【完結】ハイスぺ副社長になった初恋相手と再会したら、一途な愛を心と身体に刻み込まれました

中山紡希

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第二章

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「――お話途中すみません。秋月さん、ウメジマ商事の人から電話が入ってるよ。至急折り返して欲しいって」

慌てた様子で給湯室入ってきた小田さん。

「あっ……はい、分かりました」

チラリと轟部長を見やると、行けと言うように顎で指示を送る。
私は頭を下げて小田さんとともに給湯室を後にした。

「週明けの朝から可哀想に。席にいないから心配してたの。そしたら、アイツに連れてかれたって聞いて。秋月ちゃん、大丈夫?」

小田さんが心配そうに私の顔を覗き込む。

「小田さんが来てくれたお陰で助かりました。そういえば、ウメジマ商事っていうのは……?」

よく考えてみれば、聞き覚えのない社名だ。

「ああ、あれは秋月ちゃんを連れ出す口実だから」

ぺろっと舌を出しておどける小田さん。

「小田さん……ありがとうございます。ご迷惑をおかけしてすみません」

私を気にかけてわざわざ給湯室までやってきてくれたのだと知り、胸が熱くなる。

「いいのよ、謝んないで。悪いのは轟なんだから」

フロアの前に着くと小田さんはポンポンッと私の肩を叩いた。

「こんなことしかしてあげられなくて心苦しいけど、あと一か月なんとか耐えて。そうすれば、きっと転機が訪れるから」
「はい……。分かりました」
「さっ、仕事仕事!今日もがんばろ!」

転機とは一体なんだろう。
その言葉の意味はよく分からなかったけれど、私を勇気づけようとしてくれているのは分かった。
小田さんの後を追って自席へ向かいながら、気持ちを仕事モードに切り替えた。

席に着きPCを起動させる。
海外の取引先との連絡は英語で交わす。届くメール文書も基本的にすべて英語表記だ。
貿易会社の事務員の仕事は少しだけ特殊だ。会社の事務全般の仕事を担うのではなく、貿易に特化している。
現在は、中国と台湾との取引が主だ。
現地の正月に当たる春節の前後に顧客が長期連休を取得するため、書類を前倒しで送る必要がありその時期は目の回るような忙しさになる。最近ではインドとの取引も多くなっている。

メールの返信作業を終え、一日のチェックリストを作って優先順位をつけてひとつずつ確実にさばいていく。

「あのっ、秋月さんちょっといいですか?」

背後から声を掛けられて、キーボードを打つ手を止める。
振り返ると、半年前に派遣社員として入社した須賀さんが申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
明らかに狼狽する彼女にそっと微笑む。
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