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しおりを挟むそれだのに…
あんなに意気込んでた筈だったのに──
『克俊…ごめん…』
『お?な~んだよ!
と・も・や! 一体どうした? ん?』
しおらしい仕草でもじもじとする知也が可愛くて、克俊は甘い顔を見せる。
そしていつもの如く、ぐりぐりと知也を抱きしめ愛情表現を示す克俊は次の瞬間、怒号を浴びせた。
『なあーにぃ!?
知也お前今、なんつった!?』
『あのっ…だから…その…
・・・旅行に行けなくなりましたっ!!』
『んだとぉっ!?ふざけた事言ってんじゃねえ!!』
…いや、別にふざけてなんか・・・
再び叫ぶ克俊に知也はビクビクしながら同じ言葉を伝えていた。
『なんで行けなくなったんだよ!?』
『それは…あの…この間のテストがっ…』
『………』
知也の説明に克俊はふらつきはじめた。
『…な、んだって!?
テストの成績が悪いから遊べない!?』
『う、ん。お母さんが…
だから別荘行きは無理だよ。GWは部屋に缶詰だから…だから…さ、ごめんね』
ご、めんねって…
…ごめんねって…っ
そんな顔されたら何も言えねえだろうがよっ!くそ…
涙ぐみ詫びる知也に胸と下半身がキュンキュン疼く…
・
うそだろ…
すっっっげー楽しみにしてたんだぜ?
なんでこうなるんだよ!?
浮かれていた気分が暗雲の渦にグルグルと飲み込まれていく…
途方にくれた克俊の瞳から
キラン゚.+。゚と一粒の涙が散った──
それから数日…
「ほんとに来るの!?」
「…ったり前ぇだろ!!
せっかくのGWだぜ!?
大丈夫だから俺に任せろって! な!?」
克俊は強攻策に打って出たようだ。
ラフに下ろしたいつものロン毛をオールバックでビシッとまとめ、後ろで結ぶ。
なるべく清楚を意識して服装はトラッドに。
極めつけは何故か銀ぶち眼鏡…
「なんで、眼鏡なんか?」
「ばか!これが決めてだろ!? どうみても優等生の先輩にしかみえないってのが狙いだよ!」
克俊は自慢気に言ってのけたが…
「まぁ~、いらっしゃい。
連休なのにわざわざ、知也の為にごめんなさいね」
母は知也を肘でこづき、ボソボソと耳打ちする。
“ちょっと知也!いつの間にこんな先輩と仲良くなったのよっ!?”
“いつの間にって……”
もちろん、お母さん…あなたの知らぬ間に──
あげく全てを奪われてしまいました……
「でも、こんな美形で勉強も出来るなんてほんとに羨ましいわぁ」
「いやいやそんなぁ!…ははは」
克俊の狙い通りに事が運んだようだった。
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