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11 国民はプロデューサー?

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 セックススクール第二校目は千葉県で、舞浜近くだった。
 子供はディズニーリゾートへ行っている間に、お父さんは……、という目論見。
 上妻歯科、は美浜にある。
 その妻は夫に言われて、スクールへ。
 第二校はレンガ造りの建物で、イギリス風の洋館。庭はバラ園のようになっている。
 部屋は8室あって、玄関横の洋室が応接になっていて、ゴブラン織りの赤いバラの模様のカーペット、バルーンバックチェアー4脚とコーヒーテーブルがあり、入り口側の壁にはライティングデスク。
 上妻由里亜は胸元にフリルのついた白いブラウスに、赤いマキシ丈のスカートで、受付に入った。
 受付の女性から促されて受付シートに記入し、女性看護師にすすめられて、隣室で、健康診断を受ける。
 
 二階へ上がった、由里亜。
 廊下は東から西に向かって真っすぐのびていて、西側の南に面した部屋。
 中で待っていたのは、男性と女性。西側のテーブルに座っていた。
 北側の壁に付いたベッド、シャワールームは東側。
 ベッドは天蓋付きで、旧い洋画の世界のようだった。壁紙は小花柄。
「こんにちは、上妻です」
「初めまして、中島晃です。こちらはアシスタントの伊東咲子さん」
「よろしく、伊東です」
「ええと、どうしたら」
 伊東が立って、こちらへ、と、シャワーへ案内した。
 バスタオル一枚になった由里亜が、顔を赤くしていると、伊東が微笑んだ。
「まあ、可愛い人ね、小さい口が魅力的。大きな目とか、小さい鼻とか、なんだか小動物っていうか、子猫ちゃんみたい。まず、バスタオルをとって、ベッドに寝てね」
 言われるまま、ベッドへ。
「ねえ、一人でしたこと、ある?」
「……。は、はい」
「してみせて」
 由里亜は、右側を下にして、足は閉じぎみにして、ゆっくり、指を入れて、少しだけ動かした。
「あ、あの、恥ずかしいんですけど」
「ふふ、もういいわ。オナニーってね、色々あるのよ、好みが。足を開いてガンガン動かす子もいるし、閉じ気味にするのが好きな子もいるの。おっぱいを片手で揉みながら、片手はあそこ、って子とか。道具が好きな子もいるのよ」
 耳朶まで赤くする、由里亜。
「由里亜さん、ご主人が、由里亜はそれなりには感じている風なんだけれど、まだイったことがないんじゃないかって。だから、開発してくれって、言われてるわ」
「まあ……。そ、そうなんです、その、エクスタシーっていうんですか? まだ、なくて。でも、主人のことは大好きなんですけど」
「目を閉じてみて」
 瞳を閉じる。
「そう、視覚の情報が閉ざされると、触覚の方は豊かになる。聴覚もね」
 伊東は直径一センチ、長さ15センチほどの冷たいステンレスのパイプを乳首にあててみた。
 冷たい、由里亜の乳首は堅くなる。冷たさを感じると、膣まで少し、きゅっ、と縮む気がする。
 伊東は自分の手を擦り合わせて温め、乳房を覆うようにした。
 堅かった乳首が緩んで、ほんの僅か膨張する。膣は膨張と弛緩を繰り返す。
「ええ、と、あの、コレ、なんですか」由里亜は自分がなぜそんな反応なのか知りたかった。
「ふふふ。セックスは科学なのよ。温まれば、体は熱を放出しようとして、開いてゆく。冷たいものには、熱を奪われまいと閉じる。自分の体が反応することを知るのが、セックスの始まりよ。男性に足を開いていればいいってものじゃないの。そして目を閉じるほうが、感度は増す。では、交代ね」
 中島に変わった。その両手が顔を包み込む。温かさを感じたところで、羽のように軽いキスがきた。片手ははずされたが、もう片方は、肩へ。
「綺麗だよ」ささやかれて、手は乳房へ。柔らかいタッチ。体の側面へ。
(夫ならもっと強く触れている……)
「細いね…」低い声。その声が、ぞくぞくする。
 そのまま下腹部へゆくのかと思ったその手は、髪を撫でる。首筋へのキスの後は体を横向きにさせられた。
 体を密着させた状態で、手を握られる。そしてうつぶせに、うながされる。
 背中へのキス。肩がぴくっと反応する。背中を撫でられる。
(背中を撫でられるの、初めて)
 手は腰へ、尻へ向かって、太腿へ。後ろ側からの、大腿部へのキス。鼓動が早くなる。
 後ろからされる愛撫は、予想がつかない。
 触覚と聴覚は鋭敏になる。
 後ろから覆うように、男は重なってきた。熱いものがあたる。
(濡れちゃう……。触って…ほしい)
 「え?」
 触れてきたのは、女性の手、伊東。
「足を、閉じてね」
 閉じようとする足に、滑り込んでくる細い指先は花弁の外側を撫でる。
「まだ、使ってないみたい」

 由里亜は開発されながら思った。
 結婚して初めてセックスしたわけではないし、感じたことくらいある。
 (私は、私の体を、まったくといっていいほど、知らない)
 どこをどうされたら、どうなるのか。どこが熱くなるのか。動くのか。

 
 クラウドファンディング型納税のまず第一段階は、国民のプロデュースだった。
 まずは、雛型をつくった。
 一例として、農家の人に出演してもらった、映像。
 無農薬の米をつくるための支援100万。
 アイガモ農法で、田んぼにアイガモを放てば、害虫を鴨が食べる、という映像。
 クラウドファンディングと同じで、未達であれば採用されない。
 だが、違うところは、未達であれば、国が税金の使い道を決める。
 むろん、お礼は自分で決める。してもいいし、しなくてもいい。

 国民に通達後、すぐに応募してきたものが数名いた。
『米料理選手権を開く資金、200万』、
『無農薬栽培のりんごつくり500万』、
『御猫様の島1000万』など。
 選別は、あえてしない。
 すべて、税務署のホームページに載せていった。
 映像にたけている若者は、ゲーム感覚で、自分のやりたいこと、仲間とやりたいこと、をプロデュースしていった。
 映像化、に慣れない年寄りは、子供や孫に聞いて。

 「税金で、夢が叶うかも知れないぜ」
 多くの国民の心は踊り始めた。
 
 
 
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