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第六章

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「実は月のものが来ちゃったの。もう薬も飲んだし、少しすればよくなると思うから心配しないで」
「いや、心配するよ」

痛みを堪えながら微笑むと、彼は私の膝の後ろに手を回して軽々と抱き上げた。

「よ、陽介くん?」

リビングを抜けて奥にある寝室へ行き、ゆっくりと私の身体をベッドに下ろした。

「出迎えなんてしないで寝ててよかったのに」
「さっき薬を飲んだから、大丈夫。部屋の片付けも終わってないし、まだ夕飯の準備もしてないから……」

起き上がろうとしたものの「ダメ、寝てろ」と制止される。
一度部屋から出て行った彼は、カイロとホットココアを持って戻ってきた。
腹部にカイロを貼ると痛みがわずかに和ぐ。

「ごめんね、迷惑かけて……」

陽介くんはベッドサイドに座って、私の腰の辺りを大きな手のひらで温めるように撫でつけた。

「迷惑なんてかけられてないし、むしろかけて欲しいぐらいだよ。一人暮らしは長いし、結乃ほど完璧じゃないけど大体のことはひとりでできるよ。だから、結乃が気に病む必要なんてない。もっと俺のことを頼ってよ」
「陽介くん……」
「しゃべってるのも辛いと思うし、このまま休んでて。俺のことも家のことも気にしなくていいから。何かあったらすぐ声かけて」
「ありがとう」

リビングに置きっぱなしになっていたスマホを私の枕元に置き、彼は寝室を後にした。
身体を起こしてホットココアを口に含む。じんわりとした甘みが広がり、身体が温まる。
再び布団に潜り込んだ私は、陽介くんの優しさと気遣いに感謝しながらゆっくりと目を瞑った。

しばらくして、ふと目を覚ます。薬が効いたのか、腹部の鈍痛は消え去っていた。
おずおずとベッドから足を下ろして立ち上がる。なにやらリビングの方から良い匂いがする。その匂いに引き寄せられるようにリビングの扉を開けた。

「結乃、大丈夫か?」

ゆるっとした白いロンTを腕まくりしてキッチンに立っていた陽介くんが、私に気付いて歩み寄る。
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