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気付かないままの恋
気付いてしまった恋
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ドニが、レミファの国にいたのは、二日間だけだった。
レミファが、勤める店の他の商人に話をつけて、西の方へ連れて行ってもらえることになった。
「顔も、名前も知らないDomに、ラシを寝取られるのは、まだ我慢できるんだ。でも、顔も、名前も知ってるDomに、寝取られたら、俺、どうなってしまうか、わからない…」
家から出る時、扉の前で、いきなりレミファが言い出した。
「『寝取られる』?」
無邪気にドニは、聞いたこともない言葉を、レミファの広い背中に聞き返した。
レミファは、ドニを振り返って、笑った。笑ってるのに、濃い緑の瞳は、今にも泣き出しそうに見えた。
「ごめんな。お前を、あの国から連れ出すべきじゃなかった」
何も知らないまま、山と森しかない小さな国で、変わらない毎日に不平不満を言いながらも、しあわせな人生を送っただろう。
ドニは、頭を振った。
「そんなこと言わないでください。俺、めっちゃ、レミファさんに感謝してます。これから、西の方へ行けるのも、楽しみです。それで、あの、えっと、あの~、」
もごもご、言いながら、どんどん、顔が真っ赤っかになってゆく。
「俺っ、レミファさんに、聞きたいことがあるんですけどっ」
レミファは首を傾げて、聞いた。
「何だ?」
もごもご、ドニは聞いた。
「男の、ちんぽ入れられる穴って、どこですか?」
「は?」
レミファは聞き返した。ドニは下を向き、もごもご、続ける。
「自分で探してみたんですけど、見付けられなくって…」
「――……お前、本当は男が、好きなのか?」
「いやっ、『男が好き』じゃなくてっ、好きなのが『男』だった、好き?好きなのかは、わかんないです…」
あの後、ドニは駆け出して、廊下を戻り、行き止まりで座り込んでしまった。
「気持ちよかった?」と聞いて来るラシの溶ろけた表情に、ウェリスの顔をドニは重ねてしまった。
考えてみれば、Domとしての欲求不満が解消されたのも、ウェリスに見まちがったラシに命令したからだ。
俺は、ウェリスと、あんなことしたいのか?ウェリスに命令したいのか?
ドニは、わからなかった。――そう想うのは、「ウェリスを好き」だからなのか、「支配したい」というDomとしての本能の欲求でしかないのか。
「ごめんな、ドニ。付いていてやれば、よかったな。だいじょうぶか?」
振り返ると、心配顔のレミファがいた。
ドニは、「穴」のことを聞けば、見ていたことがバレる!と思って、レミファに聞けなかった。しかし、西の方へ行くことになって、レミファに聞かないままではいられなかった。
レミファは、ドニの両肩に両手を置いた。
「ドニ。話を聞いてやりたいんだが、これからお前が世話になるヤツは、とっても時間に厳しい。出発の時間に遅れると、俺まで、とんでもなく怒られる。もう行こう」
「えええっ」
真っ赤っかな顔を、ドニは上げた。
「半年くらいで戻れるだろ。その時、ゆっくり話そう」
レミファに、ぽんぽんと、痛いほど両肩をドニは叩かれる。
ドニは、レミファの両腕を掴んで、必死に聞いた。
「穴!穴は、どこですか?!それだけは教えて下さいっ!!」
レミファが、勤める店の他の商人に話をつけて、西の方へ連れて行ってもらえることになった。
「顔も、名前も知らないDomに、ラシを寝取られるのは、まだ我慢できるんだ。でも、顔も、名前も知ってるDomに、寝取られたら、俺、どうなってしまうか、わからない…」
家から出る時、扉の前で、いきなりレミファが言い出した。
「『寝取られる』?」
無邪気にドニは、聞いたこともない言葉を、レミファの広い背中に聞き返した。
レミファは、ドニを振り返って、笑った。笑ってるのに、濃い緑の瞳は、今にも泣き出しそうに見えた。
「ごめんな。お前を、あの国から連れ出すべきじゃなかった」
何も知らないまま、山と森しかない小さな国で、変わらない毎日に不平不満を言いながらも、しあわせな人生を送っただろう。
ドニは、頭を振った。
「そんなこと言わないでください。俺、めっちゃ、レミファさんに感謝してます。これから、西の方へ行けるのも、楽しみです。それで、あの、えっと、あの~、」
もごもご、言いながら、どんどん、顔が真っ赤っかになってゆく。
「俺っ、レミファさんに、聞きたいことがあるんですけどっ」
レミファは首を傾げて、聞いた。
「何だ?」
もごもご、ドニは聞いた。
「男の、ちんぽ入れられる穴って、どこですか?」
「は?」
レミファは聞き返した。ドニは下を向き、もごもご、続ける。
「自分で探してみたんですけど、見付けられなくって…」
「――……お前、本当は男が、好きなのか?」
「いやっ、『男が好き』じゃなくてっ、好きなのが『男』だった、好き?好きなのかは、わかんないです…」
あの後、ドニは駆け出して、廊下を戻り、行き止まりで座り込んでしまった。
「気持ちよかった?」と聞いて来るラシの溶ろけた表情に、ウェリスの顔をドニは重ねてしまった。
考えてみれば、Domとしての欲求不満が解消されたのも、ウェリスに見まちがったラシに命令したからだ。
俺は、ウェリスと、あんなことしたいのか?ウェリスに命令したいのか?
ドニは、わからなかった。――そう想うのは、「ウェリスを好き」だからなのか、「支配したい」というDomとしての本能の欲求でしかないのか。
「ごめんな、ドニ。付いていてやれば、よかったな。だいじょうぶか?」
振り返ると、心配顔のレミファがいた。
ドニは、「穴」のことを聞けば、見ていたことがバレる!と思って、レミファに聞けなかった。しかし、西の方へ行くことになって、レミファに聞かないままではいられなかった。
レミファは、ドニの両肩に両手を置いた。
「ドニ。話を聞いてやりたいんだが、これからお前が世話になるヤツは、とっても時間に厳しい。出発の時間に遅れると、俺まで、とんでもなく怒られる。もう行こう」
「えええっ」
真っ赤っかな顔を、ドニは上げた。
「半年くらいで戻れるだろ。その時、ゆっくり話そう」
レミファに、ぽんぽんと、痛いほど両肩をドニは叩かれる。
ドニは、レミファの両腕を掴んで、必死に聞いた。
「穴!穴は、どこですか?!それだけは教えて下さいっ!!」
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