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第18話 右耳の違和感
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去年の夏、両親と一緒に父親の実家へ行った。
亡くなった祖母の部屋に入ると、急に右耳だけ風通しが良くなった感じがした。
あの時の感覚の説明が難しい。何か音が聞こえたとかいうわけではない。たとえるなら、気圧の変化で詰まっていた耳が突然抜けたようでもあり、長時間入れていた耳栓を外した時のようでもあった。
伯母にそのことを話したら、
「時々なんだけど、猫達がみんな動きを止めて、ジーっとこの部屋を見ている時があってね。やっぱり何かいるのかな?」
と言っていた。
父親の実家ではクロちゃん、シロちゃん、マダラちゃん、にせシロちゃんの四匹の猫を飼っている。家中を駆け回ったり、網戸を引き裂いて脱走したりと、とにかくやんちゃでじっとしていることなどない。その猫達が動きを止めて凝視するモノがいるのだろう。
亡くなった祖母が来ているのなら怖くはないが、猫達が警戒するとなると、全くの別人(?)かもしれない。猫達は祖母にも懐いていたので。
脱走して庭にいたにせシロちゃんが立ち止まって、ガラス戸からこちらの部屋をジーっと見ている。ほかの三匹の猫達も、この時はこちらの部屋に入ってくることはなかった。
それから祖母の部屋を出ると、耳の違和感は徐々になくなっていった。
ちなみに、『にせシロ』とは伯父が名付けたらしい。後から飼い始めた猫で、少々小柄だがシロちゃんによく似ているという理由で、にせシロと勝手に呼び始めたそうだ。伯母といとこはニコちゃんと呼んでいたが。
……まあ、いくら何でも『にせシロ』では可哀想である。
伯父は言う事やる事がぶっ飛んでいる。昔、処分されることになったボーリングシューズを『勿体ないから』と貰い、尾瀬に履いて行ったことがあるらしい。言うまでもなく、滑りまくってさすがに危険を感じ、途中で引き返してきたとか。……なぜ尾瀬に履いて行ったのかは謎である。
あと、テレビがブラウン管だった頃には、古いテレビの画面が暗くなってしまったので、懐中電灯で照らして見ようとしたとか。……もちろん、見えなかったらしいが。
●今回は右耳の違和感より、破天荒な伯父の方が怪異でした……(;^ω^)
亡くなった祖母の部屋に入ると、急に右耳だけ風通しが良くなった感じがした。
あの時の感覚の説明が難しい。何か音が聞こえたとかいうわけではない。たとえるなら、気圧の変化で詰まっていた耳が突然抜けたようでもあり、長時間入れていた耳栓を外した時のようでもあった。
伯母にそのことを話したら、
「時々なんだけど、猫達がみんな動きを止めて、ジーっとこの部屋を見ている時があってね。やっぱり何かいるのかな?」
と言っていた。
父親の実家ではクロちゃん、シロちゃん、マダラちゃん、にせシロちゃんの四匹の猫を飼っている。家中を駆け回ったり、網戸を引き裂いて脱走したりと、とにかくやんちゃでじっとしていることなどない。その猫達が動きを止めて凝視するモノがいるのだろう。
亡くなった祖母が来ているのなら怖くはないが、猫達が警戒するとなると、全くの別人(?)かもしれない。猫達は祖母にも懐いていたので。
脱走して庭にいたにせシロちゃんが立ち止まって、ガラス戸からこちらの部屋をジーっと見ている。ほかの三匹の猫達も、この時はこちらの部屋に入ってくることはなかった。
それから祖母の部屋を出ると、耳の違和感は徐々になくなっていった。
ちなみに、『にせシロ』とは伯父が名付けたらしい。後から飼い始めた猫で、少々小柄だがシロちゃんによく似ているという理由で、にせシロと勝手に呼び始めたそうだ。伯母といとこはニコちゃんと呼んでいたが。
……まあ、いくら何でも『にせシロ』では可哀想である。
伯父は言う事やる事がぶっ飛んでいる。昔、処分されることになったボーリングシューズを『勿体ないから』と貰い、尾瀬に履いて行ったことがあるらしい。言うまでもなく、滑りまくってさすがに危険を感じ、途中で引き返してきたとか。……なぜ尾瀬に履いて行ったのかは謎である。
あと、テレビがブラウン管だった頃には、古いテレビの画面が暗くなってしまったので、懐中電灯で照らして見ようとしたとか。……もちろん、見えなかったらしいが。
●今回は右耳の違和感より、破天荒な伯父の方が怪異でした……(;^ω^)
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