私立繚蘭学園男子校～克俊＆知也編

9章 うさちゃんブルマに野獣の雄叫び

秋深く

舞い散る木の葉に胸寂し…


(なーんて訳ねーだろ！？あーっくそ！　早く来ねえかな知也の奴…)


　部屋から望める景色に浸り片恋の句を黙読する… 
 繚蘭学園三年Ｆ組。大江克俊。通称「キング」奴は愛しいハニーを今か今かと待ち侘びていた。

 文化祭の出し物、知也のクラスＣ組は演劇に決まったらしく、知也は休みを返上して学園で劇の練習をする羽目になってしまった。

「たくっ…俺と知也の貴重な時間を奪うんじゃねえよ！　なーにが文化の日じゃ」


「克俊様。今回のおやつは生キャラメルのエクレアシュークリームをご用意致しました」

「ああ、サンキュー。藤村。知也が歓びそうなやつか？」

「ええ…たぶんに、ですが…」


･

品のいい物言いで、執事は克俊の離れの部屋に知也好みのオヤツを届けていた。パイ生地の皮に秋の味覚、栗生キャラメルが包まれていると言う。

「この間、“うわぁっサクサクのシュークリームだぁ!!”と、えらく可愛い笑顔を浮かべてらっしゃいましたので、外してはいないと思いますが…」


「そうか…」

　克俊は知也の笑顔を思い浮かべて、うずうずしながら頷いた。

「あと、なるべくお口回りを汚すように上に白いお粉を多目に振り掛けて頂きました」

「でかした!!」

　目を輝かす克俊にベテラン執事、藤村はふふふ、と不敵な笑みを浮かべて返した。

がぶりとエクレアにかぶり付き、口の回りを汚す知也の顔が目に浮かぶ…

鼻に粉砂糖を沢山まぶし、口の脇にクリームをたっぷりはみ出させた知也のほっぺたに美味しそうにねっとりと舌を這わす…

長年使えてきた大江家、克俊坊っちゃんの性癖は手に取るように知り尽している。


「では…失礼致します」

 部屋から出ると藤村は振り向き様にニヤリとまた、怪しげな笑みを浮かべた。