上 下
97 / 100
最終章 誓い合った愛

しおりを挟む
部屋は最上階のスイートルームだった。

「す、すごい……」

私は思わず声を漏らして部屋の中を見渡した。
部屋の広さや家具、内装などすべてにおいて豪華絢爛だ。

「綺麗……」

窓際に歩み寄る。
地上200メートルをゆうに超える高さの客室から見下ろす、キラキラと輝く夜景は圧巻だった。
こんなに素敵な場所に連れてきてくれた智哉さんには感謝しかない。

「智哉さ……」

振り返ってお礼を言おうとしたとき、後ろから伸びてきた腕が私の腹部に回った。
後ろからギュっと抱きしめられたかと思ったら、首筋にチュッとキスを落とされる。
首筋を唇で軽く吸われてビクンッと体を震わせる。
体をよじるようにして智哉さんと向かい合った瞬間、智哉さんは真剣な眼差しを私に向けた。

「智哉さん?」

首を傾げると、智哉さんはスーツの内ポケットから四角い箱を取り出した。

「俺と結婚してください」

箱の中には大きなダイヤの付いた指輪が収められていた。
突然のプロポーズに驚きと喜びが同時に押し寄せてきて、言葉を失う。

「必ず幸せにする。約束するよ」

数か月前まで、私は結婚には無縁だと思っていた。
それなのに、今、私は愛する人にプロポーズされている。

ポロリと喜びの涙が零れて、唇が震える。
ずっと、仕事一筋で生きてきたけど、やっぱり恋だってしたかった。
愛されたい。幸せになりたい。
私はずっとそう望んでいた。
だから、答えは決まっていた。

「はい。私と結婚してください」

私の答えにホッとしたように微笑むと、智哉さんは私の左手をとり薬指にダイヤモンドの指輪をはめた。
サイズはピッタリだ。キラキラと輝く指輪を見つめていると、感動で胸が打ち震えた。


「愛してるよ、実咲」

智哉さんが私の体に腕を回して優しく抱きしめる。私も彼の背中に腕を回してそれに応えた。
きっと智哉さんとなら理想の家族になれる。
だって、こんなにも深い愛で私を包み込んでくれるんだから。
わずかに腕の力を弱めると、智哉さんは私にキスをした。
ついばむようなキスのあと、口の中に智哉さんの舌が差し込まれる。もう我慢ができないというように、欲情を隠すことのない智哉さんに胸が熱くなる。

「ま、待って……。先にシャワーを……」
「ごめん、それは無理。俺は一度実咲に触れると、理性が利かなくなるんだ」

智哉さんは体を屈めると、私の背中と膝の後ろに腕を回してひょいと抱き上げた。
お姫様抱っこのまま、すぐそばの天蓋付きのキングサイズのベッドに押し倒される。

「それに、夜景以上に綺麗なものが目の前にあったら、触れないわけにはいかないでしょ」
「……っ」

私に馬乗りになりながらネクタイを緩めると、彼は腕時計を外して寝台に置く。

「今日のドレス、特に可愛いから脱がせるのがもったいないな」

じっくりと舐めるように見つめられると、たまらない気持ちになる。
智哉さんは私の手にそっと自分の手を重ね合わせる。
私がそれに応えるように指を絡ませると、それを合図のように唇を奪われた。

深く甘いキスで存分に私を焦らした後、智哉さんはようやく私の体に触れた。
腰に触れていた智哉さんの手のひらはゆっくりと私の体をなぞるように上へあがり、やがて膨らみに触れる。服の上から触られているだけなのに、腰が震える。
着ていたドレスとストッキングを脱がされ、私は艶やかなシーツの上で下着姿になる。

ブラックの総レースのエレガントなデザインのブラジャーと透け感のあるショーツ。
智哉さんは熱っぽい目で私を見下ろした。

「すごいそそる……。これ、今日の為につけてきてくれたの?」
「そ、そんな意地悪なこと言わないでください……!」

恥ずかしくなって両手で胸元を隠すと、智哉さんは「ダメ」と私の両手をシーツに押し付けた。

「嬉しいんだよ。俺に見せるためにつけてきてくれたって考えると」

まるで記憶に刻むように見つめられて、羞恥心が刺激されて顔が真っ赤になる。

「あんっ……やぁ……」

下着の上から胸の頂点を指で弾かれて、腰が浮く。
彼と身体を重ねる度にもたらされる甘美な刺激を脳が記憶しているせいで、少し触れられただけで下半身がジンジンッと熱を持って疼く。

彼はすぐに下着を脱がそうとはしない。胸をたっぷり愛でた後、下肢に伸びてきた指先は、焦らすように何度も太ももを往復する。
際どいところに触れても、肝心なところには絶対に触れない。

