11 / 37
記憶の断片
少女、招集される。
しおりを挟む
「シェラちゃーん!遊びに来ましたよー!」
玄関の扉を開けてシェラを呼ぶ知らない女性の声が聞こえる。
「シェラ様なら、カリヤさんとお出かけになられましたよ。」
メイド服を来た少女がその女性の前まで移動して言うと女性は驚いた様子で目を丸くしていた。
「わわっ!驚きました…気がつかなくてごめんなさいね。」
「いえ、お構いなく。私はそう言う性質ですので、気がつかないのも無理は無いです。」
「そ、そうなんだ…」
私は魔族の間で固有能力と呼ばれる特殊なスキルを持っているのです。
私の場合ですと、蜃気楼と呼ばれるスキルがありますね。
このスキルは私と任意の対象を認識し難くさせる力があります。
この力の性質上、必ず自分が能力の影響を受けた状態を保たれるようになります。
ただし、自分の契約者とシャタルア様のような格上の魔族には効果が全く無いか効果が薄い場合が多いです。
とは言っても、私は人間で言うところのBランク程度の力がございますので、決して弱い訳では無いのです。
言うなら、上位層の力を持っているのです。
それでも、契約の力には抗えないんですけどね…
「あの…良かったら、お名前を教えてもらっても良いかな?一応、私もシェラちゃんのパーティの仲間だし、貴方もシェラちゃんのパーティになるんでしょ?」
私は自信たっぷりに胸を張る。
でも、シェラ様みたいに大きくは無いですね。
とても平坦です。
シャタルア様の様な角も無いですね。
普通のヒトの子と思われても無理は無いです。
魔族としてはちょっと悔しいですけど…
「私の名前はティアラです。シェラ様がつけてくださった初めての名前なのです!」
「そうなんだ!私はメイリーンです。ティアラちゃん、よろしくね!」
メイリーンは陽に当たって白く輝く毛を揺らして翡翠の目を嬉しそうに細めて言う。
私の髪より白く優しそうな翡翠の目は信用しても良いと直感的に感じた。
まあ、視線はなんか同性に向けるにしては異常だけど…
「シェラちゃんが一番だけど、ティアラちゃんも可愛いなぁ…ぐへへ…二人と温泉に行きたいなぁ…あ、カリヤちゃんも連れて行きたいから、三人だね!はぁ…はぁ…想像しただけで体温上がって来た…ぐへ…ぐへへへ…」
前言撤回、この人はヤバい人だ。
油断したら、襲われる。
そんなやり取りをしているとシャタルアさんが私たち二人を見て言う。
「ティアラ、メス犬、今すぐ我に着いてくるのじゃ。招集?があるでな!」
「ちょっと!レディーに対してメス犬扱いは酷いんじゃないかしら?」
メイリーンが「プンスコ」と口で言いながら怒る。
そう言うのって自分で言うものじゃないと思うんですけど…
「いや、あんな発情期のケモノの様な顔してたら、メス犬扱いも仕方なかろうて…」
シャタルアさんが呆れた様子で言う。
申し訳ないけど、私もそれには同意します。
そんなことを考えながら、私は急いで出る用意を済ませる。
…
「お待たせしてすみません」
私は会議室に案内されて入室直後に頭を下げて謝罪する。
「おう。待ったぜ!」
エールはそんな事を言いながら笑う。
「ティアラちゃん、こっちだよ。」
シェラが自分の隣の席を指さす。
反対の隣の席には眠そうなカリヤがいた。
「失礼します。」
私が座り、メイリーンも座る。
シャタルア様は何故か立ったままでしたが、ただ単に椅子が合わなかっただけとの事です。
高位の魔族は私たちとは何かが違うのでしょうか?
後でシャタルア様にお伺いしなくては…
「んで、今日お前らにここに来てもらったのには理由があってな。」
エールがそう言って説明しようとするが、メイリーンが若干食い気味に言う。
「エール、先に内容を教えてください。理由もそこにあるのでしょう?」
「あ、あぁ…まあ、そうなんだが…」
エールは一旦咳払いをすると言う。
「お前らはシェラの正体は知っているな?」
私以外の全員が頷く。
「すみません。私は何も存じ上げておりませんが、それが関係するのですか?」
シャタルアが大きな欠伸をしながら言う。
「ふわぁ~…シェラはあのシェテラエンデの生まれ変わりなのじゃ。」
大賢者シェテラエンデ様、それは私たち魔族の間でも凄まじい力を持った伝説の大賢者です。
そして、魔王シャタルア様のお母様でもあります。
全ての魔の始祖であるシェテラエンデ様は人間界では魔法神であると同時に私たち魔族の中でも魔神として崇められているお方です。
「て言うことは…私は…」
私はシェラの顔を見る。
シェラは何かを考えている様子で顎に手を置いて首を傾げていた。
「そういうことじゃな。」
シャタルアは短く肯定する。
「ひえぇ…」
私はとんでもないお方と契約を結んでしまったようです。
そんな私を尻目にエールが言う。
「んで、お前らにはそのシェテラエンデ様の家に向かって貰いたいんだ。つまりは調査依頼だな。」
メイリーンが納得出来ないと言いたげに言う。
「エール、それだけの理由なら私たち全員を招集する必要はありませんよね?シェラちゃんのこと…もとい、転生について調べる必要があるのですよね。」
「ガッハッハッ!メイリーンにはかなわねぇな!だが、この依頼はあくまでも調査依頼だ。転生については報告義務は無いぜ。あくまでもシェテラエンデ様の家に関する事だけだ。ほれ、書類通りだろ?」
エールがメイリーンに書類を渡しながら言う。
「…そうですね。確かにシェテラエンデ様の家についての報告のみが依頼内容ですね。」
メイリーンが書類を見ながらため息をつく。
「そういうことだ。それに勝手に個人の秘密をバラすわけにはいかねぇしな。」
「エールにしては気が利きますね…もしかして、脳でもイジられてます?」
「相変わらず容赦ねぇな…お前は…ま、俺にだってそのくらいの配慮をする脳はあるってこった。」
エールがそう言った直後、シェラが思いついたように言う。
「お昼はカツカレーにしよう!」
場がシーンと静まり返る。
「あっ…」
シェラも気がついた様子で恥ずかしそうに頬を掻く。
「す、すみません…お腹空いちゃって…」
「だから、あれほど飯を食えと言っておいたじゃろ…全く…」
シャタルアが呆れた様子で言う。
「だってぇ…招集があるなんて思ってなかったんだもん…」
シェラが拗ねたような声を出しながら言う。
「あはは!シェラちゃん、お腹空いちゃったのね!後でエールのお金でたくさんご飯を食べるわよ!」
メイリーンがいつの間にか取ったエールの財布をヒラヒラさせる。
「おい!他はともかく、お前の食事量じゃ、俺の財布に穴が空いちまうだろ!」
エールが財布を取り返そうとするが、メイリーンが谷間に財布を挟んだ事で手出しが出来なくなっていた。
「ほらほら、エール、ここにお財布がありますよ~」
「それはズルだろ…」
エールは大きなため息をつきながら、両手を上げて降参のポーズをする。
「エールのそう言うところは好きですよ。」
メイリーンがニコニコ微笑みながらエールに財布を返す。
「そりゃどうも。」
エールは大きなため息をはいていた。
「すぴー…すぴー…もう食べられないよ…すぴー…すぴー…」
「カリヤは寝とるやないかいっ!」
シャタルアが勢いよくツッコミを入れると「ぷぅ?」と鼻音を鳴らしてカリヤが起きる。
「ん…くあ~!寝てた…」
カリヤは大きなあくびをしながら言う。
あ…ヨダレの跡がついてます…
シャタルアが呆れた様子でハンカチを取り出してカリヤの口を拭く。
「んにゃ…ありがとう…」
「…起きてるんじゃぞ。」
「うん…頑張りま…すぅ…はっ!」
カリヤは再度寝かけてハッとした様子で起きる。
自由なヒトたちですね。
このヒトたちだけだと絶対トラブル確定演出待ったナシですね。
自由過ぎて逆に怖いです。
ここは私とメイリーンさんでなんとかしないと…
あ、ダメだ…
メイリーンはカリヤさんの方を見て鼻血出してます…
自分で言うのもアレですけど、まともなのが私しか残って無いじゃないですか!
先行き不安要素しか無いんだけどぉ!?
