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第一章 謎のイケメン御曹司の登場
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昼休み。私は自社ビルの最上階にある社員食堂へ向かった。
白を基調としたモダンな空間の中に複数のテーブルが置かれている。
さながらダイニングカフェを彷彿させるぐらいオシャレだ。
広告代理店での仕事は、クライアントとの会食が多い。
そのため、社員食堂を社内外の人との打ち合わせスペースとしても活用している。
野菜がふんだんに使われた日替わり和食定食ののったトレイを手に一番奥のテーブル席に腰掛ける。
すると、私の前の椅子が引かれた。
「ちょっと、実咲。悪女がまた部下をイジメてるって噂になってるよ?」
私の前の席に座り悪戯な笑みを浮かべるのは、同期の新村奈々子だ。
黒髪のショートヘアにゴールドのループピアス。
色白で透明感のある美人で一見冷たそうな印象を受けるものの、コミュ力が高く気さくな性格の持ち主だ。
クリエイティブ職の奈々子は、主に広告のキャッチコピーやデザインを担当している。
私生活では、二歳になる咲ちゃんという娘を一人で育てるシングルマザーだ。
父親は当時の彼氏らしい。
妊娠を告げると堕胎を迫られ、反発した奈々子は一人で子供を産んで育てる道を選んだ。
遠方に住む両親は病気がちで頼れる人がいない。
それでも、奈々子は愛情たっぷりに咲ちゃんを育てている。公私ともに尊敬できる私の大切な親友だ。
「それって黒川さんの話?もうクリエイティブにまで話がいってるの?」
いただきますとパチンっと手を合わせてから割り箸を半分に割る。
「そりゃそうよ。彼女っていろんな部署の男と知り合いだもん。アンタのことあることないこと吹聴しまくってるわよ」
「あっそ。勝手に言わせておけばいいのよ。私はあの子のこともほかの人のこともイジメるなんて幼稚なことしないから」
そんなことをする暇があるなら、違うことに時間を使いたい。
「まあ、実咲がそんな卑怯なことするタイプでないのは確かだわ。で、本当は何があったの?」
奈々子はランチバッグからお弁当を取り出して、テーブルの上に広げた。
そのお弁当に目を奪われる。
おかずは、鳥のから揚げと卵焼きとウインナー。隙間にはブロッコリーとミニトマトが添えられている。
彼女のお弁当はいつも色鮮やかでお世辞なしにそこら辺の店に負けないぐらい美味しそうだ。
そして、なによりすべてが手作りだというから脱帽だ。
私は一昨日の話をかいつまんで奈々子に話した。
「あははは!なんか実咲らしいわ。ただ、その状況なら普通は見て見ぬふりするでしょ」
大きな口でモグモグとから揚げを頬張る奈々子。
「そんなのできるはずないでしょ。男二人が黒川さん一人をお持ち帰りしようとしてたのよ。最近、よくあるじゃない。男に乱暴されて女性が傷付けられる事件が。そんなことになったら大変でしょ」
私は黒川さんにあまり良い印象を抱いていない。
業務時間中にスマホをいじっていることも多いし、仕事も手を抜く。
コピーをお願いすれば、100部印刷したりありえない凡ミスを連発する。
それどころか、見かねて注意するとコピー機の使い方を教わっていないと反論し、反省するどころか人のせいにすることもある。
けれど、それとこれとは話が別だ。
彼女が傷付けられるかもしれない状況を知っていながら見過ごすことはできない。
白を基調としたモダンな空間の中に複数のテーブルが置かれている。
さながらダイニングカフェを彷彿させるぐらいオシャレだ。
広告代理店での仕事は、クライアントとの会食が多い。
そのため、社員食堂を社内外の人との打ち合わせスペースとしても活用している。
野菜がふんだんに使われた日替わり和食定食ののったトレイを手に一番奥のテーブル席に腰掛ける。
すると、私の前の椅子が引かれた。
「ちょっと、実咲。悪女がまた部下をイジメてるって噂になってるよ?」
私の前の席に座り悪戯な笑みを浮かべるのは、同期の新村奈々子だ。
黒髪のショートヘアにゴールドのループピアス。
色白で透明感のある美人で一見冷たそうな印象を受けるものの、コミュ力が高く気さくな性格の持ち主だ。
クリエイティブ職の奈々子は、主に広告のキャッチコピーやデザインを担当している。
私生活では、二歳になる咲ちゃんという娘を一人で育てるシングルマザーだ。
父親は当時の彼氏らしい。
妊娠を告げると堕胎を迫られ、反発した奈々子は一人で子供を産んで育てる道を選んだ。
遠方に住む両親は病気がちで頼れる人がいない。
それでも、奈々子は愛情たっぷりに咲ちゃんを育てている。公私ともに尊敬できる私の大切な親友だ。
「それって黒川さんの話?もうクリエイティブにまで話がいってるの?」
いただきますとパチンっと手を合わせてから割り箸を半分に割る。
「そりゃそうよ。彼女っていろんな部署の男と知り合いだもん。アンタのことあることないこと吹聴しまくってるわよ」
「あっそ。勝手に言わせておけばいいのよ。私はあの子のこともほかの人のこともイジメるなんて幼稚なことしないから」
そんなことをする暇があるなら、違うことに時間を使いたい。
「まあ、実咲がそんな卑怯なことするタイプでないのは確かだわ。で、本当は何があったの?」
奈々子はランチバッグからお弁当を取り出して、テーブルの上に広げた。
そのお弁当に目を奪われる。
おかずは、鳥のから揚げと卵焼きとウインナー。隙間にはブロッコリーとミニトマトが添えられている。
彼女のお弁当はいつも色鮮やかでお世辞なしにそこら辺の店に負けないぐらい美味しそうだ。
そして、なによりすべてが手作りだというから脱帽だ。
私は一昨日の話をかいつまんで奈々子に話した。
「あははは!なんか実咲らしいわ。ただ、その状況なら普通は見て見ぬふりするでしょ」
大きな口でモグモグとから揚げを頬張る奈々子。
「そんなのできるはずないでしょ。男二人が黒川さん一人をお持ち帰りしようとしてたのよ。最近、よくあるじゃない。男に乱暴されて女性が傷付けられる事件が。そんなことになったら大変でしょ」
私は黒川さんにあまり良い印象を抱いていない。
業務時間中にスマホをいじっていることも多いし、仕事も手を抜く。
コピーをお願いすれば、100部印刷したりありえない凡ミスを連発する。
それどころか、見かねて注意するとコピー機の使い方を教わっていないと反論し、反省するどころか人のせいにすることもある。
けれど、それとこれとは話が別だ。
彼女が傷付けられるかもしれない状況を知っていながら見過ごすことはできない。
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