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── 1章 アルト編 ──
045.ダンジョン主との邂逅準備
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「ここです」
そう言ってシルヴァに連れてこられた35階の最奥、そのすぐ近くにあるセーフティエリア。その目の前には巨大な閉ざされた扉が悠然とそびえたっていた。扉にはドラゴンを模した彫刻が細かく彫られていてここにダンジョンの主が待ち構えているであろうことを物語っている。
「ここは〈扉付き〉なんですね」
「ん。珍しい。〈扉なし〉じゃない」<うん。珍しいね。普通はダンジョン主の部屋でもただの開けた門、〈扉なし〉のことがほとんどなのにそうじゃないなんて>
「はい。ですのでわたしも中を確認することができないでいたのです。わたしでは扉を開けることができませんから」
「この中に妹、セリスがいるんですね?」
「はい」
シルヴァはアルトの妹、セリスが連れ去られる時に印をつけていたというのはシルヴァが前に言っていたことだ。その印によってセリスがここにいることがわかるということなのだろう。
「準備をしても大丈夫ですか。流石に疲れてしまって」
「ん。休憩が必要。寝る」<うん。休憩が必要だね。特に睡眠が>
それもそのはずで3人は21階層から35階層まで小休憩食事休憩以外の休憩を取らずにここまで進んできた。その間2日くらい。タフなアルトとノーアであっても流石に体力の限界が近いのだろう。
「ええ。おそらくまだ時間はあるはずです。半日くらい休んでも大丈夫でしょう。わたしが見張りをしておきますので」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ノーアとアルトは少しの食事の後、寝袋に入って休憩をとる。
『アルト。寝る前にちょっと相談』
『なんですか? とても眠いんですけど』
『ごめんね? でも準備は必要かなって思って』
『準備ですか?』
そう。戦いの前の準備だね。もっと端的にいうと〈天授〉をそろそろ使いたい。
『〈天授〉を使おうと思うんだけど』
『いいですよ。セイさんに任せます。ぼくは寝ますね』
『そう? わかった。勝手にやっておくね?』
アルトは相変わらず〈天授〉にあまり興味はないみたい。わたしとしてはもう少し興味を持ってもらいたいところだけどまあ眠いだろうからしょうがないのかな?
ちなみにここまでの道中で天声ポイントは1331ptになっていた。かなり多い。インフレがすぎる。21階層以降はほとんどシルヴァが魔物を倒していたけどその分もポイントは入っているようだった。同一パーティーの討伐として換算されたのかな?
まあそんなことはいいよね。
〈天授〉を使おう。ダンジョンの主と戦うんだし抜かりないようにしたい。でも使い切るのはちょっと勿体無い気もする。ということで1000ptと100ptに分けて〈天授〉を回して残りはいざという時のために取っておく。
早速〈天授〉発動。まずは1000ptで。
<天声ポイント1000ptの消費を確認しました。〈天授〉を開始します……完了しました。〈英雄模倣〉を取得しました>
なんか聞くからに凄そうな技能を手に入れた。早速内容を確認してみる。
────────────────────
技能:英雄模倣
天声保持者と縁のある英雄の技能、魔法を一時的に模倣することができる。模倣できる英雄は一人だけで同時に複数の技能、魔法を模倣することはできない。模倣の制限時間は10分。クールタイム1日。
現状模倣可能な英雄:─
────────────────────
知り合いの英雄の技能と魔法を模倣できるらしい。制限時間とクールタイムがあって意外とシビアな技能みたいだ。でもって今は模倣できる英雄はなし。
……あれ? アルトの装備をくれたアーサーって英雄じゃなかったっけ? なんで模倣可能な英雄一覧に名前がないんだろう? ……あれくらいでは親密度的なものが足りないとか?
それがどうであれ、今は使えない技能みたい……。1000ptも使ったのに使えない技能を引き当てるとか運が悪すぎる。心の中でアルトに謝っておく。
……さて、気を取り直して100ptで〈天授〉を発動。
<天声ポイント100ptの消費を確認しました。〈天授〉を開始します……完了しました。アビスヒールを取得しました>
アビスというと冥魔法だね。でもヒール。ヒールかー。ホーリーヒールは自力で取得できてたからなんか100ptも使ってそれ?ってなってしまう。だけど文句を言うのは確認してみてからだよね。
────────────────────
魔法名:アビスヒール
冥なるエネルギーで魔人族の怪我や病気などを治す。
────────────────────
うん。なんというか、使えない。そもそも魔人族とかまだ出会ったことないんですけど。
あれ? 1100ptも使って使えない技能と魔法しか取得できてないんですけど? 大爆死では?
