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第三章 恋愛編

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「へぇ、‥あんたやっぱり手際がいいねぇ?

それなら、すぐに嫁さんに行けるよ!」


「‥//‥ありがとう」


エバはアルの腕前に感心しながら話した


「あんたのおっ母さんは早死にしちまったけど‥ちゃ~んと娘を立派に教育したんだね……
感謝しなよ!」



エバの言葉にアルは嬉しそうに微笑み頷く


… こんなに可愛いのに苦労ばっかり背負い込んじまって‥‥‥


エバは一生懸命パイ生地を飾り付けるアルを見つめていた。


こしらえたパイを石釜でじっくりと焼き上げて取り出すと、何とも言えないパイ生地の香ばしい香りとラズベリーの甘酸っぱさが絶妙なハーモニーを奏でる。


「ん~‥美味しそうっ。上手くできたみたい!」


アルは胸いっぱいにパイの香りを吸い込んだ!


そして、エバにお礼を言うと包んだパイを手にしてアルは帰りを急ぐ‥
家に着くと早速料理に取り掛かった。


‥今日は時間もあるから
やっぱり煮込みシチューにしよう♪


アルはボルシチを作った。その他にシーフードサラダや蒸し鶏の和え物など…


カラフルな彩りの料理が瞬く間に出来上がる




「おっ!なんだか、今日はご馳走だな‥
誰がくるんだ?」


夜勤前の準備をしていたザドルが料理を見て言った‥


「あ、ザドルも食べる時間あるでしょ?
すぐ準備するから食べて行ってよ!!」


アルはザドルの食事を手早く食卓に並べていく


「旨そうだなぁ!

‥‥で?…誰が来るんだ?」


ザドルはアルを見て再度聞いた💧


「ロイドだよ‥💧」



「ほぉ‥ロイドが来るってなると、こんなに豪勢になんのか」


「//…っ…」


「これからしょっちゅう来てもらうかっ!?ガハハっ」

ザドルはアルを茶化すように一人で語る。

食事を済ませ、仕事に行くザドルを見送って、アルは次の食卓の用意を始めていると丁度ユリアも二階から下りてきて、二人で準備に取り掛かった。

ボルシチの入った鍋に火を入れてコトコトと煮込んでいると、外で馬のいな鳴きが聞こえてくる。


… あ、来たかな?



そう思うと同時にティムとマークのただいま!の声がドアの開く音と共に響いた‥


そして、馬の手綱を柵にくくりつけたロイドが子供達に急かされながら入ってくる


「いらっしゃい!」


アルは満面の笑みでロイドを迎えた…


「…!っ……」


久しぶりに見るアルの笑顔にロイドは息を飲む。

途端にさっきまで静かだった鼓動が急に高鳴り始めた。

「よ、…よぅ…っ

元気そうだな‥‥‥」


ぎこちない挨拶を返し、目を反らして席につくロイドにアルは何気に気を使ってしまう。

‥やっぱり‥謝るの難しいかな……



そう落ち込むアルの顔をロイドはほとんど見ることがなかった‥


それでも、と場の雰囲気が悪くならないようにアルは自然を装いしきりにロイドに話しかけていく


「今日は、シチュー作ったの!
口に合うか解らないけど‥‥」


アルはそう言いながら料理を皿に盛り、ロイドの前にどんどん並べる‥

そして、みんなで席に着き食事を始めた。



だが、なぜだか‥みんな無言だった──


ロイドの緊張した空気にみんなが飲まれ始めている💧


‥どうしようっ💧なんとかこの雰囲気を変えなきゃ…


アルは必死に話題を探してロイドに話しかけた

「あ、ロイドっ!
ティムが今、乗馬習ってんだって?
どんな感じかな!?」


「‥え…/// あ、あぁ‥💧
上手いよ…覚えが早いから教えるのも楽だし‥‥」




「へぇ、そうなんだ?
ねぇ‥ロイドはいくつから馬に乗ってるの?」


「7才の頃から‥。」


「ふ、ふ~ん……」


… は、話が続けられないっ…


話掛けても答えて終るだけのロイドはシチューの皿を見つめたまま、アルの方を見ることがない‥‥


その様子を子供達も固唾を飲んで見守っている‥


「ねぇ‥‥ロイド‥

シチューおいしぃ?」


「あぁ‥旨いよ‥//💧」



「そぅ?‥‥よかった。

人はね‥

美味しいものを食べる時って絶対に顔にでるんだって!」



「……っ!!‥💧」


アルの言葉に、ロイドは一瞬体がびくつく
そして、アルは追い討ちをかけた‥



「‥‥見たいな…
ロイドがどんな顔して食べてるのか‥‥‥」


しきりにロイドの顔を覗き込もうとするアルにシチューを食べるロイドの手がとまった‥💧


「‥‥‥💧」


「ねぇ‥ロイド…
後でデザートもあるから‥それ持って裏の公園に付き合ってくれる?
ちょっと話があるの‥」



「わかった‥💧」


どんなに覗き込んでも自分を見ることのないロイドに、アルは早めに切り出した‥



… なんか‥この調子じゃ話してもダメかもな💧
トコトン嫌われてそう‥💧



だが、それも仕方がなかった…

ロイドはしきりに自分を気にかけて優しい口調で話しかけるアルに胸が疼き、とても目線を合わせられない…



アルはロイドに約束だけを取り付けて、後は子供達を交えながら世間話しを始めた。


ロイドは子供達の問いかけには顔を上げて自然に話しをしている


それを見かねてティムがコソッとロイドに発破をかけた

「兄ちゃん!大丈夫かよ!?
アルがあんなに一生懸命話しかけてるのに、もっと優しくしてもいいじゃんかっ」


「…んなこと、わかってるっ!!
久しぶりだから、なんか緊張するんだよ!…///」


「なんだ💧‥緊張してんのか?オイラ意地悪してるのかと思ったぞ?
‥たぶん、アルもそう思ってるぞ‥‥‥💧

だから、嫌われてるって誤解されるんだっ!」



「‥っ‥//💧」


ティムにたしなめられながら、ロイドは食べ終わった食器を洗うアルの背中を見つめて溜め息をつく


正直、胸はずっとうずいたままだ…


‥15才のアルが一生懸命気を使って自分に話しかけてくれるのに、大人の俺は返す言葉がみつけられずに愛想のない返事を返すことが精一杯だ…

ティムの言う通り‥
これじゃ‥嫌われてるって誤解されてもしょうがない‥‥‥

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