不思議小話 ピンキリ

そうすみす

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第30話 気功

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 数日前、仕事中だったが三時過ぎ辺りから頭痛がし始めた。

 頭痛や片頭痛はどうも遺伝らしく、祖母も父も頭痛持ちで、私も疲れ過ぎると痛くなることがあった。

 それでも何とか終業まで頑張り、帰宅してから部屋で横になった。

 痛過ぎて夕飯もすぐに食べる気にはなれず、しばらく横になることにしたのだが、ふと思い立ち、仰向けのまま少林寺の気功教室で習った呼吸法と動作を試してみた。

 特に難しい動作ではない。腹式呼吸で息をゆっくり吸いながら両腕を上に向かって広げて宇宙から良いエネルギーを集め、吐きながらその両手を頭に下ろしてエネルギーを取り込む、といったイメージをするだけである。

 そしてこれは少林寺の教室のS先生の方針なのだが、思い浮かべるものは何でも良いとのこと。

 つまり、神様でも仏様でもご先祖様でも宇宙でも大自然の景色でも、自分が『イイ!』と信じている存在ならどんなものでも問題はないのである。国籍も宗教も関係なく誰もができるので、この方針は私も素晴らしいと思っている。

 さて、この時の頭痛を抱えながらの気功法、気休め程度のつもりだった。……が、両手で頭に触れた瞬間、酷かった頭痛が潮が引くようにサアアアアアアーっとなくなった。

 ??? あれ? 痛くない? 

 完全に消えたわけではなかったが、痛みは先程までの二、三割ぐらいにまで軽減していた。

 
 少林寺の教室に通い始めたばかりの頃、S先生が『気功を続けると免疫力もupしますし、老化も遅くなりますよ~』とおっしゃっていた。

 当時まだ若造だった私は内心『嘘くせぇ』と小莫迦にしており(S先生、ごめんなさい ^^;)、気功よりも武術の方を重視していた。

 しかしつい二ヶ月前、出先で二十代の方と知り合う機会があり、どうやら会話の流れからして、自分と私が同じぐらいの年齢だと思っていたようだった。その方は私より十歳以上も若いのだが……。

 お世辞を言う流れではなかった。

 これも気功の効果だろうか?

 そう言えば以前、東京で教室を開いているS先生の先生(T先生)にお会いしたことがあった。その当時、T先生は丁度五十歳だったのだが、どう見ても三十代前半といった見た目で、まだ二十代だった私からしても オジサン感 は全くなかった。

 私にも同じ現象が起こっているとしたら、恐ろ嬉しい(?)ことである。

 S先生は常々つねづね『私は一五〇歳まで生きますから』と仰っているので、私も近いところまで目指してみようと思う。今はもう小莫迦にはしていない(笑)
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