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【巨大聖戦編】第7章「誰がための選定」
175話 葬儀前日
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最高神生誕祭での事件、及び宮殿が襲われた事件の終結から二日ほどが経過した頃。僕は鍛冶屋に赴き、カトラスさんの作業が終わるのを待っていた。
僕たちが人間の箱庭に行っている間、再び街が襲撃されるようなことはなかった。とはいえ、繁華街は閑散としており、神々は外を不用意に出歩かなくなった。
僕はいつぞやのように鍛冶屋の空きスペースで本を読み、時間を潰している。ここ二日間の天気はずっと悪い状態だ。空が灰色の雲に覆われ続け、冷たい雨が降りしきっている。そのせいなのか気分が沈みっぱなしで、本の内容に集中できない。同じ文章を何度も読んでしまうくらい、注意力散漫だ。
「クリム。武器の修理が終わったぞ」
「は、はい。ありがとうございます」
カトラスさんの声が聞こえたので、本を閉じた。彼の元へ向かうと、折れていたはずのガラスの剣がすっかり元通りになっていた。ガラスをベースにした特殊な刃が使われていると以前聞いていたから、直すのも難しかったのだと思う。
僕もさすがに叱責されると思い、頭を下げる。
「ごめんなさい、カトラスさん。剣を折ってしまって」
「そんな律儀に謝らんでよい。逆に今までよく壊さないでいてくれたのう。あまり落ち込むでない」
予想とは裏腹に、カトラスさんは気の毒そうに微笑んだ。自分の作った武器を壊されることを嫌っているはずなのに、こちらを責めないのが不思議だった。
「あの、カトラスさん。アリアは……」
「わしが預かっておると言ってるじゃろう。心配せんでいい」
一度頭を上げて尋ねるも、何回も聞いた答えが返ってくる。
キャッセリアに帰ってきてから、アリアとはめっきり会えていない。カトラスさんがどこかに連れて行ったきりだ。意識は戻っているようだけど、リミッターもない状態ではすぐに暴れ出すらしい。暴れかけるたび、カトラスさんが昏倒させているとのことだ。
僕が診療所や他の場所を探しても、アリアを見つけることができなかった。襲撃されて以降放置されている宮殿も探したが、僕が思い当たる場所はすべて的外れだった。
「一度でいいから会いたいんです、お願いします」
剣を修理してもらったときよりも深く頭を下げた。雨が降る音と火花が散る音だけが聞こえ、沈黙が漂う。その末に、カトラスさんはため息をついた。
「葬儀が終わったら話を聞いてやるから、それまで大人しく待っておれ」
半分無理やり剣を押し付けて、鍛冶屋の奥に引っ込んでしまった。いくら尋ねてもこの調子で、本当に会わせる気があるのかさえ不明だ。
アイリス様が亡くなられたことが公になったとき、ほとんどの神々が動揺した。中には泣き叫んだり、絶望のあまり立つ力を失った者まで現れた。
まもなくアイリス様の葬儀が執り行われる。カトラスさんが準備を進めてくれていて、その後他に亡くなった神たちの葬儀もまとめて行うらしい。
居場所を話してくれない以上、どうしようもない。一度、デウスプリズンに戻ることにした。
「今回は随分と大がかりな事件になってしまいましたね。失ったものも少なくありませんでした」
僕が書き終わったばかりの書類を眺めながら、ヴィータがそんなことを言った。彼女は例のごとく、僕の書斎のベッドに座っている。一度は血まみれになったベッドのシーツは、ヴィータが取り替えておいてくれた。
「記録、あとどのくらいで終わりますか」
「まだ三つ項目が残ってる」
「わたしも手伝えたらいいんですけどね。毎回、わたしはここでお留守番ですから」
直してもらったばかりのガラスペンを記録用紙に走らせながら、そんな話をする。
アイリス様やトゥリヤ、ナターシャ、レイチェルさんのように死んでしまった神の他、トルテさんやミラージュのように行方をくらました神のこともすべて記録している。
トゥリヤがいなくなってしまった今、現代の歴史を完全に記録できる存在はいない。元々替えが利かない能力を持っていたから、彼の代わりになれる者なんていない。
今、こうして事件の記録をやっているが、これが終わったら街の状況などもしっかり記録しておかなくてはいけない。トゥリヤが担っていた部分を、今度は僕が埋める形になる。
「『最高神代替候補』……アイリスは何を考えて、自分の代わりを作ったのでしょうね」
さっき、「最高神代替候補」についての記録を書き終わったばかりだ。ヴィータが僕の書いた記録を眺めながら呟いている。
今となっては、アイリス様の気持ちなんて知りようもない。時折ひどく冷酷な態度をとった理由もそうだが、今なら少し理由がわかる気がする。
「多分、アイリス様はずっと余裕がない状態だったんだと思う。『最高神代替候補』の神たちを作ったときも、デミ・ドゥームズデイが起きたときも」
「それはなんとなく理解できますが……彼女は未熟すぎたのでしょう。初代最高神ほどの功績を求めることも、うまく立ち振る舞おうとした彼女を責めることもできません」
ヴィータは現代の事情を知らず、逆に僕たちの知らない古代の事情はよく知っている。アイリス様の前代、彼女の言う初代最高神については、僕たちは何も聞かされていない。
それこそ、記録が残っていれば当時の状況も把握できただろうけど、古代に生きていた者がほとんどいない今となっては何も知りようが────
「そういえば、カトラスさんが古代のことについて話してくれた記憶がないな」
「何も聞かされていないのですか?」
「それだけじゃない。他にも教えてくれないことが色々ある。アリアの居場所だってそうだよ」
ヴィータは僕たちに対して、必要以上に古代の話をしない。それは「後世まで語り継ぐには凄惨すぎる悲劇だった」からだ。カトラスさんも同じ考えで話してこなかったのだろうか。
「あいつは元々そういう奴ですからね。ですが、古代の件を話そうとしないのは、あなたたち現代神が生まれた理由と直結するのかもしれません」
「僕たちが生まれた理由?」
「あなたたちは、どのようにして自分たちが生み出されていたのか知っているんですか?」
言われてみれば、考えたことがなかった。
アイリス様は最高神だから、命を生み出すという奇跡の力でも持っているのだろうと勝手に思っていた。実際、この話を振られるまでは無意識のうちにそう結論づけていた。
だけど、本当はどのような仕組みで神が生まれているのか、何も知らない。
「よぉ、何の話してんだ?」
ノックもなく、無遠慮に書斎の扉が開けられた。扉から顔を覗かせてきたのは、青と赤のオッドアイを持つ真っ黒な天使の男だ。
ヴィータはムッとした顔になって、クロウを睨みつける。
「クロウリー、どうして未だにここにいるんですか。ミストリューダの件はもう済んだ話でしょう」
「シファもノーファも、預言者って奴もまだ生きてるだろ。預言者に関してはオマエらよりもオレの方が知ってること多いし、ここに置いておいた方が得だと思わねーか?」
「……それはその通りですが。お兄様にも尋ねてみましたけど、ほぼ初対面だったようですし」
一連の事件の区切りがついたときから、クロウはこのような言い訳を使ってデウスプリズンに住み着くようになった。僕は最初だけ拒否していたが、クロウは特に危害を加えるようなこともなく、いくら言っても聞かないので今は放っておいている。
結局、キャッセリアに戻ってきてからは姉弟や預言者とも出くわしていない。だからといって油断できるはずもなく、キャッセリアは未だに警戒状態が続いている。
「で、何の用ですか。クリムは今事件の記録で忙しいですよ」
「この間の事件で追加の薬パクってたの思い出したんだよ。オレは今更使う気になれないから、オマエらにやる」
