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第三章 恋愛編
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・
ロイドは深い溜め息をつき自分を落ち着かせようと努力した‥
目の前にはあんなに会いたかった人がいるのに、自分は気を使わせてばかりだ…
‥俺はいつからこんなに女々しくなっちまったんだ?
なんでコイツの事になるとこんなに臆病になるんだろうか‥‥‥
ロイドがアルの後ろ姿を見つめていると‥
突然、あのね!と言いながら笑顔で振り返るアルと目があった…
「──…っ…」
とっさに顔を背けるロイドに一瞬、アルは悲しそうな表情を浮かべた
アルは今日作ったパイを手にし、食卓に置くと取り分ける為にナイフを入れた
そのパイを見てロイドは目を見張る‥‥
「ラズベリーパイ..」
ロイドはボソっと呟いた
「これね、実は今日‥エバに習って作ったんだ!
大好物でしょ?
エバほど上手じゃないけど‥‥」
アルは口を開いたロイドに笑顔を向けて、照れわらう。
ロイドはパイを食い入るように見つめていた。
そうだ‥これは俺の大好物‥一度だけそう言ったことがある‥‥
そして、自分の好きな人がそれを憶えていてくれて、しかも手作りしてくれた‥
男が喜ばない筈がない💧
ロイドはパイを眺め緩む口元を手で隠した‥
顔はほんのり紅潮している‥‥‥
“わかりやすぅー…”
そんなロイドを見て子供達は呆れながら思っていた💧
・
‥やばい‥//
嬉しくてしょうがない…っ
その思いを助長するかのように動悸が早まり始めた。
胸の疼きを堪え、ロイドは下唇を噛み締める
‥どうしよう……
俺はどうすればいいっ!?
‥///‥
すげー抱き締めたいっ!!
『嫌われたままは嫌だから』
『兄ちゃんのこと気にしてたぞっ!』
ロイドは今、やっとティムの言葉を信じることができた…
なんとも思ってなきゃここまではしない‥‥
今なら言える‥この想いっ
もう‥この際、玉砕しても構わない!!!
ロイドは二人分のパイとお茶をトレイに乗せて、公園に向かう準備をするアルを真っ直ぐに見つめた…
覚悟を決めたロイドは
もう、アルから目を背けることはしない…
そして、じゃあ行こっか?とロイドを振り向いたアルはロイドの熱い眼差しに射ぬかれ息を飲んでいた…
… あれっ?なんだか、さっきと表情が‥っ‥‥
ついさっきまで、しきりに自分と目を合わすことを避けていたロイドが今度は熱を持つ、潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめてくる…
… あの瞳はちょっとヤバそう…っ…
アルは少し怯えていた。
そう‥ロイドには一、二度襲われた事がある。その時の瞳と今の眼差しがまったく同じだった。
・
アルは一瞬、二人きりで公園に行くことに不安を憶えた💧
「や、やっぱり‥
家の中で話そうか!?」
ロイドは静かに首を横に振る
「…っ…やっぱり‥
外の方が話しやすいよね💧」
アルは諦めて、ロイドと二人で公園に向かう‥
‥まぁ、仕方ないか‥
どのみち子供達の前でする話しでもないし‥💧
ツタの絡まった屋根付きのベンチにアル達は腰掛け、備え付けの小さな木のテーブルに持っていたトレイを置いて、お茶を入れる…
そして、パイを乗せた皿とお茶をロイドに渡した‥
「エバの手作りジャムで作ってるから味は大丈夫だと思うんだけど、パイ生地が上手く出来たか自信なくて💧///」
謙遜するアルをロイドはやっぱり見つめたままだった‥
ロイドは受け取ったパイをしばしの間眺め、食べはじめる‥
‥旨い‥///
パイを口にしても何も言わないロイドにアルは不安気に尋ねた
「‥ま、まずい💧?」
「‥いゃ‥‥
すごく旨いよ‥//」
「ホントに?…
よかったぁ…
あ、足りなかったらあたしのも食べて!ねっ!!」
安心したように笑いかけてくるアルを見てロイドの胸がまた強く疼いた…
・
ロイドは息苦しさに堪えきれず、大きなため息を吐く。
アルは、そんなロイドの行動を気にかけていた
‥あれ、苛つかせちゃったかな?…
アルはあまり時間をかけないようにと、さっそく語り始めた。
ただ…何から切り出していいのかわからず、アルも困惑している
「あの‥さっき言った、話したいことってのは‥え‥っと──あの、あたし‥‥もしかしたら、ロイドの嫌がるようなことしたんじゃないかって‥
それでもし嫌われたんなら謝らなきゃってッ‥」
「アル‥」
「ん?」
話しているアルにロイドは静かに呼びかける。
そして言った…
「アルは何にも悪くないから‥‥だから、アルが謝る必要はない‥‥」
ロイドはそう言うと再びアルを真っ直ぐに見据え、そして言葉を続ける…
「顔を見たくないって言ったのも‥‥‥
あれは、見たくないんじゃなくて‥‥っ‥見れない‥事情が…っ///」
そう話した途端にロイドは顔を赤らめてまた、アルから目をそらした💧
「?‥顔を見れない事情って!?」
アルは、ロイドの聞いて欲しくないことを聞き出そうとする
「──…///…それは‥っ‥」
・
どんなに追求されたとしても絶対に言えない──
アルはひたすら口隠るだけのロイドに喰い下がった!
「ねぇ、ロイド…顔を見れない理由があたしと関係ないなら別にいいけど…
あたしが少しでも関係してるなら知りたい!!
だって理由がわからなきゃ‥‥‥また、同じこと繰り返しちゃうかもしれないし‥‥‥」
自分を真っ直ぐ見つめるアルにロイドはうろたえながら言った‥‥
「‥‥アルは💧‥関係ないよ‥っ‥//」
額に汗を滲ませるロイドにアルは思いっきり疑いの眼差しを投げた💧
「ホントに?
‥‥‥ロイドって‥‥
‥嘘つきだよね‥‥💧」
「なっ!?別に嘘なんかついてな…っ‥//」
「ついてるよ絶対に!!
すぐ顔に出ちゃうじゃんっ」
「なっ──…
だって言える訳ないだろ!?
お前と──‥っ…///」
「お前と?‥‥‥何?」
嘘つき呼ばわりするアルにロイドは冷静を装えず、つい口ばしる。
そして、アルにツっ込まれてしまった…
「‥お‥‥お前とぉ…っ…」
「だから、お前と何!?」
ロイドは茹で上がったタコのように真っ赤になり、口をパクパクと動かす
ロイドは深い溜め息をつき自分を落ち着かせようと努力した‥
目の前にはあんなに会いたかった人がいるのに、自分は気を使わせてばかりだ…
‥俺はいつからこんなに女々しくなっちまったんだ?
なんでコイツの事になるとこんなに臆病になるんだろうか‥‥‥
ロイドがアルの後ろ姿を見つめていると‥
突然、あのね!と言いながら笑顔で振り返るアルと目があった…
「──…っ…」
とっさに顔を背けるロイドに一瞬、アルは悲しそうな表情を浮かべた
アルは今日作ったパイを手にし、食卓に置くと取り分ける為にナイフを入れた
そのパイを見てロイドは目を見張る‥‥
「ラズベリーパイ..」
ロイドはボソっと呟いた
「これね、実は今日‥エバに習って作ったんだ!
大好物でしょ?
エバほど上手じゃないけど‥‥」
アルは口を開いたロイドに笑顔を向けて、照れわらう。
ロイドはパイを食い入るように見つめていた。
そうだ‥これは俺の大好物‥一度だけそう言ったことがある‥‥
そして、自分の好きな人がそれを憶えていてくれて、しかも手作りしてくれた‥
男が喜ばない筈がない💧
ロイドはパイを眺め緩む口元を手で隠した‥
顔はほんのり紅潮している‥‥‥
“わかりやすぅー…”
そんなロイドを見て子供達は呆れながら思っていた💧
・
‥やばい‥//
嬉しくてしょうがない…っ
その思いを助長するかのように動悸が早まり始めた。
胸の疼きを堪え、ロイドは下唇を噛み締める
‥どうしよう……
俺はどうすればいいっ!?
‥///‥
すげー抱き締めたいっ!!
『嫌われたままは嫌だから』
『兄ちゃんのこと気にしてたぞっ!』
ロイドは今、やっとティムの言葉を信じることができた…
なんとも思ってなきゃここまではしない‥‥
今なら言える‥この想いっ
もう‥この際、玉砕しても構わない!!!
ロイドは二人分のパイとお茶をトレイに乗せて、公園に向かう準備をするアルを真っ直ぐに見つめた…
覚悟を決めたロイドは
もう、アルから目を背けることはしない…
そして、じゃあ行こっか?とロイドを振り向いたアルはロイドの熱い眼差しに射ぬかれ息を飲んでいた…
… あれっ?なんだか、さっきと表情が‥っ‥‥
ついさっきまで、しきりに自分と目を合わすことを避けていたロイドが今度は熱を持つ、潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめてくる…
… あの瞳はちょっとヤバそう…っ…
アルは少し怯えていた。
そう‥ロイドには一、二度襲われた事がある。その時の瞳と今の眼差しがまったく同じだった。
・
アルは一瞬、二人きりで公園に行くことに不安を憶えた💧
「や、やっぱり‥
家の中で話そうか!?」
ロイドは静かに首を横に振る
「…っ…やっぱり‥
外の方が話しやすいよね💧」
アルは諦めて、ロイドと二人で公園に向かう‥
‥まぁ、仕方ないか‥
どのみち子供達の前でする話しでもないし‥💧
ツタの絡まった屋根付きのベンチにアル達は腰掛け、備え付けの小さな木のテーブルに持っていたトレイを置いて、お茶を入れる…
そして、パイを乗せた皿とお茶をロイドに渡した‥
「エバの手作りジャムで作ってるから味は大丈夫だと思うんだけど、パイ生地が上手く出来たか自信なくて💧///」
謙遜するアルをロイドはやっぱり見つめたままだった‥
ロイドは受け取ったパイをしばしの間眺め、食べはじめる‥
‥旨い‥///
パイを口にしても何も言わないロイドにアルは不安気に尋ねた
「‥ま、まずい💧?」
「‥いゃ‥‥
すごく旨いよ‥//」
「ホントに?…
よかったぁ…
あ、足りなかったらあたしのも食べて!ねっ!!」
安心したように笑いかけてくるアルを見てロイドの胸がまた強く疼いた…
・
ロイドは息苦しさに堪えきれず、大きなため息を吐く。
アルは、そんなロイドの行動を気にかけていた
‥あれ、苛つかせちゃったかな?…
アルはあまり時間をかけないようにと、さっそく語り始めた。
ただ…何から切り出していいのかわからず、アルも困惑している
「あの‥さっき言った、話したいことってのは‥え‥っと──あの、あたし‥‥もしかしたら、ロイドの嫌がるようなことしたんじゃないかって‥
それでもし嫌われたんなら謝らなきゃってッ‥」
「アル‥」
「ん?」
話しているアルにロイドは静かに呼びかける。
そして言った…
「アルは何にも悪くないから‥‥だから、アルが謝る必要はない‥‥」
ロイドはそう言うと再びアルを真っ直ぐに見据え、そして言葉を続ける…
「顔を見たくないって言ったのも‥‥‥
あれは、見たくないんじゃなくて‥‥っ‥見れない‥事情が…っ///」
そう話した途端にロイドは顔を赤らめてまた、アルから目をそらした💧
「?‥顔を見れない事情って!?」
アルは、ロイドの聞いて欲しくないことを聞き出そうとする
「──…///…それは‥っ‥」
・
どんなに追求されたとしても絶対に言えない──
アルはひたすら口隠るだけのロイドに喰い下がった!
「ねぇ、ロイド…顔を見れない理由があたしと関係ないなら別にいいけど…
あたしが少しでも関係してるなら知りたい!!
だって理由がわからなきゃ‥‥‥また、同じこと繰り返しちゃうかもしれないし‥‥‥」
自分を真っ直ぐ見つめるアルにロイドはうろたえながら言った‥‥
「‥‥アルは💧‥関係ないよ‥っ‥//」
額に汗を滲ませるロイドにアルは思いっきり疑いの眼差しを投げた💧
「ホントに?
‥‥‥ロイドって‥‥
‥嘘つきだよね‥‥💧」
「なっ!?別に嘘なんかついてな…っ‥//」
「ついてるよ絶対に!!
すぐ顔に出ちゃうじゃんっ」
「なっ──…
だって言える訳ないだろ!?
お前と──‥っ…///」
「お前と?‥‥‥何?」
嘘つき呼ばわりするアルにロイドは冷静を装えず、つい口ばしる。
そして、アルにツっ込まれてしまった…
「‥お‥‥お前とぉ…っ…」
「だから、お前と何!?」
ロイドは茹で上がったタコのように真っ赤になり、口をパクパクと動かす
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