「あっ……智哉……さん……っ」

たまらず悲鳴のような声を漏らす私の髪を智哉さんは優しく撫でつける。
ようやくクロッチの部分に指先が触れたかと思うと、その指はすぐに離れていく。

「やっ……もう……」

その疼きを解放するように仰向けのまま膝同士を必死に擦り合わせる。

「そろそろ脱ごうか?このままじゃ汚れちゃうしね」

彼は器用にブラジャーのホックを外し、ショーツをまで脱がせる。

「智哉さんも……脱いで?」
「分かった」

なにも身に着けていないのが自分だけだなんて恥ずかしい。私がお願いすると、彼はYシャツのボタンに手をかけた。
智哉さんの均整の取れた体つきには、何度だって胸を焦がしてしまう。
彼は大きな手のひらで胸を揉みしだき、てっぺんを指で優しく弾く。


「あぁっ……ああんっ……」

そして、充分焦らされて敏感になり立ち上がった胸の頂きを、温かい舌でベロンッと舐め上げる。
その舌の感触に耐えきれず、嬌声を上げる。
彼は私がどうすれば喜ぶのか熟知していた。
時々、わざとチュパチュパッと音を立てて乳首を吸い、羞恥心を煽られる。

「あっ、やぁ……っ……あぁん!」

彼のなすがままだった。
体中が汗ばみ、顔が上気しているのが自分でも分かる。
彼は乳輪を唇で食み優しく吸い上げながら、尖らせた舌先でチロチロと乳頭を甘く攻め立てる。

「それっ、やっ……」

それに抗うように足の指にぎゅっと力を込める。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。 干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。 と思っていたら、 初めての相手に再会した。 柚木 紘弥。 忘れられない、初めての1度だけの彼。 【完結】ありがとうございました‼

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

若妻シリーズ

笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。 気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。 乳首責め/クリ責め/潮吹き ※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様 ※使用画像/SplitShire様

孤独なメイドは、夜ごと元国王陛下に愛される 〜治験と言う名の淫らなヒメゴト〜

当麻月菜
恋愛
「さっそくだけれど、ここに座ってスカートをめくりあげて」 「はい!?」 諸般の事情で寄る辺の無い身の上になったファルナは、街で見かけた求人広告を頼りに面接を受け、とある医師のメイドになった。 ただこの医者──グリジットは、顔は良いけれど夜のお薬を開発するいかがわしい医者だった。しかも元国王陛下だった。 ファルナに与えられたお仕事は、昼はメイド(でもお仕事はほとんどナシ)で夜は治験(こっちがメイン)。 治験と言う名の大義名分の下、淫らなアレコレをしちゃう元国王陛下とメイドの、すれ違ったり、じれじれしたりする一線を越えるか超えないか微妙な夜のおはなし。 ※ 2021/04/08 タイトル変更しました。 ※ ただただ私(作者)がえっちい話を書きたかっただけなので、設定はふわっふわです。お許しください。 ※ R18シーンには☆があります。ご注意ください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

絶倫彼は私を離さない~あぁ、私は貴方の虜で快楽に堕ちる~

一ノ瀬 彩音
恋愛
私の彼氏は絶倫で、毎日愛されていく私は、すっかり彼の虜になってしまうのですが そんな彼が大好きなのです。 今日も可愛がられている私は、意地悪な彼氏に愛され続けていき、 次第に染め上げられてしまうのですが……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【完結】鳥籠の妻と変態鬼畜紳士な夫

Ringo
恋愛
夫が好きで好きで好きすぎる妻。 生まれた時から傍にいた夫が妻の生きる世界の全てで、夫なしの人生など考えただけで絶望レベル。 行動の全てを報告させ把握していないと不安になり、少しでも女の気配を感じれば嫉妬に狂う。 そしてそんな妻を愛してやまない夫。 束縛されること、嫉妬されることにこれ以上にない愛情を感じる変態。 自身も嫉妬深く、妻を家に閉じ込め家族以外との接触や交流を遮断。 時に激しい妄想に駆られて俺様キャラが降臨し、妻を言葉と行為で追い込む鬼畜でもある。 そんなメンヘラ妻と変態鬼畜紳士夫が織り成す日常をご覧あれ。 ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ ※現代もの ※R18内容濃いめ(作者調べ) ※ガッツリ行為エピソード多め ※上記が苦手な方はご遠慮ください 完結まで執筆済み

【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?

夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」 「え、じゃあ結婚します!」 メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。 というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。 そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。 彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。 しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。 そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。 そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。 男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。 二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。 ◆hotランキング 10位ありがとうございます……! ―― ◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ

処理中です...