞳の前に口を塞いで四肢を縛って動きを封じた白く長い髪の赤い眼の少女の裸体を投げる。

「んんん!?」

少女が怯えた様子で深紅の瞳から逃げようとする。

「こいつは活きのいい獲物だな。」

「ええ、私のコレクションの中でも潜在能力は高いわよ。」

「なら、遠慮なく…」

深紅の瞳の髪が大きな口のような形になる。

「んん…んんん…」

少女の顔が絶望に染まる。

「バクン!」と一口で少女が呑み込まれる。

そして、深紅の瞳が霧状になり、徐々に呑み込まれた少女の形を形成する。

「ハハッ!こいつはいい!前回のやつと違って、今度は俺の力にも耐えてくれそうだな!」

背の低い少女が主張の控えめな胸を張って言う。

「前回のものより、耐久性に焦点を当てた力作だ。反面、見た目が幼くなってしまったが、これならお前の動きにもついていけるだろう?」

「確かに前よりも動きやすいな。俺用に用意されたとなっちゃあ、存分に扱わせてもらうしかねぇな!」

少女はそう言って笑いながら、その辺に転がっていた下着や服を身につける。

しかし、服のサイズが合っておらず、ちょっと動けば脱げそうなサイズ感だが…

「あ、データを取りたいから、これをつけててちょうだい。」

私は少女に腕時計のような形の装置をつける。

「これはアレだろ?王様の持ってる変な機械だろ?」

「生命管理装置ね。それに関しては試作段階の機能もあるわ。魔術感知と言って、外部からの魔法を解析することも出来るの。それを遠隔で私に情報を送ることも出来る優れものよ。壊したりしないようにしなさい。それと異空間に機能もあるから、任務遂行に役立てなさいな。」

「そんなものなくても構わねぇと思うが、保険はかけとくに越したことはないな。」

「そういう事よ。」

少女が炎の翼を召喚して飛び立つ。

「しかし、Aランクを討伐する少女か…ルージュだけでは不安ね…」

私は「パチン」と指を鳴らす。

「シエル、ただいま参上しました。」

水色の長い髪の青い瞳で中性的な見た目のヒトが現れる。

その落ち着いた声からは男性的な印象を受ける。

「シエル、ルージュの手助けをしなさい。あの子だけでも十分だとは思うけど、念には念を入れるのが私のやり方よ。」

「御意。」

シエルは短く応えるとその場から消えるようにして居なくなる。

「さすがにも入れれば確実にいけるわね。」

私は秘密の扉を開けて、緑の液体に浮かぶ少女を見る。

「愛しのマリー…私の可愛い可愛いマリー…」

私は愛でるように少女の入った冷たいガラス管を撫でる。

「私の愛するマリー…貴方の身体ももうすぐ完成するわ…完成した暁には、また私と踊りましょうね。」

私はしばらくガラス管の中の少女を愛でて秘密の扉から出る。

「マリーのためにもグライベルの王には侵略活動を頑張ってもらわないとね。私は私らしく影に潜んで、マリーのために動くのよ。」

私はコレクションルームの扉を開ける。

様々な姿形の少女たちが磔のようにされていたり、赤い液体に満たされたガラス管の中に浮いていたり、手足を縛られて無造作に放置されていた。

「さてと…私のモルモットにもご飯をあげないとね。」

私は様々な食材を取り出す。

その中にはまるで干からびたミイラのような不気味な形をした干し肉の塊もあった。

それを見た1人の少女がおぞましいものを見たと言うような表情をする。

「安心なさいな。貴方のお友達ではないわ。それよりももっと魔力の質がいいものだもの。もちろん、貴方に拒否権なんて無いし、残さず食べさせるわよ。」

私はそれを簡単に調理する。

「い…や…」

少女が縛られた手足を使って必死に逃げようとする。

しかし、そんな少女の抵抗も虚しく私の手から逃れることは出来ない。

「言ったわよね?拒否権はないって。逆らえばどうなるかは貴方のお友達が身体を張って教えてくれたはずよ。」

少女はそれでも嫌そうな顔をしたまま歯を食いしばって口をギュッと閉じる。

「無駄なことを…」

私は魔力を使って無理矢理少女の口を開けさせて、調理したものを流し込む。

「うっ…えっ…」

少女が吐き出そうとするが、そんなことを許すわけもない。

「吐き出すことが出来ないように改造したってわかってるでしょう?無駄な抵抗はやめなさいな。私が改造したモルモットとは言え、身体を壊されたら後処理がめんどくさいのよ。」

少女の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「貴方がここから逃れる術は無いし、涙を流した程度では何も変わらないわ。不良品も再利用しなくちゃリソースが勿体無いのよ。本当なら、もっと良い餌を用意したいのに、あいつが融通が利かないダメ個体だからねぇ…私もあれの調理は嫌なのよ。ギャーギャーうるさくて処理がめんどくさいし、そのままだとただのモルモットの貴方たちでは食べれないしねぇ…」

私は次々に調理しては磔やその辺に放置された少女たちに食べさせる。

私は弱った少女を中に入れて処理をする。

「反抗するモルモットどもには困ったものね。弱ったモルモットも私が処理しなければならないし…とは言え、大事な大事な私の作品になるのだから、ほっとく事は出来ないわね。」

私はコレクションルームのさらに奥の扉を開けて中に入る。

そこには5人ほどの少女がいた。

その少女たちも手足を縛られており、怯えた表情をしていた。

私はそのうちの1人の身体を持ち上げる。

「今日はこれにしましょ。」

怯えた表情の少女が抵抗しようとする。

「大人しくしなさい。どうせ、生きては帰れないのだから、無駄な抵抗はしないでちょうだい。」

私は少女の手足の紐を解いて処理をする。

「はぁ…まだ暴れるなんて、本当に煩わしいわ…まあ、活きがいいのは、それだけ良質な証拠なんだけど…」

緑の液体の中で浮かぶ3mはありそうな巨大な体の少女に残った少女を入れて処理する。

巨大な少女の大きなお腹が少しだけ大きくなる。

「稼働時のエネルギーを蓄えさせてるとは言え、中身が死んでないかだけは気がかりね…」

私は次の食事の用意をする。

「さてと…次はこいつらでいいかしら…」

私は専用の装置にまた5人の手足を縛った少女を並べる。

「この作品が完成すれば、この体ともさよならね…13年以上の付き合いもそろそろ終わりだと思うと感慨深いものがあるわね。」

私は巨大な体の少女を見る。

装置が完成までの予定時刻を表示している。

「残り13日の辛抱ね…」

私は部屋を出て鍵を閉め、コレクションルームの戸締りもしっかりとする。

「私も動き始めますかね。」

私は部屋を出る。

「…」
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