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第二章 甘すぎる一夜の過ち

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「んっ……」

くすぐったさと甘ったるい心地に、吐息が唇から零れる。

「耳、好きなの?」
「ちがっ……。そんなところ舐められたことがなくて……」
「……そうなんだ」

その弾んだ声色は明らかに喜びを含んでいた。
ちゅっちゅっと音を立てて耳朶を吸われて、恥ずかしさにギュっと目を瞑る。
これはなに……?セックスの前戯ってこんな風にされるの……?

今までの彼氏はせわしなく服を脱がせて私の体をいじると、あっという間にアレを押し込んだ。
私が濡れていないと知ると、自分のアソコに自分の唾をグリグリと塗り込んだりもした。
そうされるたびに、気持ちが萎えてしまった。

耳朶から唇を離すと、今度は首筋に顔を埋めた。
愛しむように何度もキスの雨を降らせた後、唐突に優しく吸い上げる。

「あっ……」

たまらず声を上げる。それをきっかけに、彼は尖らせた舌先でツツッと首筋を上から下になぞった。ゾクゾクとした突き上げるような快感が全身に広がる。

「伍代さん……っ……」
「どうした?」

たまらず彼の名前を呼ぶと、強い瞳に見据えられた。
これが、彼に与えられた最後のチャンスだ。
やめましょう、と一言口にすればいいだけだ。酔っていて正常な判断ができていませんでしたと謝罪すればいい。
そうすれば……。

「もうやめたい?」

そそのかすような甘美な笑みだった。
「試しましょうか?」と彼を挑発して偉そうなことを言った私は彼に骨抜きにされている。
まだ大切な部分には一切触れられていないのに、私は彼の下でこれから訪れるであろう甘美な刺激に体を震わせた。

「ちがっ……」

もう彼に抗うことは不可能だった。
どうしたいのか、なにをしてほしいのか自分でもよく分からなかった。
けれど、ひとつだけハッキリしていることは私が彼自身を強く求めているということだ。

「分かった。じゃあ、あとは全部俺に任せて気持ち良くなって」

ふっと微笑むと、彼は私の唇を奪った。
先程のような軽いキスではなく官能的な口付だった。そのキスでわずかに残っていた理性を失う。
私に合図を送るように、彼の舌が口の端を撫でる。薄く開いた唇の奥へとするりと舌が差し込まれた。

「実咲は甘いね」

彼がわずかに顔を離して、陶酔したような溜息を漏らす。その瞳には欲情の色が色濃く浮かび上がる。
息をする間もなく再び強く唇を押し付けられて、口腔に熱い舌が潜り込んでくる。
探るように歯列を辿りゆっくりと口蓋を舐めて舌を絡ませる。

「んんっ……」

彼は私の反応を試すように角度を変えて舌先で私を味わう。舌と舌が絡まり、くちゅっとみだらな音が私の羞恥心を煽る。
あまりに情熱的な口づけだった。身体から力が抜けていき、頭の中がぼおっとしてきた。
どうしたらいいのかわからず彼の舌を自分の舌で必死に受け止める。

「よかった。実咲もその気になってくれたんだね」
「やっ……」

気持ちを見透かされて恥じる私に彼は優しい眼差しを向ける。
そっと頭を撫でてから、彼は私の白いブラウスのボタンに手をかけた。
唇に情熱的なキスを落しながら、ひとつずつゆっくりと外され心臓が激しく暴れ回る。
すべてのボタンが外されると、グレージュの下着が露になった。レースがふんだんにあしらわれたお気に入りだ。

「可愛い下着だね。良く似合ってる」

艶っぽい彼の声が落ちてくる。見上げると、その瞳は野性味を帯びていた。
器用にブラのホックを外され、胸元が露になる。
手で隠すと「ダメ」と阻止されてしまう。

「大きいね。実咲は着痩せするタイプなんだね」

彼の大きな手のひらが私の胸を覆い、優しく揉みしだく。その刺激で胸の頂きがチリチリ疼いた。

「あぁっ……」

胸を揉みながら、彼が私の耳朶をやわらかい唇で食む。
一度耳朶から離れた唇が首筋へと移動する。吸い上げられたり、舌で舐め上げたり変化をつけて私を刺激する。

「やっ……あっ」

私の胸を揉みしだく彼の手の動きがさらに淫らなものににある。大きな手で優しく撫でまわされる。
すると、痛いほどにツンッと尖った先端の彼の指先がわずかに擦れた。

「ああんっ!」

今まで感じたことのない歓喜が全身に駆け巡る。
ジンジンッと疼くソコを彼は指の腹で触れるか触れないかの力で擦った。
触れられているのは胸なのに、下っ腹の奥がじわじわと熱くなってくる。
すると、彼は唐突に固くなった頂きをキュッと指で優しく摘みこりこりと回される。

「あっ……あぁ……」

甘い刺激に腰が跳ね、悩ましい鼻声が漏れる。

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