こんなのアルトになんて説明したらいいの?
◇◇◇
アルトたちの目が覚めて、わたしはアルトに昨日の大爆死を説明した。アルトはあまり気にしていない様子だった。アルトが〈天授〉にあまり興味がないことを初めてありがたく思ったよ。
ちなみにあの悪夢のような〈天授〉のあとはアルトのステータスを確認した。確認したアルトのステータスと魔法一覧はこれ。
────────────────────
名前:アルト
種族:人族 / 魔人族
技能:全剣技
天の声
魔力操作
付与
英雄模倣
魔法:冥
聖
恩恵:自由神の勇者の種
────────────────────
────────────────────
冥魔法:アビスシャドウ
アビスファイア
アビスウォーター
アビスヒール
────────────────────
────────────────────
聖魔法:ホーリーライト
ホーリーレイ
ホーリーバリア
ホーリースパーク
ホーリーヒール
ホーリーサンクチュアリ
────────────────────
特筆すべきところは冥魔法にアビスウォーターが増えていたところだ。なぜ増えたのかがわからない。でも昨日〈天授〉で取得した技能と魔法よりは使えそうな魔法なのでなんとなくホッとする。
あとちゃっかりアルトの種族が〈人族 / 魔人族〉に変わっている。まあ、アルトは魔王の子供らしいからね。純粋な人族ではないよね。でも今まで〈天眼〉さんはこのことがわからなかったのかな? やっぱりちょっとポンコツだよね。
それはともかく、わたしと3人は再度ダンジョン最奥の扉の前に立っている。
「では開けますね」
「ん」<OKだよ>
「わたしは力になれませんのでここで待っていますね」
アルトが二人の剣に魔法を付与し、二人は魔法のための精神集中を行う。準備万端になったところで二人が扉を開いて中に入っていく。
扉の先には巨大なドラゴンが中央に鎮座していた。そしてその奥には静かに佇む黒髪長髪であること以外はアルトによく似た一人の少女。あの子が……セリス? いやそれよりもあのドラゴンだ。その体には闇のオーラのようなものが纏りつき、明らかに危険な圧を感じさせる。こちらに集中するべきだ。
「そんな……。姫は──」
ダンジョンの扉が閉まる音がした。
そう言ってシルヴァに連れてこられた35階の最奥、そのすぐ近くにあるセーフティエリア。その目の前には巨大な閉ざされた扉が悠然とそびえたっていた。扉にはドラゴンを模した彫刻が細かく彫られていてここにダンジョンの主が待ち構えているであろうことを物語っている。
「ここは〈扉付き〉なんですね」
「ん。珍しい。〈扉なし〉じゃない」<うん。珍しいね。普通はダンジョン主の部屋でもただの開けた門、〈扉なし〉のことがほとんどなのにそうじゃないなんて>
「はい。ですのでわたしも中を確認することができないでいたのです。わたしでは扉を開けることができませんから」
「この中に妹、セリスがいるんですね?」
「はい」
シルヴァはアルトの妹、セリスが連れ去られる時に印をつけていたというのはシルヴァが前に言っていたことだ。その印によってセリスがここにいることがわかるということなのだろう。
「準備をしても大丈夫ですか。流石に疲れてしまって」
「ん。休憩が必要。寝る」<うん。休憩が必要だね。特に睡眠が>
それもそのはずで3人は21階層から35階層まで小休憩食事休憩以外の休憩を取らずにここまで進んできた。その間2日くらい。タフなアルトとノーアであっても流石に体力の限界が近いのだろう。
「ええ。おそらくまだ時間はあるはずです。半日くらい休んでも大丈夫でしょう。わたしが見張りをしておきますので」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ノーアとアルトは少しの食事の後、寝袋に入って休憩をとる。
『アルト。寝る前にちょっと相談』
『なんですか? とても眠いんですけど』
『ごめんね? でも準備は必要かなって思って』
『準備ですか?』
そう。戦いの前の準備だね。もっと端的にいうと〈天授〉をそろそろ使いたい。
『〈天授〉を使おうと思うんだけど』
『いいですよ。セイさんに任せます。ぼくは寝ますね』
『そう? わかった。勝手にやっておくね?』
アルトは相変わらず〈天授〉にあまり興味はないみたい。わたしとしてはもう少し興味を持ってもらいたいところだけどまあ眠いだろうからしょうがないのかな?
