160 / 403
2
しおりを挟む
「向こうでコイツに何言われた?」
「………」
「より戻したいって?」
「……──」
晶さんは俺の問いに口を開き掛けた。
「……プ、ロポーズされた…」
「──…プロポーズっ!?…」
自分で自分の顔が強張っていくのがありありとわかった──
「……3年したら地元一緒に帰ろうって…っ…」
「………」
「夏希ちゃんが居るからって断ったけど3年待つって…っ…」
「三年──…」
俺はその言葉を呟いた。
「はっ──三年っ!?…誓約書破棄の期限内じゃんっ」
「……!?」
「なんだ…それで三年か…晶さんすげぇっ…俺ってキープ!?」
笑いながら言ってる筈なのに顔が思いきり歪んでいく──
俺の好きになった女性(ひと)ってなんでこんなにも残酷なんだろう──
思いきり幸せを与えておきながら
無惨にもそれを自らむしり、奪っていく──
「…そんなっ…違っ」
「違わないって──!」
「断ったよちゃんとっ!!」
「断ってないっ!」
「……っ…」
晶さんの言葉を俺は力一杯完全否定した。
元彼だけあって押しに弱い晶さんをヤツは熟知している。
晶さんが何言ってもコイツには堪えない──
デパートの屋上で普通の恋人みたいに手を繋いでいた男の顔を鮮明に思い出す。
・
会場に向かうヘリの中から必死に晶さんを捜した──
小さな人込みの中に背の高い男と手を繋ぐ晶さんを見付けた──
長身の恋人どうしでいかにもお似合いの…
どう見ても俺が隣に並ぶよりもお似合いだと思わせる男と手を繋いでる晶さんを見付けた時の俺の胸の内はこの女性(ひと)には到底わからない──
別れて四年も経つのにあっさり俺から晶さんを取り返したヤツにしてみれば、三年なんて時間は欠伸してるようなもんだ、きっと──
「晶さん──」
「………」
「断ったっていうならその証拠見せてよ……」
「──どうやって…」
「そのくらい考えなよ自分で──」
「………」
「明日、……携帯買い替えて…」
「………」
「アイツと一切連絡取れないようにして──…先ずはそれからじゃない?」
「………」
「それからだよ?俺と向き合うのは…」
俺にも覚悟がある──
三年の期限付き。
そんな関係まっぴらごめんだっ…──
「これ返すから…」
ジーンズのポケットから取り出したキーホルダー。
俺はリボンを頭に付けたマウスだけを外して鍵を晶さんに渡した。
「晶さんの気持ちの準備ができたらまた鍵ちょうだい…」
「……わかった…」
「……連絡待ってるから」
自分から晶さんの手に渡した鍵にすごく名残惜しさが込み上げた──
でもここらで俺の覚悟も見せないと晶さんの胸には何も響かない…
中途半端な態度の見せ方で押しの強いアイツが退くなんて考えられないから
だから俺がギリギリの覚悟を晶さんに見せるしかない──
「………」
「より戻したいって?」
「……──」
晶さんは俺の問いに口を開き掛けた。
「……プ、ロポーズされた…」
「──…プロポーズっ!?…」
自分で自分の顔が強張っていくのがありありとわかった──
「……3年したら地元一緒に帰ろうって…っ…」
「………」
「夏希ちゃんが居るからって断ったけど3年待つって…っ…」
「三年──…」
俺はその言葉を呟いた。
「はっ──三年っ!?…誓約書破棄の期限内じゃんっ」
「……!?」
「なんだ…それで三年か…晶さんすげぇっ…俺ってキープ!?」
笑いながら言ってる筈なのに顔が思いきり歪んでいく──
俺の好きになった女性(ひと)ってなんでこんなにも残酷なんだろう──
思いきり幸せを与えておきながら
無惨にもそれを自らむしり、奪っていく──
「…そんなっ…違っ」
「違わないって──!」
「断ったよちゃんとっ!!」
「断ってないっ!」
「……っ…」
晶さんの言葉を俺は力一杯完全否定した。
元彼だけあって押しに弱い晶さんをヤツは熟知している。
晶さんが何言ってもコイツには堪えない──
デパートの屋上で普通の恋人みたいに手を繋いでいた男の顔を鮮明に思い出す。
・
会場に向かうヘリの中から必死に晶さんを捜した──
小さな人込みの中に背の高い男と手を繋ぐ晶さんを見付けた──
長身の恋人どうしでいかにもお似合いの…
どう見ても俺が隣に並ぶよりもお似合いだと思わせる男と手を繋いでる晶さんを見付けた時の俺の胸の内はこの女性(ひと)には到底わからない──
別れて四年も経つのにあっさり俺から晶さんを取り返したヤツにしてみれば、三年なんて時間は欠伸してるようなもんだ、きっと──
「晶さん──」
「………」
「断ったっていうならその証拠見せてよ……」
「──どうやって…」
「そのくらい考えなよ自分で──」
「………」
「明日、……携帯買い替えて…」
「………」
「アイツと一切連絡取れないようにして──…先ずはそれからじゃない?」
「………」
「それからだよ?俺と向き合うのは…」
俺にも覚悟がある──
三年の期限付き。
そんな関係まっぴらごめんだっ…──
「これ返すから…」
ジーンズのポケットから取り出したキーホルダー。
俺はリボンを頭に付けたマウスだけを外して鍵を晶さんに渡した。
「晶さんの気持ちの準備ができたらまた鍵ちょうだい…」
「……わかった…」
「……連絡待ってるから」
自分から晶さんの手に渡した鍵にすごく名残惜しさが込み上げた──
でもここらで俺の覚悟も見せないと晶さんの胸には何も響かない…
中途半端な態度の見せ方で押しの強いアイツが退くなんて考えられないから
だから俺がギリギリの覚悟を晶さんに見せるしかない──
0
お気に入りに追加
582
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる