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第35話 幻の訪問者
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先日の午前中、私の母親が家に一人でいた時のこと。玄関のインターホンが鳴った。
父親は仕事が休みだったのだが、たまたま近所のコンビニに買い物に行っていて留守で、しかもタイミングが悪い事に母親はトイレに入っていた。
母親は腰が悪いので、すぐに動くこともできず、出て行けないまま訪問者は帰って行ってしまった。
その後、父親が帰ってきて、一緒にインターホンの画像を見ると、三十代と思われるポニーテールの女性が映っていた。とは言っても、その女性はほぼ向こう側を見ている状態だったため、画像で確認できたのは後頭部と耳と顎のラインのみで、顔は全く見えなかった。
それでも、親戚や友人ならたとえ後ろ姿だけでも見れば分かるはず。しかし、父親も母親もその女性には全く見覚えがなかった。
夕方、仕事から帰った私は両親からその話を聞いたので、私もその画像を確かめてみることにした。もしかしたら、私の友人かもしれない。
だが、インターホンの三十件の履歴画像を全部見ても、そのポニーテールの女性のものはなかった。
その日は午後に母親の友人も訪問したので、ポニーテールの女性の画像は二番目に出てくるはず。けれども、一番目に母親の友人、二番目には数日前に遊びに来たいとこの画像が出てきた。
私が『ないんだけど?』と言うと、父親が『あの後、時刻合わせをしたから、もしかしたらその時に間違えて消去しちゃったのかなぁ……?』と答えた。
けれども、誤って消去するとは考えにくい。もしも本当に消去してしまったなら、履歴の件数は二十九件になるはずである。
それから未だにその女性は再訪問をしていない。両親の親戚や知り合いでもなく、私は画像すら確認できていない。
一体全体、どこの誰だったのだろうか? 宅急便等の配達員なら不在届か何かを残すはずだが、それもなかった。
何より、画像が履歴から消えていることが不気味である。何者だったのか謎のままだ。
父親は仕事が休みだったのだが、たまたま近所のコンビニに買い物に行っていて留守で、しかもタイミングが悪い事に母親はトイレに入っていた。
母親は腰が悪いので、すぐに動くこともできず、出て行けないまま訪問者は帰って行ってしまった。
その後、父親が帰ってきて、一緒にインターホンの画像を見ると、三十代と思われるポニーテールの女性が映っていた。とは言っても、その女性はほぼ向こう側を見ている状態だったため、画像で確認できたのは後頭部と耳と顎のラインのみで、顔は全く見えなかった。
それでも、親戚や友人ならたとえ後ろ姿だけでも見れば分かるはず。しかし、父親も母親もその女性には全く見覚えがなかった。
夕方、仕事から帰った私は両親からその話を聞いたので、私もその画像を確かめてみることにした。もしかしたら、私の友人かもしれない。
だが、インターホンの三十件の履歴画像を全部見ても、そのポニーテールの女性のものはなかった。
その日は午後に母親の友人も訪問したので、ポニーテールの女性の画像は二番目に出てくるはず。けれども、一番目に母親の友人、二番目には数日前に遊びに来たいとこの画像が出てきた。
私が『ないんだけど?』と言うと、父親が『あの後、時刻合わせをしたから、もしかしたらその時に間違えて消去しちゃったのかなぁ……?』と答えた。
けれども、誤って消去するとは考えにくい。もしも本当に消去してしまったなら、履歴の件数は二十九件になるはずである。
それから未だにその女性は再訪問をしていない。両親の親戚や知り合いでもなく、私は画像すら確認できていない。
一体全体、どこの誰だったのだろうか? 宅急便等の配達員なら不在届か何かを残すはずだが、それもなかった。
何より、画像が履歴から消えていることが不気味である。何者だったのか謎のままだ。
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