【完結】一夜限りのはずが、ハイスぺ御曹司に熱烈求愛されて一途な愛を刻み込まれました

第一章 謎のイケメン御曹司の登場

５

「ふざけるのもいい加減にしてもらえますか？これは、セクハラです。ずっと海外にいたからそういうノリなのかは知りませんが、正直、不愉快です」
「ふざけてないけど」

キッと鋭く睨みつけるが、彼が怯む様子は感じられない。
それどころか、わずかに肩をすくめておどけて見せるその姿にイライラが募る。

すると、黒川が「あ～！」と声を上げた。

「今日、エイプリルフールだ！だからかぁ。伍代さんってば、おもしろ～い！！でも、ダメですよぉ。白鳥さんのこと期待させたら。アラサーを本気にさせたら大変ですよ～」

私への報復とばかりに大声で言い放った黒川さんに、部内の空気が一瞬で凍り付く。

「ああ、そういえば今日はエイプリルフールでしたね。すっかり忘れていました」

彼はシレっと言い放ち、パッと私から手を離して部長の隣へ戻っていく。

なっ、なんなのよ。
どうして初対面の男に大勢の前で恥をかかされないといけないわけ？
部長の隣にいる伍代の視線は、いまだに私に向けられている。

よくもまあ、そうやって平然としていられるわ。
人のことをおちょくって楽しむなんて、人間性を疑ってしまう。

からかわれたと確信した私は、マグマのように込み上げてくる怒りを鎮めるのに必死だった。
自然と拳を固く握りしめて、グッと奥歯を噛みしめる。
けれど、その原因を作った当の張本人はそんな私を何故か楽しそうに眺めていた。