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マリオは編みタイツの上から直に舌を這わせカメラに目線を向ける。
その刺激に思わずあたしの膝がカクッとなりかけた。
しっかりと捕らわれた脚はマリオの攻めから逃げることも出来ず、あたしは漏れそうな声を堪えて口を自分の手で必死に押さえる。
「なかなかいいね、その表情……」
「──…っ」
マリオの指先がふとあたしの顎に伸びてきた。
「オーケ!いい画が撮れた、お疲れ様」
その声に今までのマリオの激しい攻めがピタリと止まった。
「んー、残念。イイトコで終りだ」
外国人らしく肩をすくめて笑いながらリアクションする。
マリオは息を切らすあたしの手を取るとテーブルから優しく抱き下ろした──
今はすっかり異国の紳士だ。
さっきまでの獣のようなワイルドさは見当たらない──
「君が大人しくしてくれたお陰でスムーズに済んだ。やりやすかったよ、ありがとう」
「ははっ…」
大人しくと言うか…ホントに翻弄されて何もできなかっただけなんだけど…
苦笑うあたしにマリオは手を伸ばし再び握手を求めてくる。
あたしはマリオの手を握り返した──
「──…っ」
「今夜…打ち上げがてら二人きりで食事はどう?」
ぐいっと握られた手を引き寄せられると耳元でそう囁かれた。
「え、……っ…」
「考えてて」
「ちょっ…」
マリオは言い残したままモニターをチェックするスタッフに交じり、映像を確認していた。
・
「どう?初の撮影は?…」
パイプ椅子をすすめられ腰を下ろすと楠木さんが尋ねてくる。
「いやあ、何が何やら…」
あたしは、ははっと誤魔化すように笑って返す。
「こういった動きで表現するのは彼の十八番だね」
「十八番?」
「そ、男性用化粧品のCMでよく見かける顔だと思うけど気付かない?」
「男性用…あ──っ、トニックシャンプーの人だ」
「あたり、…他にも車のCMとか結構出てるよ…彼は主に動きを重視したモノクロでの映像が多いね。ワイルドセクシーは彼にとっての言葉かも」
「なるほど…」
楠木さんの説明で、あたしの頭はシャンプーのCMを映写機のように流す。
CM映像は確かにモノクロの物だ。イギリスかどこか、異国の道路の真ん中でどしゃ降りの雨にやられ、ずぶ濡れのまま豪快に頭を洗う。
濡れた頭を振って水滴を切る姿は獣が身震いして水を飛ばす動作とそっくりそのままだ。
日本人がやってしまうと思わず、雨の中なにやってんだ?的な映像になるのに外人だとなぜかかっこいい……
そのCMを思い出すと、確かに楠木さんが言った通り、彼はワイルドセクシーの代表かもしれない──
その刺激に思わずあたしの膝がカクッとなりかけた。
しっかりと捕らわれた脚はマリオの攻めから逃げることも出来ず、あたしは漏れそうな声を堪えて口を自分の手で必死に押さえる。
「なかなかいいね、その表情……」
「──…っ」
マリオの指先がふとあたしの顎に伸びてきた。
「オーケ!いい画が撮れた、お疲れ様」
その声に今までのマリオの激しい攻めがピタリと止まった。
「んー、残念。イイトコで終りだ」
外国人らしく肩をすくめて笑いながらリアクションする。
マリオは息を切らすあたしの手を取るとテーブルから優しく抱き下ろした──
今はすっかり異国の紳士だ。
さっきまでの獣のようなワイルドさは見当たらない──
「君が大人しくしてくれたお陰でスムーズに済んだ。やりやすかったよ、ありがとう」
「ははっ…」
大人しくと言うか…ホントに翻弄されて何もできなかっただけなんだけど…
苦笑うあたしにマリオは手を伸ばし再び握手を求めてくる。
あたしはマリオの手を握り返した──
「──…っ」
「今夜…打ち上げがてら二人きりで食事はどう?」
ぐいっと握られた手を引き寄せられると耳元でそう囁かれた。
「え、……っ…」
「考えてて」
「ちょっ…」
マリオは言い残したままモニターをチェックするスタッフに交じり、映像を確認していた。
・
「どう?初の撮影は?…」
パイプ椅子をすすめられ腰を下ろすと楠木さんが尋ねてくる。
「いやあ、何が何やら…」
あたしは、ははっと誤魔化すように笑って返す。
「こういった動きで表現するのは彼の十八番だね」
「十八番?」
「そ、男性用化粧品のCMでよく見かける顔だと思うけど気付かない?」
「男性用…あ──っ、トニックシャンプーの人だ」
「あたり、…他にも車のCMとか結構出てるよ…彼は主に動きを重視したモノクロでの映像が多いね。ワイルドセクシーは彼にとっての言葉かも」
「なるほど…」
楠木さんの説明で、あたしの頭はシャンプーのCMを映写機のように流す。
CM映像は確かにモノクロの物だ。イギリスかどこか、異国の道路の真ん中でどしゃ降りの雨にやられ、ずぶ濡れのまま豪快に頭を洗う。
濡れた頭を振って水滴を切る姿は獣が身震いして水を飛ばす動作とそっくりそのままだ。
日本人がやってしまうと思わず、雨の中なにやってんだ?的な映像になるのに外人だとなぜかかっこいい……
そのCMを思い出すと、確かに楠木さんが言った通り、彼はワイルドセクシーの代表かもしれない──
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