逆境からの見習い冒険者

たらも

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第12話

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なんとか家に辿り着けた。
でも、それが限界だったみたい。
僕はご飯も食べずにず、その日は寝てしまったらしい。
朝は起きれたけど、やっぱり体力が減っているのを感じた。
その代わり、魔力は感じる。
良かった。
夢じゃなかった。

土属性の魔法使いになったんだ。
ルミさんの話では、ギルドで職業を選ぶと魔術士になるらしい。
魔法使いって言うのは、子供の呼び方らしいから、気をつけなきゃ。

でも、僕は魔法だけに頼るつもりは無い。
剣術、盾の防御、そして魔法。
バランス良く鍛えて自分に合った戦い方を見つけなきゃ。
とりあえず、水汲みに行って体を洗ってこよう。

畑を耕しながら考える。
僕の属性は土。
今は掌から土を出せるだけだ。
魔力に比例するらしく、パラパラと桶いっぱいくらいには出せそう。
これなら、目眩しに投げつける事が出来るね。
今すぐ使うなら、そんな使い方しか出来ないけど。
有効ではありそうだから、今度試してみよう。

それはそれとして。
自分の想像力と魔力次第で色んな事が出来るらしい。
なら、考えなきゃ。

僕はあまり力も強くない。
鍛えてはいるけど、女の子のリアと同じくらいだ。
速さはリアに及ばない。
なら、それらを補う為に魔法を使いたい。

攻撃力と防御力だね。
速さを補うには、やっぱり手数かな?
うーん。
ルミさんが見せてくれたのは基本魔法に火を纏わせたものだった。

そうだよね。
まずは基本魔法を覚えなきゃ。
えーと。
魔力球、魔力防御、補助だった。

魔力球は魔力をそのまま対象に向かって飛ばすんだよね。
これが攻撃の基本になる。

魔力防御は魔力を体に纏わせて身を守る。

補助は回復を促進したり、力を増やしたり出来る、と。
でも、魔力は体の中より外に対しての影響力が強いので効果は小さいとか。

冒険者になると訓練所に入るらしい。
ちゃんと教えてもらっても3ヶ月くらいは基本魔法を覚えるのにかかるって聞いた。
本当なら16歳にならないと儀式を受けられないらしいから、10歳の僕には難しいかもしれないけど。
それでも、何とか頑張らなきゃ。
ルミさんとミヨさんにお願いして、たくさん見せてもらったし。
魔法は目に焼き付けてある。
リアと2人なら頑張れるはず。

想像するのは得意だ。
僕は耳が聞こえない分、普段からこんな事が言いたいのかな?とか想像しながら生きてる。
だから、考えなきゃ。

僕の攻撃力を補う手段。
魔力球に土を込めて更に固く重くする?
そしたら、固い土、石みたいに出来ないかな?
土を固くするように想像する。
頭の中で念じて手から出す。
えい!
普通に土を出すより魔力が減っていくのを感じる。
出た。
でも、石というより泥団子だ。
もっと硬く。
これはもっと練習が必要だね。

基本の魔力球を出してみる。
あれ?
スムーズに出来た。
そのまま、空に向けて放つ。
うん。
出来た。
使う魔力によって大きさを変えられそう。
もしかしたら、もっと魔力の扱いに慣れたら尖った形の魔力球とかも作れるかも。
体から離れても少しなら操れそうだし、破裂させる事も出来るかな?
なら。
尖った魔力球を作って敵に当てる。
これなら、弓矢みたいな感じで使えるはず。

あとは破裂する魔力球。
そこに土属性を混ぜて、小石を作って周りに飛び散らせる。
敵が何匹もいる時は役に立つんじゃないかな?
攻撃はこれらを軸にして練習しよう。

魔法防御。
体を魔力で覆って防御するんだよね。
外に溢れ出る魔力を操って体に纏わせてる。
うん。
出来る。
でも出来る事は出来るんだけど。
もっと魔力を圧縮させないと防御にならない。
魔力球と違って、これは直ぐには出来ないみたいだ。
属性で土を固められたら。
それで体を覆う事も出来るかも。
外に作用させられるなら、リアにかけてあげる事も出来たりするのかな?

防御なら目の前に土壁を作ったり出来れば良いんだけどな。
でも今の魔力じゃ足りないね。

補助は、体の中で魔力を動かしていく。
外に出すより、ずっと難しい。
なかなか思ったように動かないし、少しずつしか進まない。

っと。
先の事ばかり考えてしまったけど、まずは基本からだよね。

魔力球は使えた。
今のままだと、石を投げた程度の威力だ。
たくさん練習してもっと大きく速く威力を大きく出来るようにしよう。

魔法防御はまず、しっかりと体を覆って魔力を固められるようしなきゃ。

補助が一番難しそう。
体の中で思い通りの場所に動かせるようにしなきゃ。
動かすだけなら魔力もそんなに減らないし、いつでも出来るから意識してずっと動かそう。

ラナは当面の目標が決まったので、魔力を動かしながら畑仕事を続けていく。
失った体力も鍛えなきゃいけないし、やらなきゃいけない事はたくさんだ。

でも魔法を覚えた事で、またひとつ強くなったはず。

(挫けずに頑張らなきゃ)

ラナは空を見上げて、気合いを入れた。


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