【完結】ハイスぺ副社長になった初恋相手と再会したら、一途な愛を心と身体に刻み込まれました

中山紡希

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第三章

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「ソファがあまりにも広いから、どこに座っていいのか分からなくて」
「真ん中に座ればいいんだよ」

持ってきたお泊りセットと今日の為に用意したプレゼントの入った紙袋を掴み上げてソファの真ん中に移動して、紙袋を足元に置く。
ディナーの時には渡し損ねてしまったけど、今度こそ。

「はい」
「ありがとう」

ミネラルウォーターの注がれたグラスを受け取り、チビチビと口に含みながら彼を見やる。
生まれて初めてできた彼氏にクリスマスプレゼントを渡すのがこんなに難しいなんて。
先週末、奈々に付き合ってもらって選んだグレーのマフラー。
以前、外回りで出掛けた時に首元が寒いと言っていたのを思い出して、ビジネスシーンにも使えるようカシミア入りの高級な物を選んだ。

「どうした。さっきからチラチラ見てるけど、俺の顔何かついてる?」
「あっ、えっと……実は私からもプレゼントがあって……。メリークリスマス!」

緊張で言葉の順番は滅茶苦茶だった。
私は紙袋から綺麗に包装されたプレゼントを取り出して彼に差し出した。

「これ、俺に?開けてもいい?」
「うん」

プレゼントの包装を丁寧に開ける陽介くんの姿を、固唾を飲んで見守る。

「マフラーだ」

マフラーを広げて、彼が明るい笑顔を浮かべた。

「陽介くん、前に首元が寒いって言ってたから、スーツに合わせてもおかしくないマフラーにしたんだ」
「そんなことも覚えてくれてたんだな」

彼は取り出したマフラーを早速首に巻いて見せる。

「どう?」
「うん、似合ってるよ」

お世辞ではなく、彼が身に着ければ何だって様になるだろう。

「ありがとう、月曜日から早速使わせてもらう」

大好きな彼が喜んでいる姿を見るのは、これ以上ないほどの喜びだった。
彼は首から外したマフラーを大切そうに畳んで傍らに置く。そんな彼の気遣いにすら胸が熱くなる。

「結乃、おいで」

彼はそっと私の体に腕を伸ばして引き寄せて、小さく息を吐いた。

「やっと結乃に触れられた」

切実な声だった。私はふふっと笑う。

「全然そんな風に見えなかったよ?」
「必死になって抑えてたんだって。今日の結乃、特別可愛いし。知ってる?店を出た後、歩いてた男が結乃のことを見てたの」
「全然気付かなかったけど……」
「男の視線って分かりやすいから、好意を寄せてるかどうかは目を見れば大体分かるよ。あの目は結乃に惹かれてる目だった」
「まさか」

私の言葉に彼はやれやれと息を吐く。

「鈍感で可愛い彼女を持つと、心配事が絶えないんだけど」
「待って。それを言ったら私だって……」
「なに、言って?」

彼は私から腕を解き、顔を覗き込む。

「社内の女性はみんな陽介くんのことをカッコいいって言ってるから」

秘書になって改めて彼が女性にモテるのだと思い知らされた。
取引先の会社へ行くと、受付嬢は分かりやすく彼をうっとりとした目で見つめるし、すれ違った女性たちはまるで芸能人でも見つけたかのように目を見開いて彼を凝視し、振り返って後ろ姿さえも目で追う。

彼が独身であることを知ると、女性たちは積極的にアピールを始める。
彼の秘書という立場上、そういう場面は嫌でも目に入る。
仕方ないとはいえ、複雑な気持ちになることもあった。

「俺が他の子に目移りするかもって心配?」

こくりと頷く。彼ほどに魅力的な男性が平凡な私と付き合ってくれていること自体奇跡みたいなものだ。
けれど、彼は誠実な人だ。私と付き合っている時に他の女性に目移りすることはないと、確信を持てる。
そんな風に彼を信じられるのは、それだけ彼が私への愛情をきちんと表現してくれているからに他ならない。

「そっか、結乃もヤキモチ妬いてくれてたんだ」

満足げに微笑み、彼はそっと私の頬に触れた。
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