18 / 41
第18話 右耳の違和感
しおりを挟む
去年の夏、両親と一緒に父親の実家へ行った。
亡くなった祖母の部屋に入ると、急に右耳だけ風通しが良くなった感じがした。
あの時の感覚の説明が難しい。何か音が聞こえたとかいうわけではない。たとえるなら、気圧の変化で詰まっていた耳が突然抜けたようでもあり、長時間入れていた耳栓を外した時のようでもあった。
伯母にそのことを話したら、
「時々なんだけど、猫達がみんな動きを止めて、ジーっとこの部屋を見ている時があってね。やっぱり何かいるのかな?」
と言っていた。
父親の実家ではクロちゃん、シロちゃん、マダラちゃん、にせシロちゃんの四匹の猫を飼っている。家中を駆け回ったり、網戸を引き裂いて脱走したりと、とにかくやんちゃでじっとしていることなどない。その猫達が動きを止めて凝視するモノがいるのだろう。
亡くなった祖母が来ているのなら怖くはないが、猫達が警戒するとなると、全くの別人(?)かもしれない。猫達は祖母にも懐いていたので。
脱走して庭にいたにせシロちゃんが立ち止まって、ガラス戸からこちらの部屋をジーっと見ている。ほかの三匹の猫達も、この時はこちらの部屋に入ってくることはなかった。
それから祖母の部屋を出ると、耳の違和感は徐々になくなっていった。
ちなみに、『にせシロ』とは伯父が名付けたらしい。後から飼い始めた猫で、少々小柄だがシロちゃんによく似ているという理由で、にせシロと勝手に呼び始めたそうだ。伯母といとこはニコちゃんと呼んでいたが。
……まあ、いくら何でも『にせシロ』では可哀想である。
伯父は言う事やる事がぶっ飛んでいる。昔、処分されることになったボーリングシューズを『勿体ないから』と貰い、尾瀬に履いて行ったことがあるらしい。言うまでもなく、滑りまくってさすがに危険を感じ、途中で引き返してきたとか。……なぜ尾瀬に履いて行ったのかは謎である。
あと、テレビがブラウン管だった頃には、古いテレビの画面が暗くなってしまったので、懐中電灯で照らして見ようとしたとか。……もちろん、見えなかったらしいが。
●今回は右耳の違和感より、破天荒な伯父の方が怪異でした……(;^ω^)
亡くなった祖母の部屋に入ると、急に右耳だけ風通しが良くなった感じがした。
あの時の感覚の説明が難しい。何か音が聞こえたとかいうわけではない。たとえるなら、気圧の変化で詰まっていた耳が突然抜けたようでもあり、長時間入れていた耳栓を外した時のようでもあった。
伯母にそのことを話したら、
「時々なんだけど、猫達がみんな動きを止めて、ジーっとこの部屋を見ている時があってね。やっぱり何かいるのかな?」
と言っていた。
父親の実家ではクロちゃん、シロちゃん、マダラちゃん、にせシロちゃんの四匹の猫を飼っている。家中を駆け回ったり、網戸を引き裂いて脱走したりと、とにかくやんちゃでじっとしていることなどない。その猫達が動きを止めて凝視するモノがいるのだろう。
亡くなった祖母が来ているのなら怖くはないが、猫達が警戒するとなると、全くの別人(?)かもしれない。猫達は祖母にも懐いていたので。
脱走して庭にいたにせシロちゃんが立ち止まって、ガラス戸からこちらの部屋をジーっと見ている。ほかの三匹の猫達も、この時はこちらの部屋に入ってくることはなかった。
それから祖母の部屋を出ると、耳の違和感は徐々になくなっていった。
ちなみに、『にせシロ』とは伯父が名付けたらしい。後から飼い始めた猫で、少々小柄だがシロちゃんによく似ているという理由で、にせシロと勝手に呼び始めたそうだ。伯母といとこはニコちゃんと呼んでいたが。
……まあ、いくら何でも『にせシロ』では可哀想である。
伯父は言う事やる事がぶっ飛んでいる。昔、処分されることになったボーリングシューズを『勿体ないから』と貰い、尾瀬に履いて行ったことがあるらしい。言うまでもなく、滑りまくってさすがに危険を感じ、途中で引き返してきたとか。……なぜ尾瀬に履いて行ったのかは謎である。
あと、テレビがブラウン管だった頃には、古いテレビの画面が暗くなってしまったので、懐中電灯で照らして見ようとしたとか。……もちろん、見えなかったらしいが。
●今回は右耳の違和感より、破天荒な伯父の方が怪異でした……(;^ω^)
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】本当にあった怖い話 コマラセラレタ
駒良瀬 洋
ホラー
ガチなやつ。私の体験した「本当にあった怖い話」を短編集形式にしたものです。幽霊や呪いの類ではなく、トラブル集みたいなものです。ヌルい目で見守ってください。人が死んだり怖い目にあったり、時には害虫も出てきますので、苦手な方は各話のタイトルでご判断をば。
---書籍化のため本編の公開を終了いたしました---
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
お化け団地
宮田 歩
ホラー
「お化け団地」と呼ばれている朽ち果てた1階に住む不気味な老婆。彼女の部屋からは多頭飼育された猫たちがベランダから自由に出入りしていて問題になっていた。警察からの要請を受け、猫の保護活動家を親に持つ少年洋介は共に猫たちを捕獲していくが——。

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる