不思議小話 ピンキリ

そうすみす

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第17話 体感!! NZ怪紀行➂

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 帰国まであと一ヶ月を切った頃、せっかくなのでNZニュージーランドを一周見て回ることにした。

 その途中、南島の一番北にある都市ネルソンに立ち寄った。

 都市とは言っても、日本の都心部のように高密度で窮屈きゅうくつな雰囲気ではない。発展はしていても開放感があった。

 節約旅だったので、Mホテルの安価な相部屋ドミトリーに宿泊した。

 その夜、荷物の整理をしていると、同じ部屋にいたフランス人男性ジャンさん(仮名)が声をかけてきた。

 「今夜、ちょっとしたパーティーするんだけど、一緒にどう?」

 フランスなまりの英語で聞き取りにくいが、とても感じの良い人だった。

 せっかくのお誘いなので行きたかったが、この時の私は珍しく風邪を引いてしまい、それに長時間のバス移動でかなり疲れていたので、丁重ていちょうにお断りした。

 ジャンさんは『残念だな。じゃあお大事にね』と言って、部屋を出て行った。

 まったく、ついてない。風邪なんて滅多めったに引かないというのに、この時は熱こそ出なかったが、のどが痛くてせきも鼻水も出て、かなり体調が悪かった。もっと仲良くなるチャンスだったが仕方がない。あきらめて早く寝ることにした。

 
 たっぷり寝たお陰か、翌朝には嘘のように風邪の症状はほとんど治まっていた。あいにくジャンさんは部屋にも食堂にもいなかったので、お別れの挨拶あいさつもできないまま、私はMホテルをチェックアウトし、当初の予定通り、北島へと向かった。

 それから首都ウェリントンや温泉街ロトルア等々を観光した後、また数日かけて、空港のある南島第一の都市クライストチャーチへと戻った。NZに来た当初、この街にも五ヶ月程度滞在していたので、およそ半年ぶりとなる。

 久々に会う日本人の友人達に、もうすぐ帰国することと、NZを一回り観光してきたことを話した。

 すると、その放浪ほうろう記の途中で、なぜか一部の友人が顔を強張こわばらせ、ドン引きしてしまった。

 ネルソンで一泊した件で、である。

 お値段の割には良い宿だったと思う。ロビーのソファーには大きな看板ワンコもいてホッコリでき、食堂には『Help yourselfご自由にどうぞ 』のスープもあった。味はすこぶひどいものだったが。

 「ネルソンのMホテルって、夜な夜なマリファナパーティーやってるって噂だよ⁉」 

! ( ̄д ̄;)ノ=3=3 タダノウワサダヨゼッタイ (((;゚Д゚)))))))!

 そんな噂、初めて聞いた。帰国間近にして…… 

 よもやよもや、あの時風邪を引いていなかったら、私は今頃……(;'∀')

 とっても感じの良い好青年だったジャンさん……まさか……(;^ω^)


 ―――様々な妄想もうそうと憶測を勝手にめぐらせつつ、私は数日後に帰国した。


 ●NZは治安も良く暮らしやすい国でした。良くも悪くも細かいことは気にしませんし、独自の生態系を大切に守っているので、野生の動植物を生で近くから見られます。それに日本に比べ、怪奇現象も少ないです(←※あくまで筆者個人の見解です)。

 チャンスがありましたら、皆様も是非訪れてみてくださいませ(^▽^)
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