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☆男装バレて~のアルと彼らの× × × 。
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しおりを挟むロイドは驚いてアルを見た。
アルから手を握ってきてくれた、それは嬉しいにこしたことはない…
ないのだが―――
ロイドはアルのその握り方に違和感を覚えていた。
小さな子供が親に甘えているように、アルは握ったロイドの手を振りながら笑顔を向けてくる。
アル?…
やっぱり、ちょっと…
愛馬を牽いて歩くロイドの隣で、初めて訪れた町を眺めながらアルは鼻歌を歌っている。
無邪気すぎる…
ちょっとした仕草に幼さが見てとれる。
幼児返り…か…
ロイドはアルを気に掛けながら宿に入った。
「いらっしゃいませ。ご予約のロイド・グレーバン様ですね。シングルの部屋を二部屋でよろしかったでしょうか?」
「ああ、頼む」
そう言ってサインをするロイドの服の裾を、アルはくっと引っ張った。
「……?」
「お部屋、別々なの?」
「……ん?」
アルは長身のロイドを見上げて首を傾げ、無邪気な瞳を投げ掛けた。
「別々はさみしいなぁ…」
「……っ…//」
小石のない場所で、うつ向いて小石を蹴る動作を繰り返す…
「…い、一緒の部屋がいいのか?」
微かに頬をぷっと膨らませ、アルは拗ねたように頷く…
「……//」
幼児返り……
――――っ最高!!…//
ロイドは小さく拳を握った
「じゃ、あ…つ、ツインの部屋をっ…//」
アルの希望を聞き入れ、ロイドは少し興奮気味に予約を取り直す。
そして案内された部屋に向かった…
「こちらになります」
……っ…///
通された部屋に入るなり、二つ並んだベッドを見て思わずムホッとロイドの顔が緩む…
相変わらず手をキュッと握ったまま部屋をきょろきょろと見回すアルをロイドは見つめた。
アルが……
アルが言ったんだからっ…//
言い訳がましく自分自身にそう言い聞かせると、ロイドは楽しそうにベッドで跳ねるアルを見て、再び拳を固く握った
「ねえロイド!! このベッド凄くふかふかしてる」
貴族御用達の高級宿屋…
アルは大きなベッドに横になりそう言うと、部屋のドアの前で佇んだままのロイドを見て
「ロイドもここっ!」
「は!?…//」
アルは自分のベッドをぽんと叩いた…
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