クロウが懐から、いつぞやに見た小瓶を三つほど取り出し、僕に向かって放り投げてきた。慌てて受け止めたけど、こいつは割れ物を扱っている自覚が足りないんじゃないかと思ってしまう。
受け取ったのは、ノーファが作ったとされる紺色の「薬」だ。一個だけならともかく、複数も手に入れる前も盗んだようなことを言っていたが、今度は一体誰から盗ったのやら。
「クリム、あれ持ってんだろ? アスタの腹に穴開けた奴」
「……ああ、ナターシャが持ってた黒いナイフのこと? 一応回収はしてあるけど」
「まだ持ってる奴がいるかもしれねーし、あれの対策に持っとけ。アストラル由来のデバフに対する唯一の特効薬だからな」
盗品であるだけに気は進まないが、使えるものは使った方がいい。一応、どこかでアスタに渡す分も含めてヴィータに二つ渡しておく。余った一つは、書斎の机の引き出しに入れておいた。
ナターシャがアスタに向かって振り回していたナイフも、同じ引き出しに入れてある。僕はともかく、ヴィータやアスタに触らせるのは危険なので、あまり目のつかない場所に保管しているのだ。
「そういやジュリオの奴、セルジュが来た途端に起きてるみたいだが。大体寝てばっかなのに、反省する気あんのか?」
「さあ……一応自分の行いは省みてるようだけど」
ジュリオは生誕祭から数日間、ずっと無理をし続けていたから仕方がない。四六時中眠っているわけではないし、僕の呼びかけには応えてくれる。
彼はアイリス様を殺そうとしたわけだが、死刑にしてしまうよりも色々情報を得るのが賢い選択だろう。今はほとんど暴れる気がないようだし、現状、僕たちの敵であるミストリューダに一番詳しい人物だから。
「クリム。何か悩み事でもあんのか?」
「……別に」
「ま、言いづらいなら構わねーけどな。どうしてもって言うなら、聞いてやらんこともない」
僕が何を考えているのか察したらしく、妙に物分かりが良い態度で書斎を後にした。
ちなみに、クロウはアイリス様の葬儀に参列する気はないようだ。表に出られるような立場でもないから、当然と言えば当然だが。
僕たちが人間の箱庭に行っている間、再び街が襲撃されるようなことはなかった。とはいえ、繁華街は閑散としており、神々は外を不用意に出歩かなくなった。
僕はいつぞやのように鍛冶屋の空きスペースで本を読み、時間を潰している。ここ二日間の天気はずっと悪い状態だ。空が灰色の雲に覆われ続け、冷たい雨が降りしきっている。そのせいなのか気分が沈みっぱなしで、本の内容に集中できない。同じ文章を何度も読んでしまうくらい、注意力散漫だ。
「クリム。武器の修理が終わったぞ」
「は、はい。ありがとうございます」
カトラスさんの声が聞こえたので、本を閉じた。彼の元へ向かうと、折れていたはずのガラスの剣がすっかり元通りになっていた。ガラスをベースにした特殊な刃が使われていると以前聞いていたから、直すのも難しかったのだと思う。
僕もさすがに叱責されると思い、頭を下げる。
「ごめんなさい、カトラスさん。剣を折ってしまって」
「そんな律儀に謝らんでよい。逆に今までよく壊さないでいてくれたのう。あまり落ち込むでない」
予想とは裏腹に、カトラスさんは気の毒そうに微笑んだ。自分の作った武器を壊されることを嫌っているはずなのに、こちらを責めないのが不思議だった。
「あの、カトラスさん。アリアは……」
「わしが預かっておると言ってるじゃろう。心配せんでいい」
一度頭を上げて尋ねるも、何回も聞いた答えが返ってくる。
キャッセリアに帰ってきてから、アリアとはめっきり会えていない。カトラスさんがどこかに連れて行ったきりだ。意識は戻っているようだけど、リミッターもない状態ではすぐに暴れ出すらしい。暴れかけるたび、カトラスさんが昏倒させているとのことだ。
