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第六章

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「あ、ゴム……」

陽介くんは動きを止めて、落胆したように小さく唸った。避妊具は寝室だ。すぐに取りに行くのかと思ったものの、彼は自身の先端を蜜口に宛てがったままゆるゆると前後に揺らした。
溢れた愛液を掬い取り、陰唇を先端で擦られる。

「あぁ……あっ……!」
「はぁ……はぁ……」

彼は滾り、熱っぽい息を吐いた。
私の秘部を肉棒の先端で上下に擦りつけて、切なげな表情を浮かべる。余裕を失くした彼の姿に、私の感度はさらに高まっていく。
私たちは淫らに互いの性器を擦り合わせて喘いだ。
挿れてもいないのに、脳裏には彼に貫かれて激しく腰を打ち付けられる自身の姿がありありと浮かび上がってくる。

「あんっ……陽介……くん、もう……無理……っ」
「はぁっ……だよね。俺も……」

これ以上我慢できないとばかりに、彼は私に覆いかぶさるようにして腰を振り始めた。肉棒全体で私の秘部をずりずりと擦られて、溢れた蜜がぐちゅぐちゅといやらしい音を立てる。

「やばっ……濡れすぎでしょ」
「やっ……あぁっ、だめっ、ああんっ」
「はぁ、このまま一思いにぶち込めたらいいのに」

彼はギリギリ残されている理性と強い欲望の間で必死に戦っているようだ。
私の頭の中はただひとつの欲求で埋め尽くされる。

「も、無理なのっ……、お願い、挿れて……っ!」

理性を手放した私は彼の腕に縋りつき叫んだ。彼はぴたりと動きを止める。

「ゴムは?」

冷静に尋ねられて恥ずかしさに顔が熱くなる。

「いいの……。私たちはもう夫婦だし……」

結婚してからも彼が避妊を欠かすことはなかった。もしかしたら、子供を望んでいないのかもしれない。それでも、私は自分の気持ちを素直に口にする。

「私ね、陽介くんの子供が欲しいの。陽介くんは……子供欲しくない?」

こんな風に自分の気持ちを言葉にして伝えられるようになったのは、愛する彼のお陰だ。

「結乃との子供だよ?欲しいに決まってる。ただ、結乃が望んでくれるまで待とうと思ってた」

結婚してからも、彼が子供の話を私にしてきたことはない。デリケートな話題だから、私が切り出すまで待っていてくれたようだ。彼はいつもそう。なによりも私の気持ちを優先してくれる。

「じゃあ、もう我慢しなくていいんだね」
「うん」

潤んだ瞳で彼を見上げた瞬間、彼は切っ先を蜜口に押し付けた。
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