…失礼。かなり取り乱しました。
「…調査依頼と言うことは報酬も出るのですよね?」
私は気を取り直してエールに聞くとエールは「もちろんだ」と言う。
「基本報酬の5000Gとそれに加えて、報告内容による達成報酬もあるみたいだな。詳しい事は何も知らされてないから知らねぇけど…」
「えぇ…それはとても怪しい依頼なのでは?」
私の疑いの目に臆する事なくエールは言う。
「それについては安心してくれ。一応、国王直々の依頼だからな。」
「…ヒトの王は随分と身勝手なんですね。」
「全くだぜ。おかげで冒険者からはこっちが悪く言われるもんでたまったもんじゃねぇ…」
私が呆れるとエールも同じように考えていたようだ。
「なら、その王に躾をしてきましょうか?ちょうど試したい魔法があるんですよ。」
シェラが楽しげに言う。
「辞めてくれ!俺の首が飛んじまうよ!」
「あはは!冗談ですよ~」
エールが勢いよく止めにかかるとシェラは笑って冗談だと言うが、目が本気だった。
本気と書いてマジと読むやつの目でしたよ。
「ま、いっか。その王のおかげで私は目的を果たせるし、感謝しとかないとね。」
シェラがそう言うとカリヤは「終わったの?」と首を傾げる。
「はぁ…はぁ…可愛いが…いっぱいで…鼻血と脳汁が止まりませんわぁ…」
…うん。メイリーンさんは間違いなく変態の神様ですね。
「はぁ…はぁ…ティアラちゃんのゴミを見るような目も可愛い…」
ここまで来ると一周まわって普通に見えてきました。
間違いなく異常なほど変態なのには変わりないですけど…
私もまだまだ修行が足りないのでしょうか…
いや、変態の修行なんかしてないですけど!
「あぁ…ティアラちゃんが私を見てる…可愛い…」
メイリーンが恍惚とした表情でこちらを見ている。
「もうヤダこのヒトォ…」
その視線に頭を抱える私の虚しい呟きは誰の耳にも入らないのでした。
「よーし!やる気出して行くぞー!」
「おー!」
「ふわぁ…我も久々に楽しくなってきたのじゃ。」
「はぁ…はぁ…シェラちゃんがやる気満々で可愛い…天使過ぎる…カリヤちゃんも拳を突き上げてて可愛い…」
あ、このヒト、シャタルア様には反応しないんですね…
羨ましい…
玄関の扉を開けてシェラを呼ぶ知らない女性の声が聞こえる。
「シェラ様なら、カリヤさんとお出かけになられましたよ。」
メイド服を来た少女がその女性の前まで移動して言うと女性は驚いた様子で目を丸くしていた。
「わわっ!驚きました…気がつかなくてごめんなさいね。」
「いえ、お構いなく。私はそう言う性質ですので、気がつかないのも無理は無いです。」
「そ、そうなんだ…」
私は魔族の間で固有能力と呼ばれる特殊なスキルを持っているのです。
私の場合ですと、蜃気楼と呼ばれるスキルがありますね。
このスキルは私と任意の対象を認識し難くさせる力があります。
この力の性質上、必ず自分が能力の影響を受けた状態を保たれるようになります。
ただし、自分の契約者とシャタルア様のような格上の魔族には効果が全く無いか効果が薄い場合が多いです。
とは言っても、私は人間で言うところのBランク程度の力がございますので、決して弱い訳では無いのです。
言うなら、上位層の力を持っているのです。
それでも、契約の力には抗えないんですけどね…
「あの…良かったら、お名前を教えてもらっても良いかな?一応、私もシェラちゃんのパーティの仲間だし、貴方もシェラちゃんのパーティになるんでしょ?」
私は自信たっぷりに胸を張る。
でも、シェラ様みたいに大きくは無いですね。
とても平坦です。
シャタルア様の様な角も無いですね。
普通のヒトの子と思われても無理は無いです。
魔族としてはちょっと悔しいですけど…
「私の名前はティアラです。シェラ様がつけてくださった初めての名前なのです!」
「そうなんだ!私はメイリーンです。ティアラちゃん、よろしくね!」
メイリーンは陽に当たって白く輝く毛を揺らして翡翠の目を嬉しそうに細めて言う。
私の髪より白く優しそうな翡翠の目は信用しても良いと直感的に感じた。
まあ、視線はなんか同性に向けるにしては異常だけど…
