不思議小話 ピンキリ

そうすみす

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第28話 見えない重量物?

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 去年の正月連休中の話である。

 ゴミ収集業者も正月休みだったので、自宅から車で約二十分の所にある処理施設までゴミを持って行くことにした。

 今となっては原因は忘れてしまったが、その日は家を出る前に母親とちょっとした言い合いをした。

 超絶ムカムカしたまま車に乗り出発すると、いつもよりやけにエンジンがうるさく唸り、アクセルが重く感じた。

 積んでいたのは市指定のゴミ袋二つで、重さは合わせて十キロぐらい。重量物ではない。

 私の車は軽自動車だが、以前、三十キロの米袋を三袋積んで運んだ時も、そこまでアクセルが重く感じることはなかった。

 この時のアクセルの重さは、まるで大人を四~五人乗せているかのようだった。

 不可解やらムカつくやらで山道の中、車を走らせていたのだが、家を出て五分もしないうちに急に耳鳴りがし出した。耳鳴りは子供の頃から時々あるので慣れており、運転に支障はなかったが、この時のものはかなり酷く、長かった。

 二十秒ぐらい経って、やっと耳鳴りは収まった。

 すると、それまで抱いていた強烈なムカムカがスッと消え失せて、なんとアクセルが軽くなった。

 もしかして誰か(何か?)悪い重量物モノでも乗っていたのだろうか? 
 
 寒い時期だったこともあり、走り出したばかりでエンジンが温まっていなかっただけかもしれないが、あのムカムカが嘘のように無くなったのは不思議である。
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