僕が診療所や他の場所を探しても、アリアを見つけることができなかった。襲撃されて以降放置されている宮殿も探したが、僕が思い当たる場所はすべて的外れだった。
「一度でいいから会いたいんです、お願いします」
剣を修理してもらったときよりも深く頭を下げた。雨が降る音と火花が散る音だけが聞こえ、沈黙が漂う。その末に、カトラスさんはため息をついた。
「葬儀が終わったら話を聞いてやるから、それまで大人しく待っておれ」
半分無理やり剣を押し付けて、鍛冶屋の奥に引っ込んでしまった。いくら尋ねてもこの調子で、本当に会わせる気があるのかさえ不明だ。
アイリス様が亡くなられたことが公になったとき、ほとんどの神々が動揺した。中には泣き叫んだり、絶望のあまり立つ力を失った者まで現れた。
まもなくアイリス様の葬儀が執り行われる。カトラスさんが準備を進めてくれていて、その後他に亡くなった神たちの葬儀もまとめて行うらしい。
居場所を話してくれない以上、どうしようもない。一度、デウスプリズンに戻ることにした。
「今回は随分と大がかりな事件になってしまいましたね。失ったものも少なくありませんでした」
僕が書き終わったばかりの書類を眺めながら、ヴィータがそんなことを言った。彼女は例のごとく、僕の書斎のベッドに座っている。一度は血まみれになったベッドのシーツは、ヴィータが取り替えておいてくれた。
「記録、あとどのくらいで終わりますか」
「まだ三つ項目が残ってる」
「わたしも手伝えたらいいんですけどね。毎回、わたしはここでお留守番ですから」
直してもらったばかりのガラスペンを記録用紙に走らせながら、そんな話をする。
アイリス様やトゥリヤ、ナターシャ、レイチェルさんのように死んでしまった神の他、トルテさんやミラージュのように行方をくらました神のこともすべて記録している。
トゥリヤがいなくなってしまった今、現代の歴史を完全に記録できる存在はいない。元々替えが利かない能力を持っていたから、彼の代わりになれる者なんていない。
今、こうして事件の記録をやっているが、これが終わったら街の状況などもしっかり記録しておかなくてはいけない。トゥリヤが担っていた部分を、今度は僕が埋める形になる。
「『最高神代替候補』……アイリスは何を考えて、自分の代わりを作ったのでしょうね」
さっき、「最高神代替候補」についての記録を書き終わったばかりだ。ヴィータが僕の書いた記録を眺めながら呟いている。
今となっては、アイリス様の気持ちなんて知りようもない。時折ひどく冷酷な態度をとった理由もそうだが、今なら少し理由がわかる気がする。
「多分、アイリス様はずっと余裕がない状態だったんだと思う。『最高神代替候補』の神たちを作ったときも、デミ・ドゥームズデイが起きたときも」
「それはなんとなく理解できますが……彼女は未熟すぎたのでしょう。初代最高神ほどの功績を求めることも、うまく立ち振る舞おうとした彼女を責めることもできません」
ヴィータは現代の事情を知らず、逆に僕たちの知らない古代の事情はよく知っている。アイリス様の前代、彼女の言う初代最高神については、僕たちは何も聞かされていない。
それこそ、記録が残っていれば当時の状況も把握できただろうけど、古代に生きていた者がほとんどいない今となっては何も知りようが────
「そういえば、カトラスさんが古代のことについて話してくれた記憶がないな」
「何も聞かされていないのですか?」
「それだけじゃない。他にも教えてくれないことが色々ある。アリアの居場所だってそうだよ」
ヴィータは僕たちに対して、必要以上に古代の話をしない。それは「後世まで語り継ぐには凄惨すぎる悲劇だった」からだ。カトラスさんも同じ考えで話してこなかったのだろうか。
「あいつは元々そういう奴ですからね。ですが、古代の件を話そうとしないのは、あなたたち現代神が生まれた理由と直結するのかもしれません」
「僕たちが生まれた理由?」
「あなたたちは、どのようにして自分たちが生み出されていたのか知っているんですか?」
言われてみれば、考えたことがなかった。
アイリス様は最高神だから、命を生み出すという奇跡の力でも持っているのだろうと勝手に思っていた。実際、この話を振られるまでは無意識のうちにそう結論づけていた。
だけど、本当はどのような仕組みで神が生まれているのか、何も知らない。
「よぉ、何の話してんだ?」
ノックもなく、無遠慮に書斎の扉が開けられた。扉から顔を覗かせてきたのは、青と赤のオッドアイを持つ真っ黒な天使の男だ。
ヴィータはムッとした顔になって、クロウを睨みつける。
「クロウリー、どうして未だにここにいるんですか。ミストリューダの件はもう済んだ話でしょう」
「シファもノーファも、預言者って奴もまだ生きてるだろ。預言者に関してはオマエらよりもオレの方が知ってること多いし、ここに置いておいた方が得だと思わねーか?」
「……それはその通りですが。お兄様にも尋ねてみましたけど、ほぼ初対面だったようですし」
一連の事件の区切りがついたときから、クロウはこのような言い訳を使ってデウスプリズンに住み着くようになった。僕は最初だけ拒否していたが、クロウは特に危害を加えるようなこともなく、いくら言っても聞かないので今は放っておいている。
結局、キャッセリアに戻ってきてからは姉弟や預言者とも出くわしていない。だからといって油断できるはずもなく、キャッセリアは未だに警戒状態が続いている。
「で、何の用ですか。クリムは今事件の記録で忙しいですよ」
「この間の事件で追加の薬パクってたの思い出したんだよ。オレは今更使う気になれないから、オマエらにやる」
クロウが懐から、いつぞやに見た小瓶を三つほど取り出し、僕に向かって放り投げてきた。慌てて受け止めたけど、こいつは割れ物を扱っている自覚が足りないんじゃないかと思ってしまう。
受け取ったのは、ノーファが作ったとされる紺色の「薬」だ。一個だけならともかく、複数も手に入れる前も盗んだようなことを言っていたが、今度は一体誰から盗ったのやら。
「クリム、あれ持ってんだろ? アスタの腹に穴開けた奴」
「……ああ、ナターシャが持ってた黒いナイフのこと? 一応回収はしてあるけど」
「まだ持ってる奴がいるかもしれねーし、あれの対策に持っとけ。アストラル由来のデバフに対する唯一の特効薬だからな」
盗品であるだけに気は進まないが、使えるものは使った方がいい。一応、どこかでアスタに渡す分も含めてヴィータに二つ渡しておく。余った一つは、書斎の机の引き出しに入れておいた。
ナターシャがアスタに向かって振り回していたナイフも、同じ引き出しに入れてある。僕はともかく、ヴィータやアスタに触らせるのは危険なので、あまり目のつかない場所に保管しているのだ。
「そういやジュリオの奴、セルジュが来た途端に起きてるみたいだが。大体寝てばっかなのに、反省する気あんのか?」
「さあ……一応自分の行いは省みてるようだけど」
ジュリオは生誕祭から数日間、ずっと無理をし続けていたから仕方がない。四六時中眠っているわけではないし、僕の呼びかけには応えてくれる。
彼はアイリス様を殺そうとしたわけだが、死刑にしてしまうよりも色々情報を得るのが賢い選択だろう。今はほとんど暴れる気がないようだし、現状、僕たちの敵であるミストリューダに一番詳しい人物だから。
「クリム。何か悩み事でもあんのか?」
「……別に」
「ま、言いづらいなら構わねーけどな。どうしてもって言うなら、聞いてやらんこともない」
僕が何を考えているのか察したらしく、妙に物分かりが良い態度で書斎を後にした。
ちなみに、クロウはアイリス様の葬儀に参列する気はないようだ。表に出られるような立場でもないから、当然と言えば当然だが。
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