「シェラちゃんが一番だけど、ティアラちゃんも可愛いなぁ…ぐへへ…二人と温泉に行きたいなぁ…あ、カリヤちゃんも連れて行きたいから、三人だね!はぁ…はぁ…想像しただけで体温上がって来た…ぐへ…ぐへへへ…」
前言撤回、この人はヤバい人だ。
油断したら、襲われる。
そんなやり取りをしているとシャタルアさんが私たち二人を見て言う。
「ティアラ、メス犬、今すぐ我に着いてくるのじゃ。招集?があるでな!」
「ちょっと!レディーに対してメス犬扱いは酷いんじゃないかしら?」
メイリーンが「プンスコ」と口で言いながら怒る。
そう言うのって自分で言うものじゃないと思うんですけど…
「いや、あんな発情期のケモノの様な顔してたら、メス犬扱いも仕方なかろうて…」
シャタルアさんが呆れた様子で言う。
申し訳ないけど、私もそれには同意します。
そんなことを考えながら、私は急いで出る用意を済ませる。
…
「お待たせしてすみません」
私は会議室に案内されて入室直後に頭を下げて謝罪する。
「おう。待ったぜ!」
エールはそんな事を言いながら笑う。
「ティアラちゃん、こっちだよ。」
シェラが自分の隣の席を指さす。
反対の隣の席には眠そうなカリヤがいた。
「失礼します。」
私が座り、メイリーンも座る。
シャタルア様は何故か立ったままでしたが、ただ単に椅子が合わなかっただけとの事です。
高位の魔族は私たちとは何かが違うのでしょうか?
後でシャタルア様にお伺いしなくては…
「んで、今日お前らにここに来てもらったのには理由があってな。」
エールがそう言って説明しようとするが、メイリーンが若干食い気味に言う。
「エール、先に内容を教えてください。理由もそこにあるのでしょう?」
「あ、あぁ…まあ、そうなんだが…」
エールは一旦咳払いをすると言う。
「お前らはシェラの正体は知っているな?」
私以外の全員が頷く。
「すみません。私は何も存じ上げておりませんが、それが関係するのですか?」
シャタルアが大きな欠伸をしながら言う。
「ふわぁ~…シェラはあのシェテラエンデの生まれ変わりなのじゃ。」
大賢者シェテラエンデ様、それは私たち魔族の間でも凄まじい力を持った伝説の大賢者です。
そして、魔王シャタルア様のお母様でもあります。
全ての魔の始祖であるシェテラエンデ様は人間界では魔法神であると同時に私たち魔族の中でも魔神として崇められているお方です。
「て言うことは…私は…」
私はシェラの顔を見る。
シェラは何かを考えている様子で顎に手を置いて首を傾げていた。
「そういうことじゃな。」
シャタルアは短く肯定する。
「ひえぇ…」
私はとんでもないお方と契約を結んでしまったようです。
そんな私を尻目にエールが言う。
「んで、お前らにはそのシェテラエンデ様の家に向かって貰いたいんだ。つまりは調査依頼だな。」
メイリーンが納得出来ないと言いたげに言う。
「エール、それだけの理由なら私たち全員を招集する必要はありませんよね?シェラちゃんのこと…もとい、転生について調べる必要があるのですよね。」
「ガッハッハッ!メイリーンにはかなわねぇな!だが、この依頼はあくまでも調査依頼だ。転生については報告義務は無いぜ。あくまでもシェテラエンデ様の家に関する事だけだ。ほれ、書類通りだろ?」
エールがメイリーンに書類を渡しながら言う。
「…そうですね。確かにシェテラエンデ様の家についての報告のみが依頼内容ですね。」
メイリーンが書類を見ながらため息をつく。
「そういうことだ。それに勝手に個人の秘密をバラすわけにはいかねぇしな。」
「エールにしては気が利きますね…もしかして、脳でもイジられてます?」
「相変わらず容赦ねぇな…お前は…ま、俺にだってそのくらいの配慮をする脳はあるってこった。」
エールがそう言った直後、シェラが思いついたように言う。
「お昼はカツカレーにしよう!」
場がシーンと静まり返る。
「あっ…」
シェラも気がついた様子で恥ずかしそうに頬を掻く。
「す、すみません…お腹空いちゃって…」
「だから、あれほど飯を食えと言っておいたじゃろ…全く…」
シャタルアが呆れた様子で言う。
