不思議小話 ピンキリ

そうすみす

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第2話 当たらない……? ①

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 頭がおかしいのでは? と思われることを承知で言う。

 勘違かんちがいでなければ、私はすでに二回死んでいる。

 1回目は、数年前にヨーロッパのある国を旅行した時のこと。

 クリスマスシーズンでとても寒く、雪がたくさん積もっていた。

 天気が良いと、昼間は日の当たる所の雪が溶ける。
 
 すると、よく建物の屋根の上にある雪が落下してくる。雪とは言っても、ほとんど氷の塊になった状態で、しかもかなり大きな物もあった。

 建物は高く、そこから大きな氷の塊が落ちると、地面でバーン! と凄い音を立てて砕け散る。街を歩いているとき、何度かその様子を見た。

 頭にでも直撃しようものなら、大袈裟おおげさなどではなく死ぬかもしれない。

 滞在たいざい数日目の昼前、私はホテルから大通りに向かって歩いていた。その日も寒かったが天気は良かった。

 二十メートルぐらい前を一人の男性が歩いていて、その男性の数歩後ろの地面に、大きな氷の塊が落下し、バーン! と鳴った。

 危なかった。もう少しであの人に当たるところだった。

 私は胸を撫で下ろしてまた歩き出し、まさかね、と思いながら上を見た。

 なんと、頭上間近に氷の塊! かなり大きい! 

 突然の事態に驚き過ぎて、体も動かず声も出ない。

 近くに何人か人がいたらしく、悲鳴が聞こえた。

 目の前が氷の塊で真っ白になる。もう駄目だ!

 

 でも、その直後、なぜか私は何事もないまま、その場につっ立っていた。

 前方には先程の男性が歩いている。

 あれれ? さっき、確かに氷の塊が落ちてきたはず……?

 単なる白昼夢はくちゅうむか、それとも実はもうあの世にきてしまったのか……?

 

 ※長くなるので、二回目の死は次話に致します。
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