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第六章 芽生えた感情

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「それに、前はなし崩し的に実咲を抱くことになったから。今度こそちゃんと愛し合いたい」
「智哉さん……」
「いい?」

ダメな理由などなかった。私は頷くと、彼は柔らかい笑みを浮かべて「素直だね」と満足げに言ってキスを落す。

「んんっ……」

唇を食む様に何度も角度を変えて口づけされ、たまらず声を漏らす。
わずかに開いた唇の間から智哉さんの熱を帯びた舌先がぬるりと差し込まれる。
彼の舌は私の舌にいやらしく絡みつく。


初めて体を重ねた時よりもさらに濃厚なキスに、頭がジンジンと痺れる。
彼が私を求めているのが分かる。
激しいキスの嵐に、互いの唾液が混じり合う。
グチャグチャという淫靡な音でたっぷり舌先を絡められた後、彼の唇が耳に触れる。

「やっ……」

耳たぶを優しく舐められると、全身にゾクゾクとした快感が走った。

「実咲はホントに耳が好きだね」
「ダメッ……」

彼の熱い吐息が耳に触れ、下半身が疼く。

「実咲の耳に触れるのは俺が初めてなんだよね?これからも絶対他の男に触れさせないでね。もちろん、耳だけじゃなく全部ね」
「あっ……」

耳朶を唇で食まれたり、舌先で舐められて静かな室内に甘い声が響く。
すると、彼は再び私の唇を奪い、服の上から胸に触れる。
右手で私のふっくらと盛り上がる場所をゆっくりと味わうように揉みしだく。
敏感な頂きが彼の手のひらで擦られるたびに、下肢の真ん中がじんわりと熱を帯びていく。

智哉さんは器用に服を脱がせ、ブラを取り羞恥心を煽るようにまじまじと私の体を見つめた。

「服の下にこんな淫らな体を隠し持ってるなんて、他の男には絶対に教えたくないな」

全開は薄暗い部屋の中でだったけれど、今日は違う。真昼間のリビングですべてが丸見えだ。

「華奢な体なのに、実咲の胸俺の手に収まらないよ」

羞恥心を逆なでような声で言うと、彼の手が直接胸に触れた。
彼は私の反応を伺うように胸を揉みしだく。

「……んっ……」

胸の外側を指先で撫でられて焦らされてたまらず膝同士を擦り合わす。
すると、彼が期待に尖りかけるてっぺんを親指と人差し指で摘まみ、クリクリと揉んだ。

「あぁ……ああん……!」

鋭い快感が体を貫き、嬌声を上げる。

「声も反応も可愛いすぎるでしょ。すごい興奮するんだけど」
「やっ……」

彼は堪らないとばかりに甘く呟き、すでに尖り切っていた乳首を口に含んだ。

「あっ……あぁ……」

ビクッと腰が跳ねる。熱い舌先が頂きに絡み付き、ジュルジュルと音を立てて吸い上げる。
舌先と唇をどちらも器用に動かして攻め立てられて、たまらず陶酔した表情で声を上げる。

「だ、ダメです……」
「ん?なにが?」

智哉さんは私の反応を楽しむように口角を持ち上げて笑う。
普段の優しくて穏やかな智哉さんと、こうやって私をイジメて楽しそうな智哉さんはまるで別人みたい。
雄の目をした彼にゾクゾクする。

「おかしくなっちゃいそうで怖いんです……」
「怖い?俺とそういうことするのがってこと?」
「ちがっ……。気持ち良すぎて……自分が自分じゃなくなりそうで怖くて……」

こんなことを言うのは自分らしくないと思う。けれど、彼に抗うことができない。
彼からもたらされる快感に我を忘れそうになる自分が怖い。

すると、彼は私を安心させるようにチュッとおでこにキスをして穏やかに微笑んだ。

「大丈夫。実咲の全部、俺がちゃんと受け止めるから。何もかも全部忘れて、今は気持ち良くなって」
「智哉さん……」
「もしどうしても怖くなったらいつでもやめるから言って。実咲に嫌われたくない」
「智哉さんを嫌ったりなんてしません……!」

慌てて否定すると、彼は「よかった」と呟き、再び私にキスを落す。

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