ガチャ狂いの聖女さま

Ryoha

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聖女がガチャに狂うまで

013.聖女、原因を突き止める①

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「確かにこの辺りのはずだけど、何もないように見えるわね」

 ソナーによって異変が見つかった場所に辿り着いた私とリリスですが、リリスの言う通りここには何もないように見えました。ですが私には秘密兵器があります!

「ふっふっふっ。とうとうこの時が来たようですね!!」

「また主様がおかしくなったわね」

 おかしくなったとは失礼です! ですがこれを見ても同じことが言えますか!?

「トレーサー・トレーラー!! です!!」

────────────────────
名称:トレーサー・トレーラー
 物や人の痕跡を追跡するミニチュアトレーラー型の魔道具。どのような隠蔽がかけられたとしても必ず見つけ出し、どんな痕跡でも見逃さない。

追跡フィルター:特定の人物や種族に固有の痕跡を事前に設定し、その特徴を強調して表示することで、対象の痕跡のみを効率的に追跡する。

痕跡再現:痕跡に基づき、過去にその場所で行われた動きを映像のように短時間再現する機能。
────────────────────

 これは空を飛んでいるときに回したガチャで出たURアイテムです。カードの説明によるとものや人の痕跡を探すことができる魔道具らしいので、これを使ってスタンピードの原因を探ろうと言う作戦です!

「なるほどね。魔物が多くいる場所を探すなんていうおおざっぱな作戦でどうするのかと思っていたけど、ちゃんと考えはあったのね。確かにこのアイテムを使えば何かしらの痕跡を見つけることができるかもしれないわ。暇さえあればウィンドウを確認していたのはガチャアイテムの効果を調べるためだったのね」

「あれ、ディスられました?」

「そんなことないわ。思慮深く見えてほんとは考えなしなところがある主様にしては考えていたと褒めたところよ」

「やっぱりディスってますよね」

「気のせいよ」

 まあ、いいでしょう。

 トレーサー・トレーラーをカードから実体化させると地面に置いて隠蔽されているものを探すように設定します。地面に置くと小さいトレーラー型の魔道具は自動的に動き出し、ごとごとと音を立てて真っ直ぐに進んでいきます。

「やっぱり何かあるみたいですね」

 しばらく動いているのを見ているとトレーサー・トレーラーが止まりました。その先に見えたのは、一見ただの木が植えられている空間のようでしたが、トレーサー・トレーラーがその木にフロントライトの光を当てると枝に置かれた闇色の香炉と木に巻き付いた薄汚れた鎖が姿を現しました。

「こ、これは!!」

「主様はこれを知っているのかしら?」

「何でしょう?」

「紛らわしい反応をするんじゃないわよ!」

 パチコーンとリリスのツッコミが頭に叩き込まれます。ガチャアイテムの使用でおかしなテンションになってしまったかもしれないですね。気を引き締めていきましょう。

「どう考えても怪しいですよね」

「怪しいわ。調べたほうがいいわね」

「そうですね。ですがどうやって調べましょうか」

「ふーん。主様にしてはガチャ勘が鈍いんじゃないかしら?」

「ガチャ勘ですか?」

 そんな勘を持ち合わせた覚えはないですが、つまりガチャにまつわることで何か解決策があるということですね。

「わかりました! あの香炉と鎖をカード化するんですね」

「その通りよ」

 通常、ガチャで出た以外のアイテムはカード化することはできませんが、ガチャで出た〈ガチャ収納〉の効果を使えばそのようなアイテムでもカード化することができます。そしてカード化することでそのアイテムの効果を確認できると言う寸法です。

「では早速アイテム化を……」

「あっ、ちょっと待って。アイテム化には一律50000ゴルドかかるから注意するのよ。あと、カード化するには香炉と鎖に触れないといけないけど危険だから王女に貰った聖布を使ったほうがいいわ」

「わかりました」

 あらためて聖布で両手を覆って香炉と鎖に触れます。鎖に触れたときバチっという反発が起こりましたが、私には何事も起こりません。おそらく何らかの効果を無効化してくれたのでしょう。王女様グッジョブです。

「それではカード化します!」

 ガチャで出た合計100000ゴルドを全部注ぎ込むと、アイテムが一瞬光り、急速に形を変えカードの形に整形されました。

「どうやらうまくできたようね」

手元にある2枚のカードには〈誘引の香炉〉、〈絶叫の鎖〉という文字が綴られていました。

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