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しおりを挟む色々と物思いに耽り、ソファに深く身を沈めると書類を手にする社長が目に止まった。
「社長──」
「……?…」
「……晶さんの元カレ知ってる?」
書類から顔を上げた社長に何気に聞いていた。
「…ああ、なんかバカデカイ奴だろ?それがどうした?」
「……別に…どのくらい付き合ってたんだろうって…」
ちょっと…
かなり気になった…
「確か高二からだったぞ?晶に初彼ができたってあれの母親がわざわざ電話してきたからな?」
「初彼?」
「卒業と同時に別れてるから、んな、長くはなかったな」
「………」
「別れて一年はボロボロだったけど…」
「──……」
ボロボロ?──
書類をまた眺め、笑っていう社長の言葉がひどく胸に引っ掛かる。
ボロボロ……
…っ…そんなに好きだったんだ…
そういった思いが俺の中で渦を巻いた──
別れた相手なのに負けた感じがするのは多分にそこからきているのだろう…
晶さんはまだ俺に本気になってくれていない──
それは、いざ何かあったら何時でも身を退こうとしている晶さんの心がたまに垣間見えるからで…
だからこそ、その度に俺はあの人が離れて行かないように毎回必死になって繋ぎ止める──
・
俺が晶さんを想ってるくらいの気持ちで高槻のことを好きだったんだろうか──
そう思うとすごく切ないわけで
俺は思わずソファで膝を抱えて踞った。
「あー…っ…なんかめちゃブルーなってきたっ…すげえ切ないっ」
「なんだそりゃ? 切なくなるなら最初から聞くな」
ソファで半泣きの俺を社長は冷たく突き放していた。
今の俺と同じくらい好きだったらメチャ好きだったわけじゃんっ……──
なんだよそれ…
そんなに想われてる実感は俺にはまだまだ感じられない。
晶さんのがむしゃらな愛──
ボロボロになるくらいの“好き”
それを手に入れたことのある高槻がすごく羨ましくなった──
まだ付き合い初めて半年も経たない。
日を重ねるごとに晶さんは俺のことで胸を一杯にしてくれる日がくるのだろうか──
出逢った初めから心を奪われた俺の想いに晶さんは追い付いてくれるのか──
「どうやったら夢中になってくれるかな……」
抱えた膝を見つめながら小さく呟き溜め息を吐く。
晶さん……お願いだから俺でボロボロになって──
そんな想いが俺の中で溢れていた。
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