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── 1章 アルト編 ──
020.魔法の練習
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話し合いはアルトの「野営の準備をしましょう」の言葉で一旦終了した。
あれ? それわたし言ったよね? 怒られ損じゃない?と思ったがアルトの機嫌を損ねるかもしれないので心の中で思うだけにした。
野営の準備が終わってヒートアップしていた状態から冷静になった四人は淡々と話し合っていた。結局ノーアが一人で報告に戻ることになり、すでに出発している。
アルトは今は持ち回りの見張り中だ。焚き火の前で見張りながら魔法の練習をしている。精神集中しホーリーヒールの魔法を唱えているが未だうまくいっていない。
『うまくいかないね?』
『はい。アリアさんたちにはコツを教えてもらって、魔法についての本も読んではいるんですけど』
『結局イメージと繰り返しって話だったからね。あとは集中の短縮。これは魔法が発現した後の話だから関係ないもんね』
『そうなんです。でもイメージがうまくできてない気がするんですよね』
『そうなの?』
『はい……。傷ついた細胞が再生して体内を修復するイメージ。やってみてはいるんですけどあまり上手く想像できなくって……。』
『そうだったんだ。それならそうと言ってくれればよかったのに』
『すみません』
いやこれはわたしの失敗かもしれない。前世の知識前提でアルトに話してしまったのでちょっと難しいことを要求してしまった気がする。アルトは真面目だからこういうできないことって言い出しにくそうだし。
最初はイメージしやすい魔法を試した方がよかったのかも。だけど、聖魔法ってイメージが難しい魔法が多いんだよね。あっあれならどうかな?
『試しに他の魔法を試してみようか?』
『他の魔法ですか?』
『うん。ちょっと待ってて!』
わたしは〈天眼〉を使用して未取得の聖魔法一覧を表示し、その中から目当ての魔法を探していく。あった! ホーリーバリア!
早速ホーリーバリアを〈天眼〉で表示させていく。
────────────────────
魔法:ホーリーバリア
聖なるエネルギーで構成された盾を生成し、外部の攻撃から守る。
────────────────────
うん。この魔法だ。あとはどういうイメージで魔法を使えばいいのかなんだけど。
────────────────────
魔法名:ホーリーバリア
聖なるエネルギーで構成された盾を生成し、外部の攻撃から守る。攻撃魔法と同等のエネルギーを周りに薄く平面に張るイメージで魔法を習得することが可能。
────────────────────
〈天眼〉さん! ナイス!
最近知ったんだけど、わたしが要望を追加するとさらに情報を追加してくれることに気がついたんだよ。
ホーリーバリアのイメージはすでに攻撃魔法のホーリーレイを習得しているアルトにとっては取得しやすいはず。ホーリーレイは〈天授〉で取った魔法だからちょっとずるい気もするけど、この際気にしないことにする。
早速アルトにホーリーバリアの説明をし、想像するイメージを共有した。
『ホーリーレイの時と同じエネルギーを薄く膜みたいに伸ばすイメージですか? やってみます!』
アルトが精神集中を始める。魔力が高まっていくのを感じる。
『ホーリーバリア』
アルトが小さく唱えた。アルトの手から星明かりのような輝きを放つと次第にアルトの前面に直径2メートルほどの円形の盾を形成した。
イメージできればできるようになるとは思ったけどまさか一発でできてしまうとは。
『……できちゃいました』
『できちゃったね』
「ちょっと! アルト! 何かあったの?」
アリアが急いだ様子でテントから起きて飛び出してきた。
急に光ったことで驚かせてしまったみたいだ。
状況を聞いたアリアはアルトにガミガミとなにか苦言を言っている。
それを横目に見ながらも、ふとわたしは気がついてしまった。
あっそういえば、ホーリーヒールの魔法の習得方法、ちゃんと確認してなかったかも。一応確認しておくかな?
────────────────────
魔法名:ホーリーヒール
聖なるエネルギーで人族の怪我や病気などを治す。神への祈りをイメージすることで魔法を習得することが可能。
────────────────────
あれ? 神への祈りをイメージ? 細胞の再生とか関係ないの? 間違った方法を教えてしまっていた。やってしまった……。どうしよう。
あれ? それわたし言ったよね? 怒られ損じゃない?と思ったがアルトの機嫌を損ねるかもしれないので心の中で思うだけにした。
野営の準備が終わってヒートアップしていた状態から冷静になった四人は淡々と話し合っていた。結局ノーアが一人で報告に戻ることになり、すでに出発している。
アルトは今は持ち回りの見張り中だ。焚き火の前で見張りながら魔法の練習をしている。精神集中しホーリーヒールの魔法を唱えているが未だうまくいっていない。
『うまくいかないね?』
『はい。アリアさんたちにはコツを教えてもらって、魔法についての本も読んではいるんですけど』
『結局イメージと繰り返しって話だったからね。あとは集中の短縮。これは魔法が発現した後の話だから関係ないもんね』
『そうなんです。でもイメージがうまくできてない気がするんですよね』
『そうなの?』
『はい……。傷ついた細胞が再生して体内を修復するイメージ。やってみてはいるんですけどあまり上手く想像できなくって……。』
『そうだったんだ。それならそうと言ってくれればよかったのに』
『すみません』
いやこれはわたしの失敗かもしれない。前世の知識前提でアルトに話してしまったのでちょっと難しいことを要求してしまった気がする。アルトは真面目だからこういうできないことって言い出しにくそうだし。
最初はイメージしやすい魔法を試した方がよかったのかも。だけど、聖魔法ってイメージが難しい魔法が多いんだよね。あっあれならどうかな?
『試しに他の魔法を試してみようか?』
『他の魔法ですか?』
『うん。ちょっと待ってて!』
わたしは〈天眼〉を使用して未取得の聖魔法一覧を表示し、その中から目当ての魔法を探していく。あった! ホーリーバリア!
早速ホーリーバリアを〈天眼〉で表示させていく。
────────────────────
魔法:ホーリーバリア
聖なるエネルギーで構成された盾を生成し、外部の攻撃から守る。
────────────────────
うん。この魔法だ。あとはどういうイメージで魔法を使えばいいのかなんだけど。
────────────────────
魔法名:ホーリーバリア
聖なるエネルギーで構成された盾を生成し、外部の攻撃から守る。攻撃魔法と同等のエネルギーを周りに薄く平面に張るイメージで魔法を習得することが可能。
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〈天眼〉さん! ナイス!
最近知ったんだけど、わたしが要望を追加するとさらに情報を追加してくれることに気がついたんだよ。
ホーリーバリアのイメージはすでに攻撃魔法のホーリーレイを習得しているアルトにとっては取得しやすいはず。ホーリーレイは〈天授〉で取った魔法だからちょっとずるい気もするけど、この際気にしないことにする。
早速アルトにホーリーバリアの説明をし、想像するイメージを共有した。
『ホーリーレイの時と同じエネルギーを薄く膜みたいに伸ばすイメージですか? やってみます!』
アルトが精神集中を始める。魔力が高まっていくのを感じる。
『ホーリーバリア』
アルトが小さく唱えた。アルトの手から星明かりのような輝きを放つと次第にアルトの前面に直径2メートルほどの円形の盾を形成した。
イメージできればできるようになるとは思ったけどまさか一発でできてしまうとは。
『……できちゃいました』
『できちゃったね』
「ちょっと! アルト! 何かあったの?」
アリアが急いだ様子でテントから起きて飛び出してきた。
急に光ったことで驚かせてしまったみたいだ。
状況を聞いたアリアはアルトにガミガミとなにか苦言を言っている。
それを横目に見ながらも、ふとわたしは気がついてしまった。
あっそういえば、ホーリーヒールの魔法の習得方法、ちゃんと確認してなかったかも。一応確認しておくかな?
────────────────────
魔法名:ホーリーヒール
聖なるエネルギーで人族の怪我や病気などを治す。神への祈りをイメージすることで魔法を習得することが可能。
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あれ? 神への祈りをイメージ? 細胞の再生とか関係ないの? 間違った方法を教えてしまっていた。やってしまった……。どうしよう。
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