異世界探検記

依頼書 ～町の人たちからの信頼～

　ヒロトは思考を巡らせている。
　僕は、目が覚めた時、町手前の草原にいた。そしてこの町に僕の家はない。
　つまり、ヒロトは旅人だった可能性がある。
　とりあえずこうなってしまった以上はヒロトとして過ごすしかない。今は今の記憶しかないのだ。
　とりあえず情報を得るためには町の人からの信頼も必要だ。
　町の中心地には掲示板が置いてあり、そこに町の人たちの悩み解決のための依頼書があるという話を聞いた。
　ヒロトたちはとりあえず依頼を受けてみることにした。
　掲示板の前まで来て、依頼書を見る。
　とある依頼が目に入った。

　日時　本日
　内容　悪天候の影響で荒れた田畑を直すのを手伝ってほしい
　報酬　魔法使い向けレベルアップ書物

　ヒロトたちはこの依頼を受けることにした。
　依頼主の場所まで来た。
　訪ねると農家が出てきた。
　とてもやさしそうなおじさんだった。
　おじさんはヒロトたちに困っていたんだ、ありがとうと感謝を述べた。
　依頼を受けるにおいて使える肝心な能力は一つもなかった。
　普通に働くことにした。
　鍬を持ち、振り下ろし、畑を耕す。
　ヒロトはユンセルのほうをちらりと見た。
　とても真剣な表情をして頑張っていた。
　何とか仕事を終えた。
　おじさんから水をもらえた。
　いつも飲んでる水の何倍もおいしい気がした。
「仕事を終えた後の水は、いつもと比べて格別だろ！」
　農家のおじさんは笑顔で言った。
「ありがとな。本当に助かった。約束の報酬の魔法書だ」
　タク、ヒロトは、笑顔でユンセルを見た。
「これはユンセルのためのものだ。受け取りな」
　ユンセルは笑みを浮かべ魔法書を受け取り、ヒロトたちと農家のおじさんに感謝した。
「その代わり、また、おいしい料理、よろしくな」
　ヒロトはボソッと言った。

　ユンセルは、魔法書により、回復魔法の回復量が上がった。