上 下
92 / 92
エピローグ

しおりを挟む

早めの夕食と入浴を済ませた私たちはルームウェアに着替え、百インチの大型テレビで映画を堪能した。
少し贅沢な価格帯のアイスを食べながら、至福の時間を過ごす。
映画を観終えた頃、時刻は午後十一時を回っていた。テレビを消すと、室内に静寂が訪れる。

「はぁ……すごく良い映画だったね」
「うん。ヒロインが徐々に前向きになっていくところが特によかった」
「分かる!」

ここがよかった、あそこがよかったと彼と感想を言い合うこの時間が私はたまらなく好きだ。
映画の余韻に浸りながら彼の肩に甘えるように頭を乗せる。彼は私の髪を優しく撫でつける。

「夢みたいだなぁ。こんな幸せな結婚生活を送れるなんて……」

ポツリと呟いた瞬間、「ふっ」と彼が笑った。

「私、なにか変なこと言った?」
「いや、俺も同じこと思ってたんだ」
「本当?」
「ああ」

彼が頷く。

「十年以上片想いしてた結乃と再会して、付き合って、結婚して、今俺の隣にいるなんて奇跡みたいだ」
「ホントだね」

チュッと唇にキスを落とされる。目が合い、私たちは微笑み合った。

「これから先もずっと大切にするから。愛してるよ、結乃」

彼はきっと、さらなる幸せを私にもたらしてくれるだろう。
だから、私も彼を全力で愛し抜く。

「私も愛してるよ」

お返しにチュッとキスを返すと、彼がほんの少し困ったような笑みを浮かべた。

「……あ、マズい。さっきしたのに、また……」
「ベッド、行く?」
「え、いいの?」

こくりと頷いた瞬間、彼は私の気が変わらぬうちにとばかりに、軽々と抱き上げて寝室へ歩き出す。

「困ったな。身体で繋がりたいのはもちろんだけど、この揺るぎない気持ちをどう表現したらいいか分からない。結婚してからも、どんどん気持ちが大きくなるんだけど」
「大丈夫、私も同じだよ」
「じゃあ、これからも受け止めて。俺の重過ぎる愛情表現を」

彼は私の身体をそっとベッドに預けて頬を撫でた。

「愛してるよ、結乃」

この先もずっと、彼はきっと私を愛し続けてくれるだろう。
私たちの甘く幸せな結婚生活が永遠に続きますように。
私はそんなことを祈りながら、彼からのキスを受け止めた。
                                    

END
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

副社長氏の一途な恋~執心が結んだ授かり婚~

真木
恋愛
相原麻衣子は、冷たく見えて情に厚い。彼女がいつも衝突ばかりしている、同期の「副社長氏」反田晃を想っているのは秘密だ。麻衣子はある日、晃と一夜を過ごした後、姿をくらます。数年後、晃はミス・アイハラという女性が小さな男の子の手を引いて暮らしているのを知って……。

身代わりお見合い婚~溺愛社長と子作りミッション~

及川 桜
恋愛
親友に頼まれて身代わりでお見合いしたら…… なんと相手は自社の社長!? 末端平社員だったので社長にバレなかったけれど、 なぜか一夜を共に過ごすことに! いけないとは分かっているのに、どんどん社長に惹かれていって……

【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜

まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください! 題名の☆マークがえっちシーンありです。 王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。 しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。 肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。 彼はやっと理解した。 我慢した先に何もないことを。 ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。 小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。

クソつよ性欲隠して結婚したら草食系旦那が巨根で絶倫だった

山吹花月
恋愛
『穢れを知らぬ清廉な乙女』と『王子系聖人君子』 色欲とは無縁と思われている夫婦は互いに欲望を隠していた。 ◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。

絶倫彼は私を離さない~あぁ、私は貴方の虜で快楽に堕ちる~

一ノ瀬 彩音
恋愛
私の彼氏は絶倫で、毎日愛されていく私は、すっかり彼の虜になってしまうのですが そんな彼が大好きなのです。 今日も可愛がられている私は、意地悪な彼氏に愛され続けていき、 次第に染め上げられてしまうのですが……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

官能令嬢小説 大公妃は初夜で初恋夫と護衛騎士に乱される

絵夢子
恋愛
憧れの大公と大聖堂で挙式し大公妃となったローズ。大公は護衛騎士を初夜の寝室に招き入れる。 大公のためだけに守ってきたローズの柔肌は、護衛騎士の前で暴かれ、 大公は護衛騎士に自身の新妻への奉仕を命じる。 護衛騎士の目前で処女を奪われながらも、大公の言葉や行為に自分への情を感じ取るローズ。 大公カーライルの妻ローズへの思いとは。 恥辱の初夜から始まった夫婦の行先は? ~連載始めました~ 【R-18】藤堂課長は逃げる地味女子を溺愛したい。~地味女子は推しを拒みたい。 ~連載中~ 【R-18有】皇太子の執着と義兄の献身

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

処理中です...