ちなみにここまでの道中で天声ポイントは1331ptになっていた。かなり多い。インフレがすぎる。21階層以降はほとんどシルヴァが魔物を倒していたけどその分もポイントは入っているようだった。同一パーティーの討伐として換算されたのかな?
まあそんなことはいいよね。
〈天授〉を使おう。ダンジョンの主と戦うんだし抜かりないようにしたい。でも使い切るのはちょっと勿体無い気もする。ということで1000ptと100ptに分けて〈天授〉を回して残りはいざという時のために取っておく。
早速〈天授〉発動。まずは1000ptで。
<天声ポイント1000ptの消費を確認しました。〈天授〉を開始します……完了しました。〈英雄模倣〉を取得しました>
なんか聞くからに凄そうな技能を手に入れた。早速内容を確認してみる。
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技能:英雄模倣
天声保持者と縁のある英雄の技能、魔法を一時的に模倣することができる。模倣できる英雄は一人だけで同時に複数の技能、魔法を模倣することはできない。模倣の制限時間は10分。クールタイム1日。
現状模倣可能な英雄:─
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知り合いの英雄の技能と魔法を模倣できるらしい。制限時間とクールタイムがあって意外とシビアな技能みたいだ。でもって今は模倣できる英雄はなし。
……あれ? アルトの装備をくれたアーサーって英雄じゃなかったっけ? なんで模倣可能な英雄一覧に名前がないんだろう? ……あれくらいでは親密度的なものが足りないとか?
それがどうであれ、今は使えない技能みたい……。1000ptも使ったのに使えない技能を引き当てるとか運が悪すぎる。心の中でアルトに謝っておく。
……さて、気を取り直して100ptで〈天授〉を発動。
<天声ポイント100ptの消費を確認しました。〈天授〉を開始します……完了しました。アビスヒールを取得しました>
アビスというと冥魔法だね。でもヒール。ヒールかー。ホーリーヒールは自力で取得できてたからなんか100ptも使ってそれ?ってなってしまう。だけど文句を言うのは確認してみてからだよね。
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魔法名:アビスヒール
冥なるエネルギーで魔人族の怪我や病気などを治す。
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うん。なんというか、使えない。そもそも魔人族とかまだ出会ったことないんですけど。
あれ? 1100ptも使って使えない技能と魔法しか取得できてないんですけど? 大爆死では?
こんなのアルトになんて説明したらいいの?
◇◇◇
アルトたちの目が覚めて、わたしはアルトに昨日の大爆死を説明した。アルトはあまり気にしていない様子だった。アルトが〈天授〉にあまり興味がないことを初めてありがたく思ったよ。
ちなみにあの悪夢のような〈天授〉のあとはアルトのステータスを確認した。確認したアルトのステータスと魔法一覧はこれ。
────────────────────
名前:アルト
種族:人族 / 魔人族
技能:全剣技
天の声
魔力操作
付与
英雄模倣
魔法:冥
聖
恩恵:自由神の勇者の種
────────────────────
────────────────────
冥魔法:アビスシャドウ
アビスファイア
アビスウォーター
アビスヒール
────────────────────
────────────────────
聖魔法:ホーリーライト
ホーリーレイ
ホーリーバリア
ホーリースパーク
ホーリーヒール
ホーリーサンクチュアリ
────────────────────
特筆すべきところは冥魔法にアビスウォーターが増えていたところだ。なぜ増えたのかがわからない。でも昨日〈天授〉で取得した技能と魔法よりは使えそうな魔法なのでなんとなくホッとする。
あとちゃっかりアルトの種族が〈人族 / 魔人族〉に変わっている。まあ、アルトは魔王の子供らしいからね。純粋な人族ではないよね。でも今まで〈天眼〉さんはこのことがわからなかったのかな? やっぱりちょっとポンコツだよね。
それはともかく、わたしと3人は再度ダンジョン最奥の扉の前に立っている。
「では開けますね」
「ん」<OKだよ>
「わたしは力になれませんのでここで待っていますね」
アルトが二人の剣に魔法を付与し、二人は魔法のための精神集中を行う。準備万端になったところで二人が扉を開いて中に入っていく。
扉の先には巨大なドラゴンが中央に鎮座していた。そしてその奥には静かに佇む黒髪長髪であること以外はアルトによく似た一人の少女。あの子が……セリス? いやそれよりもあのドラゴンだ。その体には闇のオーラのようなものが纏りつき、明らかに危険な圧を感じさせる。こちらに集中するべきだ。
「そんな……。姫は──」
ダンジョンの扉が閉まる音がした。
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