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第一章 謎のイケメン御曹司の登場
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伍代さんと共にJJTを出ると、呼んでおいたタクシーに慌ただしく乗り込んだ。
車内で会食場所の店を探す彼。私は近くの洋菓子店に向かい有名パティシエのつくった洋菓子セットを購入した。
日が落ちて辺りが暗くなり始めたころ、約束の時間より早く予約した店に着いた。
私と伍代さんは事前に座席やトイレの場所の確認を済ませ、しかるべき席に案内できるよう入念にシュミレーションを行った。
それを終え席に座ると、彼は真剣な表情で言った。
「約束してくれ。もしも俺がいないときに嫌なことを言われたり、何かされたりしたら一人で対応せず俺を頼ってほしい」
「そんなに過保護にしなくても大丈夫ですよ。私はそこら辺の女子には負けないぐらい強い女なので」
「君だから過保護になるんだよ。頼む、分かってくれ」
「……はい。分かりました」
こうでも言っておかないと彼が引いてくれないという予感があった。
仕方なく頷くと、彼は心底ほっとしたように安堵した表情を浮かべたのだった。
約束の時間になり、宣伝部長と営業部長がやってきた。
店の雰囲気も落ち着いていて半個室となっているため話がしやすい。
二時間ほど経つと、ふたりとも顔を真っ赤にさせてすっかり酔っ払いと化した。
「俺たちは正直、どこの広告代理店に頼んでもいいわけよ。だって、どこも大体同じような企画書持ってくるんだから」
「おっしゃる通りです。でも、今のJJTさんは今までのイメージを一新するCMを目指しているんですよね?」
酔っぱらって焦点の合わない二人よりよっぽど速いペースで吞んでいたというのに、彼の顔色は一切変わらない。
それどころか、情報を聞き出そうとうまく誘導し始めた。
「そうそう。社長も若くなったしね。ジュージューバーグは家族連れメインのところがあったんだけど、もっと友達同士とか若い層にも来てほしいわけよ。特に今は物価高で主婦の財布の紐も固いからね。その点、若い世代はお金を落としてくれるんだよ」
「若い層、ですか」
彼はこくりこくりと頷きながら考えを巡らせているようだ。
すると、営業部長が空になった私のグラスに目をやった。
「……ん~?おいおいおい、白鳥ちゃん、酒が足りないんじゃないのぉ~?寂しい白鳥ちゃんはもっと吞まなくちゃ」
私がグラスを持ち上げると、瓶ビールをグラスになみなみ注がれる。
「そうですよね。いただきます」
まるでわんこ蕎麦のように息つく暇もないペースでアルコールを摂取しているせいで、上戸の私でもさすがに酔いが回ってきたようだ。グラスと持ち上げた瞬間、スッと私の手の中からグラスが消えた。
驚いて隣に目を向けると、伍代さんが喉を鳴らしてビールを一気飲みした。
「おっ、伍代ちゃんもやるね!白鳥ちゃんも呑みなよ。ねっ」
「あっ……、はい」
さすがに限界だ。でも、ここで断れば場の雰囲気を悪くしてしまう。
営業部長が瓶ビールを構えると、伍代さんがグラスをスッと彼の前に差し出した。
車内で会食場所の店を探す彼。私は近くの洋菓子店に向かい有名パティシエのつくった洋菓子セットを購入した。
日が落ちて辺りが暗くなり始めたころ、約束の時間より早く予約した店に着いた。
私と伍代さんは事前に座席やトイレの場所の確認を済ませ、しかるべき席に案内できるよう入念にシュミレーションを行った。
それを終え席に座ると、彼は真剣な表情で言った。
「約束してくれ。もしも俺がいないときに嫌なことを言われたり、何かされたりしたら一人で対応せず俺を頼ってほしい」
「そんなに過保護にしなくても大丈夫ですよ。私はそこら辺の女子には負けないぐらい強い女なので」
「君だから過保護になるんだよ。頼む、分かってくれ」
「……はい。分かりました」
こうでも言っておかないと彼が引いてくれないという予感があった。
仕方なく頷くと、彼は心底ほっとしたように安堵した表情を浮かべたのだった。
約束の時間になり、宣伝部長と営業部長がやってきた。
店の雰囲気も落ち着いていて半個室となっているため話がしやすい。
二時間ほど経つと、ふたりとも顔を真っ赤にさせてすっかり酔っ払いと化した。
「俺たちは正直、どこの広告代理店に頼んでもいいわけよ。だって、どこも大体同じような企画書持ってくるんだから」
「おっしゃる通りです。でも、今のJJTさんは今までのイメージを一新するCMを目指しているんですよね?」
酔っぱらって焦点の合わない二人よりよっぽど速いペースで吞んでいたというのに、彼の顔色は一切変わらない。
それどころか、情報を聞き出そうとうまく誘導し始めた。
「そうそう。社長も若くなったしね。ジュージューバーグは家族連れメインのところがあったんだけど、もっと友達同士とか若い層にも来てほしいわけよ。特に今は物価高で主婦の財布の紐も固いからね。その点、若い世代はお金を落としてくれるんだよ」
「若い層、ですか」
彼はこくりこくりと頷きながら考えを巡らせているようだ。
すると、営業部長が空になった私のグラスに目をやった。
「……ん~?おいおいおい、白鳥ちゃん、酒が足りないんじゃないのぉ~?寂しい白鳥ちゃんはもっと吞まなくちゃ」
私がグラスを持ち上げると、瓶ビールをグラスになみなみ注がれる。
「そうですよね。いただきます」
まるでわんこ蕎麦のように息つく暇もないペースでアルコールを摂取しているせいで、上戸の私でもさすがに酔いが回ってきたようだ。グラスと持ち上げた瞬間、スッと私の手の中からグラスが消えた。
驚いて隣に目を向けると、伍代さんが喉を鳴らしてビールを一気飲みした。
「おっ、伍代ちゃんもやるね!白鳥ちゃんも呑みなよ。ねっ」
「あっ……、はい」
さすがに限界だ。でも、ここで断れば場の雰囲気を悪くしてしまう。
営業部長が瓶ビールを構えると、伍代さんがグラスをスッと彼の前に差し出した。
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