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訓練 ~自責に勝る友情~
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「俺は、氷魔法を使うことができるようになった……だが、この力を使いこなすにはもっと訓練が必要だと思う」
ユンセルは氷魔法が出た手のひらを見つめながら言った。
「でも、クエストの挑戦は一時的にできなくなってるんだよな?」
タクは困った顔で言った。
そう、度重なる魔物の異常行動の報告により、クエストの挑戦が、一時停止となっているのだ。
ヒロトは顔を上げ、言った。
「訓練場に行くか!」
ヒロトたちは訓練場に来た。
ヒロトは剣術と、投擲技術の向上、ユンセルは、ガード魔法と新しくできるようになった氷魔法の実験、カナはガード魔法の強化に向けた訓練をすることにした。
そしてタクは、どのような原子から、球体を作ることができるのか実験している。
水、炎、手のひらを向け、球体を作ろうとする……すると少し炎が手に集まった。だが、球体はできなかった。
「もう少し訓練が必要か……」
タクは一人、ボソッとつぶやいた。
ユンセルはいつも以上に必死にガード魔法の練習をしている。
(また……カナに守られた……僕が守るって……そう、誓ったのに……こうなったのは俺の……努力不足だ……)
「ユンセル!」
ヒロトに声を掛けられ、ユンセルははっとした。
「少し、休んだほうがいいんじゃないか?」
そうヒロトに言われ、ユンセルは自分のガード魔法の様子を見る……
ガードはボロボロだった。
「うっ」
ユンセルは頭がクラッとしてその場に倒れこんだ。
「大丈夫か?」
ヒロトは心配し、ユンセルの横に屈む。
「大丈夫?」
カナと、タクも駆けつけてきた。
「ごめん……大丈夫だから……」
ユンセルは震えた声でそう返し、また立ち上がった。
そして次は氷魔法の練習を始めた。
(はやく、氷魔法を出せる条件を見つけないと……もう……足手まといは絶対に……)
「はっ!」
ユンセルは氷魔法を出そうとする。
……出ない
もう一度……
出ない
もう一回……
……出ない
もういっか……
ユンセルが視界が薄くなったのを感じた瞬間だった。
バタッ
……………………
「うっ……ここは?」
ユンセルが横を見るとヒロトが心配そうな顔をしてこちらを向いた。
「大丈夫か?」
ユンセルはヒロトにそう言われた。
「タク!カナ!」
ヒロトが二人を呼ぶとすぐ駆けつけてきた。
「よかった……」
二人はユンセルが目を覚ましたのを確認すると緊張していた表情が少しほぐれた。
「助けたのか……」
ユンセルは薄れた声で言う。
「そりゃ助けるでしょ」
ヒロトはきっぱり言う。
「僕なんか助けたって役に立たないだろ!」
ユンセルは叫んだ。
タクとカナはユンセルの急な大声にびっくりした。
「また……カナを助けることができなかった……僕は全く成長していない……この世にいる意味のない役立たずなんだ……」
ユンセルはかすれた声で言った。
「そんなことない!」
カナは怒った顔で声を荒げた。
「あの時、氷魔法で私たちを守ってくれなかったら、全員ここに帰ってくることはできなかったかもしれない……みんな、ユンセルに感謝してるんだよ!」
「そうだよ……あの時、助けてくれなかったら僕たちみんなやられてた」
タクは優しい声で言った。
「ユンセル、君は役立たずなんかじゃない……」
ヒロトはユンセルの肩に手を置いて言った。
「ごめん……ごめん……」
ユンセルは涙を流し、みんなに謝った。
「謝らなくていい……さあ、魔物討伐、地球温暖化問題、僕たちがやらなければいけないことはたくさんある、もちろん、ユンセルがいないとできないことも……だから、一緒に、頑張ろう……」
ヒロトはユンセルに言った。
ユンセルは皆の顔を見て、言った。
「ヒロト、タク、カナ、ありがとう……」
ユンセルは氷魔法が出た手のひらを見つめながら言った。
「でも、クエストの挑戦は一時的にできなくなってるんだよな?」
タクは困った顔で言った。
そう、度重なる魔物の異常行動の報告により、クエストの挑戦が、一時停止となっているのだ。
ヒロトは顔を上げ、言った。
「訓練場に行くか!」
ヒロトたちは訓練場に来た。
ヒロトは剣術と、投擲技術の向上、ユンセルは、ガード魔法と新しくできるようになった氷魔法の実験、カナはガード魔法の強化に向けた訓練をすることにした。
そしてタクは、どのような原子から、球体を作ることができるのか実験している。
水、炎、手のひらを向け、球体を作ろうとする……すると少し炎が手に集まった。だが、球体はできなかった。
「もう少し訓練が必要か……」
タクは一人、ボソッとつぶやいた。
ユンセルはいつも以上に必死にガード魔法の練習をしている。
(また……カナに守られた……僕が守るって……そう、誓ったのに……こうなったのは俺の……努力不足だ……)
「ユンセル!」
ヒロトに声を掛けられ、ユンセルははっとした。
「少し、休んだほうがいいんじゃないか?」
そうヒロトに言われ、ユンセルは自分のガード魔法の様子を見る……
ガードはボロボロだった。
「うっ」
ユンセルは頭がクラッとしてその場に倒れこんだ。
「大丈夫か?」
ヒロトは心配し、ユンセルの横に屈む。
「大丈夫?」
カナと、タクも駆けつけてきた。
「ごめん……大丈夫だから……」
ユンセルは震えた声でそう返し、また立ち上がった。
そして次は氷魔法の練習を始めた。
(はやく、氷魔法を出せる条件を見つけないと……もう……足手まといは絶対に……)
「はっ!」
ユンセルは氷魔法を出そうとする。
……出ない
もう一度……
出ない
もう一回……
……出ない
もういっか……
ユンセルが視界が薄くなったのを感じた瞬間だった。
バタッ
……………………
「うっ……ここは?」
ユンセルが横を見るとヒロトが心配そうな顔をしてこちらを向いた。
「大丈夫か?」
ユンセルはヒロトにそう言われた。
「タク!カナ!」
ヒロトが二人を呼ぶとすぐ駆けつけてきた。
「よかった……」
二人はユンセルが目を覚ましたのを確認すると緊張していた表情が少しほぐれた。
「助けたのか……」
ユンセルは薄れた声で言う。
「そりゃ助けるでしょ」
ヒロトはきっぱり言う。
「僕なんか助けたって役に立たないだろ!」
ユンセルは叫んだ。
タクとカナはユンセルの急な大声にびっくりした。
「また……カナを助けることができなかった……僕は全く成長していない……この世にいる意味のない役立たずなんだ……」
ユンセルはかすれた声で言った。
「そんなことない!」
カナは怒った顔で声を荒げた。
「あの時、氷魔法で私たちを守ってくれなかったら、全員ここに帰ってくることはできなかったかもしれない……みんな、ユンセルに感謝してるんだよ!」
「そうだよ……あの時、助けてくれなかったら僕たちみんなやられてた」
タクは優しい声で言った。
「ユンセル、君は役立たずなんかじゃない……」
ヒロトはユンセルの肩に手を置いて言った。
「ごめん……ごめん……」
ユンセルは涙を流し、みんなに謝った。
「謝らなくていい……さあ、魔物討伐、地球温暖化問題、僕たちがやらなければいけないことはたくさんある、もちろん、ユンセルがいないとできないことも……だから、一緒に、頑張ろう……」
ヒロトはユンセルに言った。
ユンセルは皆の顔を見て、言った。
「ヒロト、タク、カナ、ありがとう……」
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