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第三章 恋愛編

1話 初仕事

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「おはよう!アレン」


「おはようございます!

もう少ししたらルイス殿がみえると思いますよ! それまで少々お待ち下さいね」



ロイドが愛馬を飛ばしてくれたお陰でアルは予定時刻より15分も早めに着いた…


‥やっぱ馬っていいな…

今度ロイドに乗り方教えてもらおっと!



「おっ、偉いなアル!

10分前に待機か?仕事やる姿勢としては理想的じゃないか」


ルイスが回りのお役人達に挨拶しながらやってきた


「う、うん!!もちろんだよ!」


…朝寝してロイドに送ってもらったなんていえないっ

焦るアルに気付くことなくルイスはアルを呼ぶ。

「よしっ!んじゃ着いて来い!!」


アルはルイスに手招きされるままついて行った。



「城の警備ってどんな事するの?」


「ん~、見回りだな‥」


「見回り?鎧とか着るの?」


「鎧フェチな奴は着てるな…
でも、お前は今日は予約が入ったから」


‥鎧フェチ?

「予約って?…」


「あぁ‥行かず後家がバイト代はずむから連れて来いって!この間言ったろ?モデルになってくれって!」



「そーいえば‥」


「まぁ悪いようにはされないから、多分…

‥し、心配するな、なっ……っ」


その、焦りが気になるんだけど…


ご機嫌を取りながら扉をノックするルイスの背中をアルはいぶかし気に見つめていた


― コンコン!カチャッ



「ジュリア!連れてきたぞっ!!」


「んまあ!! アルっ!
待ってたのよっ!

んも〰〰相変わらずツルっツルのお肌してっ!」


「‥え、…あっ!?…」


ジュリアはアルを出迎えるなり、アルの頬っぺたを撫でくりまわす


「じゃ、俺は仕事に戻るからっ…じゃあな、アル!
姉貴もあんまりアルに無理な難題、押し付けるなよ!」


「あらっ、あたくしが可愛いアルを困らせるようなことすると思って?
ご心配は無用よ!!」


「……っわかったよ! じゃあな、頼んだぜアル」


「うん、ありがと…」


ルイスは何だか心配そうに部屋を出て行った…



「じゃあアルっ、紹介するわ!!
あなたの肖像画を描いて貰う為に一流の画伯を招いたの!今日からあなただけの担当になってもらうよう、王家がスポンサーになったんですから!」


‥えっ!? 担当って…
絵のモデルは今回だけじゃないの!?




うろたえるアルに構わず、ジュリアは隣の青年らしき“生き物”を紹介した。


いかにも画家です。と言わんばかりの赤いベレー帽を被り二等身体形の憎めない表情・・・


顔の肉がアンパン〇ンのように真っ赤で盛り上がり、目と口は

   ‘ ε ’  ←こんな感じだった…

正直鼻がどこにあるのかわかりずらい。



鼻はどこかに落としちゃったんだな! きっとっ…



アルは思った。

・・この人が一流の画家?

天は二物を与えないってコトワザの代表者みたいだ…



アルは案外ひどい奴だった。



ジュリアに紹介された青年らしき‘生き物’は手を差し出し言った





「ウッホでふっ!

こりからよろすく!!」




「―――っ!?…」



…な、なに!? 何語を喋ったかよくわからないっ



うろたえるアルにジュリアが通訳する


「画家のウッホよ!
アートの世界で今、すごく注目を浴びてるの!
スポンサーにつくのもすごい競争率高かったんですから!
みんながこぞって出資したがるほどの腕を持ってるのよ」



・・ウッホ・・・


…!っ…そー言えばHow to本の後ろの頁、セレブ通信の欄にデカデカと紹介されてた!!




たしか、『おまわり』
とかいう題名の絵が物凄い値段で競り落とされたとか‥

金持ちの感覚はよくわからん…
どんなに上手でもおまわりさんの絵を高値で競り落とすなんて…



アルは不思議だった…


おまわりさんの絵を部屋に飾って楽しいんだろうか?…うーむ……



難しい顔で考え込むアルを無視してジュリアが続ける



「ほんとは隣国のお抱え画家に決まってたところを、あなたを描いてほしいっ! てお願いしたら向こうの契約を蹴ってまでうちに来て下さったのよ!!


彼も闘技会であなたを見て是非とも絵にしたい! 描きたいって思ったんですって!!
すごく創作意欲が沸いたって言ってくれてるのよ!
アル! やっぱりあなたには人を惹き付ける何かがあるんだわ!」



―――…うっ 


そこまで言われちゃ喜ばないわけにはいかない!
アルはデヘデヘと照れながら頭をかいた



「じゃあ、さっそく取り掛かってもらうから脱いで」



――――…へ?



…え!?

「ええっ脱ぐのっ!?なんでっ!?」



「あらっ、当たり前よ。
肖像画は裸夫って決まってるんですもの」



さっそくジュリアの無理難題な要求が開始された…


・・ちょ・・やばい

どうやって切り抜けよう…


焦るアルをジュリアはえぃっ! と天蓋付きのベットに押し倒しアルの衣服を引っぺがしにかかるっ


「まってっ! ほんとにっちょっ、あ!…―――」


「・・・・あらっ・・・

何かしら?・・これ…」



ジュリアの目の前には
‘ぷるるんっ’と揺らめきほんのりピンクに色づくチェリー付きのミルクプリンが二つ・・・


美味しそうに揺れていた…



「・・あら・・
どうしましょ…」


「………」


奪った服を手にしたままジュリアはアルを眺める


「ちょっとウッホ」

「へい?」

「あなたちょっと客間でお茶でも飲んでていただけるかしらっ」


ジュリアはウッホに背を向けたまま手だけでシッシッ! と追い払った。


「ウホ…だら、準備でけたら呼んでくらせい」


ウッホは言われるまま出て行きジュリアはテーブルにあった呼び鈴をチリリンと鳴らした


すぐさま部屋に使用人が現れジュリアはぼそぼそと何か伝えている…

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