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第一章
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しおりを挟む「冗談なんかじゃない。ただあの後、母親が再婚して名前が変わって……。言うタイミングを逃したまま卒業して離れ離れになった。あの時の俺は自分のことに必死で、秋月を幸せにする自信がなかった」
確かにあの合宿の後、彼は早瀬姓に変わった。
私には分からない苦労や重圧を背負ったに違いない。
時々切なげに笑うようになったのはあの頃からだ。
真剣な表情で彼は続ける。
「今日のクラス会だって行くつもりはなかった。いつも秋月が参加してないって知ってたから。でも、来てるって連絡が入っていてもたってもいられず仕事を切り上げて店に行った」
「陽介くん……」
「一分でも一秒でも早く会いたくて駐車場から店まで全力疾走するなんて、馬鹿だよな。今日十年ぶりに秋月と会って、やっぱり俺は今も秋月が好きなんだって実感した」
信じられない。彼が私を好きだなんて。
海風にのって彼の方からふわりと甘いムスクの香りがする。私の胸は痛いぐらいに高鳴った。
「一緒にいる間、遠回しにアプローチしたけど全然気付いてくれないから、曖昧な言い方するのはもうやめる。酒飲まなかったのは、秋月のことを車で送る名目でふたりっきりになりたかったからだし、他の女子と連絡先交換とツーショット写真を撮るのを拒んだのも秋月に変に誤解されたくなかったから」
彼の言葉に胸が浮き立つ。
「秋月は俺を優しいって言うけど、そうでもないよ。俺が秋月に優しくするのは特別な感情があるから。秋月が好きだからだ」
私を見つめる彼の澄んだ瞳に心が大きく揺れる。
「突然こんなこと言って驚かせてごめん。でも、秋月を前にしたら気持ちを抑えられなかった」
射貫くように強い眼差しに感情が込み上げる。
「秋月の気持ちを教えて欲しい」
「私……」
言葉を紡ぐ私に陽介くんが熱のこもった視線を向ける。
自分の気持ちを口にするのは勇気がいる。
それでも彼は本音を曝け出してくれた。
それなのに、自分だけ胸の内を明かさないのは不公平だ。
ぐっと拳を握りしめて彼を真っすぐ見つめる。十年越しの想いを伝えるには、今しかない。
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強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
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