「だってぇ…招集があるなんて思ってなかったんだもん…」
シェラが拗ねたような声を出しながら言う。
「あはは!シェラちゃん、お腹空いちゃったのね!後でエールのお金でたくさんご飯を食べるわよ!」
メイリーンがいつの間にか取ったエールの財布をヒラヒラさせる。
「おい!他はともかく、お前の食事量じゃ、俺の財布に穴が空いちまうだろ!」
エールが財布を取り返そうとするが、メイリーンが谷間に財布を挟んだ事で手出しが出来なくなっていた。
「ほらほら、エール、ここにお財布がありますよ~」
「それはズルだろ…」
エールは大きなため息をつきながら、両手を上げて降参のポーズをする。
「エールのそう言うところは好きですよ。」
メイリーンがニコニコ微笑みながらエールに財布を返す。
「そりゃどうも。」
エールは大きなため息をはいていた。
「すぴー…すぴー…もう食べられないよ…すぴー…すぴー…」
「カリヤは寝とるやないかいっ!」
シャタルアが勢いよくツッコミを入れると「ぷぅ?」と鼻音を鳴らしてカリヤが起きる。
「ん…くあ~!寝てた…」
カリヤは大きなあくびをしながら言う。
あ…ヨダレの跡がついてます…
シャタルアが呆れた様子でハンカチを取り出してカリヤの口を拭く。
「んにゃ…ありがとう…」
「…起きてるんじゃぞ。」
「うん…頑張りま…すぅ…はっ!」
カリヤは再度寝かけてハッとした様子で起きる。
自由なヒトたちですね。
このヒトたちだけだと絶対トラブル確定演出待ったナシですね。
自由過ぎて逆に怖いです。
ここは私とメイリーンさんでなんとかしないと…
あ、ダメだ…
メイリーンはカリヤさんの方を見て鼻血出してます…
自分で言うのもアレですけど、まともなのが私しか残って無いじゃないですか!
先行き不安要素しか無いんだけどぉ!?
…失礼。かなり取り乱しました。
「…調査依頼と言うことは報酬も出るのですよね?」
私は気を取り直してエールに聞くとエールは「もちろんだ」と言う。
「基本報酬の5000Gとそれに加えて、報告内容による達成報酬もあるみたいだな。詳しい事は何も知らされてないから知らねぇけど…」
「えぇ…それはとても怪しい依頼なのでは?」
私の疑いの目に臆する事なくエールは言う。
「それについては安心してくれ。一応、国王直々の依頼だからな。」
「…ヒトの王は随分と身勝手なんですね。」
「全くだぜ。おかげで冒険者からはこっちが悪く言われるもんでたまったもんじゃねぇ…」
私が呆れるとエールも同じように考えていたようだ。
「なら、その王に躾をしてきましょうか?ちょうど試したい魔法があるんですよ。」
シェラが楽しげに言う。
「辞めてくれ!俺の首が飛んじまうよ!」
「あはは!冗談ですよ~」
エールが勢いよく止めにかかるとシェラは笑って冗談だと言うが、目が本気だった。
本気と書いてマジと読むやつの目でしたよ。
「ま、いっか。その王のおかげで私は目的を果たせるし、感謝しとかないとね。」
シェラがそう言うとカリヤは「終わったの?」と首を傾げる。
「はぁ…はぁ…可愛いが…いっぱいで…鼻血と脳汁が止まりませんわぁ…」
…うん。メイリーンさんは間違いなく変態の神様ですね。
「はぁ…はぁ…ティアラちゃんのゴミを見るような目も可愛い…」
ここまで来ると一周まわって普通に見えてきました。
間違いなく異常なほど変態なのには変わりないですけど…
私もまだまだ修行が足りないのでしょうか…
いや、変態の修行なんかしてないですけど!
「あぁ…ティアラちゃんが私を見てる…可愛い…」
メイリーンが恍惚とした表情でこちらを見ている。
「もうヤダこのヒトォ…」
その視線に頭を抱える私の虚しい呟きは誰の耳にも入らないのでした。
「よーし!やる気出して行くぞー!」
「おー!」
「ふわぁ…我も久々に楽しくなってきたのじゃ。」
「はぁ…はぁ…シェラちゃんがやる気満々で可愛い…天使過ぎる…カリヤちゃんも拳を突き上げてて可愛い…」
あ、このヒト、シャタルア様には反応しないんですね…
羨ましい…
0
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる