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── 2章 ミニック編 ──
079.〈天秤〉の真価とアルトの情報
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ジャイアンラビットとの激闘の後、部屋の奥に豪華な作りの扉が現れた。
『扉が出てきたのです!』
『だね。あそこから出れるのかも』
ミニックがとととっと走って近寄っていく。
近づくと扉は自動で開かれた。
『お宝なのです! たくさんあるのです!』
ミニックの言う通り、キラキラと輝く宝石や貴金属が山のように置かれた部屋に出た。その中央には大きな宝箱が鎮座している。これが隠し部屋の攻略報酬ということなのかな? Cランクの魔物を倒しただけでこの報酬とはかなりの破格待遇だね。これももしかすると〈天運〉のおかげだったりするのかもしれない。
『今ある麻袋だと持ちきれないね』
『なのです。ちょっと勿体無いのです』
奥の方にはさらに出口になるであろう扉が設置されている。ふと思って後ろを見てみると入り口はいつの間にか無くなっていた。
それが不思議ではあるけど今はそれは問題ではない。入口がなくなるというなら出口も無くなる可能性があるというところが問題だ。
おそらくこの部屋を出てしまうと戻ってくることはできないと思う。そんな予感がする。
『〈天秤〉で交換してみる?』
『あのお宝たちをです?』
『うん。〈天秤〉は等価交換だからね。もしかするとよりコンパクトな物に交換してくれるかもしれないよ』
『なるほどなのです。でも逆もありえるのです?』
確かにそうだ。だけど。
『多分大丈夫だと思うんだよね』
『わかったのです。信じるのです』
ミニックの許可も取ったことだしわたしは〈天秤〉を発動する。
<交換するアイテムを選んでください>
交換するのはお宝だね。
するとミニックの目の前にあったお宝は全部消え失せる。
<交換アイテムの消費を確認しました。〈天秤〉を開始します……完了しました。〈収納〉と交換しました>
何も出てくる様子はない。
というか〈収納〉? それってもしかして?
────────────────────
名前:ミニック
種族:小人族
技能:全銃技
天の声
収納
魔法:無
恩恵:自由神の勇者の種
────────────────────
技能の欄に〈収納〉が増えてる!
────────────────────
技能:収納
無生物の物体を収納または取り出しできる。容量は無限。収納したものは分類整理され念じれば特定のアイテムを瞬時に取り出すことができる。時間停止機能あり。
────────────────────
これって異世界転生モノによくあるチートスキルじゃないですか!? ミニックがチート技能を手に入れました!
どうやら〈天秤〉って物質同士の交換以外にも技能とも交換できるみたいだね。もしかすると技能と技能の交換なんかもできちゃったりして?
『どうなったのです? 何も出てこないのです』
『お宝は技能になりました』
『どういうことなのです?……もしかして全部消えてしまったのです?』
『うん。だけど技能になったよ?』
『意味がわからないのです。悪魔さんひどいのです』
ミニックが泣きそうな顔になってしまう。
そうだった。この世界では技能は一人一つが常識だった。ミニックにしてみれば技能が増えたなんてわかるはずもなく何も交換できていないように見えてしまう。
ミニックの泣き顔にはイライラさせられてるわたしだけど流石に今回はこっちが悪い気がしてきた。
『ごめんって。でも絶対に役に立つから』
その後、頑張って説明してわたしはことなきを得たのであった。
◇◇◇
ミニックは6階層のウサギたちをジェノサイドしてダンジョンから帰還した。現在は冒険者ギルドだ。めずらしくアイリスじゃない受付嬢に対応してもらいながら買取の処理をしてもらう。
ミニックは〈収納〉の真価がわかると大量に魔物を倒したがった。お宝分を少しでも取り戻したかったのかな? わたしはちょっと負い目もあったのでミニックのやりたいようにやらせてあげた。楽しそうに銃を撃ちまくるミニックはちょっと怖かったけど。トリガーハッピーになったわけではないと思いたい。
ちなみに6階層の魔物はバンディットバニトという盗賊のようなウサギとバナイトバニトという鉱石をいくつも体に生えさせたウサギだった。
バンディットバニトはEランクで二足歩行で曲剣を持ったウサギで、敵を見つけると素早い動きで迫ってくる。気配を消して頭を打ち抜けばミニックの弾丸で一発だったけど、月影の耳飾りの効果が発揮されずに気付かれた時は曲剣で弾丸を弾いてくる個体もいてちょっとだけ厄介だった。その場合は双銃から弾丸を2発放って片方を弾かれないようにして倒した。ドロップアイテムはウサギの曲剣だった。
バナイトバニトは鉱石を体に纏わせているので弾丸が通りにくい。基本的には通常の弾丸で倒すことができるけど、運悪く弱点が鉱石で覆われている場合にはヴォイドイレイサーの弾丸で倒すしかなかった。ドロップしたのは鉄鉱石だった。
結局わたしたちは6階層で探索をやめることにした。だいぶ6階層で時間を費やしてしまったのと少し魔法を使いすぎたので魔力の残量が少なくなってきたからだね。
ミニックはどうしてもニュートラルアークデュオに頼った戦いになるから、弾丸が効かない硬い敵とかにはどうしても魔法を使わなくちゃいけなくなる。それでもヴォイドイレイサーを使えばある程度戦えるんだけど、強力な魔法だからかやはり魔力の消費は如何ともし難い。
それで、魔力が完全になくなる前にダンジョンから出ることにしたというわけだね。
それにしてもミニックを戦わせるのにまた課題が増えてしまった。魔力消費を抑えた戦い方。できれば魔力が回復するポーションとかがあるといいんだけど、この世界にはそういうポーションはないみたいなんだよね。だから魔力を回復する手段は基本的にはない。そういう意味でもアルトの剣は規格外だったというわけだ。
一応考えはあるんだけどそれができるかはミニック次第。だからミニックにはその練習をしてもらおうと思っている。
「ミニックさん。遅くなりました」
アイリスがミニックの前にやってきてそう言う。まるでミニックが待っていたかのように言うけど、別に待ってないんだよね。ギルドマスターの仕事をしてもらっていいですか?
「アイリスさんは忙しくないのです?」
ほら。ミニックにも言われてるし。
「忙しいですけど、ミニックさんの相手をするのもわたしの仕事ですので」
「そうなのです?」
「そうですよ。それに今回はちゃんと情報を持ってきましたよ。ゴブリンの件と勇者アルトの件についてです」
なんと。それならば話は別だね。アイリスさん。待ってました。(盛大な手のひら返し)
「ゴブリンの件ですがやはりかなり大規模な巣ができているようです。大きな洞窟がありそこに住み着いていたようでして発見が遅れました。上位種も複数確認できています。もう少し情報を集めてから掃討に入るので5日後に討伐隊を組んで討伐依頼を出す予定です。ミニックさんもよろしくお願いしますね」
「わかったのです」
「それと勇者の件ですが、ルミナリス教皇が今日、正式にアルトという少女を勇者と認定したようです」
もう、認定されたのか。まだ3日しか経っていないのに随分早い認定だね。でもアルトは少女じゃないです。情報が間違ってます。
「女の子なのです?」
「そこですか? そんなことよりも、なんとアルトという勇者は魔王と元聖女の子どもらしいんです! すごくないですか!? ハモニス教会が魔王を認めたのと同義ですよ!」
いつになく興奮したアイリスギルドマスター。だけどそのことは既に知ってるんだよね。はよ新しい情報をください。
「よくわからないのです。凄いことなのです?」
「凄いに決まってます! ハモニス教会は魔王を敵視していると言ってもいいような団体だったんですから。今でも信者の半分は反発を起こしているようですよ」
「それって大丈夫なのです?」
「そこは、勇者アルトが聖属性持ちであることで反発を抑えようとしているようです。なんでも初代聖女の魔法が使えるとか」
「なら聖女でいいのではないのです?」
うん。それも知ってる。それと2代目勇者の魔法も使えるよ。さっきから知っている情報ばかりだね。
アイリスにはもっと有益な情報を持ってきて欲しいよね。たとえばこれからどこに向かうのかとか。
『アルトの今後の予定とかを聞いてみてくれる?』
「勇者アルトがこれから何をするのかわかるです?」
「これから何をするのかですか? 確かトロン王国のダンジョンを回るらしいですよ。おそらく勇者の強さをアピールするつもりなんでしょう」
そうそう。そういう情報が欲しかったんだよ。そうか。ダンジョンを回るのか。ダンジョン主を救うつもりなのかな?
