一話完結ミステリー

みかん

文字の大きさ
上 下
7 / 13

思い出の認識の相違

しおりを挟む
「父が……父が……」
 警察に通報が入り、一軒家の前に警察車両が到着した。
 警部が中に入ると、倒れている男性と、その周りで涙を流している男性と女性がいた。
 警部は男性たちに事情聴取を始めた。
「遺体発見時どのような様子で?」
 警部が男性に話を聞くと鈴木茂がは話し始めた。
「はい、私は買い物に出かけていました。そして買い物化から帰ってきた後、リビングに来たら父が亡くなっていたということです、そして話しかけてるときに、嫁が帰ってきて、亡くなってるのを確認した後、警察に通報したということです」
 刑事が警部に話しかけた。
「鑑識によりますと、亡くなったのは鈴木茂さんの父である、鈴木大介さん、死因は後頭部を鈍器で殴られたことによる出血死だそうです」
 刑事は現場を見渡した。そしてある違和感に気づいた。燃えるごみの袋が新しいのだ。今日はゴミ出しの日ではない……刑事は鑑識にゴミ捨て場のほうに燃えるゴミ袋がないか、そして凶器のようなものはないか確認するよう、容疑者にばれないように伝えた。
 その後、二人のすすり泣く声と、鑑識の調べる音がしばらく部屋に響いた後、鑑識が警部のもとに駆け寄った。
「ゴミ捨て場から、凶器で使ったと思われる金づちが見つかり、その金づちから大介さんの血痕と、茂さんの指紋が検出されました」
 警部は引きつった顔をしている茂のもとに近寄り、すべて事情を吐くように言った。
 そして茂は話し始めた。
「僕たちには……娘がいました……でも、ある時事故で亡くなり、その後、遺品整理をしている時でした……」

 ~遺品整理をしているとき~
 茂たちは荷物をまとめている。
 大介が娘の遺品である人形を拾う。
「どうせもう死んだんだし、こんなもん残しといても意味ねぇだろ」
 大介は娘の人形をゴミ箱に投げ入れた。

「……あの人形は娘と僕たちの思い出だった。そんな人形をけなされ、捨てられたのがどうしても許せなかった……そして気づいたら……」

 こうして茂は逮捕された。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

カフェ・ノクターンの吸血鬼探偵 ~夜を統べる者は紅茶を嗜む~

メイナ
ミステリー
——夜の帳が降りるとき、静かに目を覚ます探偵がいる。 その男、ノア・アルカード。 彼は 吸血鬼(ヴァンパイア)にして、カフェ『ノクターン』のオーナー兼探偵。 深夜のカフェに訪れるのは、悩みを抱えた者たち——そして、時には「異形の者たち」。 「あなたの望みは? 夜の探偵が叶えてさしあげましょう」 神秘の紅茶を嗜みながら、闇の事件を解き明かす。 無邪気な黒猫獣人の少女 ラム を助手に、今日もまた、静かに事件の幕が上がる——。 🦇 「吸血鬼×探偵×カフェ」ミステリアスで少しビターな物語、開幕!

強制憑依アプリを使ってみた。

本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。 校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈ これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。 不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。 その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。 話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。 頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。 まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。

しかばね先生の小説教室

島崎町
ミステリー
書かないと殺される!! 地獄の編集者に命を狙われる高校1年生の僕は、いつも死にそうにしてる<しかばね先生>に助けを求めるが、こんなときに限って先生は死んでいた! 死んだ先生に小説を書き方を教わる創作ミステリーホラー! これを読むだけで書き方がわかるはず!?

【フリー台本】朗読小説

桜来
現代文学
朗読台本としてご使用いただける短編小説等です 一話完結 詰め合わせ的な内容になってます。 動画投稿や配信などで使っていただけると嬉しく思います。 ご報告、リンクなどは任意ですが、作者名表記はお願いいたします。 無断転載 自作発言等は禁止とさせていただきます。 よろしくお願いいたします。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

俺が咲良で咲良が俺で

廣瀬純一
ミステリー
高校生の田中健太と隣の席の山本咲良の体が入れ替わる話

このブラジャーは誰のもの?

本田 壱好
ミステリー
ある日、体育の授業で頭に怪我をし早退した本前 建音に不幸な事が起こる。 保健室にいて帰った通学鞄を、隣に住む幼馴染の日脚 色が持ってくる。その中から、見知らぬブラジャーとパンティが入っていて‥。 誰が、一体、なんの為に。 この物語は、モテナイ・冴えない・ごく平凡な男が、突然手に入った女性用下着の持ち主を探す、ミステリー作品である。

言霊の手記

かざみはら まなか
ミステリー
探偵は、中学一年生女子。 依頼人は、こっそりひっそりとSOSを出した女子中学生。 『ある公立中学校の校門前から中学一年生女子が消息をたった。 その中学校では、校門前に監視カメラをつける要望が生徒と保護者から相次いでいたが、周辺住民の反対で頓挫した。』 という旨が書いてある手記は。 私立中学校に通う中学一年生女子の大蔵奈美の手に渡った。 中学一年生の奈美は、同じく中学一年生の少女萃(すい)と透雲(とおも)と一緒に手記の謎を解き明かす。 人目を忍んで発信された、知らない中学校に通う女子中学生からのSOSだ。 奈美、萃、透雲は、助けを求めるSOSを出した女子中学生を助けると決めた。 奈美:私立中学校 萃:私立中学校 透雲:公立中学校 依頼人の女子中学生:公立中学校 中学一年生女子は、依頼人も探偵も、全員、別々の中学校に通っている。 それぞれ、家族関係で問題を抱えている。 手記にまつわる問題と中学一年生女子の家族の問題を軸に展開。

処理中です...