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第三章 恋愛編
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ジュリアは時折その羽根をバッサバッサと揺らし、言い寄って来る一流以下の男達をはたきながら歩いていた。
… この羽根はこんな使い道があったんだ…っ…
アルは羽を活用するジュリアのその様子に、気に掛っていた謎がやっと解明できて安心したようだ‥
「……っ…」
… なるほどね、虫よけ変わりか…っ…
王子もアルと同じようにそう納得していた‥
「………ん?」
そして、ジュリアの羽根に見え隠れしている控え目な異国の姫君に王子は視線を奪われる‥
「……っ…」
…誰だ?あの姫君は?
ジェシカ達の知人にあんな姫君がいたか?
‥あれならたぶん‥
あと二、三年もすれば極上の女になるな……
……今から育ててみるか‥
見定めながら、小さくゴクリと喉を唸らす。
企み王子はニヤリと口端でほくそ笑み、今宵の獲物に狙いを定めた‥‥‥
「これは偶然ですね、 姉様方……」
王子はわざとらしくジェシカ達に歩み寄り声をかける
「あら、どう偶然なのかしら?ルイス‥‥‥
珍しいわね?舞踏会は飽きたって言ってたあなたがここにいるなんて。
いつもつるんでるロイドはどうしたのかしら?」
・
「アイツには振られたよ。今日はパラダイスに行ってる・・・」
肩をすくめるルイスにジェシカは突っ込んで言う…
「あら‥珍しいわね!
ロイドが行ってあなたが行かないなんて…
妙な病気にでもかかったんじゃないでしょうね?」
「…っ…ちょっと姉さんっ…そんな愛らしい姫君の前で誤解されるような物言いはやめてほしいな…っ…」
いかにもやましい雰囲気を滲ませる。慌てるルイスを見てアルは少し呆れ顔になっていた。
「‥ゴホッ…そ、それより姉さん…っ…そちらの姫君を是非紹介していただけないかな?
是非ともお近づきになりたい」
ルイスは場を繕い咳払いを一つすると自分の目的をジェシカに告げた。
ルイスは妖しげな眼差しで姫を見つめ微笑する‥
そんなルイスの周りには、強烈なエロモンが漂っていた‥‥‥
黒いタキシードに身を包み、太めのベルトを腰にあしらえたルイスは足の長さをより、際立たせている‥
そして目元を覆うシンプルな黒マスクはまるで闇夜の満月に颯爽と現れるファントムのようだった‥‥
…っ…すごく恰好いいんだけどエロモンが出すぎてる気がするっ…
アルはルイスのエロモンに酔いかけていた。
・
そして、フリフリの扇子で口元を隠しながら、ジュリアがジェシカに耳打ちする
「姉様‥
あたくし、いたたまれませんわ……
まさか、真っ先に身内が網に引っ掛かるなんて‥‥」
「そうね💧
でも、釣れてしまったのならしょうがないわ‥‥
この子がアルに目を付けたってことに自信を持ちましょう‥とりあえず、紹介だけして追い払わなくちゃ…っ…」
ジュリアとの密談を済ませるとジェシカは計画続行のため、ルイスに異国の姫君を紹介した。
「‥しょ、紹介するわ‥
こちら、ア‥‥ル…っ…
アルデオ共和国のアルディナ姫よ!──…っ…」
「──…っ……ア、アルディナと申しますっ」
ジェシカの突然の命名にアルはうろたえ過ぎて、姫らしくおしとやかに挨拶することができなかった。
「…アルデオ共和国?‥‥そうでしたか!‥」
初めて聞く国名だな?…後で地図でも調べてみるか……
王子は笑顔を返しながら頭を捻った。
そう、彼は一応、精鋭部隊隊長。各国のことは遊び惚けてる姉二人組より詳しいのは当然のことだった。
府に落ちない表情のルイスにアルが機転を利かした
・
「お恥ずかしいですわっ…共和国とは名ばかりで地図にも載っていない小さな国ですのよ…うふっ」
必死に愛想笑いをしてみる‥
「あぁ!そうでしたか。貴女のような愛らしい姫君がいらっしゃるのなら…
さぞかし、美しい国なのでしょうね。
今度是非ともご招待して頂きたい‥‥
そうだ‥申し遅れましたが私、この国の第三王子、そして精鋭部隊隊長を任されている、ルイス・エドモントと申します‥‥
貴女の身に何かございましたら是非、私の名をお呼び下さい‥」
ルイスは丁寧にお辞儀をするとスルッと姫の手を取り、手の甲に唇を落としながら射るように姫を見つめた。
「……っ…」
…さすが王子“兼”たらしだ…っ…仕草が洗練されてるけどしっかり色目使ってくるっ
アルはルイスの獲物を見据える眼差しに脅えた。
そして、ルイスは姫をその瞳に捕らえながら品定をする‥
ルイスは姫の手の感触を唇で味わいながら思った…
… シルクのように綺麗なしっとりとした肌だ…
細いわりに胸もなかなか‥っ‥
きっと抱き心地は最高なはず‥‥
なんとか姉さん達の隙を見つけてモノにしたいが💧‥
まぁいい…
急いては事を仕損じる…
少し様子見と行こうじゃないか‥‥
・
企み王子の思考を、陰謀と淫望の文字が取り巻いていた💧
「ほらほら!もういいでしょルイス!
あたくし達ちょっと忙しいのよ?
わかったらあっち行ってちょうだい!!」
ジュリアはパタパタと扇子でルイスを追い立てる。
「ひどいな、姉さん…っ…もう少し話しをさせっ‥
──っ‥チッ…行きやがった…」
ルイスの言葉も聞かずに行かず後家達は姫を拐い、行ってしまった………
─────
「おお、これはロイド様。予定よりお早い起こしでっ…アリスは今、準備しているところでございます。
先にお部屋の方へご案内致しますので……」
ルイスが獲物捕獲に苦労している最中、ロイドはパラダイスに足を運んでいた‥
「ああ、明日は休みだ‥今日はゆっくりするつもりだからそんなに慌てなくていい‥‥あまり着飾る必要はないぞ‥‥」
「えぇ重々、承知しております‥‥」
ルイスの好みのタイプとは違い、ロイドはあまり厚化粧でチャラチャラと着飾っている女は好きではなかった‥‥
…女は素のままがいい‥
そう、アルみたいな‥
‥アル‥っ‥‥
ロイドはアルを思い出す度に表情に影が落ちた
ジュリアは時折その羽根をバッサバッサと揺らし、言い寄って来る一流以下の男達をはたきながら歩いていた。
… この羽根はこんな使い道があったんだ…っ…
アルは羽を活用するジュリアのその様子に、気に掛っていた謎がやっと解明できて安心したようだ‥
「……っ…」
… なるほどね、虫よけ変わりか…っ…
王子もアルと同じようにそう納得していた‥
「………ん?」
そして、ジュリアの羽根に見え隠れしている控え目な異国の姫君に王子は視線を奪われる‥
「……っ…」
…誰だ?あの姫君は?
ジェシカ達の知人にあんな姫君がいたか?
‥あれならたぶん‥
あと二、三年もすれば極上の女になるな……
……今から育ててみるか‥
見定めながら、小さくゴクリと喉を唸らす。
企み王子はニヤリと口端でほくそ笑み、今宵の獲物に狙いを定めた‥‥‥
「これは偶然ですね、 姉様方……」
王子はわざとらしくジェシカ達に歩み寄り声をかける
「あら、どう偶然なのかしら?ルイス‥‥‥
珍しいわね?舞踏会は飽きたって言ってたあなたがここにいるなんて。
いつもつるんでるロイドはどうしたのかしら?」
・
「アイツには振られたよ。今日はパラダイスに行ってる・・・」
肩をすくめるルイスにジェシカは突っ込んで言う…
「あら‥珍しいわね!
ロイドが行ってあなたが行かないなんて…
妙な病気にでもかかったんじゃないでしょうね?」
「…っ…ちょっと姉さんっ…そんな愛らしい姫君の前で誤解されるような物言いはやめてほしいな…っ…」
いかにもやましい雰囲気を滲ませる。慌てるルイスを見てアルは少し呆れ顔になっていた。
「‥ゴホッ…そ、それより姉さん…っ…そちらの姫君を是非紹介していただけないかな?
是非ともお近づきになりたい」
ルイスは場を繕い咳払いを一つすると自分の目的をジェシカに告げた。
ルイスは妖しげな眼差しで姫を見つめ微笑する‥
そんなルイスの周りには、強烈なエロモンが漂っていた‥‥‥
黒いタキシードに身を包み、太めのベルトを腰にあしらえたルイスは足の長さをより、際立たせている‥
そして目元を覆うシンプルな黒マスクはまるで闇夜の満月に颯爽と現れるファントムのようだった‥‥
…っ…すごく恰好いいんだけどエロモンが出すぎてる気がするっ…
アルはルイスのエロモンに酔いかけていた。
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そして、フリフリの扇子で口元を隠しながら、ジュリアがジェシカに耳打ちする
「姉様‥
あたくし、いたたまれませんわ……
まさか、真っ先に身内が網に引っ掛かるなんて‥‥」
「そうね💧
でも、釣れてしまったのならしょうがないわ‥‥
この子がアルに目を付けたってことに自信を持ちましょう‥とりあえず、紹介だけして追い払わなくちゃ…っ…」
ジュリアとの密談を済ませるとジェシカは計画続行のため、ルイスに異国の姫君を紹介した。
「‥しょ、紹介するわ‥
こちら、ア‥‥ル…っ…
アルデオ共和国のアルディナ姫よ!──…っ…」
「──…っ……ア、アルディナと申しますっ」
ジェシカの突然の命名にアルはうろたえ過ぎて、姫らしくおしとやかに挨拶することができなかった。
「…アルデオ共和国?‥‥そうでしたか!‥」
初めて聞く国名だな?…後で地図でも調べてみるか……
王子は笑顔を返しながら頭を捻った。
そう、彼は一応、精鋭部隊隊長。各国のことは遊び惚けてる姉二人組より詳しいのは当然のことだった。
府に落ちない表情のルイスにアルが機転を利かした
・
「お恥ずかしいですわっ…共和国とは名ばかりで地図にも載っていない小さな国ですのよ…うふっ」
必死に愛想笑いをしてみる‥
「あぁ!そうでしたか。貴女のような愛らしい姫君がいらっしゃるのなら…
さぞかし、美しい国なのでしょうね。
今度是非ともご招待して頂きたい‥‥
そうだ‥申し遅れましたが私、この国の第三王子、そして精鋭部隊隊長を任されている、ルイス・エドモントと申します‥‥
貴女の身に何かございましたら是非、私の名をお呼び下さい‥」
ルイスは丁寧にお辞儀をするとスルッと姫の手を取り、手の甲に唇を落としながら射るように姫を見つめた。
「……っ…」
…さすが王子“兼”たらしだ…っ…仕草が洗練されてるけどしっかり色目使ってくるっ
アルはルイスの獲物を見据える眼差しに脅えた。
そして、ルイスは姫をその瞳に捕らえながら品定をする‥
ルイスは姫の手の感触を唇で味わいながら思った…
… シルクのように綺麗なしっとりとした肌だ…
細いわりに胸もなかなか‥っ‥
きっと抱き心地は最高なはず‥‥
なんとか姉さん達の隙を見つけてモノにしたいが💧‥
まぁいい…
急いては事を仕損じる…
少し様子見と行こうじゃないか‥‥
・
企み王子の思考を、陰謀と淫望の文字が取り巻いていた💧
「ほらほら!もういいでしょルイス!
あたくし達ちょっと忙しいのよ?
わかったらあっち行ってちょうだい!!」
ジュリアはパタパタと扇子でルイスを追い立てる。
「ひどいな、姉さん…っ…もう少し話しをさせっ‥
──っ‥チッ…行きやがった…」
ルイスの言葉も聞かずに行かず後家達は姫を拐い、行ってしまった………
─────
「おお、これはロイド様。予定よりお早い起こしでっ…アリスは今、準備しているところでございます。
先にお部屋の方へご案内致しますので……」
ルイスが獲物捕獲に苦労している最中、ロイドはパラダイスに足を運んでいた‥
「ああ、明日は休みだ‥今日はゆっくりするつもりだからそんなに慌てなくていい‥‥あまり着飾る必要はないぞ‥‥」
「えぇ重々、承知しております‥‥」
ルイスの好みのタイプとは違い、ロイドはあまり厚化粧でチャラチャラと着飾っている女は好きではなかった‥‥
…女は素のままがいい‥
そう、アルみたいな‥
‥アル‥っ‥‥
ロイドはアルを思い出す度に表情に影が落ちた
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