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第25話 早朝の手拍き
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今朝、五時半頃、母親が起きた気配で私も目が覚めた。
母親がファンヒーターのスイッチを押し、点火してからわずか数秒後だったと思う。突然、パンパンパン! と、母親の部屋から手拍きする軽快な音が聞こえた。
うるさいな。こんな朝早くに何をしているのだろう? と思いながらまた眠ろうとすると、もう一度、今度はパン! と一回だけの手拍きが鳴った。
この寒いのに蚊でもいたのかなぁ? などと間抜けな事を考えながら、私は二度寝した。
それからしばらく経って起きて、母親が居間で朝食を摂りながらテレビを観ていたので訊いてみた。
「今朝、パンパン聞こえたけど、何してたの?」
「あ、やっぱり聞こえた? 手拍きするような音だったよね。何の音だか分からないんだよ」
どうやら、母親にとっても謎の音だったようだ。
ちなみに、父親はその時まだ熟睡中で、全く気付かなかったとのこと。
家の周りは雑木林なので、時々枝が擦れ合ったり折れたりする音は聞こえるが、あの音は確かに家の中で鳴っていた。母親も聞いているので、私の単なる夢や気のせいではないだろう。
母親が昼間家にいる時も、時々パンパンと聞こえることがあるらしい。日中は天気が良ければ気温も上がるので、それはただの家鳴りかもしれないが、まだ太陽も出ないうちに聞いたのは初めてだと言っていた。
去年の六月にこの新居に引っ越してきたのだが、新年から何かが棲み憑き始めたのだろうか?
座敷童だろうと勝手に思い込んで喜んでおくことにする。
母親がファンヒーターのスイッチを押し、点火してからわずか数秒後だったと思う。突然、パンパンパン! と、母親の部屋から手拍きする軽快な音が聞こえた。
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この寒いのに蚊でもいたのかなぁ? などと間抜けな事を考えながら、私は二度寝した。
それからしばらく経って起きて、母親が居間で朝食を摂りながらテレビを観ていたので訊いてみた。
「今朝、パンパン聞こえたけど、何してたの?」
「あ、やっぱり聞こえた? 手拍きするような音だったよね。何の音だか分からないんだよ」
どうやら、母親にとっても謎の音だったようだ。
ちなみに、父親はその時まだ熟睡中で、全く気付かなかったとのこと。
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