どちらにしてもしばらくはトロン王国を出ないんだろうね。それならやっぱり早くミニックにSランクになってもらってトロン王国に渡ってもらわなければいけないね。
『ランクを上げるいい依頼はないかな?』
「早くランクを上げたいのです。何かいい依頼はないのです?」
「それならちょうどいい依頼がありますよ。護衛依頼なのですが……」
『扉が出てきたのです!』
『だね。あそこから出れるのかも』
ミニックがとととっと走って近寄っていく。
近づくと扉は自動で開かれた。
『お宝なのです! たくさんあるのです!』
ミニックの言う通り、キラキラと輝く宝石や貴金属が山のように置かれた部屋に出た。その中央には大きな宝箱が鎮座している。これが隠し部屋の攻略報酬ということなのかな? Cランクの魔物を倒しただけでこの報酬とはかなりの破格待遇だね。これももしかすると〈天運〉のおかげだったりするのかもしれない。
『今ある麻袋だと持ちきれないね』
『なのです。ちょっと勿体無いのです』
奥の方にはさらに出口になるであろう扉が設置されている。ふと思って後ろを見てみると入り口はいつの間にか無くなっていた。
それが不思議ではあるけど今はそれは問題ではない。入口がなくなるというなら出口も無くなる可能性があるというところが問題だ。
おそらくこの部屋を出てしまうと戻ってくることはできないと思う。そんな予感がする。
『〈天秤〉で交換してみる?』
『あのお宝たちをです?』
『うん。〈天秤〉は等価交換だからね。もしかするとよりコンパクトな物に交換してくれるかもしれないよ』
『なるほどなのです。でも逆もありえるのです?』
確かにそうだ。だけど。
『多分大丈夫だと思うんだよね』
『わかったのです。信じるのです』
ミニックの許可も取ったことだしわたしは〈天秤〉を発動する。
<交換するアイテムを選んでください>
交換するのはお宝だね。
するとミニックの目の前にあったお宝は全部消え失せる。
<交換アイテムの消費を確認しました。〈天秤〉を開始します……完了しました。〈収納〉と交換しました>
何も出てくる様子はない。
というか〈収納〉? それってもしかして?
────────────────────
名前:ミニック
種族:小人族
技能:全銃技
天の声
収納
魔法:無
恩恵:自由神の勇者の種
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技能の欄に〈収納〉が増えてる!
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技能:収納
無生物の物体を収納または取り出しできる。容量は無限。収納したものは分類整理され念じれば特定のアイテムを瞬時に取り出すことができる。時間停止機能あり。
────────────────────
これって異世界転生モノによくあるチートスキルじゃないですか!? ミニックがチート技能を手に入れました!
どうやら〈天秤〉って物質同士の交換以外にも技能とも交換できるみたいだね。もしかすると技能と技能の交換なんかもできちゃったりして?
『どうなったのです? 何も出てこないのです』
『お宝は技能になりました』
『どういうことなのです?……もしかして全部消えてしまったのです?』
『うん。だけど技能になったよ?』
『意味がわからないのです。悪魔さんひどいのです』
ミニックが泣きそうな顔になってしまう。
そうだった。この世界では技能は一人一つが常識だった。ミニックにしてみれば技能が増えたなんてわかるはずもなく何も交換できていないように見えてしまう。
ミニックの泣き顔にはイライラさせられてるわたしだけど流石に今回はこっちが悪い気がしてきた。
『ごめんって。でも絶対に役に立つから』
その後、頑張って説明してわたしはことなきを得たのであった。
◇◇◇
ミニックは6階層のウサギたちをジェノサイドしてダンジョンから帰還した。現在は冒険者ギルドだ。めずらしくアイリスじゃない受付嬢に対応してもらいながら買取の処理をしてもらう。
ミニックは〈収納〉の真価がわかると大量に魔物を倒したがった。お宝分を少しでも取り戻したかったのかな? わたしはちょっと負い目もあったのでミニックのやりたいようにやらせてあげた。楽しそうに銃を撃ちまくるミニックはちょっと怖かったけど。トリガーハッピーになったわけではないと思いたい。
ちなみに6階層の魔物はバンディットバニトという盗賊のようなウサギとバナイトバニトという鉱石をいくつも体に生えさせたウサギだった。
バンディットバニトはEランクで二足歩行で曲剣を持ったウサギで、敵を見つけると素早い動きで迫ってくる。気配を消して頭を打ち抜けばミニックの弾丸で一発だったけど、月影の耳飾りの効果が発揮されずに気付かれた時は曲剣で弾丸を弾いてくる個体もいてちょっとだけ厄介だった。その場合は双銃から弾丸を2発放って片方を弾かれないようにして倒した。ドロップアイテムはウサギの曲剣だった。
バナイトバニトは鉱石を体に纏わせているので弾丸が通りにくい。基本的には通常の弾丸で倒すことができるけど、運悪く弱点が鉱石で覆われている場合にはヴォイドイレイサーの弾丸で倒すしかなかった。ドロップしたのは鉄鉱石だった。
結局わたしたちは6階層で探索をやめることにした。だいぶ6階層で時間を費やしてしまったのと少し魔法を使いすぎたので魔力の残量が少なくなってきたからだね。
ミニックはどうしてもニュートラルアークデュオに頼った戦いになるから、弾丸が効かない硬い敵とかにはどうしても魔法を使わなくちゃいけなくなる。それでもヴォイドイレイサーを使えばある程度戦えるんだけど、強力な魔法だからかやはり魔力の消費は如何ともし難い。
それで、魔力が完全になくなる前にダンジョンから出ることにしたというわけだね。
それにしてもミニックを戦わせるのにまた課題が増えてしまった。魔力消費を抑えた戦い方。できれば魔力が回復するポーションとかがあるといいんだけど、この世界にはそういうポーションはないみたいなんだよね。だから魔力を回復する手段は基本的にはない。そういう意味でもアルトの剣は規格外だったというわけだ。
一応考えはあるんだけどそれができるかはミニック次第。だからミニックにはその練習をしてもらおうと思っている。
「ミニックさん。遅くなりました」
アイリスがミニックの前にやってきてそう言う。まるでミニックが待っていたかのように言うけど、別に待ってないんだよね。ギルドマスターの仕事をしてもらっていいですか?
「アイリスさんは忙しくないのです?」
ほら。ミニックにも言われてるし。
「忙しいですけど、ミニックさんの相手をするのもわたしの仕事ですので」
「そうなのです?」
「そうですよ。それに今回はちゃんと情報を持ってきましたよ。ゴブリンの件と勇者アルトの件についてです」
なんと。それならば話は別だね。アイリスさん。待ってました。(盛大な手のひら返し)
「ゴブリンの件ですがやはりかなり大規模な巣ができているようです。大きな洞窟がありそこに住み着いていたようでして発見が遅れました。上位種も複数確認できています。もう少し情報を集めてから掃討に入るので5日後に討伐隊を組んで討伐依頼を出す予定です。ミニックさんもよろしくお願いしますね」
「わかったのです」
「それと勇者の件ですが、ルミナリス教皇が今日、正式にアルトという少女を勇者と認定したようです」
もう、認定されたのか。まだ3日しか経っていないのに随分早い認定だね。でもアルトは少女じゃないです。情報が間違ってます。
「女の子なのです?」
「そこですか? そんなことよりも、なんとアルトという勇者は魔王と元聖女の子どもらしいんです! すごくないですか!? ハモニス教会が魔王を認めたのと同義ですよ!」
いつになく興奮したアイリスギルドマスター。だけどそのことは既に知ってるんだよね。はよ新しい情報をください。
「よくわからないのです。凄いことなのです?」
「凄いに決まってます! ハモニス教会は魔王を敵視していると言ってもいいような団体だったんですから。今でも信者の半分は反発を起こしているようですよ」
「それって大丈夫なのです?」
「そこは、勇者アルトが聖属性持ちであることで反発を抑えようとしているようです。なんでも初代聖女の魔法が使えるとか」
「なら聖女でいいのではないのです?」
うん。それも知ってる。それと2代目勇者の魔法も使えるよ。さっきから知っている情報ばかりだね。
アイリスにはもっと有益な情報を持ってきて欲しいよね。たとえばこれからどこに向かうのかとか。
『アルトの今後の予定とかを聞いてみてくれる?』
「勇者アルトがこれから何をするのかわかるです?」
「これから何をするのかですか? 確かトロン王国のダンジョンを回るらしいですよ。おそらく勇者の強さをアピールするつもりなんでしょう」
そうそう。そういう情報が欲しかったんだよ。そうか。ダンジョンを回るのか。ダンジョン主を救うつもりなのかな?
どちらにしてもしばらくはトロン王国を出ないんだろうね。それならやっぱり早くミニックにSランクになってもらってトロン王国に渡ってもらわなければいけないね。
『ランクを上げるいい依頼はないかな?』
「早くランクを上げたいのです。何かいい依頼はないのです?」
「それならちょうどいい依頼がありますよ。護衛依頼なのですが……」
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