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13章 キスマニア

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晴樹の突然の呼びかけに苗は不満を抱えながら返事をした




「アイツと‥


夏目と何、話した?」



「‥‥‥何って…//」



微かに顔を赤らめ照れながらうつ向く苗に晴樹は目を見張る――



「何話した?」


「別に、何も‥//‥」



追及しても言わない苗に晴樹はため息をつきながら言った‥



「ハァ‥‥‥


真っ直ぐ帰るって言ったのに‥‥‥

約束破ったうえに‥


聞いたことにも答えない‥


もう‥


打ち切りだな‥‥‥」



「──…!ッ…え!?」



晴樹の言葉に苗は戸惑った。



「う、打ち切り‥って!?」


「物資援助の‥‥‥」




‥物資援助の打ち切り!?

はっ!!それは困るかもしれないっ!?


苗は慌てて晴樹にすがりついた!

…………………………………………

オカンが赤ちゃん産んだらバイト減らして家事に専念しなきゃならない‥‥



今、兄さんに見捨てられ、救援物資が途絶えてしまえば一家離散!!


‥苗は知らないおじさんに連れられでっち奉公させられちゃうんだきっと!




苗の時代錯誤な考えが頭をよぎった──


「兄さん、許して!!
ねっ、何でもしますっ!

お願い!!!あんたぁ見捨てんといてぇな!!?
なぁ!?」

苗はソファを降りて晴樹の足元にガバッと座り膝にすがり付く。




‥何だよ、その喋り方は?


何故か関西なまりですがりつく苗に晴樹はあることを言いつけた。


「ホントに‥



何でもするか?」



晴樹の言葉に苗はウンウン!‥と必死で頷く。


晴樹は目の前のテーブルに置かれていたサービス用のキャンディを手にとり妖しく微笑する。そしてキャンディを自分の口に放り込んだ――



晴樹はキャンディを口の中で転がしながら苗を見つめ言った‥‥



「このアメ‥‥

溶ける前に俺から奪い取れたら許してやる‥」




晴樹は不敵な笑みを浮かべ苗を急かした‥


「ほら、どうするよ?


小さいから直ぐに溶けちまうぜ?ん?」

…………………………………………

‥せ、セクハラだ‥‥



困惑する苗に晴樹はほらほらっどうする?‥そう言いながら笑っている‥


「捕れたら‥ホントに許してくれる!?」



晴樹はニヤッと笑い頷いた。


‥ょ、よしっ!


苗は覚悟を決めて舌先にアメを乗せホラホラ‥と見せびらかす晴樹の口に吸い付いた!


ソファの上で晴樹に乗しかかり苗は必死でキャンディを追いかける‥



晴樹は自分の口の中で動き回る苗の舌先からアメをかばいそして自分の舌を絡めた‥‥‥





‥ナ‥エ‥‥///‥




晴樹は自分の膝の上に乗しかかる苗の腰にゆっくりと手を回す‥



たまに、イタズラ気味に苗の舌先にアメを押し付けては引っ込める動作を繰り返し、晴樹は苗の舌を味わっていた




‥ムムゥ〰っ…捕れないっ‥‥




まるで出店の金魚すくいをしている気分になる

すくい捕れそうで捕れないそんなもどかしさが、苗の闘争心に火をつけた──


苗は晴樹の顔を両手で包み込むと深く深く舌を押し込む。



‥──!?…苗ッ‥//





苗の責めに晴樹は自分の疼く高まりを抑えきれなかった‥‥‥


…………………………………………

唾液が溢れ、熱い口の中でアメは急速にその姿を変え始める‥


いつの間にか溶けたアメの存在も忘れ晴樹は苗の舌に夢中になっていた



相変わらず必死で自分の口の中のアメを探る苗の後頭部に手を添えて艶やかな髪を撫でる‥‥‥



堪らなくなって晴樹は苗の顔を両手ではさんで押し退け唇を離した‥


二人の口から吐き出された熱い息がお互いに吹きかかる‥‥

晴樹は濡れた眼差しで苗を見つめ、そして苗の唇を音を立て吸うと下唇をキュッと甘く噛んだ‥


それを繰り返すとゆっくりと包み込むように苗を抱きしめ黒髪に顔を埋める‥



抱きしめながら苗の感触を味わう晴樹に苗は言った‥‥




「兄さんっ早くしないとアメが溶けちゃう!!」




慌てる苗に晴樹は呆れ顔で教えた


「‥‥‥ばか‥//


とっくの昔に溶けてるよ」



「──!?‥




そ、んな──」



晴樹の言葉に苗はショックを隠せない‥


「‥‥ぅ、ぅぇッ‥


やっぱり苗はでっち奉公に連れて行かれる運命なんだ‥‥‥グスッ‥」


「なんだよ、そのでっち奉公ってのは」

…………………………………………

相変わらずいってる意味は理解できないことが多いが自分の膝の上で涙目で呟く苗が可愛い‥‥



晴樹は愛しむように苗を見つめ、再びセクハラを始めた‥

晴樹はまたテーブルの上のキャンディに手を伸ばすとソレを苗の口に放り込む‥‥



「ワン.モア.チャンス‥‥‥





俺からそのアメ守り抜いたら許してやる‥‥‥」




晴樹はそう言うと苗の返事も待たずにソファに押し倒し唇を重ねた。


「──んムっ!‥ンッ‥ァぅ‥‥ンムッ」


さっきとは逆に晴樹が上から責め立てる‥

勝負はアメを苗から取り上げるだけでついてしまう‥


だが、晴樹はアメに一切興味を示さない‥‥



‥俺が欲しいのはアメじゃない‥‥‥



──ッ苗!



夏目なんかには渡さないっ

他の誰にも──



お前は俺だけのものだ‥‥



アメを奪う気のない晴樹は苗の唇に甘く激しいキスを繰り返す‥

そして互いの唇の吸い付き合う音が尚更、晴樹自身を駆り立てていた──


苗はアメを捕られないようにと必死で舌でかばうが晴樹の力強さには敵わない‥

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