不思議小話 ピンキリ

そうすみす

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第12話 怨恨 comes true?(⚠閲覧注意⚠)

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 【⚠このエピソードには不適切表現、及びほんのり残酷描写があります⚠】 ご了承くださいませ。 

 中学生の頃の話。

 当時、クラスは別だったが、とんでもなく悪質ないじめをしているHという男子生徒がいた。

 私と小学生の頃からの友人M君は、先生の見ていない所でよく罵倒ばとうされたり、時には殴られたりしていたようだった。

 私も、人生の後にも先にも、あんなに激しいうらみを抱いたことはない、と言えるほどの嫌がらせを何度もされたことはあったが、それでもM君ほど酷い仕打ちはされていなかった。

 ある日、M君がこんなことを言った。

 「あいつ、思いっきり苦しませてから、体を真っ二つにでもしてやりたいな!」

 不謹慎だが、私も同感だった。先生に相談したが一向に改善しない。真剣に考えて取り組んでいるのかさえ分からない。そうなると最悪の場合、いじめの被害者が自殺をするか、加害者を殺すか、のどちらかになってしまうこともある。

 もちろん、M君も私もいずれの選択もしなかった。そして殺意すら抱いたまま中学卒業を迎えた。

 ―――それから高校に進学して約半年後……。

 Hが交通事故で死んだというしらせを受けた。

 卒業後もやはり、すくいようのないほど素行そこうが悪かったらしく、事故当時、不良仲間と二人乗りでバイクをかっ飛ばし、後ろに乗っていたHはれ違う対向車に蹴りを入れて遊んでいたらしい。

 何度もそうするうちに、対向車のどこかに右脚が引っ掛かったのだろう。右脚を対向車に、左脚を乗っていたバイクに引っ張られて、股から真っ二つに裂けてしまったそうだ。

 その後、五、六時間は生きていたらしいが、結局助からなかったとのこと。

 同級生だったので、M君も私も義理で告別式には参列した。遺族の手前、一応、悲しんでいるフリもしておいた。不謹慎かもしれないが、内心ではザマァ見ろ、だった。本心から涙を流していた人は、果たして何人いただろう? と思う。

 天罰覿面てんばつてきめんという四字熟語がピッタリの出来事だった。可哀想かわいそうとは微塵みじんも感じなかったが、Hの体が本当に真っ二つになり、さらにその後少しの時間、生きて苦しんだことにはM君も私も驚いていた。

 一番気の毒なのは、この股裂き事故の相手の方かもしれない。運転に何の落ち度もなかったとはいえ、とても嫌な思いをされたことだろう。

 本来、人の死を喜ぶのも、死んだ人を悪く言うのもはなはだ不謹慎だと承知しているが、その禁忌タブーおかすほど、M君と私の怨恨えんこんは計り知れないものだったとご理解いただきたい。
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