ディバイン・レガシィー -箱庭の観測者-

月詠来夏

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第6章「最高神生誕祭」

128話 半滅の日にて(2)

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 僕が生まれて二百年近くが経った頃。キャッセリアを、悲劇の日が襲った。
 デミ・ドゥームズデイ────この日の数日前から、クロウはなぜか行方不明になっていて、僕を含めた他のアーケンシェンもそれぞれの仕事が溜まりに溜まっていたので、各々の処理に追われていた。
 そんなとき、キャッセリアに、突然魔物の大群が押し寄せてきた。しかも、敵は魔物だけじゃなかった。

「神に、襲われた……!?」

 街を警戒しながら歩いていた際、僕は運び神の青年から話を聞いていた。その運び神の足元には、深く赤い髪の男が倒れている。アーケンシェンではない一般神だが、アーケンシェンとそこそこ近い年に生まれた神であった気がする。

「俺、弟と彼女とはぐれたので探していたんですけど……ここに来たとき、このひとが倒れていたんです。頭を強く殴られたことによる出血死らしいんですが、魔物による傷じゃないと魔特隊の神が言っていて……」
「だからって、神が神を襲うなんて……」
「あと、これは単なる噂なんですけど、魔物の大群の中にクロウリー様の姿があったらしくて……」

 なん……だって?
 神が魔物に与する────その事実が、この事態をより深刻なものにしていたのは明白だった。

「わかった、ありがとう。君も早く安全な場所に避難して。弟君と彼女さんも見つけたら、同じように促すから」
「は、はい! ありがとうございます、クリム様」

 見知った街は、悲劇の舞台となっていた。僕は街まで侵攻してきた数多の魔物を斬り捨て、地面に転がった死体を踏まないよう気をつけながら、街を駆けていた。
 しばらく走っていると、建物や地面の損傷が著しい場所を見つけた。石畳が激しく抉れた部分に溜まった血の池に、見知った女性が倒れていた。

「アリアっ!!」

 翼がひどく切り裂かれ、両手剣の刃が折られていた。僕がアリアを抱き起してすぐに身体が動き出し、緑と青のオッドアイが苦しげに開かれた。

「クリム……来てくれたんだ……」
「〈光よ、我が友の傷を癒せ〉!!」

 アリアを光の魔力で包み込み、回復を試みる。しかし、治りが異様に遅かった。見ただけではわからないが……傷が深すぎるみたいだ。

「私じゃ、クロウを止められなかったよ……あのひと、いつの間に変わっちゃったんだね……」
「喋らないで! 傷を早く塞がないと……!」
「ごめん……でも、喋ってないと気が落ち着かないんだ……」

 なかなか塞がらない傷跡は特徴的なものだった。ただ血が流れ出ているだけではない、流れ出す血が通常よりも黒い。

「……クロウの固有魔法って、こういう感じなんだね……説明されるだけじゃピンと来なかったんだけど、呪いって結構厄介だね……」

 きっと、戦いの最中に固有魔法を使われたのだろう。アーケンシェン同士が本気でやり合った結果が、この有様だ。
 僕の力では、傷を治すことはできないかもしれない。それでも、魔法は止めなかった。

「ねぇ……私たちって、本当に神様なのかなぁ……」

 ふと、アリアがそんなことを呟く。気が気でない僕は、自分の耳を疑った。

「お話の中の神様は、もっと万能で絶対的な存在だったのに……私たちは、そんなものよりずっと程遠いね。人間よりも強いって信じてたけど……これじゃあ、人間と変わらないよ……」

 力なく笑うアリアは、自分が知る中で一番弱々しい姿だった。仲間であり、家族でもあるひとが、ここまで傷つくのを見たくなかった。
 何より────彼女は、僕の一番の憧れだったのだ。

「あとさ……さっき戦ってたときに、クロウに力奪われちゃってさ……取り返せるかわからないんだ。できるなら、クリム……あなたに取り返してほしいんだけど……」
「やるよ。クロウは僕が止める。だからアリア、元気になって」

 魔法の効果が思うように現れないまま、アリアの瞼が重たそうに閉じられようとしている。慌てて力のない手を握った。

「あはは……私、もうダメみたい……」
「っ、嫌だ! 死なないで、アリア!!」
「ごめんね、クリム……ダメな、おねーちゃんで……ごめん、ね……」

 そこからは、もうまともな言葉を聞くことができなかった。
 なぜなら────目を閉じて力を失ったはずの彼女が急に胸を押さえて苦しみだしたからだ。

「ううっ!? がっあぁぁ、なに、これ、痛い痛い痛い痛いあぁああぁぁああぁぁああぁッ!?」
「アリア!? どうして、魔法が……!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!! 私まだ死にたくない!!! みんなを残して逝くなんて嫌ああああああぁぁぁ!!!」

 みるみるうちに光の魔法が解けていき、魔力が消え失せていく。それは、得体の知れない力が侵食してきたことによるものだった。僕にはどうにもできない。アリアの名前を呼び続けることしかできなかった。 
 ────やがて、アリアの絶叫が止んだ。まだ、生きている。しかし、不意に起き上がり、ゆらりと身体を揺らした後……僕を睨みつけてきた。

「……誰だ、テメェ……」

 天使そのものだった彼女からは考えられないくらい、低く呻くような声だった。歯を食いしばり、フーフーと荒い呼吸を繰り返す様は、まるで獣のようだった。

「っ!? アリア、どうしたの!?」
「テメェッ、私に何をした!! 死ねぇッ!!」

 彼女は僕を認識していないのか、突然暴れ始めた。剣は既に折れていたから、刺されることはない。しかし、伸ばされた腕は僕の首を掴み、尋常でない力を込められていく。

「かはっ……やめて、アリア……!」
「テメェが私をこうしたのか!? 私を呪ったのはお前か!? あぁ!?」
「知ら、ない……僕じゃない……どうしたんだよ、アリアっ!!」
「じゃあ誰だよッ! 吐きやがれ!! 吐けないなら死ねぇぇ!!」

 僕よりもアリアの方が腕っ節が強い。このままでは、確実に殺される。当時の僕にはアリアに剣を向けるという選択肢さえなかった。
 そんなとき、誰かがアリアの身体に向かってタックルをかました。おかげで、アリアの拘束から逃れることができた。

「クリム様! 早くここから離れてください!!」
「こほっ……君は、さっきの……!」
「レオーネです! アリア様は俺が引き付けますから、クリム様は他のみんなを!!」
「テメェ、うるせぇよ! 邪魔すんな!!」

 激昂状態のアリアが次の標的に選んだのは、僕を助けてくれた運び神────レオーネ君。
 恐ろしいことに、アリアは素手でレオーネ君の腹を貫いたのだ。

「くふっ……アリア、様……」
「レオーネ君!!」
「クリム様っ……早く逃げて!! あなたまでおかしくなったらこの街は終わる!!! そんなの俺は嫌だ!!!」

 最期の訴えさえも、アリアが喉を蹴って潰した。戦うことのできぬ運び神は、なすすべもなく殺されたのだ。
 アリアに対する弱さが招いた悲劇に立ち向かえず、僕は逃げ出した。



 クロウを見つけて戦ったときのことは、よく覚えていない。それだけ、クロウを捕まえるのに必死だった。自分の固有魔法を奪われても、無我夢中でクロウを止めようとしていた。
 決死の思いでクロウを捕らえたときには、神と魔物の最大の戦争は終わりを迎えようとしていた。魔物側に寝返った立場の神のほとんどが、戦いの終結を機に姿を消した。残った手がかりは、クロウだけだった。

「クリム。お主に命令じゃ」

 アイリス様が現れたとき、僕は気を失ったクロウを抱えていた。彼女は杖をカンと勢いよく地面に突いて、いつにも増して厳しい顔で告げる。

「クロウリーが知っている情報は全部吐かせよ。もし、何も吐かないようなら────お主が殺せ」

 こんな命令、初めてだった。
 アイリス様は鬼だ。やっと地獄が終わったと思ったのに、また地獄に身を投げろというのか?
 驚いたことに、僕はこんな状況になってもまだ、クロウのことを案じていたのだった。

「ち、ちょっと待ってください、アイリス様。クロウにも事情があるかもしれないじゃないですか。すぐに殺さなくても────」
「そやつはもうアーケンシェンではない。お主がクロウリーの代わりになるのじゃ。そやつのせいでアリアが死にかけたことを忘れたのかえ?」

 血の気を失い、狂ってしまったアリアの顔を思い出す。彼女のことを考えたら、これで終わりにしていいはずがない。
 けれど、僕はアリアの前で密かに誓った。僕は誰かを救う神になりたい。そのために誰かを殺していいはずはない。もし、それが許されてしまうなら────魔物に与した神々と同じになってしまう。

「クリム、お主は賢くて真面目な子じゃ。アリアがよく面倒を見てくれたおかげじゃよ。恩人に等しい彼女を見殺しにするような真似、しないじゃろう?」

 どうして、そんな言い方を。そんな風に言われたら、あなたに生み出された僕たちは逆らえるわけ────

「アイリス様、僕は」
「選択を誤るではないぞ。神を神たらしめるもの……役割を忘れるな」

 そう言って背中を向けて、彼女は僕の前から去っていった。
 ────アリア。アイリス様は、僕たちが思っていたよりもずっと……冷酷だったよ。



 ここからは、何度も夢で見た光景だった。
 血の臭いが薄暗い部屋に充満していた。視界が揺れる。ぶれる目線の先に、再生する力すら失ったみすぼらしい黒翼が見えた。
 記憶の中の僕は、鎖で四肢を繋がれた男を嬲っていた。何度も何度も剣を刺し、赤黒い池を作り、気絶したら顔を蹴って目覚めさせた。慣れないけれど毒だって、拷問器具だって使った。
 なのに殺せない。人間に比べたら神は頑丈だと言われているから、そのせいだろうか。
 血の池に映りこんだ僕の顔は、凍り付いていた。無表情のまま傷つけ続けている。早く死んでほしいのに。こんな地獄、今すぐに終わらせたいのに。

「……オマエ、殺したことないだろ」

 呼吸を乱す相手の言葉に胸が痛む。奥歯を噛み締めると、あまりにも力が強いのか歯が軋む。

「あるわけ、ないだろ。僕にとって、お前が最初の死刑囚なんだから」
「あー……オマエ意外と甘ちゃんだもんな……っぐぅ!?」

 生意気な口を蹴りたくる。もう何の言葉も聞きたくなかったから。
 身体が熱い。怒りで身体が燃え盛っていると錯覚していた。

「よくもアリアを……僕たちを裏切ったな! お前なんかを慕っていた僕が愚かだった! とっとと地獄に落ちろ!!」

 罵詈雑言をいとも容易く吐き捨てられるくらい、憎しみで満たされていた。裏切られた悲しみがすべて憤怒へと変換されていく。
 胸が張り裂けそうだ。心が痛い。ここまで誰かを憎んだのは、この時が初めてだったと思う。
 どうして、こんなことになってしまったんだろう────できることなら、叶うことなら、このひとを殺したくはなかった。魔物の味方をした理由を話してくれれば、もしかしたら生き延びさせることができたかもしれないのに。

「……武器持ってるくせに殺し方知らねぇのかよ。呆れたな」

 蔑むような顔で吐き出された言葉に、また怒りが増幅される。
 顎で指し示されたのは、血まみれのガラスの剣だった。

「早く終わらせたいんだろ。なら早くとどめを刺せばいいじゃねぇか」
「……ふざけてるのか、お前」
「それはこっちのセリフだ。こんなちんたらやってていいのか?」

 自分がこれから死ぬというのに、嗤っている。
 変だった。昔から、こいつはどこかおかしかった。今に始まったことじゃない。
 仲が良いとまではいかなくても、それなりに付き合っていたはずなのに。どうして、クロウが得体の知れないものに見えてしまうのだろう?

「オレは知ってるぞ。オマエらは真実を知るのが怖いんだ。見たくないものから目を背けるために、どれだけ理不尽な命令でも聞き入れてんだろ?」

 ここで僕は彼の趣味を思い出した。研究とやらの果てに辿り着いたんだ。
 憎たらしそうに、恨めしそうに、僕を見ている。吊り上がる口元は裂けてしまいそうなくらいに変形し、狂ったオッドアイに理性などは残っていなかった。

「教えてやるよ。この世の神の正体を。能天気に暮らすアイツらも、オレもオマエたちも、みんな────」

 なぜか、その答えを聞くのがひどく怖くなった。
 気づけば、僕は奴の首を剣で一突きして、斬り裂いていた。
 ────ゴトン。
 何かが落ちたような重苦しい音を最後に、急に辺りが静かになった。響き渡るのは自分の呼吸だけ。手が震える。持ち慣れたはずの剣が地面に落ち、カランと乾いた音を立てる。
 ………………死んだ? いや、違う。殺したんだ。
 他でもない、この僕が。

「っ、あ……? どう、して……ク、ロ……?」

 どうして? そんなの決まっている。僕が殺したんだ。
 言葉がうまく出てこず、その場に膝をつく。身体から力が抜け、小刻みに震え始める。
 僕が殺したかったわけじゃない。命令されたから、仕方なくやったんだ。僕はただ、従っただけだ。
 涙とともに言い聞かせる。僕は悪くないと、ただひたすら言い訳を並べ立てる。

「っ、嘘だ、こんなの嘘だ、違う、違う、違う……っ────」

 誰もいない牢獄でただ一人、慟哭する。
 どうして、こんな役割を背負うのが僕だったんだ。他のみんなは誰かを殺さなくたっていいのに。
 ────今ならはっきりと理由を思い出せる。
 誰もが嫌がった汚れ役を背負っていたのは、僕がたった今殺した仲間だからだ。



 それから、僕はかつてのクロウのようにデウスプリズンで暮らすようになった。
 クロウを殺してしばらくの間、僕は眠るたびクロウの夢を見ていた。そのときはいつも、薄暗い部屋の中で立った状態で目を覚ます。
 思わず血の匂いにむせ返りそうになり、嫌な光景が視界に映って……目の前には、脳裏に焼き付いたままの生首が転がっている。
 僕にいつも嫌味を言っていた仲間の生首が、ずっと僕を見ている。光を失い死んだ双眸が、一心不乱で僕を見つめている……そんな夢。

「なんだよ、怖いのかよ。オレを殺したくせに。命令に逆らえず仲間を葬ったくせに」

 いつもいつも、心臓が軋むような痛みに耐えながら、彼を拒絶していた。やめて、もうクロウは死んだんだ、もう会いたくない。そう叫んでも、奴はニヒルな笑みを浮かべ、ケタケタと乾いた声を漏らしてくる。

「オマエが殺したからだよ。オマエが殺したから、オレはオマエの記憶に焼き付いて離れられなくなったんだ。全部、オマエのせいだよ。オマエが殺したオマエが殺したオマエが殺したオマエが殺した……」

 闇の中で妖しく輝く目から、背筋がぞくっとするような冷たい光から、意識を逸らせない。間近の双眸から視線を逸らさないでいると、妖しい光が目に焼き付きそうになる。
 気が狂いそうだった。こんなおぞましい夢を毎晩のように見せられたら、思い込みは激しくなるばかりだ。

(ああ、そうだ。僕は神殺しだ。クロウを殺した僕が、誰かと笑ってていいはずがない。あいつはずっと、僕を見ているんだ────)

 どうにもできない苦しみを自覚した途端、感情は緩やかな死へと突き進む。

「そうだ、オマエの罪はオマエがずっと覚えていろ。この苦しみに終わりはない。全部オレが引き受けてやってたんだから、あとはオマエがどうにかしろよ」

 そうしているうちに、夢は見なくなった。奴の亡霊が現れることもなくなり、普通に眠れるようになったのだが。代わりに、誰かと深い関わりを持つのが怖くなってしまった。
 クロウのことを思い出したら、僕は何度も自分を見失いそうになる。周りに動揺を悟られないようにするのが精いっぱいなのは、デミ・ドゥームズデイから百年経った今でも変わらない。



 あまりにも息苦しく、激しい胸の痛みで目を覚ました。見慣れた灰の天井を目の前にして、僕は過呼吸を繰り返している。
 最近、毎夜のように昔の夢を見る。それも、思い出すたび胸が痛くなるようなものばかり。
 まるで、「忘れるな」と訴えかけてきているみたいだった。

「また、うなされていましたよ」

 ベッドの縁に座る、長い銀髪の少女。眠っていた僕の傍らに、なぜかヴィータの姿があった。

「なん、で……ここに?」
「今日は早起きだと言っていたでしょう。時間になっても起きてこないので、叩き起こそうと思ってたのですが」

 ああ……そうだった。今日は、最高神生誕祭の初日だ。
 早朝から開祭式があり、アイリス様の他にアーケンシェンも全員出席しなくてはいけない。遅刻するわけにはいかないと思い、早めに起きることにしていたのだ。
 正直、今年はそれさえも億劫に感じてしまう。先日の出来事もあって、アリアと顔を合わせるのも気が引けるし。
 適当に身だしなみを整えつつ、必要なものを持って書斎を出て行こうとした。デウスプリズンから出るところで、ヴィータが僕のマントを引っ張った。

「朝食、食べて行かないんですか。弁当、一つ送られてきているのですが」
「それはヴィータの分。今日明日は向こうで食べるんだ」
「そうですか。ならいいんですけど」
「じゃあ、留守番よろしくね」

 余計なことばかり考えて、式に遅れることだけは避けたかった。僕はヴィータの制止も聞かず、デウスプリズンから飛び立った。
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